待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
死穢八斎會を捕らえる。ヒーロー達はそうするべく動いていた。平日の朝、現場となる死穢八斎會の本拠地に頭数を揃えて踏み込んだのだ。
が、現実はそうも上手く行かなかった。踏み来んだヒーロー達が見たものは、ちょうど玄関前に出て来た治崎のみ。それも何故か、殊勝に「これはこれは、皆さんお揃いで。ちょうど、出頭しようかと思っていたところです」などと宣う。かなりの抵抗があると予想された上で、多くのヒーローが現場に集結したと言うのに、このような幕引きになるのは……拍子抜けと言ったところだろう。
だが、大規模な戦闘が起きなかったならそれで良いとヒーロー達は少し肩の力を抜いた。同行していた警察達も、つられて少しだけ気を抜いてしまう。
治崎廻による、無抵抗の出頭。疑念点はあるものの、事は思いの外、すんなりと済んでしまった。
だがこの状況を疑った者が、二人居る。一人は、サー・ナイトアイ。彼は個性で廻道円花の未来を知っている。なのに今ここで、治崎が出頭してしまったなら、その未来は訪れなくなってしまう。何をどうしようと変えられない未来がこうも簡単に捻曲がってしまうのなら、彼自身苦労していない。
そして、イレイザー・ヘッドは困惑や疑念、安心感を浮かべているヒーロー達の中で真っ先に治崎に向かって動いた。捕縛布で治崎を縛り上げ、その上で殴る蹴るの暴行を容赦なく加える。突然の彼の行動に、ヒーローも警察も驚いてしまった。
「先せっ、じゃなくてイレイザー!? 何やってんスか!?」
「皆さん、こいつは偽物です。ご覧の通り……」
切島が驚いて声を掛けるのも無理はない。が、彼もヒーロー達も、次の瞬間にはまた驚くこととなった。イレイザー・ヘッドの足元に倒れ込んだ治崎が、熱された蝋のように溶け始めたからだ。
「我が校の生徒が
「と言うことは……こっちは囮か!!」
そう。治崎は、死穢八斎會は敵連合と協力の元にひとつ囮を用意した。恐らくはヒーロー達がこちらに戦力を集中させ、そして病院に居るであろう壊理を奪い去る為に。
「っ、僕、直ぐヨリミナに連絡します!」
「そうしてくれ。直ぐに病院に戻るぞ。それと、エリちゃんの護送班に……」
「そっちは俺達に任せろ! 行くでレッド、サンイーター!」
「ウス!!」
「はい!」
ヒーロー達は、後手に回ってしまった。しかしそれでも、迅速な建て直しを図る。緑谷は、誰の指示も待たず病院に向かって駆け出しながら、渡我被身子のスマホに連絡を入れる。そして要件を直ぐに伝え、電話を切った。そして駆けながら、思考を回していく。
(治崎だけじゃない……! 下手したら
嫌な予感が、どうしても拭えない。何か重大な事が起きてしまうのではないかと、邪推してしまう。しかし今、どんなに焦ったところで緑谷に出来ることは決まっている。病院に向かって、ただひたすらに駆けるしかないのだ。
そんな彼のように駆け出したのは、二人。一人は透過を駆使し、最短で病院へと向かおうとしているルミリオン。そして、もう一人は……。
「待ってデクくん! 私も……!」
「ぅ、ウラビティ!?」
「一人じゃ行かせられへんて! ちょっ、ごめん。浮くから引っ張って!」
既に自らを無重力とした麗日が、緑谷の肩を掴んだ。麗日の機動力では、どんなに早く動いたとしても限界がある。ならば、緑谷に牽引して貰った方が良いのは事実だ。彼頼りになってしまうところではあるが、この場合はこうした方が手っ取り早いだろう。イレイザー風に言うのなら、合理的判断だ。
「
「多分。ヨリミナなら大丈夫だと思うけど、でも……!」
「なら、急ごう! 直ぐに増援に向かわないとヨリミナも渡我先輩も危ない!
しっかり掴まってて! 本気で跳ぶから!!」
「……うん!!」
この後。緑谷は建物の屋根やら電柱やらを蹴り、病院へ向かって全速力で駆ける。引っ張られる麗日は振り落とされぬように努めながら、病院に残った友人が無事で在ることを祈った。どうか無事で居てくれと、まだ何事も起こらないでくれと、そう願った。
緑谷の行動は迅速だった。けれど、ヒーロー候補生として正しいとは言い切れない。ナイトアイの指示も待たず、勝手に飛び出してしまったのだから。
正しいか、正しくないか。そんな判断は今の彼には、彼等には出来ない。助けたいと思ったら、どうしても飛び出してしまうから。
後に。この判断が功を奏し、廻道円花は命の危機を脱することになる。
トゥワイスの個性、マジに厄介ですよね。
三人称による補完は要りますか?
-
欲しい
-
要らん
-
良いから一人称で突っ走れ