待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

282 / 553
英雄の番付。顔合わせ

 

 

 

 

 

「……ひいろおびるぼ……? ちゃあ……? ……? ……??」

 

 何? 今、何と言ったんじゃこの筋肉阿呆。

 

 訳の分からん会合(ぱあてぃ)が開かれたその翌日。ながんに連れられる形で今住んでいる寮に帰ると、居間で珈琲を飲んでいた背広姿のおおるまいとに、何たらかんたらと伝えられた。いきなり英語を使うのは止めてくれ。直ぐに頭に入ってこないんじゃ。

 ええっと……。ひいろおびるぼおどちゃあと……? じゃったか? よく分からんが、英雄(ひいろお)が付いてるから、英雄(ひいろお)に関する何かなんじゃろうな。で? それが何じゃって??

 

「ヒーロービルボードチャートJPだよ。言ってしまえば、日本ヒーローの番付さ! 誰が一番人気か、年に二回決められるってこと!」

 

 あぁ、なるほど。確か授業とかでやったような気がするの。最後に英雄(ひいろお)科の授業に出たのは、随分前な気がするの。何を学んだかは、もう殆ど忘れてしまっているような気がする。まだ覚えていることもある……と思うが、自信は無い。こんな調子で儂、英雄(ひいろお)免許を取得出来るのか……?

 

 い、いかん。普段の勉強に加えて、英雄(ひいろお)基礎学とか情報学とか、そういうのも学ばなければ。幸い、この寮には相澤とおおるまいとが居るからの。分からない事は直ぐに聞ける。いや、しかし……。相澤に学ぶのはなぁ。かと言って、この筋肉阿呆に聞くのは何か間違っているような気がしてならん。あ、そうじゃ。ながんに聞こう。元・英雄(ひいろお)なんじゃから、色々教わることが出来るじゃろう。うむ、ながんに聞こうながんに。

 

 で。それはさておき。何で儂に、その何たら言う番付の話をするんじゃ? 儂には関係無いと思うんじゃけど……。

 

「あー、えっと。ホークスからの招待で、君は現地で見れるんだけどどうする?」

「ほおくすの招待?」

 

 ……何を考えてるんじゃあやつは。そんな訳の分からん番付発表に招待されても、見に行きたいとは思えん。そんな暇は無い。儂は何かと忙しいんじゃ。呪具作成も進めておきたいし、勉強はしなければならない。鍛錬も続けなければ。最近はえりの様子を見に行けてないから、そちらにも時間を使いたいんじゃ。

 

 元気にしてるかのぅ、えり。この寮に居ては、えりについて何の情報も入ってこない。多分、通形や緑谷が知っとるとは思うんじゃけども……。うむ。今度直接、えりに会いに行こう。それが手っ取り早い。

 

「興味無い」

「まぁ、そうは言わずに行ってみない? ほら、エンデヴァーも居るから。手合わせの件でも、話があるみたいだし」

「……なら、行く」

 

 仕方ないのぅ。えんでゔぁ、が居るのなら、その面は改めて見ておきたい。何せ本気で殴り飛ばして良いと轟に言われたからの。出会い頭、ぶん殴ってやっても良いかもしれん。出来ることなら殺したいんじゃが、殺人はいかんからの。事故死してくれるのが一番喜ばしいが、英雄(ひいろお)が事故死する様は想像出来ぬの。

 とにかく。英雄(ひいろお)の番付などに興味は無いんじゃけども、えんでゔぁには興味が有る。正しく言うと、殺意が有る。儂の修行の件もあるし、一度顔合わせはしておくべきじゃ。どれ、挨拶でもしてやろう。

 

「なら、さっそく準備しようか」

「は? 今から行くのか?」

「うん。だって、今日の昼からだからね。今から急いで車で向かえば、開催には何とか間に合う」

 

 えぇ……? 今から? 今から行くのか……? 儂としては、数時間寝たいんじゃけど……。じゃってほら、昨晩は被身子が寝かせてくれなかったんじゃ。好き勝手に、目茶苦茶にして貰ったからの。寝不足じゃし、何より体が疲れている。せめて明日が良かったんじゃけども、番付とやらが今日に発表されるのなら仕方ないか。車の中で寝るとしよう。

 

 よし。では……。準備して、向かうとしようかの。

 

 取り敢えず。被身子に出掛けることを連絡しておこう。……ん? 携帯電話(すまほ)、何処にやったんじゃっけ? 確か昨晩……。あぁ、被身子が持っとるの。取り上げられたままじゃ。しかも被身子自身は、もう授業に出てしまったし……。

 まぁ、仕方ないか。後で、おおるまいとから緑谷に連絡して貰おう。で、緑谷から被身子に伝えて貰うとする。

 

 ……一応、動き易い格好に着替えておくか。いつも通り、和服に袖を通すとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 車に乗って、三時間と少し。儂は、何処ぞの街にある大きな建物にやって来た。移動中はずっと寝てたから、此処が何処なのか(まこと)に分からん。まぁ帰りもクルマなんじゃし、自分が何処に居るかなんて、特に気にすることもない。英雄(ひいろお)番付に興味は無いが、えんでゔぁの面は見ておきたい。隙あらば、殴り倒す所存じゃ。

 呪力は……。うむ、いつも通り。反転術式(はんてん)も、しっかり自己補完の範疇で回っておる。寝不足ではあるが、体の調子は悪くない。よし、殴る。出会い頭に、殴ってやる。何なら呪ってしまいたいが、まだ轟が望んでないからの。呪うのは、勘弁してやろう。

 

「ちゃんと付いて来てね? 彼女は、車内で待機だからさ。君って方向音痴だから、迷子になったら大変だ」

「……相分かった。言っておくがの、儂は別に方向音痴ではない」

 

 いや、まぁ。方向音痴じゃけど。しかし面と向かって方向音痴扱いされると、やはり逆らってしまう。何かこう、口に出して認めてしまえば負けな気がするんじゃ。うむ……。

 ちなみに。ながんは、残念ながら会場内には同行出来ない。ここまで三時間以上も運転してくれたんじゃけど、英雄(ひいろお)報道記者(ますこみ)が多く足を運ぶこの番付発表。幾ら変装しているとは言え、見る者が見れば収監されている筈のながんが外を出歩いていることに気付いてしまう。そうなると色々と面倒じゃから、車の中で待機する事になっている。番付発表とやらが終わったら、昼飯を振る舞うとしよう。財布は、しっかり持って来た。今も懐に入っている。

 

 取り敢えず。おおるまいとに連れられる形で会場に入るとするか。そう思い、先を歩き始めたおおるまいとの後を付いて行くと……。

 

「オールマイト! 今回のヒーロービルボード、どう臨むつもりですか!?」

「神野での一件、貴方は自身が弱っていることを露呈してしまった! 平和の象徴としての今後は!?」

「今直ぐ引退するべきと思っているファンも多いようですが―――!」

「オールマイト!」

「オールマイト!」

「オールマイト!」

 

 ……何じゃこれ。大勢の報道記者(ますこみ)が、撮影機(かめら)やら音響機器(まいく)を構えて、おおるまいとを囲んだ。ついでに儂も囲まれた。おい、押すな。この筋肉阿呆を見上げて、足元も見ずに駆け寄るなっ。貴様等ぁ……!!

 

「HAHAHA! まぁ確かに、例年通りの結果とは行かないさ! しかし、それでも私が変わることは無い! どんな結果が待っていたとしても、今まで通りやって行く。なんたって私は、平和の象徴!!

 だからマスコミの皆さん、詳しい話は、また今度ねーー!!」

 

 ぬおっ!? おいっ、儂を抱え上げるな! そのまま走るなっ!! 儂は貴様の荷物になった覚えは無いぞ!?

 

「……!! おい、ブラッディだ!! コメント貰わないと!!」

「ブラッディ! オールマイトの後継として一言!!」

「ブラッディ! やはり師には衰えが!?」

「ブラッディ!!」

「ブラッディ!!」

「ブラッディ!!」

 

 おい。おい、何で儂に矛先を変えた? おおるまいとに、話を聞きに来たんじゃろ貴様等。と言うか、儂はこやつの後継ではない! それは緑谷じゃ、まったく……!

 何だってどいつもこいつも、儂をおおるまいとの後継ぎとして認識しているんじゃ? 頼むから、もういい加減にしてくれっ。

 

 なんて思っていると。報道記者(ますこみ)達の姿が遠ざかっていく。流石に、おおるまいとの足の速さには付いて来れないらしい。しかしこの筋肉阿呆、素早いの。もはや個性はなく、残されたのはそう多くない呪力だけなのに。

 

 おおるまいとが儂を抱えて走ること、数分。やっとこの筋肉阿呆が足を止めて儂を地面、ではなく床に降ろした。気が付いたら、もう建物の中じゃ。記者達は追って来ていない。取り敢えず、一息吐こう。何で到着したばかりなのに、疲れなければならないんじゃ。どうしてこうなった?

 

 ……。……解せぬ。

 

「遅いぞ、No.1よ。何をしていた?」

「……いや、今は君がNo.1ね。そう通達有ったでしょ? 元気にしてた? 今度、お茶でもどうかな?」

「貴様としばく茶など無いわ!! 第一俺は、こんな結果は認めていない!!」

 

 今度は誰じゃ? それにしてもこの廊下、やたらと暑いような……。気のせいか? 気のせいでは無い。実際に、暑い。前を見てみれば、少し先に仁王立ちしているのが、えんでゔぁであることが分かる。

 

「おい、貴様……」

「む? まさか、情けない結果を見る為に弟子まで連れて来たのか?」

「この間、連絡したじゃん。この子はブラッディ。君も知ってるだろ? こう見えて彼女、君との手合わせを望んで……って!? ちょっ、ブラッディ!!」

 

 一跳びで距離を潰し、炎に飾られたその顔面を、思いっきり……殴る!! つもりじゃった。しかし現実は、拳を腕で防がれた。代わりに篭手のような物は殴り砕いてやったが、それでは腹の虫が収まらん。くそ、膝蹴りにでもしておくべきじゃったか。

 まだ体が宙に在るうちに、この毒親の腕を引っ掴む。それから、全体重を乗せて思いっきり捻……ろうとした瞬間。儂の体はえんでゔぁから引き剥がされた。呪力を纏った、おおるまいとに。

 

「手合わせはまた今度の機会だからね!? いきなり暴れるのは止そうっ!!」

「喧しい! 離せ!! こやつ、殴る! 儂、殴る!!!」

「おちっ、お、落ち着いて!? それはまた別の日にね!?」

「……後継の躾ぐらいしておけ。いやそもそも、後継などでは無いようだがな」

「貴様、殴らせろ!! 轟から聞いとるんじゃぞ儂は!!!」

「……、……そうか。それについては、後で話そう」

 

 後で……? は? 後など無いわ、たわけ。今! ここで! その燃えている面を殴り抜かせろ!!

 

 おいっ、離せおおるまいと! 本気で抜け出したって良いんじゃぞっ!? 離せ! 離せと言っておるじゃろうが!!!

 

 

 

 

 

 

 






エンデヴァーと顔合わせ。そして会場入りの円花です。ヒーロービルボードチャートJP回が終わったら、ヒーローズ:ライジング回になると思います。劇場二作目の作中時系列どこだよってなってるんで誰か詳しい方教えてくださいって感じです。

三人称による補完は要りますか?

  • 欲しい
  • 要らん
  • 良いから一人称で突っ走れ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。