待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
昨晩は、何と言うか……ううむ。色々、良くなかったの。夜に調査する筈が、被身子と求め合ってしまって……その。何も出来なかった。いや、あれこれとされたりしたりはしたんじゃけども。でもでもじゃって、あれは被身子が悪いと思うんじゃ。あんな態度を見せられたら、興が乗るに決まっている。まったく、悪女め。どれだけ儂を弄べば気が済むんじゃ。まさか一生こうなのか? それは流石に良くないと思う。うむ、やはり少しずつでも自制とか我慢を覚えさせて……。覚えさせられないんじゃろうなぁ。どうしたって駄目そうじゃ。しかしここで儂が諦めてしまうと、それこそ今以上に大変な事になるのでは?
……それも悪くないか。なんて思ってしまう儂も儂じゃけど。
と、とにかくじゃ。昨晩は調査に出れなかったので、今日はしっかり調査を行う予定じゃ。昼間も夜も、休み休み島中を歩き回って海辺の祠を見付けたい。
海辺の祠って言うんじゃから、海辺に在るんじゃろう。そうに違いないというか、そうでないと困る。しかしこの島はそれなりに広く、祠を探し回りながら一周しようと思ったら何日必要になるのか分からん。出来れば三人別々の位置で探すのが効率的じゃけど、ながんは儂から離れられないしの。じゃからって被身子を単独行動させるなんて真似は出来ぬ。こやつのことじゃから、祠を見つけたら勝手に中に入ってしまうじゃろう。それは、単純に危ないから駄目じゃ。
と、なると。三人で纏まって動くしか無いんじゃよなぁ。
「うーん、それらしいのは見当たらないのです」
「足元、滑るから気を付けろ。特にアンタ」
「何で儂に言うんじゃ。被身子に言え」
今は海辺の、それも岩場を歩いておる。海辺の祠と言うんじゃから、海辺に在るんじゃろうと散策中なんじゃけども……これが中々見当たらん。島の地図を見ると、何やら城の跡地が海辺に在るらしい。が、そんな分かり易い所に目当ての祠は無いと見ている。そんな場所に祠が在るなら、隠せてないからの。とは言え、後で見に行くつもりじゃけども。
……取り敢えず。分かり易い場所は後回しにして、ひたすら海辺を調べ進むのが今日の予定じゃ。夜は、流石に危ないから岩場なんぞは歩かんが。
にしても。たまには海も良いものじゃ。何処までも広がる海面は綺麗に思えるし、潮風や波の音が心地良い。任務でなければ、良い感じの
まぁ、
ぬおっ!? す、滑った……!
うっかり足を滑らせてしまい、転ばないよう慌てて体勢を整える。あ、危ないところじゃった。……って、ながん。何じゃその目は。言いたい事が有るなら言ってみろ。おい、溜め息を吐くな。
「気を付けないと駄目ですよぉ。海に落ちちゃったら、びしょ濡れなのです」
先を歩いていた被身子が戻って来て、儂に向かって手を差し出した。そこまでされんとも大丈夫なんじゃけど? 現に、転ばなかったじゃろ。おい、何じゃその顔は。子供を見て和んだみたいな表情をするんじゃない。何じゃもぅ、さては二人して儂をぽんこつ扱いするつもりじゃな? ゆ、許さん……! 父のようにすっ転んではいないじゃろっ。
「ほんと、目を離したら直ぐポンコツするんですから♡」
「目を離さなくてもポンコツするだろ。この子の場合」
「そうなんですよねぇ。昔っからとってもポンコツで。きっと前世もポンコツしてたのです」
「ぽんこつでは無いが??」
解せぬ。どうして誰も彼もが儂をぽんこつ呼ばわりするのか。ぽんこつって言う方がぽんこつなんじゃぞ! まったく……!!
「足元には、くれぐれも気を付けて歩きましょう。転んじゃう円花ちゃんも、それはそれで有りですけど」
「誰が転ぶって? お主こそ、転ぶんじゃない」
「私はポンコツじゃないですよぉ。仮にポンコツだとしても、円花ちゃんには負けるので!」
「この子以上のポンコツは居ないんじゃないか?」
「そうですね! 世界で一番のポンコツなのです!」
「間違いない」
き、貴様等ぁ……! 誰が世界一のぽんこつじゃって……!?
良いじゃろうっ。こうなったら儂がぽんこつでないことを証明して……!!
「円花ちゃん、ちょっと良いかしら?」
「うおぉっ!?」
ごぼごぼぼ……。すっ転んだわ。後ろから急に話し掛けられて、それはもう盛大に。しかも、海に落ちた。ごぼぼ……。
◆
ぶはっ。溺れるかと思った。どうやら急に話し掛けて来たのは、梅雨じゃったらしい。儂が海に落っこちた後、直ぐに助けに来たからの。すっかり全身びしょ濡れじゃ。これでは、海辺の祠を探してる場合ではない。取り敢えず宿に戻って、着替えるのが先決か。いや、日差しも強いし歩いている内に乾くのでは? ……流石に風邪を引きそうじゃの。止しておこう。
「もぅ、だから気を付けてって言ったのです」
「大丈夫か?」
「大丈夫に見えるか……?」
「ごめんなさい円花ちゃん。あんなに驚くとは思わなかったのよ」
……まぁ、梅雨は反省してるようじゃから許してやるとしよう。いかんな、どうにも気が抜けていると言うか……鈍っているかもしれん。背後にある気配を感じなかったとは。不覚じゃ不覚。ここ最近、全力で呪い会えていないからのぅ。今の時代、物騒になりつつあるのにこれはいかん。気を引き締めなければ。
「で、梅雨。何の用じゃ?」
申し訳なさそうな顔をした梅雨に舌で引き上げられつつ、聞いてみる。わざわざ話し掛けて来たんじゃ。当然、それなりの用が有るんじゃよな? 無ければ怒るが??
「円花ちゃんが探してる、祠の件よ。岩場を歩いてるところを見掛けたから、一応報告しておこうかと思って」
「何か見つかりましたか?」
「全然。ビーチのパトロールも兼ねてこの辺りを探して見たけど、それらしいのは無かったわ。もしかすると、浜辺付近には無いのかも」
……つまり、見付かってはいないと。まぁ、昨日の今日で見付かるなら儂等も苦労はしない。この付近には無いと判明しているだけでも、進歩はしていると考えるべきじゃろう。どうにかして見付け出したいところなんじゃけども、やはりどうしても時間が掛かりそうじゃ。
「パトロール? そうか、今日から公安のプロジェクトが始まってるのか」
「えぇ、今朝から本格的に始めてるわ。えっと……筒美さん、であってるかしら?」
「あぁ。筒美だ。この子の補助監督をやってる」
「ケロケロ。円花ちゃんがお世話になってるのね。ポンコツしてないと良いんだけど……」
「しょっちゅうしてる。今時の子はこんななのか?」
「円花ちゃんが特別なだけ。みんなはまともだもの」
失礼な奴め……。未だ海面に浮かんでいる梅雨が、まっこと失礼な物言いをしている。それではまるで、儂が特別ぽんこつみたいな感じではないか。断じてそんな事は無いからな? 誰じゃって、急に驚かされれば足を滑らせることぐらい有るじゃろっ。まったく……!
……それはさておき。今日から次世代何たらとか言う、公安の計画が始まっているようじゃの。今の梅雨は
なんて考えていると、被身子が肩からぶら下げた鞄から手拭いを取り出して儂の髪を拭き始めた。
「それで、円花ちゃん。ひとつ提案が有るの」
「……今度は何じゃ?」
「どうせ探し物をするなら、この際円花ちゃんも一緒にどうかしら? ヒーロー活動」
「ううむ……」
それは、今は気が乗らぬのぅ。少しも気が乗らん。この島には、産土神信仰の調査と呪霊退治に来たんじゃ。それが終わってから、公安の計画した
「今、いおぎ荘って建物にみんなで雄英ヒーロー事務所を構えてるの。これからどんどん島民の人と関わって、ヒーロー活動をしていくわ。情報収集の為に、どうかしら?」
「……円花ちゃん、どうします?」
「……ううむ……」
梅雨の提案は、実のところ悪くは無い。海辺の祠は絶対に見付けなければならぬし、その為には僅かでも情報が欲しい。
別に、儂は良いんじゃ。島民からどう思われようが、何をされようが気にならん。人の悪意など、呪術師をやってれば飽きる程に浴びて来た。じゃけども……、儂が一緒に居ることで被身子やくらすめえと達が島民から悪意を向けられるのは、気に食わん。ながんは大人じゃから良いとして、子供達に悪意が向けられるのはなぁ。そればっかりは望ましくない。
「……合流しても良いんじゃないか? 後で参加するのも、今するのも大差ないだろ?」
「……それは、そうかもしれんが……」
意外にも、梅雨の誘いにながんが乗ろうとしている。これにどういう魂胆が有るのかは知らん。が、確かに後で参加するのも今参加するのも大差は無い。んじゃけども……。
……ううむ。どうにも気乗りしない。儂が
「まーどーかー、ちゃんっ」
ぐえっ。じゃから、急に抱き付くのは止さぬか……! 濡れた岩場でそんな真似をしたら、危ないじゃろっ。それと、お主の服まで濡れてしまうから今は抱き付かん方が良いと思うが?
「そんなに心配しなくても大丈夫ですよぉ。きっと何とかなるのですっ」
「いや、そんなことは……」
「なります! それにA組のみんななら、変な視線ぐらいへっちゃらなのですっ。ねっ、梅雨ちゃん!」
「ケロケロ。島の人達から反感されたって、大丈夫よ。そういうのも乗り越えてこそ、ヒーローだもの」
それは……。まぁ、そう……かもしれんが。
「円花ちゃんは子供に優しいから、みんなが心配なんですよね? でも、だからって遠ざけちゃうのは良くないと思うのです」
「……あのなぁ、被身子」
「それに、前に言ったじゃないですかぁ。円花ちゃんは、いつも通り流されてれば良いのです。私が方向調整しますから!」
んん……。いやでも、……うぅむ……。その方向調整は喜ばしくないと言うか、出来ればしないで欲しいと言うか……。でも、儂が何を言っても被身子は意見を変えないじゃろう。ながんもその気になっているようじゃし、くらすめえと達は梅雨と同様に誘ってくるじゃろう。島の中を動き回っていれば、何処かで出会うことも会うじゃろうし。現に、梅雨がこうして話し掛けて来たぐらいじゃからの。その度に同じように誘われて、断り続けるのも面倒じゃ。
……。……、……。
……まぁ、仕方ない……か。どの道、
「……はぁ……。相分かった、合流しよう」
どうにも気乗りしないままじゃけど、情報収集の為には仕方ないか。回りくどくはあるが、
ただ、どうにも心配が拭えぬ。儂が合流することで、島民達がくらすめえと達に何をしでかすか分からんからの。それも警戒しつつ、くらすめえと達に注意喚起しながら……今回の任務では
話の途中ですが明日の11時11分にひとつお話を挿し込みます!!
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ