待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
明日、観光大使として儂は働く訳じゃ。と言っても、その内容は祭りを楽しむだけ。儂が祭りを楽しんでる様を写真に収めて、広告にするだけらしい。それで観光大使とやらの仕事が済むと言うのなら、しっかりとこなすとしよう。よく分からんけどな。
そうそう、当日に着る浴衣は昨日決めた。と言うか、決められた。ああでもないこうでもないと、
服なんて、露出が少なく動き易ければそれで良くないか? じゃから儂としては、やはり着物か袴が一番好ましい。洋服も、物によっては悪くないんじゃけどな。大きめの
「おい、サボってんじゃねえぞクソチビ」
「さぼっとらんさぼっとらん。少し考え事をじゃな……」
「それで手が止まってたらサボりなんだわ! 働け!!」
「すまんすまん。これは奥の方に運べば良いんじゃっけ?」
「分かってんならさっさと運べや!!」
今現在、儂は明日に向けて祭りの会場敷設を手伝っている。今日中に準備を終わらせなければならなくてのぅ。大勢の島民達や、くらすめえと達の半数程と協力しながら屋台を作っている。
何でも、鳥居から神社までの道に屋台を並べるようでの。今してるのは、その為の準備じゃ。なので、重たい物を運んでる最中なんじゃけども……。
「廻道、それは俺が運ぼう」
「任セナ円花ァ!」
どうも、儂がしようとしている事は常闇に奪われる事が多い。荷物を運ぼうとすれば、儂が運搬先に辿り着く前に常闇が話し掛けて来ての。結局は、だあくしゃどうに荷物を預けることになってしまう。こやつ、さっきから何じゃって儂の手伝いばかりしようとするんじゃ? それでは却って効率が悪い気がしてならん。何やら張り切ってるような気がしないでもないし。おい、何なんじゃ常闇。この鳥頭っ。儂にも働かせんかたわけ!
「あ、わりぃ廻道っ。そこの工具箱からインパクト取ってくれ!」
常闇を睨んでいると、切島の声がした。思わず振り返ってみれば、参道の隅で屋台の骨組みを支えて居るようじゃ。で、工具箱じゃって? あぁ、足元に落ちてるこれか。で、いんぱくと……って何じゃ? いんぱくと……?
蓋が開いた工具箱の中を見てみると、色々入っておるの。どれがどれやら分からん。いったいどれが、いんぱくと……じゃ?
「これだ廻道。この、拳銃みてぇなやつ」
「ほぅ? それは何をする工具なんじゃ?」
いんぱくと、とやらを探していると、今度は横から轟が現れた。こやつが工具箱の中から取り出したのは、確かに拳銃のような形をした物じゃ。先に付いてるのは、……何じゃこれ。筒? 筒……か? よく分からん工具じゃの、これ。どらいばぁ、とか鋸とかなら分かるんじゃけども。この時代の工具は、どうにもよく分からん。
ので、取り敢えず轟に聞いてみた。
「これは……ここを引くと動く」
「みたいじゃの?」
轟が、いんぱくと……とやらの引き金を引いた。そしたら、先端に付いた筒が音を立てて高速で回り始める。見てるだけで目が回りそうじゃ。切島は、こんな工具をいったい何に使うつもりじゃ? まぁ、良いか。取り敢えず渡しに行くとしよう。
「待った。足元注意だよ☆」
「んむっ」
いんぱくと? を片手に切島の方へ向かおうとすると、青山の手に行く手を遮られた。急に横から手を伸ばされるものじゃから、顔をぶつけてしまった。なんじゃ貴様、止めるならもう少し優しく止めんか。
つい顔を睨むと、足元を指差された。ので、つられて足元を見てみる。……確かに、物が散乱しておるの。屋台を作るための骨組みの一部が転がっている。
「足元は気を付けて。転んで怪我したら大変だからね」
「……相分かった。気を付けよう」
「ウィ☆」
青山に注意されたので、足元は気を付けて歩くとしよう。取り敢えず、このよく分からん工具を切島に届けてじゃな。それが済んだら、また骨組みの運搬に戻るとしよう。
……にしても、足元がとっ散らかっておるの。これ、整理整頓をした方が良いのでは? まぁ良いか、後でやろう。
っとと……。足が引っかかる。危うく転ぶところじゃ。
「ほれ、切島」
どうにかこうにか切島に辿り着いたので、工具を渡しておく。
「おう、あんがとな! 足元気を付けろよ!」
「それはさっき青山に言われた」
……さて。戻るか。いや、その前にこの足元をどうにかした方が良いな。ひとつひとつ動かすのは少々面倒じゃから、纏めて動かすとするか。まずは血をばら撒いてしまおう。そうしよう。被身子は……姿が見えぬな。まだ神社の奥で神主と打ち合わせでもしてるんじゃろうか? なら、血を使うのは今の内じゃの。見られたらほら、物欲しそうな目で見詰められることになってしまうし。そしたら、しばらくは会場の準備どころではなくなってしまう。
途中で見られても良くないし、さっさと済ませてしまおう。
血を撒き、屋台を作るための資材を纏めて宙に浮かす。で、邪魔にならなさそうな所に纏めて飛ばす。すると、資材同士がぶつかったり地面と衝突したりして、何やらとんでもない音がした。島民及び、くらすめえと達の視線が一斉に儂を向く。わ、わざとじゃないぞ?
「廻道、今のは危ない」
「……すまん。いやほら、邪魔じゃったから」
「気遣いは嬉しいが声を掛けてくれ。俺がやっとくから、廻道は別の事をしたら良い」
「う、うむ……」
今度は、障子に注意されてしまった。そして、儂がやろうとしていた事は障子に奪われた。うぅむ……。何かやろうとすると、横から誰かに奪われてしまう。これでは手持ち無沙汰じゃ。何か、儂にも出来ることを探さねば。このままでは、ただ彷徨ってるだけになってしまう。儂にも何かさせろ。でないと、此処に来た意味がじゃな……。
あ、そうじゃ。骨組みの運搬に戻ろう。たった今、大体の資材を血で放り投げてしまったところじゃけども。
「あー、ほら廻道。渡我先輩と、筒美さんが呼んでたから行って来い」
「そうそう。二人共探してたからさ」
「……む? そうなのか?」
再び資材を運ぼうとすると、今度は瀬呂と上鳴が話し掛けてきた。何でも、被身子とながんが呼んでいるようじゃ。そんな声は聞こえなかったし、付近に二人の姿は見えぬが。……まぁ、呼んでいると言うなら呼んでいるんじゃろう。仕方ない、此処は切り上げて話を聞きに行くとするか。
「廻道くぅうん!!」
「ぬおっ!?」
神社に向かって歩き始めようとすると、猛烈な勢いで飯田がやって来た。何しとるんじゃこやつ。今、参道を走るのは危ないじゃろ。重量物を運んでる者が多いんじゃから。まったく、何をしとるんじゃか。
「危険行為はしないように! 怪我人が出たら作業が止まってしまうんだ!」
「ぉ、おぅ……。お主も走るな、危ないじゃろ」
「今のは早歩きさ!!」
早、歩き? いや、いやいや。走ってたように見えたが? 早歩きであんな猛烈な速度が出るなんて事は流石に無いじゃろ。幾らお主の足が速いからって、早歩きで走るような速度が出るなんて事は……。……無くもないか。飯田が個性を使えば、もしかするとあり得る。何か、足から音がしてるしの。個性を使って早歩きをするのは、それはそれで如何なものかと思うが。
……まぁ、取り敢えず。被身子に呼ばれてるのならそちらに向かうとしよう。何の用じゃいったい。儂は会場準備で忙しいんじゃけど??
……そうでもないか。さっきから、何かしようとする度に横から掠め取られてる気がしてならん。何じゃ貴様等、儂にも手伝わせろ。何かさせろ。でないと、退屈じゃろっ!
何もさせてもらえない円花の図。
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ