待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
今日から二日間、被身子と
まず第一に、ながんの同行。これは、いつ何時にながんを介して英雄の呪霊が出て来るか分からないが故……じゃ。あやつが再び姿を現して暴れ出そうものなら、儂が居なければ現状の呪術総監部では対処出来ん。
次に、おおるまいとの同行。正確には、
三つ目。万が一にでも何か儂等に危害が加えられるような事があれば、即刻外出は中止。雄英に連れ戻すそうじゃ。せっかくの
「まぁまぁ。手なんて幾らでもあるのです。こうなることは予測してたので!」
「んむむぃむ! むぅ、むぅう……!」
実家にある、儂と被身子の部屋にて。
儂は現在、被身子の両手で頬を挟まれて好き勝手されておる。ここまでの道中、盛大に拗ねていたのが良くなかったのかもしれん。でもでもじゃって、あんな条件付きでの
「思い通りにならなくて拗ねちゃうのは分かりますけどぉ、それじゃあ勿体ないのです。だからほら、早く機嫌を直してください」
「んぐぐ、んぐ……っ。わか、分かったから……! んぃい……っ」
「拗ねてるヨリくんもカァイイですけど、今日はイヴなんですから。笑顔で居てくれなきゃ、ヤーです。……ねっ?」
言われんでも分かっとるって……! じゃから頬を挟んで弄り回すのは止さぬかっ。これでは何も喋れぬし、そもそも時間が勿体ないじゃろっ。二日間しかないんじゃから、こんな事をしてる場合では……! んっ、んん……。
「んぅ……。ん、んん……っ」
被身子の目を睨んでいると、急に
「ちゅっ、ふふ……。ちゅぅ……」
「ん、んん……っ。こら、ひみ……! んぅ……」
あ、これはいかん。駄目な気がする。このまま押し倒されるまでがお約束じゃ。おいおい、これから
「……ふふ。続きはまた夜に、ね?」
「……」
いかんいかん。煩悩は頭の片隅に追いやるとしよう。早いところ、着替えを済ませて出掛けるとしよう。
それで、今日着る服は何じゃ?
◆
今日は、にっとわんぴ……というのを着せられた。肌色に近い感じの色合いをしたやつじゃ。裾にひらひらした、少し長めの
しかしまぁ、
まぁ、これは性別による差異じゃ。何でも、女子は早い内に背丈が伸びなくなってしまうそうじゃ。ぐぬぬ……。
それはさておき。
「それで。何処に行くんじゃ?」
家を出て、数分。見慣れた道を歩きつつ、聞いてみる。せっかくの
「さぁ? 何も考えてないのです!」
「そ、そうか……」
どうやら被身子も、何も考えては居なかったようじゃ。せっかくの
「今からでも、何か考えてみるか?」
「んーー……それも有りですけど。それよりも先に、これにしましょうっ」
被身子が、儂の前に躍り出た。で、肩からぶら下げている鞄から何やら袋を取り出した。赤と緑の包みで、中に何が入っているかさっぱり分からん。被身子はそれを、何やら悪どい笑みを浮かべながら儂に差し出してくる。なんじゃこれ、何が入ってるんじゃ?
取り敢えず受け取ってみると、軽い。軽くて柔らかくて、何やら大きな物が入っている。……気がする。
「これは?」
「クリスマスプレゼントですよぉ。夜なべして作りました!」
「そ、そうか。……開けても良いのか?」
「はい、今開けちゃいましょう! 寒いので!」
贈り物は明日の晩に、と考えていたんじゃけども。どうやら被身子は、今渡したいようじゃの。儂も持って来るべきじゃったかもしれん。被身子の目に付かぬよう、押入れの中に隠すのは良くなかったか……? いやしかし、今朝渡すのは気が早い気がしたんじゃよなぁ。
「じーーっ」
……。被身子が早く開けろと目で急かしてくるので、包みを開いて中身を取り出してみる。今年は、いったい何を用意したんじゃこやつ? 直前に悪どい笑みを浮かべていたから、多分ろくでもない物じゃ。頼むから、変な物を贈ってくれるなよ? 反応に困るんじゃ。
包みの中に入っていたのは、赤い毛糸の布。これはあれじゃ、襟巻き……じゃの。長い。いや、これ……やたらと長いの……? 襟巻きは長いものじゃけど、それにしたってこれは長過ぎると儂は思うんじゃけど??
「……これ、長くないか?」
「んふふ。それはぁ、こうする為ですよぉ♡」
半ば奪い取るような形で儂の手から襟巻きを奪った被身子は、手早く儂の首に手製の襟巻きを巻いていく。案の定、盛大に余っている。これでは地面まで届いてしまいそうなんじゃけど? 襟巻きにしては、長過ぎるじゃろこれ……。編み物を頑張っていたのは知っとるけど、じゃからってここまで長くする必要がいったいどこに……。
と、思っていたら。盛大に余っている部分を、何と被身子は自分の首に巻き付けおった。その後儂の手をしっかり掴んで、嬉しそうに笑っている。何じゃもぅ。こんな事がしたかったのか? 確か昔……小さい頃の冬にこんな真似をされたような気がするの。あの時は中々窮屈じゃった気がしたが、今はそうでもないの。襟巻き自体の長さが、かなり長いからじゃろうか?
「今日も明日も、外ではこれで過ごしましょうね……♡」
「……まったくもぅ、仕方ないんじゃから」
「そうですよ? トガは円花ちゃんとくっ付いてないと、駄目駄目な女の子なので!」
いや、そんな事は無いと思うが。むしろ儂の方が、被身子とくっ付いていないと駄目な気がしてならん。いや別に、儂はぽんこつではないけれど。断じてぽんこつではないが、それでも被身子と一緒に居なければ落ち着けん。出来ることなら未来永劫、こやつの隣に立って居たいと思っとるけど。
……いかんな。どうにも、胸中が被身子ばかりで占められてしまう。良いけど。今日と明日は、他の事なんて全部忘れて被身子との
それにしても……。あったかいな、この襟巻き。首元が温い。被身子も近い。それだけで、心まで暖かいような気がする。
「まずは、適当に歩きましょうか。何をするかは、追々決めれば良いのですっ」
「……ん。では、そうするかのぅ」
被身子の腕を抱いて、歩き始めるとする。時間はたっぷり有るからの。ひとまずは宛もなく散歩でもして、それからどうするかを決めて行くとしよう。
視界の端に蠅頭が見えたが、放って置くとする。呪術師としてどうかとは思うが、儂個人としては今は何よりも被身子優先じゃからの。
今日と明日は!
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ