待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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回想:ばれんたいでい

 

 

 

 

 

「常闇、儂もちょこれえとを被身子にあげた方が良いのか? ほら、今日はばれんたいんでいなんじゃろ?」

『……』

 

 今日は雪が降っておる。珍しく豪雪じゃそうで、学校は休校になった。で、儂は猛烈に暇じゃ。何せ被身子は昨晩から台所を占領して他の事が目に入らぬし、居間に行けばちょこれえとの香りが凄くて被身子が試作中の物をつまみ食いしたくなる。じゃがそれをやったら怒られてしまう。かと言って居間でてれびを眺めるのは、あやつの集中を乱しそうじゃし……。そんなもんじゃから、儂は自室に戻って常闇に電話した。そして気になったから聞いてみたんじゃよ。

 

 で、常闇よ。今、呆れたじゃろ? 知っとるんじゃぞ? 貴様は儂に呆れると、黙るよなあ?

 

『今まで渡していなかったのか……?』

「うむ。じゃって儂、台所立てんからの。立つと止められるんじゃよ。母と被身子に」

『買いには行かないのか?』

「お主天才か?」

『……』

 

 おい。何でまた呆れる。仕方ないじゃろ。いつも作って貰ってるし、買いに行くなんて発想は無かった。そもそも儂、ちょこれえとが売っている店に辿り着けるか分からん。外を歩いていればいつかは辿り着くかもしれんが、その頃には店が閉まってるかもしれんじゃろ?

 

 ……と言うか、ちょこれえとってどこに行けば買えるんじゃ?

 

「ふむ。常闇……お主、今日は暇か?」

『目に見える全てが、罪なき純白で染まっているからな』

「暇なんじゃな? なら、ちょこれえと買いに行くのに付き合ってくれんか? どこで買えるか知らんのじゃ」

『……』

 

 おいこら貴様。何でまた呆れるんじゃ。

 

『……廻道。すまないが、渡我先輩に睨まれるから嫌だ。俺と行くのは諦めてくれ』

「それは……仕方ないのぅ。じゃあ一人で行くとするか……」

『同行しよう。今から……遅くとも二時間後には迎えに行く。今日は一人で出歩かないでくれ』

「何じゃ貴様、儂が雪の中で迷子になるとでも思っとるのか?

 ……まぁ良い。では、準備して待っておるぞ」

 

 まっこと失礼な奴じゃ。まるで儂が迷子になるみたいな言い草をしおって。ちょこれえとを買いに行くぐらい、簡単なことじゃろうが。

 

 

 こうして、儂は常闇に連れられてちょこれえとを買いに行った。じゃがこの時、止めておくべきじゃったのだ。

 何せ、来年は絶対に買わんと思わせる出来事がこの日の晩に起きてしまったからのぅ。

 

 

 

 

 

 

「んふふっ。円花ちゃん、大好きっ」

 

 

 ど う し て こ う な っ た 。

 

 

 儂もこやつにちょこれえとを渡すべき。何て思ったのが間違いじゃった。絶対に間違いじゃった。常闇と出掛けちょこれえとを買い、帰宅。夕飯に舌鼓を打ち、そして入浴を済ませた儂は被身子にちょこれえとを渡したんじゃ。渡し辛くて、日付が変わる寸前になってしまったが。

 渡す時、今日までの感謝を伝えるのは少し気恥ずかしかったが、それはもう被身子が喜んだから来年もこうするべきと思ったんじゃよ。じゃがそれは、大いなる間違いじゃったのだ。罠か? さては罠か??

 こやつ……ちょこれえとを貰うなり儂を押し倒して首に噛み付いてきおった。そこまでは良い。それまでは許容範囲内じゃ。血ぐらい、幾らでもくれてやるわ。

 

 しかし、しかしなぁっ! 抱いて良いとは一言も言っておらんじゃろうが!! あんな、あんな……っ! 好き勝手にしおって……っ!!

 

 儂は止めろと言っておるのに、何度も何度も……っっ!!

 

 お陰で!! 体が重い……!!

 

 裸のまま、天井を眺めることしか出来ぬっ。動きたくない、このまま寝たいっ!!

 

 

「好き、大好きっ。愛してますっ」

 

 

 ……うるさい。耳元で何度も言うな。貴様の気持ちなんぞ知っとるわ。いちいち言わんでも分かっておる。

 

 何でこうなったのか、さっぱり分からん。ちょこれえとを渡しながら「いつもありがとう。儂は、被身子無しでは生きていけんかもしれんな。これからも、一緒に居てくれるか?」と、言っただけじゃろうて。

 

 何でじゃ。何でこうなったんじゃあ……っ。

 

「大好きです! だから、だからぁ……っ! 今日はもっとしましょう!!」

 

 待てこら貴様。まだするのか? まだ足りないのか?? もう儂、喋れないぐらいに疲れてるんじゃが???

 

 おい、ちょっと待て。待たんか被身子。流石にこれ以上は……っ!

 

 

 結局。この日は朝まで被身子の相手をする羽目になった。翌日の学校は休んだ。更にその翌日に学校に行き、何があったのか常闇に話したら……苦笑いされたわ。

 

 

 貴様ぁ! あの時、何故儂を止めなかった……っ! ふざけるなよ!!

 

 許さん……! 許さんぞ常闇ぃっ!!

 

 

 

 

 

 







円花「いつもありがとう。儂は、被身子無しでは生きていけんかもしれんな。これからも、一緒に居てくれるか?」(照れ笑い)(チョコレートを渡しつつ)
今年こそチョコレート欲しいなぁと待ってたトガちゃん「 」プッツン


今日バレンタインだって気付いたから書きました。普段は過ぎ去ってから時事ネタに気付くから書きませんが、まぁたまにはと言うことで。

三人称による補完は要りますか?

  • 欲しい
  • 要らん
  • 良いから一人称で突っ走れ

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