待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
えんでゔぁをぶん殴ってあれやこれやと話したり、我慢を強いられた後。儂はおおるまいとに連れられて、ながんと共に雄英に帰った。その道中、まずはおおるまいとに謝った。相談もせず、公安からの提案を勝手に受け入れたことを。おおるまいとは、顔を顰めた。が、最終的には笑って許してくれた。余計なお世話は
その後。儂は真っ先に
公安に言われたとはいえ、ほおくすに勝手な真似をされたとは言え、それでも儂は緑谷に謝らなければならない。平和の象徴の後継者は、あやつじゃ。決して儂ではない。勝手に後継者を名乗り出てしまったことを、謝りたい。そうしなければならないんじゃ。
「緑谷は居るか?」
玄関で靴を脱ぎ棄て、居間に顔を出してみる。見慣れた顔が、幾つか居間に集まっておるの。麗日に芦戸に葉隠。あと、常闇。それと、青山に緑谷も。他の連中は、部屋なり食堂なりに居るんじゃろう。もう、夕方じゃからの。ちなみに、儂をここまで案内したのはおおるまいとじゃ。あやつは、ここに儂を送り届けるなり、ながんと共に向こうの寮へと戻ったが。一応雄英の敷地内であれば、ながんに電流は流れんようになっているしの。じゃから、儂だけ
「あー! 廻道! オールマイトの後継者ってマジだったんだね!?」
「流石と言うべきか、何と言うか。……俺に教えてくれても、良かったとは思うが……」
「水臭いよ、マドモアゼル。でも、君なら悔しいけど納得しちゃう」
皆が座る
「もーっ、廻道ちゃん! 突然テレビに映ってるからびっくりしちゃったよ!」
「ケロケロ。言ってくれたら、録画したのに」
「いや、しなくて良いしなくて良い。今日の事は、儂も想定外じゃったし」
まさかあんな目に遭うとはの。ほおくすめ、油断ならん奴じゃ。ああも好き勝手にされるのは、正直困る部分がある。しかしまぁ、振り回されるのには慣れてるんじゃよな。被身子のお陰と言うべきか、被身子のせいと言うべきか……。どちらにしても、もう少し手加減して欲しいものじゃ。被身子に振り回されるのはともかく、それ以外の奴に振り回されてものぅ。何も嬉しくないんじゃ。
「それで、えっと……。デクくんなら此処におるよ? どしたん?」
「まぁ、少しな。緑谷、少し話さんか?」
「……うん。じゃあえっと……僕の部屋で良いかな……?」
「うむ。そうしよう」
何せ、人に聞かれて良い話ではない。これは儂と緑谷だけの話じゃ。聞いて良い人物を強いて挙げるなら、おおるまいとと舎弟ぐらいのものか。
取り敢えず。緑谷に連れられる形で居間から離れる。儂等の会話を聞いていたくらすめえと達は首を傾げたが、わざわざ追い掛けてくるような真似はしない。
居間を抜け出し階段を上がり、廊下を歩いて緑谷の部屋へ移動する。途中、会話は一切しとらん。緑谷は、何か思い詰めたような顔をしとるように見えた。何を言うべきか決心しているように、見えなくもない。
緑谷の部屋に入ると、直ぐに扉を閉められた。ついでに鍵も。人に聞かれて良い話でもないし、誰かが勝手に入って来ても困るからの。
「まず、すまなかった。勝手におおるまいとの後釜を名乗ったことを、謝る」
まず真っ先に、緑谷に向かって頭を下げる。
「えっ、いや、頭上げてよ。その、あんまり気にしてないから……!
それに、あれは何か考えが有っての事だと思うし……。でもその、一言言ってくれても良かったかなって思うけど……」
「それもすまん。何分、急に公安の会長に提案されての。まぁ了承はしたんじゃけど……その直後に、ほおくすに壇上に引っ張り出された」
儂としては、一度おおるまいとに相談するつもりじゃった。なのに、ほおくすに引っ張り出されてしまったからの。結局、おおるまいとや緑谷を驚かせることになってしまった。
「儂の意図は、お主の隠れ蓑になることじゃ。お主が平和の象徴の後継者と名乗り出れるようになるその時まで、儂がお主の存在を隠そう」
「……えっ、と……」
「……気に食わんか……?」
「んん……。その、廻道さん……。気遣ってくれるのは、嬉しいよ。僕を、守ろうとしてくれてるのも……分かる。総監部から振られる任務は危険性の低いものばかりで、僕の分は廻道さんが決めてくれてるってオールマイトから聞いた。でも、でもさ……!
それじゃあ僕は、いつまでも成長出来ないような気がするんだ……!」
……。それは……。ううむ……。そんな事は無い、と言ってやりたい。が、儂はどうも過保護らしくての。緑谷に対して、過保護になっとるかもしれん。いやしかし、こやつが目指すところは
しかし、しかしじゃ。呪霊を相手にする以上、何が起こるか分からん。等級の低い呪霊を祓う筈が、いざ現地に赴いてみれば等級の高い呪霊じゃった。なんて話は、決して少なくない。儂も何度だって経験している。そんな経験を緑谷にさせる気は起きない。そうならないように、そうなってしまっても良いように、蠅頭なんかを主に祓わせているわけなんじゃが……。儂としても、雑魚を潰して回ってくれることに助かっておるし。
「僕は、少しでも早く強くなりたい。ヒーロー免許を取った時、直ぐにオールマイトみたいに誰かを救けたい! それに、廻道さんばかりに危険な任務をして欲しくないよ……!」
「しかしなぁ、緑谷。今のお主の実力じゃ、危険な任務なぞ到底行かせられん。じゃってほら、お主……」
まだまだ、弱いんじゃもん。
儂並みに強ければ、別に何の心配も無い。大抵の呪霊を、楽に祓えるじゃろう。しかし現実はそうじゃない。緑谷の実力は、決して高いとは言えないんじゃ。まだまだ発展途上で、学ぶべき事は多いからの。
理想を語るのは良いんじゃけども、相応の現実を見て欲しいと思わんでも無いんじゃが……。いやまぁ、儂も緑谷ぐらいの歳の頃は夢見がちな部分があったか……。ううむ……。
「……お主を、死なせるわけにはいかんじゃろ。お主が死んだら、わん・ふぉお・おおるはどうなるんじゃ?」
「……それは……」
「気が早る気持ちは分かる。じゃけど、等級の高い呪霊を祓いたいなら……せめて呪術師として段階を踏んでくれ」
「一つずつ、やって行くしかないって事……だよね」
「そうなるの。とは言え、儂はお主に危険な任務はさせぬが」
させてなるものか。何で儂が、子供を死地に送らなければならんのか。そんな真似は、絶対にしない。出来ない。別に緑谷を信用していないとは言えぬが、これはほら……儂の主義の問題じゃから。そこを曲げるような真似はしない。
とは言え、まぁ……。緑谷の気持ちも分からんわけではない。となると……、そうじゃのぅ……。
……。うむ。どれ、ひとつ課題をくれてやるか。それが出来たなら、もう少し上の任務を振ってやっても良い。
「緑谷。お主に危険度の高い任務を振っても良いが、条件がある」
「条件……?」
「うむ。自損無しに、舎弟と轟に勝て。もちろん、儂の前でじゃ。
それが出来たら、今より難しい任務を振らせる。まぁ、おおるまいとか儂のどちらかは補助として付くことになるが」
「……! 廻道さん……!」
ううむ……。我ながら甘過ぎる……か? いや、しかしのぅ。過保護だ何だと言われても、このくらいの条件を付けないと儂が安心出来ぬ。
それに。舎弟と轟に、自損することなく勝てるのなら、二級程度の呪霊は祓えるじゃろう。怪我無く、は無理かもしれんが、下手を打って死ぬことは無い。筈じゃ。まぁ一級は到底無理じゃけど、もしかすると準一級ぐらいまでなら祓えるかもしれん。
「わ、分かった……! 二人に、勝ってみせるよ……!」
「……出来るものならそうしてくれ。あぁそれと、暴走しただあくしゃどうと戦ってみろ。得れるものが有る」
……はぁ。結局、儂はどうしても子供に甘くしてしまう。良くないと思っていても、甘やかしてしまうんじゃよな。こんな真似を繰り返したから、被身子はあんな風になったんじゃ。反省せねばなるまい。いやしかし、子供は甘やかしたいんじゃ。
さて、と。そろそろ、寮に帰るとするか。もう夜が近付いている。被身子も授業から戻っているじゃろうし、腹も空いてきた。夜の呪霊退治に向けて、あれやこれやと準備しなければ。もう少しばかり、仮眠を取りたいしのぅ。そんな時間が、一時間でも取れれば良いんじゃけども……。
あぁ、そうじゃ。帰る前に、轟に今日有った事を話しておくか。それと、手合わせの約束もしておきたい。よし、そうと決まればさっそく動こう。轟の部屋は……何処じゃったっけ? まぁ、緑谷に案内して貰えば良いか。
そう思い、緑谷の部屋を出ると。
「何、してたんだよ……? なぁ、二人で何してたんだよぉ……」
廊下で峰田に遭遇した。ので、放っておいた。そしたらじゃ。
「廻道。少し良いか?」
今度は常闇が声を掛けてきた。何やら話したそうにしておるのぅ。また今度にしようと断っても良いんじゃけど……。まぁ、少し付き合ってやるとするか。こうなったら、ついでじゃ。なに、そう時間は掛からんじゃろ。……掛からんよな……?
何かと過保護な円花です。何だかんだで受け身に回ってしまうことが多いから、人に振り回されるんですね。でも同じぐらい人を振り回してるので、どっこいどっこいかと思われます。多分。
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ