待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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敵連合の冬。

 

 

 

 

 

 十二月中旬。

 活動低迷中の(ヴィラン)連合は、急な転送により氏子達磨の前に引きずり出された。何処とも分からぬ研究所で彼等を待っていたのは、AFOの側近の一人である。

 姿を見られたくないと高速で暗がりに引っ込んだ彼は、死柄木弔に問う。何も為していない二十歳そこらの社会の塵が、自分に何を見せてくれるのかと。その問いに、死柄木弔は答える。

 

 全部が嫌いだと。息づく全てが俺を苛つかせると。だからもう、壊す。一旦全部。……と言い切った。その返答が世間様の常識で考えればイカれたものである事は、深く考えなくとも分かることだ。しかし、そのイカれた思想に氏子は大いに賛同した。

 

 その有り様を、転送させられた漏瑚は黙って見ていた。彼からすれば、死柄木弔が何をしたところで興味が無い。大地の呪霊が興味を見せるのは、廻道円花ただ一人。

 

 氏子達磨は、死柄木弔に全面協力を申し出た。しかし、条件付きだ。彼は、格を身に付けろと言い渡した。その条件とは、ギガントマキアを屈伏させること。ギガントマキアとは、所謂規格外の怪物だ。並の(ヴィラン)では刃が立たず、トップヒーローだろうと彼に抗うことは困難を極める。そんな化け物を屈伏させれば、全面協力すると氏子達磨は言い放ったのだ。

 

 そして。再びの転送後。何処ぞの山中でギガントマキアと(ヴィラン)連合の戦闘が始まった。相手は十数メートルの巨体を持つ、とても人間とは言えない化け物だ。だがそれも、あくまで人間のスケールで見た場合に限る。

 

 ギガントマキアは、漏瑚の手により容易く屈伏させられた。極ノ番及び領域展開を会得している彼からすれば、ギガントマキアはただの大きな的でしかなかった。それでも、巨体の化け物を倒すのに呪力の大部分を使うことになってしまったのだが。

 ……ともかく。(ヴィラン)連合は漏瑚の活躍により、ギガントマキアを制した。これにより(ヴィラン)連合は氏子達磨の全面協力を獲得。強力なバックボーン、或いはスポンサーを得たのだ。

 

 そして、その数日後。(ヴィラン)連合は、今度は異能解放軍を名乗る輩に呼び出された。これに応じる理由が、残念ながら彼等には有った。何故なら、協力者である義爛を人質に取られたからだ。だがこれを、漏瑚及びギガントマキアにより制圧。圧倒的な破壊を見せ付けられ、異能解放軍のトップであるリ・デストロはこれ以上の犠牲は無意味と全面降伏。かくして(ヴィラン)連合は異能解放軍を配下に付け、急激にその勢力を増すことになる。

 その後、ナインと名乗る(ヴィラン)達が(ヴィラン)連合の下で人体実験を受け、那歩島を急襲。が、その場に居合わせたヒーロー候補生質及び廻道円花により制圧され、呆気なく御用となってしまった。

 

 敵連合の急速な勢力拡大。及び戦力の増長。この二つの事実に、(ヴィラン)連合に潜入していたホークスは動揺せざるを得なかった。廻道円花でしか太刀打ち出来ないであろう呪霊に、規格外の怪物。異能解放軍という、数多の手駒。彼等が本気を出せば、形振り構わずに暴れ出せば、それこそ日本は壊滅すると理解してしまったのだ。

 

 神野以降、息を潜めていた(ヴィラン)連合は平和を揺るがす強大な勢力となった。これだけの勢力を、そして戦力を食い止めるのは一筋縄では行かない筈だ。ヒーローとヴィランによる、全面戦争が勃発することになるだろう。そうなれば、どれだけの被害が出るか分からない。果たしてヒーロー達は、巨大になりつつある敵達を食い止める事が出来るのか。或いは、食い止める事は出来ないのか。

 

 

 

 ―――(ヴィラン)全盛の時代が、再び訪れようとしていた。

 

 

 

 

 

 








ギガントマキアも異能解放軍とのいざこざも、漏瑚が居れば余裕だよねってことでこうなりました。AFOとの縛りがある以上、漏瑚は弔の肉体を守らなければならないので。
次回から円花視点に戻ります。

三人称による補完は要りますか?

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