待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
被身子に連れられ、電車に乗ること数十分。何処とも知らぬ駅に着いた後、ばすに乗って更に十数分。それなりの時間を移動に費やして、儂は連れられるがままに大きな商店街にやって来た。ここらで一番大きなしょっぴんぐもおる、とか被身子は言っておった。
ここらで一番大きいと言うだけあって、流石に人が多いの。こんなところで被身子とはぐれてしまったら、二度と会えないような気がするのぅ。離れ離れにならないよう、気を付けねば。
それはそれとして。やはりと言うか何と言うか、ここも呪霊が多い。案の定その殆どが害にもならん雑魚じゃけれど、ちらほらと害になりそうな呪霊がおる。黒沐死なんかと比べたら何の手応えも無いじゃろうが、無視は出来ぬな。被身子と遊びながらでは全てを祓うことは出来ぬが、数は減らせる。
まったく。折角被身子が楽しそうにしているのに、邪魔をするなよ。
「円花ちゃん。はぐれちゃ駄目ですよ? こんな所で迷子になったら大変なのです」
「手を繋いでて、どうやって迷子になるんじゃ。むしろお主の方こそ儂から離れるでない」
「だって、円花ちゃんはポンコツで方向音痴だし……」
「おいこら。ぽんこつでも方向音痴でもないわ」
「とにかく。手、離しちゃ嫌です。今日はずっと繋いでてください」
貴様。ぽんこつ扱いも方向音痴扱いも止めんか。最近は、ちゃんと道順を覚えるようにしているんじゃぞ? 今日だってここまでどうやって来たかを覚え……。覚え……ううむ……。
……、どの電車に乗ってきたのかは覚えておらんの。それと、どのばすに乗ったら駅に戻れるのかも分からん。いや、それ以外の道順は覚えておる。じゃから最寄り駅にさえ辿り着ければ、家まで帰れるぞ。真じゃぞ?
それはそうとな被身子。ずっと手を繋いでるのはどうなんじゃ? 色々と不便じゃろうて。
……まぁ、離す理由が無いのも事実じゃけど。
「被身子、少し屈んでくれんか?」
「……? はい」
「ほれ、もっと近寄らんか」
「わわっ」
被身子を屈ませ、頭を抱き寄せる。それと同時に繋いでいた手を離し、直ぐ側まで迫っていた呪霊を殴って祓う。雑魚が邪魔をするなよ。それと、儂の被身子に近付くな。まったく、空気の読めん奴め……。
「ん、すまん。髪に汚れが付いてたからの。取っておいた」
「……ぁ、ありがと……です」
「礼には及ばん」
ついでに頭も撫でておこう。ほれほれ笑わんか。何を照れておるんじゃ貴様。家では嬉しそうに笑うくせに、外ではそれか? 乙女心は分からんの。
あと、何じゃ貴様。今日は少し甘い匂いがするの。花のような……蜜のような。あれか、香水とか言うやつか。お香も焚いてないのに匂いを付けるとはのぅ。不思議なものじゃな。
「もぅ、今日の円花ちゃんは大胆です……」
「そうか? それはお主の専売特許じゃろうて」
「誘ってます? 誘ってますよね??」
「おい、待てっ! 何でそうなるんじゃ……っ!」
誘っとらん誘っとらん! 止めろっ、首筋を舐めるなっ。抱き締めるな耳に息を吹き掛けるなっっ!! 何するつもりじゃ貴様!! ここは外じゃぞっ!? そういうのはせめて人目の付かないところで……っ!!
「何で、ブラ……付けてないんですか? 襲いますよ? パンツは穿いてますよね??」
……そうじゃったか? どれ、確認して……。
……。…………。
うむ。付けとらんの。付け忘れたわ。ぱんつは、ちゃんと穿いとるの。
「……ブラ、買いに行きませんか?」
「う、うむ……。そうするかの……」
こうして儂は、呆れてるのか盛ってるのか分からん被身子に連れられて、らんじぇりいしょっぷとやらに向かうことになった。
ぶら、しないと駄目なのか? 別にしなくても良いと思うが……。
◆
分からん。この時代の下着とはなんなのじゃ? と言うか、何で下着ばかりがこうも並んでいる店があるんじゃ? しかも、種類が豊富じゃ。こんなに品揃えを良くする必要がいったいどこに……。
これが多様性か? 分からん。分からんぞ。何で服の下に着る下着だけでこうも種類が……。とにかく、何でも良いから買っておこう。被身子に選ばせると、 ろくでもない事になる気がする。分からんが、分からんなりに自分で選ぶとしよう。
流石に、外で被身子に犯されるのは勘弁じゃ。そういうのは二人きりで、他に誰も居ない場所が良い。外でも二人きりなら犯して良いなんて訳でもないからな? 分かっとるんじゃろうな貴様……。
「それにするんですか? 可愛くないです」
「……いや、分からんし……」
「私が選びます。円花ちゃんに似合う、カァイイやつ」
「いや、良い。自分で選ぶ」
「可愛くなかったら、却下です」
「……」
……困った。これはどうしようもない気がしてきたぞ。素直に被身子に任せた方が手っ取り早い気さえしてきた。しかし、しかしじゃな? こやつに任せると絶対にとんでもない事になる。そんな予感がしてならぬ。
さっきから被身子が興味を向けているぶらは、とても身に付けたいとは思わん。身に付けたら最後、一晩中弄ばれるような気がするんじゃが……。
「取り敢えずこれ、試着してみませんか?」
「おい、何じゃその量は」
何でそんな大量のぶらを抱えているんじゃ貴様は。いつの間にそんな量を選んだ。それ全部試着するのか? 真に??
これは……長くなりそうじゃの。ところで被身子よ、その一番上にあるやつ。殆ど紐じゃと思うんじゃが、そんなものまで試着させるつもりか?
待て。落ち着け。落ち着かんか。なんでそんな悪い笑みを浮かべておるんじゃっ。迫るな、その顔で迫るな……っ!
「試着室、行きましょうか」
「……い、嫌じゃ……っ」
嫌な予感しかせぬっ。逃げねば! ここから逃げねば!!
おい、手を離さんか!! 待て引っ張るな!! 頼むから止めんか!!
止めろ!! 儂そんなの付けとうないっ!!!
やめっ、ちょっ……、待てと言うとるじゃろうが!!!
うぅ……。何じゃこれはぁ……っ!
※円花はパーカーの下に何も着てません。素肌パーカーです。
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良いから一人称で突っ走れ