待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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産土神信仰。目的判明

 

 

 

 

 

 

「ぁ、あの……! ぼく、知ってるよ……!」

「ちょっ、活真……!」

 

 くらすめえと達とこれからの事について話し合おうとしていると、事務所の奥から真幌と活真が姿を見せた。その際、……まぁ儂も含めてなんじゃけど、全員が活真を見ることになってしまった。結果、活真は萎縮して真幌に隠れた。活真の持つ情報は、今の儂等には必要じゃ。必要なんじゃけども、まずはそれを聞き出す前に幾つかするべき事があるの。ひとつは、拳骨じゃな。くらすめえと達全員の脳天に拳を振り下ろさなければ。

 ……いや、流石に止めておくか。儂じゃってつい活真を見てしまったし。それに被身子にまで拳骨するのは気が引ける。なので、まずは活真を落ち着かせるところからじゃ。このままじゃと、舎弟が脅し始めそうじゃし。そうでなくても、くらすめえと達が次々と話を聞き出そうとするじゃろうからの。

 

 ひとまず、被身子の膝上から動くとする。で、活真にゆっくり近付いて真幌の前でしゃがんでみる。すると。

 

「ちょっと! 活真を怖がらせないでよねヒーロー!」

 

 後ろの活真を庇う真幌に、勢い良く詰め寄られた。すっかりお冠じゃ。悪いことをしてしまったのぅ。まずは、真幌を落ち着かせるところからじゃ。でないと、活真から話を聞けそうにない。

 

「すまん、驚かせてしまったの。活真の話が聞きたいんじゃけど、良いか?」

「駄目よ! 弟を怖がらせておいて、虫の良いこと言わないで!」

「……おい、クソガキ」

「ひっ! な、何よバクゴー!」

「こっちは立て込んでんだ。死にたくなけりゃ、黙って(ヴィラン)の目的吐けや……!」

「止さぬかたわけ」

「ぬがっ、てめ……っ!!」

 

 横から舎弟が真幌を脅したので、取り敢えず赤縛で体も口も縛り上げておく。子供を怯えさせるな、子供を。英雄(ひいろお)がやるべき事では無いじゃろそれは。

 

「すまんの。こやつは口も態度も悪くてのぅ。後で土下座でも何でもさせるから許してやって欲しい」

「……ふんだ。べ、別になんてこと無いったら! バクゴーなんて、怖くないんだから……!」

「……そうか。真幌は活真の姉じゃもんな。偉い偉い」

「ちょっ、何よ……! ヨリミナなんて、ポンコツのくせに……っ!」

 

 頭を撫でると、文句が飛んで来た。何故今、儂はぽんこつ扱いされたのか。解せぬ。儂は、ぽんこつではない。断じて違う。声に出して否定したいところじゃけど、そんな真似をして話を長引かせるのは望むところではない。真幌に儂がぽんこつでないことを教えるのは後にして、今は目の前の二人を落ち着かせることに集中しなければ。

 

「……むーー……」

 

 いかん。後ろで被身子が不服そうにしている。不満の籠もった視線が、背中に突き刺さってくるの……。これは、……あれじゃ。間違いなく嫉妬しておる。後で大変な事になる予感しかない。被身子の独占欲は、留まるところを知らんようじゃ。

 ……何でこんな風に育ったんじゃろうなぁ。どこかで育て方を間違えてしまった気がしないでもない。

 

「真幌ちゃん、活真くん。驚かせちゃってごめんね? 良かったら、(ヴィラン)の目的を教えてくれないかな……?」

「デク兄ちゃん……」

「駄目よ。(ヴィラン)に逃げられたヒーローなんて、頼れないもの!」

「ぉ、お姉ちゃん……っ。デク兄ちゃんもヨリミナ姉ちゃんも、救けてくれたよ……っ!」

 

 うぅむ……。痛いところを突かれるの。真幌の言うことは、別に間違ってない。儂等は悪党共を取り逃がしてしまったからの。一応、一人は舎弟が取っ捕まえたようじゃけど……。

 そう言えば、捕まえた悪党は何処に居るんじゃ? 何処かに拘束してあるとは思うんじゃけど、その場所を儂は知らない。最悪、捕らえた悪党から情報を聞き出すと言う手があるの。活真に聞くより先に、そちらを試すべきじゃったかもしれん。

 

「ゔぃ、(ヴィラン)は、ぼくが狙いなんだ……! ぼくの個性が奪いに来たって……、あの人……そう言ってたよ……」

「個性を」

「奪う!?」

「個性を奪う個性……なんて存在するのか……?」

 

 くらすめえと達が、騒ぎ始めおった。そんなに騒ぐようなことじゃないじゃろ、たわけ。個性は何でも有りなんじゃから、個性を奪う個性が有ったって何もおかしくない。現にあるしの、おおる・ふぉお・わんとか言う……個性を奪う個性が。背広男の個性らしいの。それと似たような個性を、覆面白髪は有しているようじゃ。しかしまぁ、良くも都合良く背広男と似たような個性を持ってるものじゃの? やはりあやつ、脳無なのではないか? それならば、個性を複数操ることも呪力を得ていることも納得出来る。

 

 いや……、待て。脳無のようにならず呪力を得られる術が悪党(ゔぃらん)連合には有るということか? それは、大問題じゃ。捨て置けん。今後、悪党(ゔぃらん)連合に関与した悪党は全員が呪力を持っていると考えた方が良いのかもしれん。そうなると……今の英雄(ひいろお)では太刀打ち出来んかもしれん。となると、儂がやるしかないのぅ。呪霊退治だけでも忙しいというのに、今後は呪詛師まで相手にしなければならんのか。うぅむ、面倒この上ない。

 

 ……。……まぁ、それは一度置いておくとして。あの覆面白髪は、やはり殺すしかないようじゃな。子供の個性を奪う、じゃと……? そんな真似、儂が許すと思うなよ。活真には、指一本触れさせん。触れる前に、殺してやろう。次に儂と出会った時が、今際の際じゃと思え……!

 

「……この子が狙いである以上、(ヴィラン)が来るのは確実だな。それで、アンタ達ヒーローはどうするんだ?」

「絶対に阻止します! 活真くんの個性は、奪わせない……!」

 

 ながんの問いに、まずは緑谷が真っ先に反応した。それに続いて、くらすめえと達が一斉に頷く。舎弟だけはそっぽを向いておるが、まぁ似たような気持ちを抱いているのじゃろう。これでも英雄(ひいろお)候補生じゃからな。

 

「その為には、改めて情報を共有しとかねぇと。廻道、緑谷、お前達が戦った(ヴィラン)はどんな奴だった?」

「えっと……複数の個性を持ってた。確認出来たのは空気の壁、爪を飛ばす、使い魔……? に、衝撃波。それと……呪力も」

「それと、呪力操作自体は拙い。まだ呪力を得てから、日が浅いように思えた」

「なら、付け入る隙があるってことだよね! そこを叩けば良い感じかなっ?」

「いや、お主等は一般人の警護を頼む。悪党の前に立つのは、儂だけで良い」

「廻道? 何を言って―――」

「儂だけで良い。危険じゃからの」

 

 幾ら呪力操作が拙いとは言っても、相手は呪詛師に分類される。であれば、あの覆面白髪の前に立つのは呪術師である儂だけで良い。わざわざ子供達を呪詛師の前に立たせるわけにはいかんからの。それに、個性を奪う個性を持っていることも気になる。下手をすると、くらすめえと達の個性が奪われるかもしれん。そんな事態になってしまったら、子供から夢を奪うことになってしまう。そんなのは論外じゃ、論外。

 活真も、くらすめえと達も、儂にとっては守るべき対象じゃ。被身子の言うように、成長の機会を奪うことになってしまうじゃろうけど……今回の場合は仕方ない。ここで死んだり、個性を失ってしまったら成長も何も無いんじゃ。生きてさえ居れば、個性を失わずに居られれば次の機会が有る。じゃから今回は、いや今回も、子供達を儂の前に立たせるような真似はしない。してたまるか。

 

 何より。あの男は儂の獲物じゃ。誰にも手出しさせるものか……!

 

「……待ってよ。そんな真似、絶対にさせない。また君に庇われるなんて、……嫌だ」

 

 青山が、一歩前に出た。両の拳を握って、儂を睨んでいる。何やら文句があるようじゃけど、聞いてやるつもりは無い。今回の件に関して、儂はもう譲らん。覆面白髪(ないん)や赤髪女、それと化け物みたいか悪党とやらも、儂が独りで相手をする。もしかすると、三人とも呪力を持っているかもしれんしの。

 

「……相手は呪詛師に分類出来る輩じゃ。であれば、ここは呪術師の儂に任せておけ。適材適所と言うじゃろ?」

「独りで、三人を相手にする気……? そんなの、見過ごせない……!」

 

 今回は、随分と食って掛かるのぅ。何でこうも、英雄(ひいろお)を目指してる輩は頑ななのか。融通が利かんと言うか、石頭と言うか……。

 

「君が独りで戦うって言うなら、僕は君の側から離れない……! だって、ここでまた同じ事を繰り返したら僕はもう輝けないから……!」

 

 同じ事……? ……あぁ、そうか。こやつ、夏合宿の時にあった事を気にしているのか。思えば、最初に儂に通用しそうな必殺技を編み出したのは青山が最初じゃったの。くらすめえと達が、そう言っていた。

 ……そうか。あの時の事が嫌で、忘れられなくて。じゃから、誰よりも努力したのかもしれんな。なんじゃ、やるではないか青山。その調子で成長してくれ。必殺技の鍛錬なら、付き合ってやるぞ?

 

「てめえ、いつまで俺達を守るつもりだ。見下してんじゃねえぞ……!!」

「見下しては無い。儂の前に立たせられんだけじゃ」

「それを見下してるっつっーんだよ!!」

 

 いや、じゃから。見下してはおらんて。守ろうとしてるだけじゃ。それを、見下されたなどと思われては困る。子供を見下すような真似はせぬよ。子供は守り育み、愛でるものじゃからの。まぁ儂の場合、育む方は上手く行った試しが無いが。被身子なんて、すっかりわがままな女に育ってしもうた。別に良いんじゃけど。子供は在るがままに、のびのびと育つのが一番じゃからの。

 

「廻道くん。皆、危険なのは承知の上だ。共に戦わせてくれないか?」

「一人でやるにしても、(ヴィラン)が一塊になって来るとは限らねぇだろ? 島がこうなっちまった以上、次善も考えるべきだ」

「そうだよ廻道……! 一緒に、戦おうよ。みんなで!」

 

 と、言われてものぅ。こればっかりは、どうにも譲れぬ。譲ってはならん。譲ってしまえば、また儂の目の前で子供が死ぬ。そんなのはごめんじゃ。出来ることなら、二度と見たくない。

 

「……はぁ。だから、みんなは駄目駄目なのです。いい加減に、円花ちゃんの扱い方を覚えた方が良いですよ?」

「被身子?」

「渡我先輩……?」

 

 呆れた被身子が、儂を後ろから抱き寄せた。こんな時でも、くっ付いて離れようとしないんじゃから。仕方ないから、儂を抱き締める腕を撫で回してやろうかの。うむ……、被身子の肌はすべすべして触り心地が良い。健康的な肉付きで、柔らかくもある。

 ……で、被身子よ。何を宣うつもりじゃ? うせろくでもない事を口にして、儂や子供達を盛大に振り回すんじゃろ? 分かるんじゃからな、たわけ。お主の考えることなど、お見通しじゃ。

 

「円花ちゃんに何かして欲しいなら、円花ちゃんに許可を求めずやっちゃえば良いんですよぉ。そしたら、大抵は許してくれるので!」

 

 ……は? いや、そんな事は無い。勝手な真似をされたら、場合によっては怒るし止めるんじゃけど? 何を言ってるんじゃこやつは。どうしていつも、いい加減な事を口走るんじゃか。

 

「……大丈夫、何とかなりますよぉ。だから、少しは頼ってください。でないと、トガは嫌なのです」

 

 囁かれた。それが一つの懇願であることは、分かる。何でそんな事を頼み込むんじゃ。何が有ったって、儂はお主の下に生きて帰ると決めているのに。

 ……じゃけど、被身子の言う事を無下にするのは違う……か。しかしのぅ、子供達を得体の知れない悪党と向かい合わせるのは、……うぅむ……。

 

 ……やじゃ。絶対、やじゃ。子供達に何かあったら、儂は堪えられん。もう二度と、目の前で子供が死ぬのは嫌なんじゃ。それを、どうか分かって欲しい。他の誰に理解されずとも、被身子にだけは分かって欲しい。

 

 どうするべきなんじゃ、儂は。子供を危険に晒すような真似をしなければならんのか? それでは、今も昔も何も変わらないではないか……!

 

 

 

 

 

 

 

 









三人称による補完は要りますか?

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