待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
えんでゔぁが、特別講師としてやって来た。
けひっ。ひひっ。
あぁ、楽しみじゃ。くらすめえと達の成長を実感するのも良かったが、それ以上の喜びが直ぐ目の前にある。さっさと始めたい。今直ぐ、この男と全力でぶつかり合いたい。その傷の付いた面を、思いっきりぶん殴ってやるから覚悟しておくんじゃなっ。
さぁ、始めよう。今直ぐ始めよう! 講義など、どうでも良いんじゃ。そんなことより、早く貴様と―――!!
「……気が早い奴が居るな。今の雄英はこういう教育方針か? イレイザー・ヘッドよ」
「いえ、違います。ご覧になった通り、廻道はある種の……戦闘狂ですから」
「躾けがなってないようだな」
「お恥ずかしながら、躾けられないんですよ。知っての通り、彼女の実力は突出し過ぎている」
「確かにな。あの脳無を相手に遅れを取らん。なればこそ、導くのが教師の役目だろう?」
「ええ、仰るとおりです」
おい、おい……っ! 儂を無視して、相澤と喋るな! 儂と手合せする為に此処に来たんじゃろうがっ。じゃったら、話し込んでないでさっさと掛かって来んか! 早く始めろっ、儂と戦えっ!!
「ちょっ、あかんって廻道さん! 落ち着いて……!」
「やっば……! 誰が渡我先輩連れて来て!!」
「修羅め。飢えた獣とてこうはなるまい……」
は? 誰がなんじゃって……? おい、常闇。貴様、今……何と……? それと、何で被身子を連れて来ようとするんじゃ。被身子が居たって、何が変えられるわけでもないっ。誰が側に居ようが居まいが、儂はえんでゔぁと手合せするんじゃっ。我慢などして堪るか! あとっ、被身子さえ居れば儂が御せると思うなよ!!
よし決めた。このまま殴りに行こう。麗日が両肩を掴んでいようが、だあくしゃどうが腰に抱き付いていようが関係無いっ。今直ぐ、えんでゔぁと手合せを……!!
「わーたーしーがーー!!」
あ゛?
「渡我少女を抱えて来た!!」
「何をしとるんじゃ貴様ぁ!!」
「うわっとお!?」
何故かおおるまいとが被身子を担いで走ってきたので、顔面をぶん殴ってやろうと拳を振るう。が、紙一重で避けられたわ。なので腕の中から被身子を奪い返しておく。何をやってるんじゃこの筋肉阿呆はっ。まだ放課後にもなっていないというのに、何で被身子を教室から連れ出した!?
授業の! 邪魔を! するなっ!!
「どぅどぅ。駄目ですよぉ円花ちゃん、そんなに荒ぶっちゃ」
「んぐっ」
おい、鼻を摘むな。何が楽しいのかは知らんが、笑いながら頬を撫で回すな。何じゃもう、儂の気も知らんで好き勝手にしおって。被身子はいつもそうじゃ。そうやっていつもいつも、儂を思い通りにしようとする。じゃけど、今日は思い通りになると思うなよ? 儂は殴る。絶対に殴るぞ。えんでゔぁと手合わせして、あの面を殴り飛ばしてくれる。一つ目対策の為の鍛錬になるしの。いやそもそも、それこそが一番の目的ではあるが。
「廻道少女、もうエンデヴァーは殴り飛ばしたんだから殴らないようにね? 幾ら何でも駄目だよ?」
「えっ!?」
「はっ!?」
何じゃこやつ等。何でどいつもこいつも、おおるまいとの言葉に驚いてるんじゃ。いや、被身子だけは苦笑いじゃけども。あと、轟は驚いてはおらんな。まぁこやつには、殴ったことを話してはあるし。
「No.1ヒーローを、殴り飛ばした……?」
「ちょっ、おいおい……! 流石にしでかし過ぎじゃねーか廻道っ」
「……エンデヴァーさん、事実ですか?」
「事実と言わざるを得まい。だが、それについて彼女に処罰は求めん。むしろ礼を言いたいぐらいだ」
「……エンデヴァーさ。やっぱり、子供に殴られる趣味が……」
「そんな趣味は無い!! ふざけるなよ貴様ッッ!!」
……ちっ。あぁ、もう! 鬱陶しいんじゃ貴様等っ。儂は早くえんでゔぁと手合せしたいのに、どいつもこいつも喋ってばかり……! いい加減にしろ、早くしろっ。さっさと、えんでゔぁと手合せさせろ!
くそ、くそっ。いつまでお預けさせるつもりじゃ……! 被身子っ、そんな風に抱き寄せても儂は止まらんからな!? 頭を撫で回しても駄目じゃ。ってこら、首筋に顔を埋めるな。儂の顔に胸を押し付けるな!
「もぅ、落ち着いてください。そんなに荒ぶっちゃ駄目なのです」
「んむぐっ」
こらっ、息が出来んじゃろっ。こんな事で儂が落ち着くと思うなっ。おい、被身子っ。被身子ったら……!
「……とにかく始めよう。いつまでも油を売ってるつもりはない」
「そうしましょう。
……全員、今日は彼に揉んでもらえ。ヒーローの頂点から学べる、またとない機会だ」
始める? 今、始めると言ったな!? よし、なら早速始めよう!! 今直ぐ! 今直ぐじゃっ!! 被身子っ、いい加減に儂を離さんか!
「……はぁ。オールマイト、後継の躾けをちゃんとしろ。うちの焦凍を見習わせたらどうだ?」
「えっ!? あー、えーっと……。まぁその、ヒーローは我が強くてなんぼみたいな所あるじゃない? 彼女もほら、そういう感じで……」
「あれではチームアップの際に支障が出る。それ以外にも警察との連携や、市民の避難誘導の際に」
「あー、エンデヴァー。次世代を育てるノウハウってやつ? マジで教えてくれたりしない?」
「何故俺が貴様に教えなければならんのだ!!」
……あぁもう、喧しいのぅ。被身子は儂を離してくれんし。くらすめえと達はこの際まだ振り払ってしまっても良いが、被身子を振り払うような真似は流石にしたくない。ぐぬぬ、大人しくしているしかないのか……? ぐぬぬっ。
「にしてもこれ、凄い光景だ……!」
「エンデヴァーとオールマイト、トップヒーローの並び立ち。あの二人に学べるとは、何たる光栄……!!」
「……そうか?」
緑谷と飯田が何やら浮き足立っている。そんな二人を見て轟は首を傾げた。轟の抱いた感想に儂は同意じゃ。別にえんでゔぁとおおるまいとが並んでいるからって、壮観とは思わん。むしろ、筋肉阿呆が二人も居て暑苦しい。いや、実際物理的に暑いんじゃけど。えんでゔぁの奴が炎を纏っているからの。
何となくくらすめえと達を見てみると、誰も彼も平静とは程遠いの。舎弟なんかは、もはや臨戦態勢になっとるが。
「……白い歯を見せるな。お前達はこれからの日本を支えていくヒーロー候補生だと自覚しろ。その自覚の無い者に用はない、即刻去れ」
えんでゔぁの一言で、浮足立っていた空気が一瞬で引き締められた。ように思える。えんでゔぁの威圧感が増した。悪くないのぅ。殺気の方が儂は好ましいが。あぁ、早く手合せしたい。いつまでも待たされれば良いんじゃ? そろそろ苛立ちを通り越して拗ねるが? 拗ねるぞ?? 儂が拗ねると面倒くさいんじゃぞっ! 被身子以外が儂の機嫌を取れると思うなっ。ふんっ。
「今日一日、このエンデヴァーが指導してやる。だがその前に、頼皆。俺と手合せしたいようだな。何が足りなくてそれを望んだ?」
そんなもの、決まっとるが? とは言え、えんでゔぁは呪術界と関わりが無い。面倒ではあるが、秘匿は秘匿じゃ。言葉は選ぶとしよう。
「……現状の儂では勝てん奴が居る。儂の個性は火に弱いから、対策が取りたい」
「そうか。先の手合せ、焦凍の炎を回転で対処していたな? 貴様が勝てんと言う奴がどの程度かは知らんが、このエンデヴァー相手に試してみろ」
「えっ、ちょっ、ちょっと待ってください!」
「……確か、緑谷……だったな。話に割り込むな」
「す、すみませんっ。でも、廻道さんが勝てない相手が気になって……! それって、かなりマズいんじゃ……!」
「そうだ。頼皆が死にでもしたら、呪霊対策の要を失うことになるからな。それを避ける為に、俺がこうして呼ばれたんだ。
何、安心しろ。俺が死なぬよう鍛えてやる」
……は? いやおい、今こやつ何と言った? 呪霊? 呪霊と言ったか? 何故えんでゔぁが、それを知っているのか。もう既に補助監督になっているのか? それとも誘われたのか? どちらにしても、わざわざ言葉を選ぶ必要は無かったようじゃ。知っているのなら、最初から儂にその旨を伝えて欲しかったの。別にこの場では、秘匿を守る必要がない。
「頼皆、本気で掛かって来い。まずは貴様の実力をこの身で測る」
……言ったな? 本気で掛かって来いと、そう言ったな? ならば儂は、何の手加減もしないぞ。本気で立ち会ってくれるわ!!
次回はVSエンデヴァーになります。
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ