待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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円花と轟家。

 

 

 

 

 

「廻道」

「お、轟。ちょうど良い、二人だけで話したいことがあるんじゃが」

「話したいこと? ……なら、俺の部屋に来るか?」

 

 常闇の部屋から出た直後。階段を下ろうとしたら、たまたま轟と鉢合わせになった。ので、そのまま話が有ると伝えると部屋に招かれた。今日は、男子の部屋を渡り歩いてる気がするの。いやまぁ、その方が話をする上で都合が良いんじゃけども。

 とにかく。儂は轟の部屋にやって来た。こやつの部屋は、和室じゃ。他の連中の部屋は軒並み洋室なのに、何故か轟の部屋だけは和室になっておる。本人曰く、頑張ったとのことじゃ。どうも和室でないと落ち着かないようで、それについては同意じゃ。儂も、部屋は和室が良い。その方が落ち着くんじゃ。

 

「話って、何だ?」

 

 部屋に踏み入ると座布団を用意されたので、ありがたく使わせて貰うとする。うむ、やはり和室は良い。落ち着いて過ごすにもってこいじゃ。

 

「大した事では無いんじゃけども、一応伝えておこうと思ってのぅ」

「……親父の事か……?」

「うむ。顔を合わせたから、思いっきり殴った」

「殴ったのか」

「結局、おおるまいとに止められたがの。まぁ、顎を殴って鼻に膝蹴りして、あと足の甲を踏み抜いてやったが」

「そいつは、……ありがとう……?」

「うむ。どういたしまして」

 

 まぁ、礼を言われる程の事でもないが。むしろ儂としては、殴り足りなかったぐらいじゃ。もっともっと、それこそ死んでしまうまで手を下したいところじゃったけど……人殺しは厳禁じゃからの。そこは守る。それに、轟に呪ってくれとも言われとらんし。仕方ないから、数度殴るだけで我慢した。我慢させられたと言った方が正しいか。思い返したら、少し苛ついて来た。くそっ、あの顔面燃え男め。絶対に、許さんからな……!

 

「……親父は、どうだった?」

「どう、とは?」

「わりぃ、分からねぇ。……何か、言われたりされたりしなかったか?」

「まぁ、ひとつ頼まれたはしたが。家族に贖いたいから、俺を見ていてくれとか言っておったわ」

「……そうか。何言ってんだあいつ……」

「信用ならんよなぁ。あの手の輩が正しく変われた姿を、儂は見たことが無い」

 

 まぁ前世では、即座に殺すことが多かった。儂が殺してきた輩は、もしかしたら言葉通りに変われたのかもしれんが、それを待ってやれる程に儂の気は長くない。嘘を並び立てて、結果として何も変わらなかった奴も多かったしの。そもそも、子供を傷付ける親など論外じゃ論外。大事に出来ぬのなら、そもそも子供を作るな。作ってしまったなら、しっかりと育て上げろ。どうしていつの世も、大人と言う生き物は子供を大切に出来ぬのか。解せぬ。子は、掛け替えの無い宝じゃろうに。

 

「それとな。お主に……家族に贖えなかったら、あの男は儂が殺すぞ。良いな?」

「……いや。あいつが変われなくても人殺しはしないでくれ。廻道の手を汚させたくねぇ」

 

 ……。……別に、良いんじゃけどな。人殺しは、幾らでもして来た。今更誰を殺そうと、特に変わらん。まぁ、くらすめえと達との約束を破ってしまうが。この約束を破りたくはないが、多分儂は……いつまでも自分を抑えて居られない。胸の内にある、腹の底から滲み出てくる殺意を、きっと抑え続けられない。そう思ってしまう。今のところは、大丈夫じゃけども。

 

「何か、わりぃ。うちの問題に、巻き込んじまって」

「儂が勝手に首を突っ込んでるだけじゃ。気にするな」

「まるで、緑谷みてぇだ」

「いや、あやつと一緒にされるのは心外じゃの……」

 

 何故緑谷と同列に扱われるのか。解せぬ。

 ……まぁ確かに、あやつは人の問題に無理矢理踏み込んでしまうところがあるが。轟にしたこと、飯田にしたこと。そして、被身子や儂にしようとしていること。全部が全部、余計なお世話から来ている気がしてならん。

 儂はほら、別に余計なお世話などしとらんし。儂自身が動きたいと思ってるから、勝手に動いてるだけじゃ。そもそも、えんでゔぁのした事は見逃せん。今が平安じゃったら、出会い頭に殺していたじゃろうて。

 

「えんでゔぁには、睨みを利かせておくとする。……良いか?」

「構わねぇ。けど、大丈夫か? 忙しいんだろ?」

「良いんじゃよ。全部、やりたくてやってる事じゃから」

 

 なので、忙しくはあるが負担ではない。まぁ被身子が居なければ、今頃疲れ切っていた可能性が無いとは言えんが。結局、儂は被身子に支えられとるからのぅ。振り回されることも多いが、それはそれじゃ。儂自身、被身子に振り回されるのは幸せじゃと思っとるし。

 

「えんでゔぁ以外の家族とは、どうなんじゃ? 不服が有れば、呪ってやるぞ?」

「……母とは上手くやれてる、と思う。姉や兄とも、険悪ってことはねぇ」

「そうか。お主の母も、殴り飛ばしたいところじゃけど」

 

 何せ、轟の顔に熱湯を掛けたのは母親じゃからの。その点については、殴り飛ばしたいと思う。児童虐待じゃ、虐待。儂は許さんぞ。例え轟が許していたとしても、絶対に許さん。

 

「この火傷は親父から受けたものだと思ってる。……お母さんは、悪くねぇ。だから、殴るのは止めてくれ」

「……。まぁ……、お主がそう言うなら……」

 

 殴るのは、勘弁してやるとするか……。いやしかし、許す許さないは別じゃからな? 儂は許さんぞ。許さんったら許さんのじゃ。

 

「廻道は、両親を殴ったのか?」

「殴ったぞ。前の父親は、じゃけど」

「……そうか。今の父親は、違うのか?」

「今の両親に手は上げておらんよ。文句は言うが不満は無い。被身子の両親は殴り飛ばしたが」

「……は?」

「いやまぁ……、色々あっての。つい、頭に血が上って……」

 

 いつぞやに、儂は渡我夫妻を殴り飛ばした。じゃって、被身子に暴言を吐いたからの。あれはもう、殴り飛ばすしか無い。何で我が子に向かって、あんな言葉を口に出来るのか。儂には理解出来ぬし、したくない。この辺りの事情を話すのは、色々と面倒じゃから聞いて欲しくは無いのぅ。

 

「まぁ、儂は我が子を傷付ける親が許せぬから。絶対に許せん。どいつもこいつも……!」

 

 ……思い出したら、腹が立ってきた。あの毒親は、今頃何をしてるんじゃろうか? もう十年以上姿を見ていない気がする。まぁ、それで良いんじゃけど。被身子は儂のものじゃ。儂だけの被身子なんじゃ。今更親面をして現れたら、今度は殴るだけでは済まんかも知れぬ。やはり、殺すしか……!

 

 ……いかんいかん。殺しは駄目じゃ、殺しは。落ち着け、落ち着け。こういう時はそうじゃな、何か別の事を考えてじゃの?

 

 あ、そうじゃ。

 

「轟。今度、本気で手合わせしてくれ。えんでゔぁともそうするんじゃけど、お主とも手合わせしておきたい」

「……あぁ。良いけど」

「よし。じゃあ、近い内に手合わせしよう。約束じゃからな?」

「分かった。約束だ」

 

 よし。手合わせの約束はした。えんでゔぁと何が有ったか、それも話した。あまり長居するわけにもいかんから、そろそろお暇するとしよう。これ以上帰るのが遅くなると、被身子に心配されてしまう。それに、被身子との時間が減ってしまうからの。それだけは、何としてでも避けねば。

 

「じゃあ、儂は帰るから。またの、轟」

「あぁ、またな。……いや、送ろうか?」

「……そうじゃな。向こうの寮まで頼む」

 

 この寮の中ならばともかく、今住んでいる寮まで一人で戻ろうとするのは止しておこう。また雄英の中で迷子になったら、それこそ周りになんて言われるのか分からん。ここは素直に、案内してもらうとするか……。

 

「方向音痴って、治らねぇんだな」

「は? 別に方向音痴ではないが??」

 

 き、貴様。方向音痴扱いするな……! そういう風に周りが言うから、儂は認めたくないんじゃ! 方向音痴扱いするのは構わんが、口に出すな口にっ。胸の内で思ってる分には見逃してやるから、二度と儂を方向音痴扱いしてくれるなっ!

 

「そうだ。飯田を呼んでみるか……」

「は?」

 

 は? 何でここで、飯田が出てくるんじゃ。案内は一人で良いじゃろうが。もしや、一人では儂が手に負えぬとか考えているわけじゃなかろうな……? 流石に人と歩いていて、迷うことなど無いが!?

 って、こら。儂を置いて、先に部屋を出るな。おい待て、飯田を呼ぼうとするんじゃない……!

 

 この後。轟は部屋を出て、時折後ろを気にしながら先を進む。儂は黙って後ろを付いて行くと、何故か三階に立ち寄った。で、何故か飯田を部屋から呼び出した。何でじゃ……! 別に、案内は一人で良いじゃろっ。

 

「何!? 廻道くんの案内!? それは一人では大変だろう! 何人か集めてくるから、玄関で待っててくれ!!」

 

 ……。……もう、好きにしてくれ。何なんじゃ貴様等。案内など一人で良いというのに、何で無駄に人手を集めるんじゃ。さては、目を離したら儂があらぬ方向へ歩き出すと思っているな? 流石にそんな真似はしない。いったい、儂をどう思っとるんじゃこやつ等は。解せぬ。解せぬし、許さん。

 

 こうして。儂は何でか、くらすめえと達に寮まで送られることになってしまった。その道中で、全員から方向音痴扱いされた事はどうしても許せん。

 

 

 じゃから! 方向音痴扱いは止さぬかっ!!

 

 

 

 

 

 

 

三人称による補完は要りますか?

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