待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
また、別の掘っ立て小屋に移動する羽目になってしまった。何故かと言うと、びぃ組の……鉄哲徹鐵とか言う奴が、運動場を壊しまくったからじゃの。更に轟の半冷半燃が加わって、もう滅茶苦茶じゃ。この事については、どちらも教師達からお叱りを受けていた。まぁ、
で、移動を挟んだ後に第四試合が始まった。が、既に嫌な予感しかしない。じゃって、舎弟の出番なんじゃもん。ところ構わず辺りを吹き飛ばして、周辺を荒れ地に変える……なんて真似をしでかすかもしれん。まぁ態度の悪さの割りに、何かと細かいところがある奴じゃから周囲を吹き飛ばして回る……なんて馬鹿な真似はしないじゃろう。しないよな? しないと信じたい。信じたいんじゃけど、舎弟じゃものなぁ……。
とにかく。第四試合は、もう始まってるわけじゃ。画面を見てみれば、舎弟は先行。その後ろを、耳郎や砂藤、あと瀬呂が必死になって追従している。この面子の中でもっとも強いのは舎弟じゃ。当然、こういう形にはなるじゃろう。儂が参加していたら、真っ先に跳び出すところでもあるからの。
「お?」
接敵したの。爆破で宙を突き進む舎弟の前に、びぃ組の……。……誰かが立ち塞がった。誰かは分からん。何せ、肉片となって宙を飛び回っているからの。そもそも、びぃ組の事はよく知らんし。取り敢えずひとつ分かるのは、舎弟相手にはおよそ何をやっても無駄じゃということ。何せ、儂の舎弟じゃからの。気に入る部分がなければ、わざわざ舎弟になどせん。
『ハイ、しゅーりょー』
それにしても、全身を肉片にして操る個性、……か? いや、訳分からんの。肉片がひたすら舎弟に纏わり付いて、ぶつかり続けておる。個性は何でも有りじゃけども、いい加減にしろと思わなくもない。流石に滅茶苦茶が過ぎるのでは?
『爆豪! こっちに!』
お。瀬呂が四方八方に
物陰から顔を出した……これまた変な頭をした奴が、顔面から液体を噴出した。うわ、何じゃあれ。水? いや、水にしては粘性が凄まじい気がする。鼻、水……? いや違うか、あれは何じゃ?
なんて思っていると、手足から刃を生やした奴が周囲の配管を切り刻んで落下させていく。落ちていく先には、当然瀬呂達が居る。謎の液体で下手に動けんようになっているし、舎弟はまだ肉片に纏わり付かれとるし、下手すればここで全滅かのぅ。何をやってるんじゃ舎弟は。一人で突出するなら、せめて後ろの連中が巻き込まれぬようにじゃな……。
って、お。舎弟が落ちる配管を爆破して防いだ。その隙に、刃物の奴が耳郎に向かって突っ込んだの。いやそれ、間違いじゃろ。
肉片に襲われてるから、もし動けても降り注ぐ配管を防ぐのに舎弟は手一杯。とでも判断したのかも知れぬが、そんな程度で手一杯になる奴じゃない。
次の瞬間。舎弟は耳郎を足蹴にしつつ刃物男を吹き飛ばした。が、防がれたようじゃの。それにしても今の行動は、舎弟にしては珍しい。儂も同じ事をしたとは思うが、あの舎弟があんな動きをするとはのぅ。
これは……後で褒めてやろう。頭でも撫で回してやるか。
『決めてんだよ俺ァ! 勝負は必ず完全勝利! 6−0無傷! これが本当に強ぇ奴の勝利だろ!!』
……ほぅ? それはまた、盛大に啖呵を切ったの。四人引っ捕えれば勝ちなのに、その上で儂も確保すると。それは、訓練としては余分な行動じゃろう。じゃけども、訓練とは実戦を見据えてやるものじゃ。悪党四人を捕まえたからと言って、要救助者をほったらかしにして良いわけじゃない。
つまり、じゃ。舎弟がこれからやろうとしている事は、何も間違ってない。じゃからって、他の連中が間違っているとも言えぬが。
『―――行け!!』
『冬は調子がクソでよお!! やっと暖まって来たわ!!』
電光石火、とでも言うべきかの。舎弟を足止めしようとした奴は一瞬舎弟を足止めしたが、それは砂藤と耳郎、そして瀬呂が対処した。で、早速一人が拘束され二人目が気絶させられ、三人目が吹き飛ばされてあっという間に四人目が追い詰められる。残ったのは、肉片の奴じゃの。舎弟に追い掛け回されておるわ。他の三人は……既に舎弟とは別行動を始めている。耳郎と瀬呂は、どうやら儂の居る方に向かって来ているらしい。砂藤は拘束された三人を抱えて、自陣へと戻っている。
いやはや……これには驚いた。驚かされた。このくらいの成果は出してくれて当然と思っているところはあったが、それにしたってこんな結果になるとはのぅ。
まさか舎弟が、辺り一帯を吹き飛ばさずに勝つとは。いや、元々細かいところがあるのは知っていたが……。てっきり、周囲を軒並み吹き飛ばすかと思ったんじゃけどな。儂を相手にしてる時なんか、一切周囲を気にしとらんし。
『あんた変わり過ぎなんだよーーー!!!』
肉片……
『耳ぃ!! 醤油顔!! 救助は!?』
『まだ! あと耳じゃない!!』
『俺より先に動いてて何でまだ保護してないんじゃ!! おせーんだよ鈍間共!!』
……口の悪さだけは相変わらずじゃの。まっこと、仕方のない奴め。しかしまぁ、今回は見逃してやるとしよう。何せ、完全勝利じゃ。掘っ立て小屋の外を見てみると、遠くで爆破の光が見える。そのうち、舎弟がこちらにやって来るじゃろう。こちらに来たら、褒めてやるとしよう。今回の訓練、あやつはしっかりと「勝って救けた」んじゃ。この結果は、今日の訓練でもっとも優れていると言って良い。何か褒美でも与えるとするか。そうじゃなぁ、被身子の手料理……は儂のじゃ。おやつ、も駄目じゃな。儂の分が無くなる。
褒美、褒美か。あやつが喜びそうな褒美……。いかん、何も思い浮かばん。
「おい!! 救けに来てやったぞモブ!!」
ぬおっ。いつの間にやら舎弟がやって来ている。流石に速いの。まさか耳郎も瀬呂も置き去りにしてくるとは。何故か訓練終了の号令が掛かってないが、教師共はどうした? まぁ良いか。大人しく救助されるとしよう。
ところで、もぶ……とは?
「っち。全然元気じゃねえか!! 勝手に助かれや!!」
ううむ。こやつめ、やはり人命救助には向かん。さっきまでの活躍は何じゃったのかと思ってしまう程に、台無しじゃ。せっかく良い結果を残せそうなんじゃから、いっそ最後まで殊勝にしてれば良いものを。この辺り、矯正した方が良いな。よし、拳骨じゃ拳骨。それが要救助者に対する態度か貴様……!
「台無しな奴めっ。それが人助けする態度か!」
「だっ!? てめ……!!」
取り敢えず、跳び上がって拳骨を脳天に落としておく。良い音が響いた。石頭め。殴った儂の方が痛いまである。まぁそれはそれとして。
「それから、今回は良くやった。流石は儂の舎弟じゃの」
胸を叩いて褒めてやる。頭を撫でてやっても良かったが、それは流石に甘やかし過ぎか。こやつには、これぐらいが丁度―――。
「てめえに褒められたって何も嬉しくねえんだわ!! ぶっ殺すぞクソチビィ!!」
き、貴様……。人が褒めてやったのに、その態度……!!
「ぬおっ!? こら、貴様っ!!」
「大人しくしてろや! 暴れたら捨てんぞ!!」
舎弟に襟首を掴まれた。と思ったら、飛び出しおったわ。片手だけの爆破で、儂をぶら下げて飛んでおる。おい、これが救助者の運び方か? 余程拳骨されたいと見える。よし、助けられた後でもう一度拳骨してやろう……! 今度はもっと強く殴るからなっ!?
まっこと! 人命救助に向かん奴め……!!
今回ちょいと短めなのは決して蜘蛛男2のプレイに夢中になってるからではないです(目逸らし)
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ