待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
「えっ。来週末、A組の皆も那歩島に行くんですか……?」
日曜日。朝から部屋で被身子と勉強をしていると、被身子の
「……なるほど。ってことはぁ、緑谷くんとデートですね!」
『―――!? 違っ、―――!!』
あ、麗日じゃこれ。被身子に電話をしたのは、麗日じゃ。今、少し麗日の悲鳴が電話越しに聞こえたからの。そうか、那歩島で
何とか、何とか被身子と二人きりになれんかのぅ? そしたらほら、
……後で、七山に交渉してみるとするか。何とかなると良いんじゃけども。
まぁ、それはそれとして。次世代
「駄目ですよぉ。約束は約束なのです。じゃあ、私の方から緑谷君に連絡しとくのでお茶子ちゃんは準備してくださいねぇ」
『―――!! ―――!!!』
うむ、何やら電話の向こう側で麗日が叫び散らしておる。諦めろ麗日。恨むなら、儂と勝負して負けた緑谷を恨め。
「というわけで、ヨリくん。お茶子ちゃんと緑谷くんがこれからデートするので、覗きに行きましょう……!!」
「は?」
また、訳の分からん事を口走っておる。まったくこやつは、すぐそうやって意味不明な事を宣うんじゃから。
それにじゃな、被身子。儂は人様の
まぁ、それはそれとして緑谷に連絡を入れてやるとするか。あやつが持っている服は
あ、そうじゃ。こんな時こそ、顎でこき使うべき存在が居るではないか。どれ、たまには
「……舎弟に電話」
『連絡先が見付かりません』
なぬ?
「爆豪勝己に電話」
……よし、呼び出し始めたな。待つこと数秒……どころか数十秒。あやつめ、電話に出んわ。何じゃもう、儂が珍しく電話してやったというのに。こうなったら、出るまで鳴らし続けるしかないのぅ。さぁ出ろ、今直ぐ出ろ。
……。…………。………………。
おいっ。出ろ! くそっ。こうなったら切島か上鳴辺りに電話して、何としても舎弟を電話に出させてやる……!
「通話終りょ」
『……てめえ、一体何の用』
「う。……あっ」
間の悪い奴め。何で儂が電話を切ろうとした時に、電話に出て来るのか。仕方ない、かけ直すか……。
「爆豪勝己に電話」
『いったい何の用だてめえ!!』
お、今度は直ぐに出た。直後に叫び声が聞こえて、耳が痛い。お主なぁ、電話越しでも叫び散らかすのか。片耳が聞こえなくなるかと思ったぞ。もう少し、慎ましさと言うか淑やかさと言うか……。とにかく、余裕を持って静かに過ごして欲しいものじゃ。何じゃっていつもいつも、周囲に対して怒鳴り散らすのか。
まぁ良い。被身子が儂を睨んでるから、手早く用件を伝えるとしよう。あまり舎弟と長電話してしまうと、後でどうなるか分からん。具体的に、舎弟の方が。
「いや、緑谷がこれから麗日と出掛けるそうなんじゃけどな? お主、着ていく服を見繕ってやってくれんか?」
『あ゛ぁ゛っ!? んで俺がクソナードの服なんか!!』
「そうか。出来ぬなら良い。他の連中に頼むじゃけじゃからの」
『あ゛? 飾り殺したるわ!! 貸しひとつだかんなクソチビ!!』
「おぉ、そうかそうか。ではよろしくの、通話終了!」
……よし。これで、緑谷が変な格好で
「……やっぱり爆豪くんは、一度刺すべきですねぇ……。円花ちゃん、止めないでくださいね?」
「待て待て待て……っ! 刺そうとするなっ」
「そーーやって爆豪くんを庇うと、トガはもっと不機嫌になるのです。良いじゃないですか、刺したって。絶対、刺します……!」
いや、じゃから刺すな。すまん舎弟、全速力で逃げてくれ。大丈夫じゃ、貴様の目ならまず間違いなく被身子に刺されずに済む。……刺されたりしないよな? 如何に刃物を振り回そうと、流石に被身子に刺されるなんてことは……。こと、は……。
いかん、心配じゃ。心配でしかない……!
「むーーっ。そうやって、爆豪くんすら甘やかそうとするんですから……! 爆豪くんなんかで、私の分を減らさないでくださいっ!」
ぃ、いや別に、甘やかしてなどおらぬ。あんな奴を甘やかすような真似はしない。それにじゃな? 儂が今もっとも甘やかしているのは、被身子だけじゃ。こやつ以外の子供は……まぁ甘やかすことも有るかもしれんけども。でも、じゃからって被身子を甘えさせることを止めたりはしないんじゃ。儂はお主が第一なんじゃから。それは分かってるくせに、どうしてこう……直ぐに甘やかされることを望むのか。
まったく、欲張りじゃぞお主! そんな事よりも、ほら。麗日と緑谷の様子を見に行くんじゃろう? 中々どうして不安な気持ちになってきたから、気乗りはしないが被身子の戯言に付き合うとしよう。
……ちなみに、これは後で緑谷に聞いた話なんじゃけども。緑谷の服の大半は、舎弟に爆破されてしまったそうじゃ。何でも、あまりにも
まさか、服を爆破なんて真似をするとは思わなかったが。
◆
「さぁ、今日はどんなコーデにしましょうかねぇ……!」
「お、お手柔らかに……? じゃ、なくてっ。廻道さん、渡我先輩止めてっ!?」
「……これとか良いんじゃないか? 文化祭の時と、似たようなものじゃけど」
「遠い目で服を選ばないで!?」
「お茶子ちゃんにはこれが似合うと思うんですよねぇ。あとこれと、これとこれとこれも!」
「そんないっぱい出さなくてええからっ!? ちょっ、渡我先輩……!!」
被身子が、くろおぜっとの中から大量の衣服を次々と取り出していく。量が尋常ではない。お主、いつの間にそんな服を買い漁って……。いやまぁ、被身子は少なくとも年に四回は散財しておる。季節が変わる度に、服を買い漁るんじゃ。尚、その資金源は大抵が儂の両親じゃったりする。父も母も、被身子を甘やかし過ぎではないか? 幾ら儂が金の掛からない娘じゃったとしても、限度と言うものがじゃな……。まぁ、この冬は儂が全額負担するつもりではいる。廻道家の家計がいい加減心配なんじゃ。
なのに。任務で得た金を渡そうにも、母も父も何なら被身子さえも頑なに受け取ろうとしない。これには、実は困っておる。何が将来の為に貯蓄しておけ、じゃ。そろそろ親孝行させろ。いつまで儂や被身子を甘やかすつもりなんじゃ。
……まぁ、それはともかく。ともかく、じゃ。
被身子は大量の衣類を持っておる。で、被身子と麗日は背丈が近い。ほぼ同じじゃ。なので、被身子の服の服の殆どを麗日は着ることが出来る。となると、麗日が自前で持ち合わせてる服と組み合わせることも出来るわけじゃ。ううむ、昼までは数時間ある。これは、長くなりそうじゃのぅ。儂に出来ることはそう多くない。麗日が逞しく生きれることを祈るのと、あとは……そうじゃなぁ。ひとつ、助言してやるか……。
「麗日、自分で決めた方が早く済むぞ?」
「え゛っ」
これは、儂の経験談じゃ。被身子に任せきりにすると、着せ替え人形似させられてしまうからの。そうなってしまうと、時間が幾ら有っても足らんのじゃ。早いところこの地ご、……くではなく、この状況から抜け出すのはジブンで選ぶのが手っ取り早い。そうすると被身子は、何だかんだで尊重してくれる。まぁ、あれやこれやと追加されることもあるんじゃけども。
「んふふ……。どれが良いのか、じっくり吟味しないと……」
「ひっ!?」
あぁ、駄目じゃこれ。被身子が悍ましい気配を醸し出している。麗日、怖がるよりも先に
「……大丈夫じゃ麗日。死にはしないから」
代わりに、心の疲弊は凄まじいことになるがの……。
「だからっ!? 遠い目をしてないで、助けてくれへん……!!?」
この後。麗日は被身子に目茶苦茶振り回された。最終的に、目を回した麗日が逃げるように服を引っ掴んだことで事態は収束した。取り敢えず、じゃけども。
そして。ながんをも巻き込んだ、
出茶デートが始まります。なお、出歯亀される模様。
三人称による補完は要りますか?
-
欲しい
-
要らん
-
良いから一人称で突っ走れ