待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

311 / 553
A組対B組。円花の役割

 

 

 

 

 

 

「あ、廻道少女。この後、運動場γに来てね。コスチュームの修繕は間に合ってないだろうから……ジャージ、もしくは動き易い格好で」

 

 緑谷の個性暴発の件で相談を持ち掛けられた後。おおるまいとは何故か儂を運動場がんまに呼び出した。いったい何のつもりなんじゃか。夜までに少しでも寝ておきたいから断ったんじゃが、そしたら「相澤くんに是が非でも連れて来いって言われてるんだよね……」と言われた。尚の事断ろうかと思ったんじゃけど、やたら頼み込んでくるものじゃから結局儂が折れるしかなかった。解せぬ。

 

 で、じゃ。被身子と少しばかり触れ合ってから仕方なく巫女装束(こすちゅうむ)に近い袴を着て、儂は運動場がんまにやって来た。何故か寮の外で待っていたおおるまいとに連れられて、じゃ。

 これから英雄(ひいろお)科は何かをするつもりのようで、くらすめえと達は全員集合。どころか、びぃ組の生徒までおる。何をするつもりなんじゃか。昨日のように全員で訓練か? それは悪くないが、良くもない。寝不足が祟っている状態で鍛錬しても、何にもならんからの。いっそ、鍛錬などしないで寝てしまうか? いやしかし、外は冷えるからの。流石に寝るには厳しいか。うっかり風邪を引いてしまったら洒落にならんし。

 

 ……仕方ないから、起きてるとするか。くあぁ……っ。……うぅむ、眠い……。部屋の布団で横になりたい。出来ることなら被身子に抱き枕にされるか、被身子を抱き枕にするかして寝たいんじゃ。何でこんな眠気の中で、寒い外に出なければならんのか。いやまぁ、昨晩寝なかった儂が悪いってだけの話じゃけども。

 

 それにしても、冷えるのぅ。真冬じゃから冷えて当たり前なんじゃけども。あ、そうじゃ。八百万に風除けと寝袋でも創って貰おう。で、寝る。取り敢えず顔は出したんじゃから、後は何もしなくて良いと思うんじゃ。よし、そうする。そうしよう。そうしたい。

 

「……八百万。すまぬが風除けと、寝袋を創って貰えぬか?」

「廻道さん……! 今日も訓練に参加しますのねっ?」

「いや、呼ばれたから来ただけじゃ。それより風除けと寝袋……」

「おい廻道、来て早々にサボろうとするな。人数が足りなくなるから、お前も参加しろ」

 

 ……残念ながら、寝ることは出来ぬらしい。相澤が儂を睨んでおる。ふわぁ……っ。んんむ、ねむいねむい……。仕方ないのぅ、立ったまま寝るとしよう。風除けや寝袋があれば外でもぐっすり寝れると思ったんじゃけど、そちらは諦めるとするか。

 

「今日は特別参加者(げすと)が居ます。しょうもない姿はあまり見せないでくれ」

 

 げすと? 下衆人? あぁ、げすとか。賓客のことじゃの。

 ……訓練に、客じゃって? また特別講師か? 昨日えんでゔぁが来たように、今日も英雄(ひいろお)が来るのか。相手にもよるが、実力者であるなら手合わせしても良い。そしたら、良い具合の眠気覚ましになるじゃろうから。

 

 それで? 誰が姿を見せるんじゃ?

 

「ヒーロー科編入を希望してる、心操人使くんだ」 

 

 心操? あぁ、文化祭のお化け屋敷で逆さ吊りになってた男子か。体育祭の時に、緑谷と戦って負けてしまった奴じゃ。確か個性は、呪言みたいなやつじゃった筈。脳を呪力で守れば防げるのか? 少し気になるが、それよりも気になるのは……。

 

 何故か、相澤の捕縛布を装備してるってことじゃ。何故捕縛布を? もしや相澤の弟子か何かか?

 まぁ、何じゃって良いか。わざわざ儂が気にする必要は無いじゃろう。

 

「一言挨拶を」

「……体育祭で何名か接したけど、拳を交えたら友達とか、そんなスポーツマンシップを掲げられる気持ちの良い人間じゃありません。

 俺はもう、何十歩も出遅れてる」

 

 ……ほぅ? 何じゃこやつ、悪くないの。人間性はともかくとして、何と言うか舎弟を見てる気分じゃ。じゃってほら、目が良い。内に秘めてるものが滲み出しているし、見据えているものは遠い。それでも、自分の道を突き進もうと藻掻いとる。そんな感じの目じゃ。くらすめえと達とは違う。強いて言うなら、舎弟に近い雰囲気があるか。

 うむ、悪くない。そういう奴は好ましい。相澤の弟子のような格好をしていることだけが残念じゃの。まぁ並大抵の悪党が相手ならば、捕縛布ひとつで事足りるんじゃろうけども。

 

「悪いけど必死です。立派なヒーローになって、俺の個性を人の為に使いたい」

 

 ふむ……。そうか。いや、悪くないのこやつ。じゃけども、心操を見てると前世で鍛えてやった子供達を思い出す。大きな夢を持つのは構わんが、相応に現実を見ろよ? その上で、尚も夢を抱き続けると言うのなら……。まぁ、好きにしたら良い。危ない事以外は、何でも自由にやったら良いんじゃ。

 って、英雄(ひいろお)を目指してる時点で危ない事に飛び込んどるか。そう考えると論外じゃ論外。しかし当人がどうしてとやりたいと思っているのなら、まぁその意思は尊重するんじゃけども。

 

 何たって、子供は甘やかすものじゃからなっ。がははは!

 

「じゃ、早速やりましょうかね。だがその前に……廻道」

「……」

「おい。返事」

「……何じゃ?」

 

 ちっ。話し掛けられたわ。要はこれから、びぃ組と合同で訓練するってことじゃろ? 言われんでも分かる。これだけ勢揃いしてるんじゃから、その線しか有り得ん。そもそも、何故儂を呼び付けたのか。また、くらすめえと達と手合わせをしろと? まさか、びぃ組の面々も含めて相手しろと言うんじゃなかろうな?

 

 ……まぁ、それはそれで良いか。

 

「あれぇー!? なーんか態度悪いね君!? A組で一番優れてるって聞いたけど、もしかして態度の悪さが優れっキュッッ」

「いや、学習しろよ。さっきも締められてただろおめー」

 

 なんか……びぃ組の誰かが何か言おうとして、捕縛布で首を締められたの。誰じゃっけこやつ。確か、ええっと……。……誰じゃっけ? まぁ良いか。放っておこう。

 

 それで? 儂に何を言いたいんじゃ相澤。場合によっては聞き流すが? 何なら儂は帰るぞ??

 

「今回行われるB組との合同戦闘訓練。お前には、別の役割を担って貰う。贔屓目無しで見ても、お前一人でこの場の全員完封出来るだろうからな」

「くぁあ……っ。まぁ、そぅ……んぐんぐ……」

 

 んんむ。欠伸が止まらん。相澤の話を聞こうにも、眠気が凄まじくなってきたからの。適当に聞き流してしまいたいところじゃけども、この寝不足は自業自得じゃからな……。何とか耳を傾けて……ふわぁ……っ。

 あ、駄目じゃこれ。話を聞けそうにない。そもそも、英雄(ひいろお)科の訓練に参加する理由が儂には無いんじゃ。儂、呪術科じゃぞ。他科じゃ、他科。他科の生徒を授業に巻き込むのは教師としてどうなんじゃ? あぁいや、表向きは儂も英雄(ひいろお)科じゃったわ。

 

「廻道には、要救助者兼人質役をやって貰う。(ヴィラン)役への抵抗は、飽くまで非力な一般人らしくやれ。ヒーロー役の指示には全面的に従うこと。ただし、お前の判断でわざと逆らっても良い。

 それと、今回の訓練において個性使用は全面禁止だ」

「……相分かった。適当にやるとしよう」

「真面目にやれ」

「やじゃ」

 

 この後でどんな訓練をやるのかは知らんが、どうやら儂は何もしてはならんらしい。ということは、寝てても良いという事じゃな? よし、寝よう。儂は寝るぞ。訓練が終わるまで、ぐっすり寝るからな。

 

「では、A組とB組の合同戦闘訓練を開始する。ルール説明はブラド先生、頼みます」

「頼まれた!! よく聞け、今回は―――」

 

 

 くぁあ……っ。んん、……んんぅ。

 

 ……んんむぅ。これは、本日何度目の欠伸じゃ? 起きてからずっと欠伸が止まらん。しっかり目を覚ましたいんじゃけど、どうにも瞼が重くてのぅ。こんな調子になってしまうのなら、被身子と朝まで交わるのは良くないの。まっこと、良くない。少し、求め合う頻度を減らすべきかもしれん。問題は、被身子が毎晩誘惑してくるってことなんじゃけど……。誘われたら断る理由が無くて、つい……の。

 それに、言って聞くとは思わんし。何事も我慢が出来ないのが、儂の被身子じゃからな。そもそも我慢などさせたくない。

 

 あぁ……困ったものじゃな。まっこと、困る。被身子が愛し過ぎて、頭が馬鹿になってしまった気がする。自制しなくては。

 

 ……。……、……明日からな。明日から気を付けよう。いや、段階を踏みつつ自制した方が良いか。急に行為を断っても、絶対押し切られて流されてしまう。何なら毎日寝かせて貰えんかもしれん。それは流石に死んでしまう気がする。幾ら反転術式(はんてん)で全身新鮮じゃとしてもじゃな、体力を回復するには睡眠が必要なんじゃ。それと、脳を休めるためにもな。あと、被身子じゃって体が持たぬじゃろう。ひとつ確かな事は、毎晩寝ずに過ごしたら儂より先に被身子が倒れてしまう。間違いなく体力は儂の方が上じゃし。

 

 ……上、じゃよな? 行為中は被身子の方が体力があるような気がするが、儂の方が上じゃよな……??

 

 うおっほん。と、とにかくじゃ。試しに提案してみるとしよう。どうにか行為の回数を減らせるように交渉して……。交渉になるかのぅ……。ううむ……。

 

「という訳だ!! 全員、理解したか!?」

「廻道ちゃん、今の聞いてた?」

「いや葉隠さん。これは間違いなく……」

 

 なんか、ぶらどきんぐと葉隠。あと尾白が儂を見詰めている。いや、睨んでいると言った方が良いか。

 

「円花ちゃん。説明はちゃんと聞かなきゃ駄目よ。どうしていつも、人の話を聞かないのかしら?」

「廻道って、ルール説明とか聞かないタイプだよね。説明書とか読めないんじゃない?」

 

 何故か梅雨に叱られて、耳郎に呆れられた。失敬な。説明書ぐらい読めるぞ。読む気がしないから、読まずに居るだけで。

 それはともかく。どうやら、びぃ組の担任があれこれと説明していたらしいの。まるで聞いとらんかった。……まぁ、聞いていなくとも何とかなるじゃろ。儂の役割は要救助者兼人質役なんじゃから。そこさえ守っていればどうとでもなる筈じゃ。

 

 ……なるよな?

 

「廻道。俺から説明するから、耳を貸してくれ」

「……うむ。頼んだ常闇」

 

 取り敢えず常闇が教えてくれるようじゃ。今回は、素直に耳を傾けるとしよう。ここでもう一度聞き流せば、相澤から捕縛布が飛んできそうじゃし。まぁ、今日使っている捕縛布は普通のやつじゃから、最悪引き千切ってしまえば良いんじゃけども。

 

 とにかく。びぃ組との、合同戦闘訓練が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








やっとA組対B組です。これが済んだらヒーローズ:ライジングですね。終章までまだまだ遠いですね……。

三人称による補完は要りますか?

  • 欲しい
  • 要らん
  • 良いから一人称で突っ走れ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。