待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
「す、少し待たぬか被身子……っ」
「えーー? 良いじゃないですか。火伊那ちゃんはもう寝ちゃってると思いますし……♡」
深夜、一時過ぎ。儂は被身子に脱がされていた。玄関先で被身子に押し倒された後、儂等は葉隠に見付かり八百万謹製の座敷牢に放り込まれた。説教の最中、被身子がしつこく儂にくっ付いてはせくはらするものじゃから、説教の時間が伸びるに伸びての。結局、夜の十一時頃まで叱られてしまった。その後、風呂に入り直して……それから儂等はながんと共に夜の街を歩いて宿に戻った。島が復興中じゃから宿自体が経営していない可能性が有ったんじゃけども、家を失った島民の為に一部の部屋が使われていての。お陰で、儂等も元々使っていた部屋に戻れた。これを良かったと取るべきか、間が悪いと言うべきかは分からぬけど。
そんなわけじゃから、今は宿。隣の部屋にはながんが居るが、くらすめえと達は居ない。まぁつまり……被身子にあれこれとされるがままになっても問題は無いんじゃけども。ただ、その前にじゃな? 少し、話しておきたいことがあってじゃな??
じゃから被身子っ。待て、止さぬかっ。儂を裸にするなっ。押し倒すな……!
「す、する前に話をじゃな……!」
「しながらすれば良いじゃないですかぁ」
「それじゃ話にならんじゃろ……っ!」
「ふぎゅっ!」
あまりに止まらないので、仕方なく額を小突いておく。そしたら、流石に止まってくれた。ただし、物凄く不満そうな顔をされてしまったが。これは……、後で寝かせて貰えないじゃろうなぁ。まぁ別に、構わんけども。明日は任務も無い。復興作業は手伝わされるじゃろうけど、それまでは熟睡出来るじゃろうし。多分。
取り敢えず、話をしてしまおう。被身子が大人しくしてくれている内に話さねば、話すどころではないからの。
「むーーっ。これからって時に、何ですかぁっ」
「それは、……すまん。じゃけどその前に、その。ちゃんと話しておきたくての」
「……はぁい。あ、服は着ないでくださいね」
「ぅ、うむ……」
裸で話すのか……。そうか……。まぁ、話に支障は無いけれども。この島の夜は、冬なのに暑いし。いや昼間も真夏のように暑いんじゃけども。
とにかく、じゃ。被身子が一旦儂の上から退いてくれたので、体を起こす。で、座を正す。そしたら被身子も、渋々ながらも座を正してくれた。裸で布団の上で正座する羽目になるとは……。変な感じじゃの、これ。まぁ良い、気にしないでおこう。
「……まず、謝らせてくれるか?」
「えっ。急にどうしたんです?」
「……いや、その。結局儂は、散々心配させて……怖がらせたりしてるじゃろ」
「それは、……そうですけど。だから補助監督になるって、トガは決めたんです」
「……すまん」
「なのに一度は反対されて、ちょっとムカッと来ましたけど。おこです、おこ」
「す、すまん。儂が悪かった」
これについては、謝るしか出来ん。どうか許して欲しいが、中々ご立腹のようじゃ。さっきまで儂を抱くつもりじゃったのに、今ではすっかり怒っている。下手に思い出させてしまったのかもしれん。いや、これは……。さては怒ったふりか? ふりじゃな? わざとらしく腕を組んで顔を逸らして。こやつが本気で怒る時は、もっとこう……過激じゃからの……。
「……すまなかった。心配させぬと、怖がらせないと約束してたのに」
「……はい。まったくなのです。まぁ私も、背中を押しちゃったので怒るに怒れないんですけど」
「すまん。……それで、補助監督の件……なんじゃけども」
「はい」
「……反対は、しない。お主を、被身子を信じる。嫌とは思うが、それでも……お主がそうしてくれたように。儂も、そうしたい。
ただ、その……。うぅむ……」
ここまでは、嘘偽りない本音じゃ。本心を言えば、嫌で嫌で仕方ない。被身子に何か有ったらと思うと、怖いから。心配じゃから、補助監督になんてなって欲しくない。
じゃけど、被身子は儂のやりたいようにやらせてくれた。あの日、儂は
それを、被身子に返したい。してあげたい。被身子がくれたものを、儂も被身子にあげたいと思う。……じゃから。その。同じような事を言うのは……気恥ずかしいのじゃけれども。でもそれはきっと、こやつが喜ぶことの一つなのも確かで。
「心配で心配で、堪らない。怖いんじゃ、お主に何か有ったと思うと……堪えられない」
「……はい」
「じゃから、その。……そのじゃな?」
「んふふっ。はい」
「……安心、させてくれるか? 儂に、信じさせてくれるか……?」
「……はぁい♡」
被身子が、迫ってくる。両肩に手が置かれた。ので、されるがままに委ねる。儂は呆気なく押し倒されて、被身子に覆い被さられて。不謹慎とは思うが、これからの事に少し……と言うか大分、つい……期待してしまう。
「……被身子の、えっち」
「―――っっ♡」
あ、いかん。言うべきじゃなかった。なるべくあの時被身子がしてくれたようにしてみたいと思ったから、試しに言ってみたんじゃけど。こ、これは……。
いかんぞ。まっこと、いかん。じゃって被身子が、完全に獣の顔になっとる。これから獲物に牙を突き立てる寸前の……。
―――あぁ。滅茶苦茶にされるんじゃな、儂。
それは、望むところじゃけど。今は、そうして欲しい。そうして貰えたら、きっと大丈夫じゃって思えるから。
良いんじゃよな? 信じて。大丈夫じゃって、思って。被身子ならきっと、何が有っても儂の前から居なくならないから。じゃから、じゃから。
信じて、頼ろう。呪術師として、加茂頼皆として。そして、廻道円花として。
これから、被身子に。被身子を、頼る。
難しい事かもしれん。上手く行かないかもしれん。それでも、頼ろうと思う。被身子を、被身子だけでも。
そして。もし何かあれば、今度こそ……今度こそ儂が守るんじゃ。死なせてたまるか。もう絶対に、死なせない。こんなにも儂を愛してくれる人を、手離したりするものか……!
◆
翌朝。と言うか翌昼。いや、翌夕かこれは? ともかく、かなり長い時間……儂と被身子は寝ていた。ようじゃ。……いったい、今何時じゃ?
体が気怠い。とにかく重い。じゃってほら、被身子に滅茶苦茶にされた翌朝? じゃしの。取り敢えず、
しかしまぁ、酷い臭いじゃ。血やら汗やら体液やらが混ざり合って、しかも熱気が籠もった部屋に放置されていたかのような。取り敢えず部屋の換気を……。いや、うぅむ……。体が怠いから後で良いか。それに、何と言うか今は被身子から離れたくない。儂の隣で、それはもう満足そうに眠っておるからの。あ、そうじゃ。今度こそ寝顔を堪能しよう。この間は、直ぐに起きてしまったからの。
ほれほれ、もっとよく見せんか。愛い奴め。満足気に寝おって。時折口角を上げて、幸せそうじゃ。いったい、どんな夢を見とるのやら。起きたら聞いてみよう。
にしてもこやつ、かぁいい面をしとるな。惚れ込んでるから、そう見えるだけか? それとも、さては美少女か? いやまぁ、被身子は常々可愛らしいものじゃけど。特に好き勝手振る舞って、笑ってる時がお気に入りじゃ。儂を滅茶苦茶にする時の顔も、あれはあれで好ましいんじゃけど。何と言うか、儂しか眼中に無い感じがしての。
……なんて思って居たら、なんかこう。錆びた鉄のような匂いも有ってか、こう……沸々と湧き上がるものが胸の内に……。いやいや、待て待て。被身子じゃあるまいし、血の匂いで興奮するなど有って堪るか。しかしこの、噎せ返りそうな程に臭いが強いと……つい。
ぐぬぬ。被身子の阿呆、たわけ。へんたい、えっち! これはお主のせいじゃぞっ!? お主のせいなんじゃからなっ!? 儂を、儂をこんな風にしおって。責任取れ! 責任!!
「ん、んん……? あ、おはよぉございま……、んぅ……」
睨むように見詰めていると、被身子が起きた。何と言うか、丁度良いと思う。このまま、責任を取ってもらうとしよう。いやむしろ、責任を取らせよう。寝起きの被身子にこんな真似をするのは、我ながらどうかとは思うが。でもでもじゃって、したいんじゃもん。じゃからまぁ、……ほら。たまには、儂からじゃな? これが原因で嫌われなければ良いんじゃけども。
「ん、ちゅ……っ。ふふっ、朝から何ですかぁ?」
「……別に。今は、そんな気分なだけじゃ」
「えへへぇ。えっちなヨリくんも、トガは大好きですよ?」
気怠い体で、被身子に覆い被さってみる。そしたらこやつは、嬉しそうに……それで居てどこか余裕そうに微笑んだ。何か、負けた気がする。その余裕そうな面から、余裕を奪いたい……とも思う。じゃから、あれこれしてしまおう。儂が上じゃからな? 儂が被身子を好き勝手にするんじゃからな??
じゃから! 被身子は何もするなよっ! 何もさせてやらんからな!? 今回こそは、儂が勝つんじゃ!!
で、この後。儂は寝起きの被身子を抱いた。そして今日一日は、ただひたすらに求め合うだけの一日になってしもうた。寝ても覚めても、お互いがお互いにしたい事をして、歯止めは全く利かなくて。食事や入浴もほったらかし気味に、互いを求め続けたわけじゃ。結果、先に疲れ果てたのは被身子じゃ。単純に体力の差が出た、と思う。まぁ、儂も結構
今回は、今回こそ! 儂の! 勝ちじゃっっ!!
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ