待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
「ぶっちゃけ、どう思います?」
どうって、駄目じゃと思う。
現在。儂と被身子、そしてながんは緑谷と麗日を尾行中じゃ。着飾った二人がどのような
それはの。被身子が、麗日に貸し出した服に盗聴器を仕込んでいた事じゃ。こればっかりは流石にやり過ぎじゃとは思う。しかし、麗日と緑谷の会話を聞くことが出来るのはありがたくもある。じゃって、緑谷が何を言い出すか分からんからじゃ。現にさっき、麗日を店街に置き去りにして買い物しようとしていたしの。お陰で、被身子に今直ぐ止めろと無茶振りをされてしもうた。ほんの少しだけ血を飛ばして、どうにかしたがの。
まぁとにかく。何やかんやとあって、緑谷と麗日は
……やってる事は犯罪じゃと思う。被身子曰く、盗聴罪は無いとのことじゃが。
『あ、これとか良い感じ……。いや待てよ、ここまでポケットは必要か? 収納性が高いのは便利だけど、いざって時に中身を直ぐに取り出せないのはどうかと思う。うーん、でも今回のプロジェクトは色々必要になる気がするし備えておくに越したことは……』
『うわ、またブツブツ言ってる……』
「……駄目じゃこりゃ。あやつ、麗日とでえとしとると認識しとらん」
おめかしした
「うーーん、ほんとに買い出しに来たって感じですよねぇ。それにしたって、お茶子ちゃんに一言有っても良いと思うんですけど」
「アンタ等、いつまでこれを続ける気だ……?」
「それは儂が聞きたい」
「徹頭徹尾続けますよぉ。気になるじゃないですか、今後のプランにも少しは関わってきますし」
何が? 今後の
……甘やかし過ぎじゃなぁ。ううむ……。まぁ良いか。好きにさせてやろう。
『デクくん、これとかどう? サイズも良さげだし、ポケットも多からず少なからずで使い易そうだけど……』
『あ、良いねそれ。候補のひとつかも。んーー、でも強度が心配だな……。普段使いする分には頑丈なんだろうけど……』
『ヒーロー活動に使うには、ちょっと不安かもね。いっそサポートアイテムの申請してみる……とか?』
『その手も有るには有るんだけど、コスチュームごと変更されちゃいそうな気がして。基本はあんまり変えたくないから……』
……どうやら、鞄選びは難航しているようじゃ。鞄如きにこうも拘る理由は分からんけども、
被身子の表情を見てみる。あ、駄目そうじゃぞ緑谷。お主、何かを間違えてるようじゃ。
『あ、こっちはもっと良い感じかも。って、うわ! 値段が……!!』
『た、高いね……!? リュックサック一つにこの値段は……!』
いや、緑谷。お主、懐はそれなりに潤ってる筈じゃろ。危険度が低い任務ばかりとは言っても、それなりの報酬が総監部から支払わている筈じゃ。じゃから、余程の値段でなければ手が届くと思うんじゃけども。そんなに高いのか?
りゅっくさっく、とやら。
『これなら、申請しちゃった方が安いね……』
『う、うん。デトネラットに頼んでみるのも手かも……』
でとねらっと……?
「日用品販売と言えば、の大企業ですよぉ。私も結構お世話になってるのです」
「ほぅ?」
「オーダーメイドも出来て便利なんですよね。あんまり拘っちゃうと、際限なく値段が釣り上がっちゃいますけど」
「そう……なのか?」
よく分からん。よく分からんけど、取り敢えず日用品を販売している企業らしい。大企業と言うぐらいじゃから、儂が使ってる日用品なんかも、でとねらっと? ……とか言う会社の製品なのかもしれん。
それよりもじゃ。鞄選びの難航は、まだまだ続きそうじゃ。もうしばらく、二人は店の中じゃろう。と、思っていたら。
『あ、そうだ麗日さん。隣で色々見ても良いかな? その、今持ってる服をかっちゃんに爆破されちゃって……』
『えっ? な、何で……?』
『いや、うん……。何でだろ……。何考えてるか僕にもさっぱり……』
あ、いかん。二人がこっちにやってくる。鉢合わせするのは、尾行的に良くはない。いや別に、たまたま偶然出会ったと言えば誤魔化せる気がするが。しかし麗日が邪推するじゃろうから、顔は会わせないで置いた方が良いか。被身子も同じ考えのようで、儂の手を引っ張って店を後にする。それから足早に、対面にある店に儂等は入り込んだ。この店は……電気屋か。商業施設の中で、もっとも興味が無い店と言って良い。家電製品の事は、よく分からんのじゃ。分かろうにも、実物に触らせて貰えないからの。
『リュックサックは、ちょっと保留にしようかな……』
『うん。じゃあ……隣で服見てく? 爆豪くんに爆破されちゃったなら、買ってかないと不便だよね』
『幾つか買わないと大変なことに……。あ、でも麗日さんの買い出しを先にしようよ。僕ばっかり見て回るのは』
『ええよええよ。私も後で付き合って貰うから!』
『あ、ありがとう……!』
電気屋の内から対面の洋服屋を眺めていると、二人が店内に入って行った。舎弟め、どうやら
よし、麗日。緑谷が変な服を買おうとしたら、是非止めてくれ。絶対に止めるんじゃぞ? あやつの趣味に任せると……今度はどんな洋服を買うか分からん。
『それで、どんなの買うの?』
『えっと、シャツとズボンを幾つか。あ、これとか良いかも』
『デクくん、そういうの好きなん?』
『え? うん。服は何でも良い感じが有るんだけどね。こういうのは選びがち……かな』
『そっかあ。良いと思うよ?』
『う、うん。ありがとう……?』
「いやお茶子ちゃん、そこは止めなきゃ駄目ですよぉ……!」
何処から取り出したのか。双眼鏡を覗いた被身子が悲鳴を上げた。どうやら緑谷が、また変な服を買おうとしているらしい。止めるべきか? いやしかし、これ以上血を飛ばすとそれはそれで勘付かれそうじゃからの。やはり緑谷は、今度洋服屋に連れ回してあれこれと教えてやるか。それまでに儂ももう少し、洋服について学んでおくとしよう。と言うか、いっそ被身子に協力して貰って……。
……ううむ。それはそれで何かこう、癪な気がするの。儂が教えるのは構わんが、被身子が教えるとなるとじゃな? 被身子が緑谷と洋服屋に行くことになるではないか。駄目じゃ駄目じゃ、そんなのは許さん。
『じゃあ、えっと。買ってくるね』
『あ、うん。やっぱりそっちの方がデクくんらしいと思うよ』
『……うん? ありがとう……?』
「あぁあ……っ。お茶子ちゃんも大概なのです……! こうなったら……!!」
「いや待て。待て待て」
結局緑谷が変な意匠の
って、おい。そんなに緑谷を止めたいのかお主は。儂を引き摺ってまで突撃しようとするな。仕方ない、もう少しちゃんと踏ん張るとするか。まったく、こやつと来たら……!
「ちょっ、止めないでください円花ちゃんっ。あれじゃ駄目駄目なのです!」
「いやいや、気持ちは分かるんじゃけどな? ここで出て行ったら色々と台無しじゃろ」
「みーすーごーせーまーせーんーっ!」
おっ。引っ張る力が強くなった。意地でも緑谷を止めたいようじゃな。でも駄目じゃぞ? 行かせんからな? 行ったら色々と台無しなんじゃから、ここは大人しくしておれ。と言うか大人しくしてくれ。二人に尾行してることを知られてしまったら、儂等は盛大に叱られるじゃろうし。
「んぐぐぐぐ……っ!」
「どうどう。落ち着け落ち着け」
ううむ、少しずつ引き摺られてしまっている。もう少し重心を下げれば被身子は動けなくなるんじゃろうけど、そうしてしまうのは少しばかり気が引けるのぅ。はてさて、どうしたものか。ながんに協力して貰うのも手じゃけど、それをやったら余計に止まらなくなりそうじゃし……。かと言ってこのままでは、そろそろ店から出て来るかもしれん二人に見付かってしまう。
緑谷よ。もう少し服選びに拘ってくれ。どんな服を着ても良いとは思うが、被身子の前では変な服を着たり選んだりするのは止めて欲しいのぅ。こやつは服にうるさいんじゃ。
「……渡我。二人が出て来そうだけど、良いのか?」
「んぐぐ……っ。隠れましょう!」
儂に止められ、ながんにも止められ。取り敢えず被身子は止まってくれた。止まってくれたが、表情に不満が満ちている。緑谷、すまん。後で被身子がお主に何か文句を付けるかもしれん。じゃからまぁ、覚悟しておいてくれ……。大丈夫じゃ、刺されはしないから。
……多分。
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ