待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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雄英文化祭。カァイイお茶子

 

 

 

 

「円花ちゃんも着替えましょう!」

 

 緑谷の洋服を選んだ後。緑谷の着替えが終わるのを廊下で待っていると、何故か被身子がやって来た。麗日の着替えはどうしたんじゃろうか? まさかもう済んだのか? 儂、そこまで緑谷の服に時間を掛けて悩んだ覚えは無いんじゃけど。そもそも選択肢が少なかったしの。洋服に疎い儂でも分かる。何なんじゃあの襯衣(しゃつ)は。もう少しこう、まともな物をじゃな……。

 

 ……まぁ、良いか。取り敢えず何となかった筈じゃし。それに儂も着替えなければならんから、被身子に手を引かれるまま一度部屋に戻るとしよう。

 

「それで、どうでした?」

「……まぁ、多分何とかなった……と思う」

「……そんなに酷かったんです?」

「しゃつがの……。意味分からんものしかなかった」

「あー……。まぁ、緑谷くんってあんまり服に頓着無さそうですよね。普段から変なシャツ着てること多いですし」

 

 多分、被身子の言う通りなんじゃろう。あんな意味不明な服ばかりを持っているぐらいじゃ。それに実際、緑谷が変な襯衣(しゃつ)を着ていることは多い。もしかしたら、変な洋服を集める趣味が有るのかもしれない。それを駄目とは言わんが……こう、余所行きの洋服ぐらいは持ってても良いのでは? 将来、誰かと逢瀬(でえと)する時に困ると思うんじゃけど。いや、今まさに困るかもしれん。じゃってほら、解せぬ感じはあるが……だぶるでえと……らしいしの。

 

 ……ん? 今、ふと思ったことがある。だぶるでえと、とやらは……もしや被身子や儂が緑谷や麗日とも逢瀬(でえと)するということか? それとも、ただ単に儂が被身子と逢瀬(でえと)して、緑谷と麗日が逢瀬(でえと)するだけなのか?

 

 後者なら良いが、前者となると……。

 

「んふふっ。今度はぁ、何を考えてヤキモチですか?」

「……いや、別に。妬いとらん妬いとらん」

「ヨリくんの嘘吐き。話さないと、こうなのです!」

「ぷぇっ」

 

 おい、頬を指で突くな。摘まむな。何でそんな楽しそうに笑っとるんじゃお主は。別に、儂は嫉妬などしとらんが? ただ、気に食わなかっただけじゃ。だぶるでえと、とやら……。場合によっては、即刻中止にしなければ。儂の被身子じゃぞ、儂の。相手が誰じゃろうと、被身子と逢瀬(でえと)など絶対にさせん。

 ってこら、迫るな。儂を壁に追い詰めるな。頬を両手で包むんじゃないっ。

 

「すっかりヤキモチさんになったのです。カァイイねぇ、カァイイねぇ……♡」

 

 じゃから、嫉妬などしておらん。何でそんな盛大な勘違いをしとるんじゃこやつは。まったく、何を考えているのかまるで分からん。いつもそうやって儂を好き勝手に振り回すんじゃから。まっこと、仕方ない奴じゃのぅ。お陰で気苦労が絶えないんじゃ。

 

「別に、妬いとらんが?」

「本当ですか?」

(まこと)じゃ。それより、ほれ……」

 

 言われっぱなしは癪じゃ。被身子の首に両腕を回して、背伸びしてみる。そしたら被身子は、これまた嬉しそうに笑って少し屈んでくれた。じゃから、儂から接吻(きす)をしてみる。唇と唇が触れ合うと、肩を掴まれた。どころか、壁に向かって押された。

 足の間に膝が差し込まれたことについては、まぁ許すとしよう。誘ってしまった自覚は、……残念ながら有る。儂からすると、いつもこうじゃ。こやつ、何でこうも理性が働かないんじゃ。もしや本能で生きて……? 可能性が無いとも言い切れん。

 

「最近、積極的で嬉しい……♡ 今夜は寝かさないから、覚悟してくださいね♡」

 

 耳元でそう囁かれて、期待で背筋が震えた。ううむ、我ながら堕ちるところまで堕ちてしまった気がしてならない。儂がしっかりせねばと思っているんじゃけど、それはそれとして……こう……。……その、つい欲しくなってしまうんじゃもん。儂がこうなったのは、絶対こやつのせいじゃ。すっかり体が覚えてしまって、心も……。

 

 ぐぬぬ。被身子の阿呆、たわけ。へんたいっ。そういうところも、愛しく思うがの! ふんっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 被身子に連れられて部屋に戻ると、何故か麗日が両手で顔を覆って悶えていた。何しとるんじゃこやつ。何で被身子の服を着て……。いやまぁ、どうせ被身子が着せたんじゃろうけども。さぞ、弄ばれたに違いない。儂の居ないところで何をして居たのか、後でじっくりと聞くとしよう。場合によっては許さん。絶対許さんからな? 儂の被身子じゃぞ、儂のっ。

 

 こほん。多少取り乱してしまった。落ち着かねば。これから逢瀬(でえと)なんじゃから、落ち着いて臨まねば。落ち着きを失くすのは、そう……夜になってからで良いじゃろう。

 

 じゃから。今は取り敢えず麗日に事情を聞いてみるとするか。何があったのかは、だいたい想像出来るんじゃけども。

 

「それで、どうしたんじゃこやつ」

「何か、気恥ずかしいみたいで。こうしてお洒落して、緑谷くんとデートすることが」

「ちゃうって! そうやない、そうやないからっ!?」

 

 お。浮いた。顔を隠したまま、それはもう盛大に慌てているの。耳が真っ赤じゃ。しかし逢瀬(でえと)が話に出てくるだけで、この有り様か……。この調子が続くなら、このあ緑谷と会ったら余計に大変なことになるのでは?

 まぁ、助けてやるつもりはもう無いが。じゃってほら、結局だぶるでえと……になってしまったのは儂だけのせいでは無いし。少し考えれば麗日や緑谷じゃって、結局はだぶるでえと、になると気付けた筈じゃ。

 

「取り敢えず、降りてきたらどうじゃ? 浮いたまま、でえとするのは無理じゃろ?」

 

 あまりに浮き過ぎて、もう天井にぶつかってしまっている。無重力になるのは楽しいことじゃとは思うが、無重力で生活するのは絶対に不便じゃろう。浮いたままで逢瀬(でえと)をするのは、流石にどうかと思う。最悪、麗日を紐で括って引っ張ってしまえば良いか。その時は、緑谷に引っ張らせよう。

 

「ぅ、うぅう……。何で? 何でこんな事になってしもうたん……?」

「何でと言われてもじゃな……」

 

 取り敢えず、麗日は床に降りて来た。何でと聞かれてしまったから、儂はつい被身子を見てしまう。被身子の為に二人を誘ったのは儂じゃ。結果として、被身子の思惑通りになってしまった。……もしや儂のせいか? 儂のせいなのか??

 

「まぁまぁ、とってもカァイイですよお茶子ちゃん。きっと緑谷くんはメロメロになっちゃうのです!」

「めろめ……!?」

「普段と違う装いの女の子って、テンション上がりますよねぇ……!」

「てんしょ、上が……っ!?」

 

 ……まぁ、被身子の言っていることは分からんでもない。今の麗日は、……何と言ったかのこの服。まあめ……井戸? まぁ、めいど? とにかく、腰の後ろを紐で結んだ薄めの桃色をした(すかあと)ひだ飾り(ふりる)の付いたぶらうすを着ている。普段目にすることが多い制服姿や運動着(じゃあじ)姿、そして英雄装束(こすちゅうむ)姿とは全然違う。印象というか、可愛らしさと言うか。いつもとは違った感じがして、新鮮な感じもするの。

 つまり。一言で言ってしまえば、今の麗日はかぁいい。存外、緑谷には勿体無いんじゃないか? 何か、そんな気がしてきたのぅ……。いやしかし、緑谷を選んでいるのは麗日じゃ。儂がとやかく言う必要は無い。

 

「やっ、やっぱ自分で選ぶ! この服は何と言うか……気合い入り過ぎな気がするからっ!」

「気になる男の子とのデートに気合いを入れない女の子は居ませんよぉ。ねっ、円花ちゃん!」

 

 いや、そこで悪どい笑顔で同意を求められてもじゃな。儂、男子と逢瀬(でえと)したこと無いんじゃけど。……常闇と出掛けたことを逢瀬(でえと)じゃと言うのなら、したことは有ると言えるが。それにしたって、気合いを入れた覚えは無いが。

 まぁでも、被身子が同意を求めている。ここで違う事を言ってしまえば、それはそれで大変な事になりそうじゃ。となれば、儂が取る選択肢は……。

 

「……そうかもしれんの」

 

 取り敢えずの、同意じゃ。

 麗日すまん、諦めて振り回されてくれ。

 

「待って廻道さん!! 遠い目で渡我先輩を全肯定しないでっ!?」

「んふふ。円花ちゃんは、私のお願いは何でも許してくれるのです」

「廻道さんっ、駄目な事は駄目って言わないと……!!」

 

 肩を掴むな麗日。必死の形相で儂を揺さぶらないでくれ。目が回りそうになるじゃろ。それに仕方ないんじゃ。何を言ったところで、その気になってしまった被身子を止めることは難しい。その点は儂も苦労する時がある。結局最後は儂が折れる形で、被身子の願望を叶えてしまうんじゃけども。

 お主も、いつか儂の気持ちが分かる時が来るじゃろう。緑谷が、被身子のようにお主を振り回す姿は想像出来ないんじゃけども。

 

「それじゃあ、円花ちゃんもカァイイ格好をしましょう! 今日はこれ、付けてくださいね!」

 

 そうじゃった。儂も着替えなければならないんじゃった。しっかり被身子のお眼鏡にかなうのうな格好をしなければ、機嫌を損ねてしまう。

 ……さて、何を着ようかの。と言うか、何を着させられるのか。取り敢えず差し出された……もとい突き出された眼鏡を掛けるとする。昨日、眼鏡屋で買ったやつじゃの。

 で、被身子? 何で戸棚を漁ってるんじゃ? 昨日買った服なら、まだ部屋の隅に紙袋に入ったまま置いて……。って、おい。次々と戸棚の中身を引っ張り出すな。麗日の足元に、玩具(・・)が転がったじゃろっ。

 

「あと、これとこれも着てください!!」

「……相分かった」

 

 そうじゃとは思っていたが、どうやら儂に洋服を選ぶ権利は無いらしい。それでは、着替えるとしよう。被身子が儂に着せようとしているのは……。……制、服……? ……じゃと??

 

 

 

 

 







お茶子の受難って感じがします。トガちゃんに目を付けられたお茶子が悪いと思います(暴論)

三人称による補完は要りますか?

  • 欲しい
  • 要らん
  • 良いから一人称で突っ走れ
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