待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
「……で。何で妬いてたんじゃ?」
布団の上。汗やら何やらで塗れた裸のまま、被身子に問い掛けてみる。説教が始まったと思ったら押し倒されて、気が付けばあれよあれよと抱かれて、夕飯の時間が近付いて来た辺りでやっと落ち着いてくれた。いや、満足してくれたと言うべきか……? 別に、抱きたければ抱けば良い。いつ何時でも、何なら何処で抱かれても儂は構わんのじゃけども……今回のは少し不満じゃ。何が不満って、かなり乱暴に好き勝手されたからじゃ。どうせ抱くなら、愛でるように慈しむように抱いてくれ。その方がもっと気持ち良くなれるから。
……あぁ、毒されているなぁ。何故か隣で枕に顔を埋めている、真っ裸の許嫁に。
「……それは、聞かないでください……」
「そこは教えて欲しいんじゃけど?」
「うぅ〜〜……っ。だってぇ……」
「じゃって?」
どうやら、儂を乱雑に抱いた理由を話したくないようじゃ。余程気恥ずかしいのか、それとも別の理由か。どちらにせよ、枕に顔を埋めたまま背を向けるのは止めて欲しいところじゃ。せめてこっちを向いて枕に顔を埋めて欲しい。仕方ないから、背中にくっ付いてみる。……ううむ、何と言うか密着感が足りぬ気がする。あれか、被身子の胸が押し当てられていないから……かの。こうして後ろから抱き付くのも悪くないが、どうしても物足りない感じがしてしまう。
それと、儂を見ていないことが気に食わんな。気に食わんから、その枕は剥ぎ取ってやろう。よし、剥ぎ取った。じゃから壁に向かって放り投げておく。そしたら、被身子の顔を隠すものは無くなった。顔を覗き込もうとすると、今度は両手で覆い隠しおったわ。……何じゃもぅ。被身子のいけず。許さん、こうなったら何が何でも顔を見てやる。まずは、その手を退けてじゃな……!
「……言っても、嫌いにならない……ですか?」
「ならんならん。白状せい。あと、顔を見せろ」
「うぅ〜〜……っ。円花ちゃんが意地悪なのです……!」
「意地悪はそっちじゃと思うが」
「トガは良いんですぅー!」
いや、良くない。まっこと良くない。何なんじゃいったい。さっきから、どうも様子がおかしいのぅ。まぁ被身子の様子がおかしいのは、割りと日常茶飯事な気がしないでもないが。放っておけば、直ぐ悪どい笑みを浮かべて悪巧みしておるし。何なら発情したり、怒ったり妬いたりもする。そのどれもが愛しいものでは有るんじゃが、やはり一番は笑顔じゃ。
「顔を見せんと、もっと意地悪じゃぞ? あと、何を言い淀んでるのか話さんか。ほれほれ」
「ヤーーっ」
……いかん。少し楽しくなってきた。そうじゃ、たまには儂が被身子を襲ったって云いじゃろう。吐かぬと言うなら、顔を隠し通すつもりなら、何が何でも顔を見てやろう。そして、何を隠そうとしてるのか吐かせる。うむ、そうと決めたら早速実行じゃ。被身子の肩に手を添えて、力任せに仰向けにしてやる。両手はまだ顔を隠しているから、手首をしっかりと掴んでじゃな。で、こう……。
「うぅ〜〜っ。言います! 言いますから……!」
「ほう? なら早く言わんか。儂の気は長くないんじゃけど?」
「……敵わないかもって、思っちゃったのです……」
「は?」
敵わない……? 何にじゃ……?
「隆之さんに、勝てないかもって。私のヨリくんなのに、なんか……負けた気がして……」
「じゃから、さっきは強引に儂を抱いたと……?」
「……はい。そうなのです……」
……。……、…………。
あぁ、うむ。これは……あれじゃ。良くないの。まっこと、良くないと思うんじゃ。それはいかんぞ。いかんいかん。何が駄目って、そう。今の被身子の一言が……こう。……な?
「……くっ、ひひ……! くく……っ、けひ……っ」
こうなったら、もう仕方ないと思うんじゃ。どうしようもない。こやつ、さては儂を煽っとるな? 煽るだけ煽って、その先を期待しているのでは?
なら、仕方ないのぅ! 此処で応えてやらぬのは、男として廃りそうな気がしてならん……! いや、儂は既に女の身じゃけども。心の問題じゃ、心の。儂の性自認は、相変わらず男じゃからの。がははは!
「儂が満足するまで抱くから、逃げるなよ?」
「え……っ!?」
もう、今宵は調査などに出なくて良いか。そんな事より、被身子を一晩中好き勝手してしまおう。たまには、儂が弄ぶんじゃ。こんな機会は、またと無いからのぅ。下手をすれば、一生無いのかも……?
よし、抱く。今直ぐ抱くぞ。思う存分、被身子を目茶苦茶にしてやろう……!
今日は! 儂の! 勝ちじゃっ!
◆
「んふふっ。円花ちゃん、円花ちゃん……♡」
負けたわ。途中で反撃してくるのは狡じゃと思う。何でか途中から、被身子にされるがままになってしもうた。……解せぬ。が、良しとしよう。取り敢えず、被身子がいつも通りになったからの。幸せそうに笑いおって。こら、頭を首筋に擦り付けるな。髪が擦れて擽ったいじゃろ。まったく、仕方のない奴なんじゃから。
とにかく甘え続ける被身子を更に甘やかしつつ、肩で息をしながら天井を見上げる。と言うか、見詰める。すっかり疲れてしまった。夕飯の時間はとうに過ぎていて、もしかすると今晩は何も食べれぬかもしれん。そうなったら、夜でも開いてそうな店に転がり込んで外食するとしよう。最悪、
「ん、ふふ……。ちゅっ、んん……」
「ん……っ、まだするのか……?」
「んーーん。イチャイチャしたいの」
……それは、結局またすることになるのでは? 現に、今も首筋に吸い付きつつ儂の腰やら太ももを撫で始めているし。このまま三回戦が始まりそうな気がしないでもない。その前に、ながんに今夜の調査は無しと連絡したい。が、この調子じゃと朝まで離れてくれそうに無いのぅ。しかしなぁ、このまま被身子と求め合ってばかりなのは……心身ともに悪い気がする。でも、止められないんじゃよな。すっかり依存してしまっていると言うか、のめり込んでしまっていると言うか……。
ここらで、ひとつ提案してみるか……? いや、したところで拒否されそうな……。別に、毎日毎日求め合う事が嫌な訳では無い。ただ少し、人としてどうなんじゃろうと思うだけで。
「……被身子」
「はぁい」
「んん……っ。最近、し過ぎじゃと思うん、じゃけど……っ?」
人が話してるのに、せくはらを継続するのは止さぬか。へんたい。何で太ももの内側を撫で回すんじゃ。こら、隅々まで撫で回そうとするなっ。
「それはぁ、円花ちゃんがカァイイのが悪いと思うの」
「被身子が襲うからじゃろ?」
仕返しに、ゆっくり背中を撫で回してみる。指で背筋を撫でてやると、少し肩が震えた。
「襲われたいって目で見てくるのは、円花ちゃんです」
「その気にさせてるのはお主じゃ」
「最近、直ぐ物欲しそうにしますよねぇ。チウチウすると、色っぽい声を出してトガを誘惑してるのです」
いや、そんなつもりは無いが? まったく無いが?? 何で儂が誘ってることになっとるんじゃ。違う違う、被身子が儂をその気にさせて好き勝手にしてるだけじゃ。断じて、儂のせいではない。
「良いじゃないですか、毎日してたって。円花ちゃんも悦んでるじゃないですかぁ」
「……んっ。こら……!」
「えへへぇ。もう一回、しちゃいます?」
「……」
儂の胸の上に頭を乗せた被身子が、悪どい笑みを浮べながら見上げてくる。いつの間にやら片手は太ももの間に差し込まれているし、もう片方の手は儂の耳に添えられている。黙って睨み返していると、耳を擽られた。否が応でも反応してしまって、そしたら被身子は体を起こし儂に覆い被さった。あぁ、いかん。これ、三回戦目が始まって―――。
「また、目茶苦茶にしてあげますね♡」
……っっ。そういう事を、見詰めながら言うな。徐々に迫ってくるな。ああもぅ、駄目じゃこれ。どうしようもない。誰か、こやつを我慢させる方法を教えてくれ。でないと、永遠に貪られてしまう。
まぁ、それも良いか……。なんて、頭の片隅で思ってしまう儂も儂じゃけど。駄目じゃ駄目じゃ、結局被身子にされるがままじゃ。
「んん……っ、ひみ……こ……っ」
この後。三回戦が始まって、何なら四回戦も始まった。被身子が理性を取り戻したのは数時間後の話であり、それまで儂はひたすら目茶苦茶にされて……。気が付けば日付が変わりそうになっていたわけじゃ。なぁ、こうして愛し合うのは一日一回までとか、二回までにしないか……? もういい加減、人として駄目になってる気がする……。
なに? 一緒に駄目になろう……じゃと? ううむ……流石にそれはじゃな。いやしかし、困ったことに被身子とならそれも悪くないと思い始めて……。い、いかん。しっかりしなければ。どうにかして、こやつに我慢を覚えさせなければ……!
イチャイチャ書きたい病が発症したのでまたイチャイチャさせました。話がまるで進んでない!!
三人称による補完は要りますか?
-
欲しい
-
要らん
-
良いから一人称で突っ走れ