待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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産土神信仰。逢引発覚

 

 

 

 

 

 

「あーーっ! 居ないと思ったら、こんな大変な時に海で遊ぶなんて!!」

 

 任務のことなどすっかり忘れて、被身子と海を満喫していると、砂浜の方から怒気を含んだ声が聞こえて来た。思わず声がした方向を見てみると、そこに居たのは真幌じゃった。活真もおるの。何じゃ何じゃ、お主等も遊びに来たのか? 島は復興作業中じゃけども、子供がやれることは少ないからの。下手に手伝わせても危ないだけじゃろうし、じゃったら復興作業とは関係無いところで遊ばせてた方がまだ良いってものじゃ。

 

 あ、そうじゃ。どうせ見つかってしまったなら、真幌や活真も一緒に遊……ぶのは無しじゃの。いやほら、今の被身子の姿を人に見せたくないんじゃ。相手が子供じゃったとしても、見せたくないのぅ。まぁ、もう見られてしまってるけど。

 

「すまんが、でぇと中なんじゃ。……内緒じゃぞ?」

「デクとバクゴーに言い付けるからね!? 二人に怒られなさい!!」

「ぉ、お姉ちゃん……。ヨリミナ姉ちゃん、休憩中かもしれないから……」

「デートを休憩中とは言わないの! 活真はお子様なんだから……!」

 

 いや、真幌もお子様じゃけどな? しかし、逢瀬(でぇと)が何なのかは知っているようじゃ。さては耳年増じゃなお主? まぁ子供……それも女子(おなご)はそんなものじゃ。小学校に通っていた頃、がぁるずとぉくに散々巻き込まれたからの。何で女子(おなご)は、年齢に関わらずひとつの事については無限に語り合えるのか。こればっかりは、まるで分からん。どうにも理解が及ばんままじゃからの。

 

 ……取り敢えず、海から出るとするか。被身子と波に揺られるのは中々心地良かったんじゃけども、見つかってしまったなら仕方ない。これ以上誰かに見つかってしまう前に、切り上げるとしよう。任務が終わったら、また逢瀬(でぇと)すれば良いんじゃ。

 

「そろそろ任務に戻るか……。見つかってしまったからのぅ」

「……そうですね。でもこれじゃ物足りないので、任務が終わったらまたデートしましょうっ」

「うむ。そうしようそうしよう」

 

 次の逢瀬(でぇと)の約束をして、取り敢えず海から浜辺へと戻る。真幌と活真の少し離れたところで、ながんが片付けを始めておる。別にもう少しゆっくりしてても良いんじゃぞ? ほら、任務には戻るが急ぐ必要は無いと言うか、急ぎたくないと言うか……。どうせならもう少し楽しみたい気が……。んん……。

 

 ……逢瀬(でぇと)を中断するのは良い気分ではないが、赤鬼はさっさと祓わなければならん。困ったものじゃの。呪術師として動くことも、被身子と共に過ごす時間も、儂には最優先事項なんじゃから。どちらかだけを取ることは出来ず、かと言って二つを両立することも難しい。

 

 じゃが、まぁ。今回は、赤鬼を優先することにしよう。あの呪霊には、文句を言いたい。かつての儂と同じように振る舞ってるくせに、悪党が襲撃して来た際に面を見せなかった。儂じゃったら、放って置くような真似はせん。さっさと悪党を殺して、それで済ませた。なのにあの気色悪い奴と来たら……!

 

 ……。……まぁ、所詮は呪霊じゃからの。人の役に立つなんてことは無くて当然。むしろ、あの呪霊は今までがおかしかったのでは?

 

 何にせよ。赤鬼を祓う為には、海辺の祠とやらを探さねばならん。問題は、全然見つかる気配が無いってことなんじゃけども。一応、聞くだけ聞いてみるとするか。

 

「真幌、活真。赤鬼が居る海辺の祠の場所を知らんか? 儂、あやつに用があるんじゃけど」

「赤鬼さまに? 何で??」

「少しな。用事じゃ用事」

「……」

 

 ううむ……。どうしたものかの。儂は赤鬼を祓いたい。呪術師として祓う必要が有る。が、真幌も活真も赤鬼に懐いておるからの。赤鬼を祓うということは、その存在を消し去ると言うこと。これを素直に子供に話したら、反対されるのが関の山じゃ。

 あやつがこれまで何をして居ようが、呪霊である以上は祓わねばならん。子供に被害が出ていないなら、儂個人としては放っておいても良い。あんなものが存在してると考えると、やはりどうしても気色悪いけども。それに、大人に被害が出ていることを総監部は放って置かんしのぅ。

 

「用事って、何の用事よ」

「まぁ……ほら。そこは秘密なんじゃけども。大事な用なのは間違いないんじゃけども……」

 

 困ったのぅ。真幌が儂を睨んでいる。この様子じゃと、何も話してはくれぬじゃろう。

 

「……ヨリミナ姉ちゃん。僕、案内するよ」

「活真? 駄目よっ、あそこには子供しか入っちゃ行けないんだから!」

「そう、だけど……。でも、赤鬼さまに会いたいみたいだから」

「教えたら、赤鬼さまをイジメるだけじゃない! それで良いの!?」

「そ、それは……。良くない……けど」

 

 ……駄目そうじゃな。教えて貰えたら手っ取り早かったんじゃけども、やはり自分達の足で探すしかない。それに子供を騙すのは気が引ける。まして、この子達にとって頼りになる存在を儂は奪おうとしてるんじゃから。

 

「んーー……。じゃあ円花ちゃん、歩いて探しましょうか」

「……うむ。そうするか」

 

 被身子に手を引かれたので、真幌と活真から祠の場所を聞き出すのは諦めるとする。こればっかりは仕方ない。呪霊退治は任務じゃけども、じゃからって子供に嘘を吐いてまで遂行したいとは思わん。もうしばらく、この島に滞在することになりそうじゃ。くりすます……迄には帰りたいところじゃけどなぁ。

 

「持って、ヨリミナ姉ちゃん」

 

 動き出そうとすると、活間に止められた。

 

「いや、活真。自分で探すから、もう良いんじゃぞ?」

「……赤鬼さまをイジメないって約束してくれるなら、良いよ……?」

 

 ……それは、無理な約束じゃのう。儂は赤鬼を祓うんじゃ。この島の子供を守護している呪霊を、祓うんじゃ。つまり戦闘になる。呪い合いになる。苛めない、なんて約束は絶対出来ん。

 

「……すまんが、それは約束出来ない」

「なら、僕がイジメないように見張るから……! ね、それなら良いよねお姉ちゃん」

「……活真だけで出来る訳無いでしょ。わたしも見張るから! ヨリミナ、赤鬼さまをイジメたら許さないからね!!」

 

 ん、んん……。何じゃか、話が拗れてしまった気がするの。赤鬼の居場所には、儂一人で向かいたい。真幌と活真に、祠の中まで案内して貰う必要は無いんじゃけども。二人には、祠の前まで連れて行って貰えればそれで良いんじゃが……。

 

「……どうします?」

「……どうしたものかの」

 

 後ろから抱き付いて来た被身子も、どうしたものかと考えているようじゃ。このまま案内されても良いが、それでは赤鬼を祓うことは出来んじゃろうし。もし儂が赤鬼と呪い合えば、真幌や活真は間に割って入って来るじゃろう。それは困る。単純に危ないし、呪霊を祓うどころではない。

 それに、被身子を連れて行きたくないとも思ってしまう。こやつには戦いとは無縁の場に居て欲しいものじゃ。治崎の時のようなことになるのは勘弁じゃ。

 

「んん……。いざとなったら、私が連れ出す……って感じでどうです?」

「……」

「気に入らないのは分かりますけど、さっさと済ませちゃいましょう? ね?」

 

 ……まぁ、それはそうなんじゃが。任務を長引かせる理由は無い。さっさと済ませられるのなら、それに越したことは無いんじゃけども。じゃからって、被身子を赤鬼の前に連れて行くのはなぁ……。何と言うか、その。かつての儂をあまり見て欲しくないんじゃ。

 

「……儂の言う事を聞くと約束するなら」

「はい。でも、ケースバイケースかなって」

「……危ない真似はするなよ」

「ケースバイケースですねぇ」

 

 ぐぬぬ。駄目じゃ、やはり言っても聞かせられん。じゃって被身子じゃもん。儂の為ならば何でもしてくれるけれども、いざという時は儂が望まぬ事を勝手な真似をしてしまうんじゃよなぁ。これまで、ずっとそうじゃったからの。

 仕方ない。儂が目を光らせておくとするか。それに、ながんも居るしの。あやつにも気を付けてもらうとしよう。

 

「お主に何か有ったら、儂は堪えられんぞ」

「それはトガも一緒なのです。怪我したら、嫌なのです」

「ん……っ」

 

 こら。耳に接吻(きす)するな。然りげ無く腹を撫でるな。小さな子供の前じゃぞ、小さな子供の。流石に教育に悪いから、今は止さぬか。まったく、油断も隙もない。直ぐそうやって儂にせくはらするんじゃから。駄目……とは言い難いけども。いつでも何処でも好意を露わにするこやつの姿は、まぁ可愛らしいものじゃからの。

 

「イチャイチャしない! ヨリミナって、ほんっとにその子と付き合ってるのね!? 教育に悪いわ教育に!!」

「んふふ。言われてますよ円花ちゃん」

「お主がせくはらするからじゃろ……! 何で儂のせいにするんじゃっ」

「だって拒否しないんですもん。いつでも何処でもオッケーってことですよね!」

「そんな訳なかろう!?」

 

 急に何を言い出すんじゃこやつはっ。お主がせくはらしたから、急に真幌に叱られる羽目になったんじゃけど!? 少しは懲りろ、反省しろっ。どうしていつも、人前で見せびらかそうとするんじゃ貴様ぁ……! そんなに儂が被身子のものじゃって公言したいのか……!? さてはそういう事か!?

 

 良いじゃろうっ。こうなったら……!

 

 

「んんっ!?」

 

 

 振り向いて、接吻(きす)してみる。唇に。半ば跳び付くようになってしまったが、まぁ良いじゃろう。ほら、これで満足か!? 満足しろっ。まったく、仕方のない奴なんじゃから……! って、何を目を丸くしてるんじゃ貴様っ。望み通りにしてやったんじゃから、そこは喜んでおけば良いんじゃ!

 

「ちゅっ、……ふふっ。もぅ、そうやって急に誘惑するのが良くないんですよぉ。これはもう、しちゃいます? ここでしちゃいます??」

「す る か っ !」

「どぅどぅ、冗談ですよぉ。今夜は寝れると思わないでくださいね♡」

 

 ……。……まぁ、それは望むところじゃ。被身子こそ、寝かして貰えると思うなよ。今夜こそは儂が上じゃからな? 貴様が下じゃっ!

 

「だからイチャイチャしないの!! 何なのいったい!? 活真、この二人は見ちゃ駄目だからね!? 目に毒なんだから!!」

「え? 何で……?」

「なーんーでーもーーっ!!」

「わ、わぁ……っ。お、お姉ちゃん……!」

 

 ……何か、悪い事をしている気分になって来た。実際、今の儂等は教育に悪い。とても悪い。いかんと自覚しつつも、被身子と愛し合うこと自体は止められんのが問題じゃ。仕方ないじゃろ、好きなものは好きなんじゃから。儂にとって、被身子と一緒に居ることは何よりも大事なんじゃぞ? 真幌も活真も、いつか分かるようになる。恋愛ってのは、馬鹿になることって誰かが言ってたしの。誰の言葉じゃったっけ?

 

「赤鬼さまをイジメない、イチャイチャしない! この二つが守れないなら、案内してあげないんだからっ!!」

 

 真幌を盛大に怒らせてしまった。活真は、真幌の手に両目を塞がれて大変そうじゃ。何か、すまん……。

 

 と、とにかくじゃ。色々と気に食わんが、真幌が案内してくれるようじゃから案内されるとしよう。海辺の祠に着くまでに、二人をどう赤鬼から引き離すか考えておかなければ……!

 

 

 

 

 

 

 













三人称による補完は要りますか?

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