待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
さて。今日から呪術科の生徒として儂は学校生活を送っていくわけなんじゃけど、さっそく面倒な事になりそうな予感がしてならん。取り敢えず朝、いつも通り起きると朝食の最中に相澤からくらすめえと達に説明があった。その内容は「しばらく廻道は呪術師としての活動に専念してもらう事になった。その為、当面授業には参加出来ない」との事じゃ。一応、既に儂が
そして緑谷は儂の補佐として立候補したんじゃが、それは断った。意外にも、それに反発した者が二人。常闇と青山じゃ。儂が一人で呪術師として活動することを、嫌がっていたの。しかしこやつ等が嫌がったとしても、今この時代で呪術師の筆頭は儂じゃ。既に全国で頻発しつつある呪霊被害を僅かでも食い止められるのは、儂とおおるまいとぐらいのものじゃ。緑谷は……出来れば呪術師として活動させたくない。こやつには呪術師以上に、優先すべき事があるからの。
心配はありがたいが、余計なお世話でもある。まぁ、
そんなこんなで。居間で勉強していた、思わぬ来客に儂は目を丸くしている。じゃって、目の前に赤い翼を広げた怪しい男が現れたからじゃ。確かこやつは……ほおくすとか言ったな? 初めて総監部に接触された時、七山の隣に居た奴じゃ。
「やあ、ブラッディ。いや、ヨリミナだっけ? 君のヒーロー名。こうして会うのは、久しぶり〜〜」
「……頼皆じゃ。もしくは廻道。ぶらっでぃは止さぬか」
「そう? 世間んみんなに親しまれとーって事ばい。悪か事やなか」
……こやつ、何じゃ? へらへらと笑いながら喋りおって。儂の前にわざわざ姿を現したと言うことは、それなりの要件が有っての事じゃろう。例えば、総監部絡みとか。まさかただ会いに来た、ってわけじゃ無いじゃろう。こやつの本拠地は、九州の方じゃと聞いている。常闇の職場体験先じゃったからの。色々と聞いた。何でも、世間はこやつを速すぎる男とか呼んでいる……とか。何がどう速すぎるのかは分からんが。
「で? 何の用じゃ?」
「端的に言うと、後輩ん面倒ば見に。……ツクヨミと仲良いんだって? あの子が結構気にしてたから、どんな子か気になっちゃって」
「……」
「……」
「……様子を見に来たって事かの?」
「そういう事。それじゃ、出掛けようか。コスチュームに着替えて」
……なるほど。つまり、今回の送迎か。儂を呪術師として使うのは夜だけと決まってた筈なんじゃが、今から連れ出すという事は……遠出させる気満々じゃの。急に仕事を依頼するのは止して欲しい。儂にじゃって予定と言うものがじゃな……。いや、呪霊退治は最も優先すべき事ではあるんじゃけど。
まぁ、これから呪霊を祓いに行くのは構わん。が、一つ問題がある。
「こすちゅうむは、洗濯中じゃ。昨日、汚れてしまっての」
主に峰田からの差し入れのせいで。後はまぁ、外にも関わらず被身子とあれやこれやとしてしまったからの。流石に昨日のあれはやり過ぎじゃ。誰かに見られることがなくて良かった。見られていたら、被身子が特待生では居られなくなってしまうところじゃった。これからは気を付けねば。やはり、被身子と交わるのは他に人目のない室内でなければ。
「なら、普段着で良か。ほら着替えて着替えて」
「……相分かった。少し待っとれ」
どうやら、今日の予定は大幅に変更することになりそうじゃ。着替えるついでに、被身子に連絡しておかねば。わざわざ迎えを寄越したぐらいじゃ。恐らく、それなりに時間を要するじゃろう。初日から忙しくなりそうじゃの。
◆
「おいっ! 何をするんじゃっ!? 放せっっ!!!」
「暴れない暴れない。今放したら、落っこちちゃうでしょ。この高さから落っこちたら無事じゃ済まないんじゃない?」
「生きた心地がしないんじゃっ!! 人は空を飛べんのじゃたわけ!!」
「俺、見ての通り翼あるから。それに昨今、鳥系の個性なら大抵は飛べるし」
部屋着の着物から外行きの着物に着替えて、一通り必要そうな荷物を纏めた後。儂は、ほおくすに体を抱き上げられた。反射的に殴ろうとしたら、数秒と掛からぬ内に遥か上空まで上昇されてしもうた。これでは殴って気絶させるどころではない。そんな真似をしたら、二人揃って落下死じゃ。しかしそれはそれとして、嫌なものは嫌なんじゃっ。おおるまいとのせいで、すっかり高所恐怖症じゃ。地に足が付いてれば幾ら高かろうが大丈夫じゃけど、抱き抱えられての飛行は流石に恐ろしい。肝っ玉が冷える。あと、飛行機も嫌いじゃっ。
「いったい何のつもりじゃ貴様っっ!!?」
「やけん、送迎ばい。こっちん方が車より速かけんしゃ」
「車が有るならそっちにせんか!!」
「俺、こいつがあるけん車に乗るん苦手たいね」
この……! ああ言えばこう言う……! こやつ嫌いじゃ! 何なんじゃこの手羽先!! 総監部は何でこんな奴を儂に寄越したっ!? ふざけおって……! 七山ぁ、首を洗って待ってろよ……! 呪ってやる……!!
「地上じゃしにくい話も有るから。ほら、こっちの方が誰にも聞かれずに済む」
「……そう言うことなら先に言わんか。あと! しっかり支えとけよ!? 離したら殺すぞ!!」
「いや離さないって。でも暴れるのは止めよう。うっかり落としたら大変だから」
……。……くそっ。大人しくしているしか無いらしい。下は見たくないから、何処か遠く……。そうじゃな、青い空や白い雲でも見ていよう。そしたら気が紛れるじゃろ。……多分。
「……ここ数ヶ月。もっと言うと、この十六年と少し。一般人が原因不明の失踪や事故に合うことが増えてる。年間でそれはもう結構な数が。
呪術総監部が出来るまではさぞ狡猾な
「……悪党が居る以上、全てが呪霊のせいとは言えんと思うが。まぁ概ね、呪霊の仕業じゃろうな」
「でもある日、東京の某所だけ原因不明の事故や失踪がぱたりと無くなった時期があったんだ。ツクヨミの出身地なんだけど、君何か知ってる?」
「……気付いとるなら聞くな」
「やっぱ君の仕業? 幼い頃から呪霊退治なんて、ヒーローだね君は」
いや、
それにしても、空の移動は生きた心地がしないんじゃ。持って来た鞄は……。む? 何処に行った? まさか、落としたか……!?
「鞄ならちゃんと持ってるよ。落としてない」
「……」
なら、まぁ良しとしよう。いつの間に儂の鞄を手に取ったのかは後で聞かせてもらうが。
「それより。まぁ分かってると思うけど、これから君には呪霊退治をして貰う。あ、給料は高いお金が出るからばっちりこなして。
そんで、これから向かう場所について説明したいんだけど」
「すれば良かろう?」
「いやーだってさっきから顰めっ面で。いつ何が原因で暴れ出すか分からないし。ほら、君ってかなりの……」
かなりの。……何じゃ? まさかぽんこつ等と言わないじゃろうな? 言ったら殴るからな? 思いっきり拳骨じゃ拳骨。方向音痴扱いはもう諦めるとして、ぽんこつ扱いだけは駄目じゃ。絶対に許さん。
「かなりの、戦闘狂でしょ? 雄英体育祭見たよ。録画だけど。
いやー、ほんっとヤバかったね。そこらのプロなんて相手にならん実力なのに、まるで自制が無い。あんな顔して戦うとか、
……。……まぁ、戦闘狂扱いについては何も文句は言わん。自覚してるところでは有るからの。戦うこと……呪い合う事が楽しくて仕方ないんじゃ。楽しくて楽しくて、自分を抑えられなくなってしまう程に。ただ、ここ最近はろくに楽しめておらんがの。儂は、儂が戦うに値する猛者と戦いたい。それ以外の雑魚とは、戦闘にすらならん。精々が駆除。下手をすれば暇潰しにしかならんのじゃ。
と言うか、そんな話がしたいわけじゃ無かろう? さっさと本題に入って欲しいのぅ。
「あ、この話する気ない? じゃー、本題。これから向かう場所は、所謂心霊スポット。京都の山奥に、一家心中旅行の舞台になった別荘があるんだよね。で、最近そこに面白半分で忍び込んだ一般人が全員失踪してる。痕跡ひとつ残さずにね。これ、呪術師としてどう思う?」
「呪霊の仕業で間違いないじゃろ」
「ほーう? それは何で? 案外、悪人が綺麗さっぱり痕跡を消した……なんて可能性もあると思うけど?」
「呪霊がどうして産まれるか。それは知っとるか?」
「いーや? オールフォが保管資料を目茶苦茶にしちゃったからね。現状、呪霊やら呪術に関しての知識は殆ど君頼み」
ううむ……。説明が面倒じゃの。しかし、情報共有はしておくべきじゃ。と言うか、七山の奴に
これから呪霊について語るのは単純に面倒じゃけど、しっかり話しておくとしよう。二度も三度も教えなくて良いように。幸い、京都まで時間は掛かるじゃろうしの。
……ん? 待て。京都? こやつ今、京都と言ったか?? まさか静岡から京都まで、空を飛んで行くつもりじゃなかろうな!!?
円花過労死編の始まりです。今回の相方はホークスとなります。そして初手から京都です。どうなることやら!
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ