待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
「お帰りなさいっ」
「ぐえぇ」
被身子への贈り物に何を選べば良いか。それをくらすめえと達に相談してみたんじゃが、やはり答えは出ないままじゃった。こればっかりは、自分で決めるしか無さそうじゃ。
門限と同時に寮に戻ると、
……じゃけど。こうして変える場所があって、儂の帰りを待ってくれる人が居るのは幸せなことじゃ。
「ご飯にします? お風呂にします? それともぉ……」
「被身子からじゃ。ほれ」
「んふふっ。はぁい♡」
暖まるまで被身子に抱き付いて居ても良いんじゃけど、ほら。それはそれとしてしたい事があるものじゃろ?
少し背伸びをして顎を上げると、被身子が屈んで
「すっかり積極的なのです。えっちになっちゃいましたねぇ♡」
「うるさい。責任取れ責任」
抱き付き直して、儂も思いっきり腕に力を込める。あくまで素の身体能力のままで。こうするとな、うむ……。冬は温くてちょうど良いんじゃ。どうにも人肌恋しい季節と言うか、何と言うか。寒いのは苦手じゃ。前世ではそうでもなかったのに、今生は文明の利器のせいですっかり寒さに弱くなってしまった。それと、暑さにも。気温に対して軟弱になってしまったのぅ。それもこれも、冷房と暖房が悪い。
……さて。被身子との抱擁を堪能し、少し暖を取ったところで腹が空いて来た。いや、寮に戻る前から腹は鳴っていたんじゃけど、玄関まで漂う夕飯の匂いで余計に腹が減って来たんじゃ。今晩は何かの? 漂う匂いからして、味噌汁が有るのは確実じゃけども。それとは別に、香ばしい匂いが……。
「ご飯にしましょっか。今夜はコロッケなのです」
「お、良いな。かれぇ味か?」
「はい。あとクリームコロッケとエビフライも有るのです!」
「それは、何やら豪勢じゃのぅ」
「クリスマスが近いですから!」
「気が早いじゃろ。まったくもぅ」
まだ
何と言うか、そう。こやつが言う、何でも一緒が良いって気持ちが今なら分かる。
とにかく、夕飯を食べよう。晩飯じゃ、晩飯。儂は腹が減った。まずは腹を満たして、それから風呂じゃ!
◆
飯も食った、風呂にも入った。夕飯はいつも以上に美味かったし、風呂なんて入浴剤入りじゃった。お陰で今宵はもう何もしたくない気分じゃけども、そうも言ってられん。年末が近い故、少し呪具作成を急がねばならん。具体的には、
……それと、武器としての呪具も幾つか作っておきたい。気は進まんが捕縛布やら拡声器やら、
何で相澤なんかの為に、既に作った物を余分に作らねばならんのか。理由は、まぁ分かるけども。恐らく、と言うか間違いなく、心操の為じゃ。なら、やらん理由は無い。何か特別交流が有るなんてことは無いが、それでも子供の為じゃ。ひと肌脱いでやるとする。
ちなみに。被身子は部屋に引き籠って、何かしておる。勉強じゃったら居間でするじゃろうから、勉強とは違うことをしているのかもしれん。多分、編み物じゃの。数ヶ月前に、その手の類の本を儂の前で買っておったし。何なら宣言もしておったわ。なのに、何やら隠しておきたいようじゃ。あやつ、さては何か悪巧みをしとるな? まぁ、駄目とは言わんけど。好きなようにしたら良い。
「や、廻道少女。調子はどうかな? 呪具作成は、順調?」
作り掛けの呪具に呪力を流し込んでいると、湯上がりのおおるまいとが話し掛けてきた。脇に何かを挟んでいるが、これから教師として仕事でもするんじゃろうか?
何にせよ、こやつが寮に居るのは、珍しい気がする。部屋にあれやこれやと荷物を運び込んでいたくせに、寮に居ることが殆ど無いのは如何なものか。まぁ、こやつが居るお陰で楽が出来ているのも事実じゃけど。この筋肉阿保が居なければ、儂は全国を飛び回る羽目になっていたじゃろう。その点は、これでも感謝しとる。
「少し予定とは遅れとるの。那歩島に行かなければ、もっと余裕が有ったんじゃけどなぁ……」
「あぁ、うん……。君も色々と忙しいからね……。そんな君に、悪いんだけど少し大事な話があってね?」
おおるまいとが、畏まった。何か嫌な予感がするのぅ。話を黙って聞いても良いんじゃけど、聞かぬ方が良い気がする。……なので。
「……やじゃ。聞きとうない」
取り敢えず、断ってみる。
「……まぁまぁ、そう言わずに。君には先に言っておかなきゃならないんだ。
雄英は、と言うより全国のヒーロー科が有る学校は、ヒーロー科全生徒の実地研修実施を要請されたんだ。つまり、インターン再開ってこと」
「は?」
……何じゃって? 実地、研修……? いんたぁん? 公安め。そんな要請を出すとは、いったい何を考えて居るんじゃ。それは要するに、学徒動員ってことじゃないのか? 流石にどうかと思うぞ。この時代、
「このヒーロー飽和社会で、ヒーローの数が足りないって暗に公安は言ってる。詳しい事情はまだだけど、多分……泥花市の事で何か有った……んじゃないかな」
「それでね。廻道少女だけはインターン先を前倒しに決めて、ひと足早く現着してくれって要請も有った。本当は元旦からなんだけど、君は二十六日からだってさ」
「は??」
何じゃって? 二十六日から、いんたぁん……じゃと? それは、まぁ……。うぅむ……。いや別に、問題は無い。二十六日から始まるのであれば、前日の
「それで聞いておきたいんだけど、行きたい研修先は有るかな? 一応、君の希望が優先ってことになってるんだけど。あ、これがインターン先のリストね」
「……取り敢えず、寄越せ」
おおるまいとが取り出したのは、一枚の用紙じゃ。手渡されたそれを見てみると、様々な事務所名や
……ざっと用紙を見てみたところ、見覚えの有る名前が多い。この中から、いんたぁん先を選べと?
……うぅむ。何と言うか、気乗りしないのぅ。じゃって、これは公安からの要請じゃろ? つまりそれは、儂に
「そのリストに書かれてるのは、今後窓としても働く事になってるヒーロー達だ。どこを選んでも良いけど、出来れば君が学びたいって思えるところを選んで欲しいかな」
「……学べる事が有るのか?」
「戦闘技術って点ではあまり学べないかもね。でも、それ以外の部分で学べることは沢山あるよ。例えば、エンデヴァーのところね。彼の事務所の方針や考え方は、参考になる」
えんでゔぁ? あやつの事務所で学べることが有る……? んんむ、まぁ……確かにそうかもしれんな。一応、あやつは
「諸々の手続きが有るから、遅くとも二十三日迄には決めて欲しいかな」
「……相分かった。気乗りせんけど、適当に決めておく」
うぅむ……。これは、気乗りしないのぅ。とは言え、公安からの要請を無視するわけにはいかんか。下手すると、総監部からの要請に変わってしまうかもしれんし。まぁ、これについては後で考えるとしよう。取り敢えず今は、呪具作成が先じゃ。二十三日までに決めれば良いわけじゃし、時間は……数日は有るの。一応、寝る前にでも用紙を眺めて考えるとするか。
三人称による補完は要りますか?
-
欲しい
-
要らん
-
良いから一人称で突っ走れ