待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
……納得いかん。儂はまだまだ戦えたのに、途中で止められてしまった。呪力も六割以上は残っておるし、
ところで、儂はいつまで被身子に抱き締められて居れば良いんじゃ? 早く機嫌を直して欲しいところじゃけども、手合せとは言え盛大に心配させてしまったのは儂じゃ。殆ど半裸……どころか全裸に近い姿になってしまったのも良くなかった。
「廻道、大丈夫か? 反転術式……だっけか? 幾ら治るつってもよ、エンデヴァー相手に無茶し過ぎだぜ?」
未だ儂から離れようとしない被身子の頭を撫でたり、背中を軽く叩いたりしてやっていると切島が話し掛けてきた。気が付けば周囲にはくらすめえと達が集まっていて、儂を心配そうに覗き込んでいる。ううむ……、被身子だけではなく他の子供達まで心配させてしまったか。そんなつもりは無かったんじゃけども……。
何と言うか、変な気分じゃ。儂が心配するのは良いんじゃけど、儂が心配されるのはどうにも……。
「そうだよ廻道ちゃんっ。あんまり渡我先輩の前で無茶しちゃ駄目っ」
「廻道ー、捨て身にも程があるって。見てて、かなり怖かった……!」
「あのような戦い方は、……身が滅びるだけですわ。万が一を考えてください」
……と、言われてものぅ。葉隠や芦戸、あと八百万や……他のくらすめえと達にも悪いと思うが、何でそんな心配するのかまるで分からん。いや、理屈の上では分かるんじゃけどな。目の前で友や同志が無茶をすれば、心配するのも怖くなるのも分かる。儂じゃって、子供が無茶やら馬鹿な真似をすれば心配になるし怒りもする。叱ったりもするじゃろう。しかし儂は、無茶も馬鹿な真似もしていない。術式の体外操作が役に立たぬ相手じゃったから、呪力強化と
「……廻道、ひとつ聞く」
「何じゃ?」
「自分の命を、何だと思っている?」
「は?」
……常闇。おい、この鳥頭め。何故そんな事を今更になって聞く? 自分の命をどう思ってるか、じゃと? 儂が自分の命を軽々しく扱っているとでも思っているのか? 失敬な奴じゃの。不敬じゃ不敬。いや別に、こやつに敬って欲しいと考えたことは無いが。まぁ、ぽんこつ扱いは止せと思っては居るが。
取り敢えず、答えてやるとするか。その上でどんな反応をしたとしても、儂は意見を変えたりはしないが。
「大事に思っとるが? 死ぬつもりは毛頭ない。儂は、何があろうと被身子の下に生きて帰ると決めている」
呪術師である以上、儂の命は無いも同然ではある。が、それでも必ず生きると決めている。必ず生きて、被身子の居る所に帰る。その為に、えんでゔぁと手合せする必要があった。そして今回の手合せで、ひとつ確信を得た。やはり、早急に炎に対する対抗手段を獲得しなければ。途中で相澤に止められたせいで、試せなかった。いや、途中試せる機会は幾度も有ったんじゃけども。……どうも、頭から個性を使うという意識が抜けていた。最後、えんでゔぁに踏み付けられるまで失念していた。今日、轟と手合せした時は回転を主体として動けて居たんじゃけども。えんでゔぁを前にした時は、すっかり忘れてしまっていた。
いかんな。これでは何も変わらん。何も得られない。……くそっ、せっかくの機会を無駄にしてしまった。炎相手の回転を、えんでゔぁで試したかったのに。何で途中まで、忘れてしまっていたのかっ。
「……傷が癒えたのなら、お喋りなどしてないで直ぐに立て。貴様には課題をくれてやる」
くらすめえと達の向こう側から、えんでゔぁの叱責が飛んできた。確かに傷は癒えた。癒えたが、立ち上がるのは無理じゃ。
「見ての通り、立てんのじゃけど?」
じゃって。被身子が離してくれないんじゃもん。立とうと思えば立ち上がれるが、今こやつを無下に扱うことは出来ぬ。盛大に心配させてしまったしのぅ……。せめて被身子の気が済むまで、こうさせてやらねば。
「……なら、そのまま聞いておけ」
最初からそう言ってくれんかのぅ。
「術式とやらが使い物にならんと考えた時点で、近接戦を挑んだのはまだ良い。だが、貴様どうして回転を使わなかった?」
耳が痛い。まっこと、耳が痛い。何故と聞かれてもじゃな、つい忘れていたとしか言いようがない。いやでも、使うつもりじゃったんじゃぞ? なのに相澤に止められてしまったし、それに便乗して切り上げたのは貴様じゃろ。
……文句は有る。色々と言いたい。反論したい。が、ひとまず話を聞くとしよう。
「触れたものが何であれ、回転させる個性。強力な力だ。扱いに長ければ、やれる事が増える。これは磨き上げろ、宝の持ち腐れだ」
「う、うむ……」
「次に、不利な相手に真正面から踏み込み続けるのは止せ。体格差も考慮しろ。手段が人より多いのなら、その強みを活かせ」
「……」
「分かるか? 今のままでは勿体無いんだ、貴様は。もっと個性を戦法に組み込め。呪術ばかりに頼るな。そうすれば、貴様は炎すら天敵ではない。
まぁ、俺の炎は天敵のままかもしれんがな」
……ちっ。最後の一言以外、特に反論出来んわ、たわけ。痛い所を突かれてしまった。儂は、個性の扱いには長けていない。その上、どうも個性を使うという意識が薄い。これは、改善しなければな。えんでゔぁ相手に回転による防御を試したかったのに、結局一度も回転を使わなかった。つい、楽しむことに夢中になってしまった。
「呪術とやらに、個性。この二つが貴様の武器だ。それを肝に銘じて、個性を鍛えろ。呪術と同じだけ個性の扱いに長けろ。そうすれば、或いはこのエンデヴァーに追い付けるかもな」
あ゛? ……おい、さっきから一言多いぞ貴様。耳が痛い言葉の後に、くだらんものを足しおって……! そもそも、貴様に追い付くつもりなど無いんじゃけど!?
「それと。貴様のような人間の行き着く先は、大抵が破滅だ。戦いに愉悦を感じ理性を損なうなど、イカれた犯罪者とそう変わらん」
「あ゛? 何じゃと貴様……!」
人の趣味に、とやかく言う権利が貴様に有るのか? 無いじゃろっ。個性については、ひとまず聞いておいてやる。それは儂自身も感じていた事じゃ。しかし、儂の楽しみを否定するような真似は許さん……! それをして良い輩など、この世の何処にもおらんのじゃ!
「……聞くが、頼皆。貴様の
「は?」
……原点に、将来の指針じゃと?
そんなもの、無いが? いつぞやに鯱頭にも聞かれた気がするの。何で
「無いのか。平和の象徴の後継が、聞いて呆れる」
「は? ありますけど? 全然あります!」
いや、被身子。急に話に割り込んで来たと思ったら、何を言い出すんじゃ。原点なぞ、儂には無い。ただ免許が欲しいだけ。それは、お主も知ってる事じゃろうに。
ぐえっ。おい、腕に力を込めるんじゃないっ。く、首が締まる……っ!
「円花ちゃんの原点はっ!
全ての子供達を救けて、子供のみーんなが幸せになれる世界を作ることですっ!」
ぉ、おい……。おい、何を宣っとるんじゃ被身子っ。勝手な事を言いおって……! ぐええっ、首が、首が……っ! お主、こんなに力が強かったか?? 普段はもっと非力じゃろ!? 何で今だけこんなに腕力が強いんじゃ……っっ。
「……そうか。それは立派な
ぃ、いやおいっ。被身子の言葉を鵜呑みにするな……っ! 勝手に感心するな、えんでゔぁっ。被身子も被身子じゃっ、何をいい加減な事を口走って……! 確かに子供は助けたいし、子供達が幸せな世界になれば良いと思ったことはある! でもそれは、決して叶わんじゃろっ。
あの時代も今の時代も、嘆かわしいことに子供に不幸が降り掛かっておる。そしてそれを、儂がどうこう出来たりはしないんじゃ。儂に出来るのは、精々この目に映る子供を守ることぐらいで……!!
「子供を救けて……幸せになれる世界を作る……。その為の……ヒーロー……!
廻道くん!! そんな素晴らしい信念を持っていたのなら、何故言ってくれなかったんだ!? 水臭いじゃないかっっ!!」
い、いやっ。何故目を輝かせるんじゃ飯田っ。乗るな! 乗せられるなっ! これが被身子の戯言じゃって気付け……!!
「そっか。そっか……! だから、だから独りで戦ってたんだ! 先を見据えて、なりたい自分になる為に……!!」
み、緑谷?
「ははっ、子供が幸せになれる世界ね……。スケールでっけぇけど、廻道らしいんじゃね?」
瀬呂?
「ケロケロ。円花ちゃん、すっごく立派よ」
梅雨??
「ポンコツなのは、子供が親しみ易いからか……?」
轟ぃ! 誰がぽんこつじゃって!? おい、誰がぽんこつじゃって!?
「闇の輝き。夜闇を引き裂く流星の如く……」
何を言ってるんじゃ常闇っ。貴様なら気付けるじゃろ!? これが! 被身子の! 戯言じゃって!!
「何か、後継らしいね。廻道さん、凄いなぁ……」
ぅ、麗日っ!! お主なぁ!? 被身子の言う事を真に受けるのは止さぬか!! そんな調子で居て、後でどうなろうと儂は知らんからな!?
「……ちっ。俺等もてめえの救ける対象かよ」
おい舎弟!! その通りじゃけどそうじゃないっ。そうじゃないんじゃけどっ!?
「げほ……っ! ひ、被身子! 何を言ってるんじゃ貴様ぁっ!!」
「事実なのです! それに、私のことだって救けてくれたじゃないですかぁ。お陰で今、私はとーっても幸せなの!」
「……ぬ、ぐぅ……っ」
そうしたいと思い、そうなれば良いと思っていたのは、事実じゃ。事実、じゃけども……! 今じゃって、子供を守るのは儂の主義で、それは揺るがないものじゃけど……! でもじゃからってなぁっ、今更子供達が幸せになれる世界など儂は欲しがっとらんっ。
じゃってそれは、どうしたって出来ない事じゃ。どれだけ時代が変わっても、時間が流れても、全ての子供達が幸せになれる世界などやって来ない。そんな世界が有ったなら、お主じゃって辛い目には遭わなかった!
「私の円花ちゃんは、今度こそ子供を救けて幸せな世界を作る私のヒーローなのですっ。ねっ!」
ねっ! ではない……! 何なんじゃもぅ! 勝手な事を宣うなっ、広めるな!! 何でどいつもこいつも、被身子の言葉を真に受けとるんじゃっ!!
おいっ、疑え! 被身子を疑え……!! そして勝手に納得する前に、儂に話を聞かんか! 事実確認をしろぉっ!!!
円花、勝手な宣言をされるの巻。
そろそろ伏線回収したいところですが、いつになることやら!
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ