待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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逢瀬の時間。天象儀

 

 

 

 

 

 

 天象儀(ぷらねたりうむ)に、やって来た。今は恋仲座席(かっぷるしぃと)、とやらに被身子と二人で寝転んで天井を見上げている。受け付けで貸し出されていた毛布を二人で使って、隙間なく添い寝するかのような形で。

 天井には、映像の星空が映し出されている。室内なのに、目に映るのは夜空。何とも変な体験じゃの。これのどこが楽しいのかは、あまり分からん。分からんけど、被身子と寝転べるのは悪くない。ちょっとした休憩には良いのかもしれんな、天象儀(ぷらねたりうむ)。どういう意図がある体験提供なのかは、いまいち分からんままじゃけど。

 

 ……それはそれとして。この天象儀(ぷらねたりうむ)には、ながんとおおるまいとも来ている訳じゃ。寝転ぶ前に、視界の端で寝転ぶ筋肉阿呆の姿が見えた。いや今は、骸骨阿呆か……? 何で脱力すると萎むんじゃろうな、あやつ。(まこと)に同じ人間か……? そして、ながんの姿は見えなかった。多分、儂の目に入らぬ座席にでも居るんじゃろう。

 

「星空をまじまじと見る機会なんて、そうそう無いですよねぇ……」

「そうじゃの。……これ、楽しいか?」

「んーー……。まぁ、少しは……?」

 

 どうやら、そこまで楽しめては居ないらしい。どうやら天象儀(ぷらねたりうむ)は、逢瀬(でえと)には向かんらしいの。儂等からすれば、じゃけども。星空を見上げること自体は、悪いとは思わん。思わんけど、室内で映像としての星空を見上げるのは何と言うかこう……居間で寝転びながら受映機(てれび)を見ているのと変わらん気がする。そう考えると、わざわざ外でやることとは思えんのぅ。

 まぁ、暖房は快適じゃし毛布も有るし、少しばかりの昼寝をするには持って来い……か? 映像の為に周囲は真っ暗闇なわけじゃし。

 

 ところで、被身子。さっきから儂の左手を弄り回すのは止さぬか。変に擽ったいじゃろ。仕返しに被身子の手を弄り返すと、しっかりと左手を掴まれた。それも両手で。

 

「んふふ。まぁ、寝転んでイチャイチャ出来るって思ったら悪くないですね……♡」

「せくはらは無しじゃぞ?」

「それはヨリくん次第ですっ」

 

 仰向けから横向きに姿勢を変えた被身子が、儂の肩に頭を乗せてきた。左腕は、繋いだまましっかりと抱き締められている。どころか、足まで絡めて来おった。まったく、思いっきり甘えおって。仕方ないから右手で頭を撫でてやると、嬉しそうに息を漏らしおった。こやつと来たら、いつまでもいつまでも甘えたがりなんじゃから。もはや星空の映像から興味が外れている。天象儀(ぷらねたりうむ)に行きたいと言ったのはお主のくせに。

 

「……くぁあ……っ」

 

 んん……。んむ、眠くなって来たの。じゃって退屈な上に、こうも被身子が密着してるんじゃもん。これでは眠くなって当然。いや、眠くならん方がむしろおかしいってものじゃ。

 ……。寝てしまうか? この退屈な映像が終わるまで、どのくらいの時間が掛かるかは分からん。分からんけれど、まぁ少しの昼寝ぐらいは出来るじゃろ。いやしかし、逢瀬(でえと)の真っ最中に寝てしまうのは被身子に失礼なのでは……?

 

「今の内に寝ちゃっても良いですよ? 今日明日は、寝かせないので♡」

 

 ……。……まぁ、そう言うのであれば。少し、少しだけ寝てしまうか。どうせ寝かせては貰えないと分かっては居たが、改めて宣言されると……こう。その、変に期待してしまうじゃろ。被身子のへんたい。阿呆、えっち。まっこと、体が持たん。でもまぁ、それも良いと思ってしまってる儂も儂か。すっかりそういう行為に耽溺(たんでき)してしまってるのぅ。じゃって幸せなんじゃもん。こんな幸せがあるなんて、前世では気付かんかったし。

 

 じゃからまぁ、仕方ない仕方ない。

 

 と、言うことで。被身子の許可も出たし寝てしまおう。深夜に大変なことになるけども、聖夜前日(くりすますいゔ)なんじゃから良しとしよう。

 

 しかしそれはそれとして。何でお主はこう、儂を寝かし付けるのが上手いのか。……ふわぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よく寝た。いやもう、まっことよく寝た。天象儀(ぷらねたりうむ)の上映……投影時間? は、一時間も無かったのに半分以上は寝てしまった。暖房がちょうど良かったとか、毛布が良い具合じゃったとか、被身子が寝かし付けてきたとか、まぁ細かな理由は幾つか有るが……それにしたって寝過ぎた気がしないでもない。儂が寝てる間、被身子は何をしてたんじゃろうな? 何となく想像は出来るが、わざわざ聞くのは止しておこう。どうせ「円花ちゃんの寝顔を堪能してたのですっ!」とか、言いそうじゃし。

 

 とにかく。天象儀(ぷらねたりうむ)の鑑賞は済んだ。まぁ儂は殆ど寝てたんじゃけど、それは良しとする。で、建物から外に出たわけじゃ。そろそろ日が暮れ始める時間で、薄暗くなりつつある。

 

「晩ご飯は何処かで食べてきます? それとも、お家で?」

「んんむ……。家が良いのぅ」

 

 外食はな。こう、どうしても微妙じゃから好ましくない。せっかくの逢瀬(でえと)なのに被身子に夕飯を作って貰うのは気が引けるが、外か家かと問われたら家と答えざるを得ないと言うか、何と言うか……。

 

「はぁい。じゃあ、帰りにスーパーでも寄りましょっか!」

「うむ。そうしよう」

「ヨリくん、外食嫌いですもんねぇ。そんなに私の手料理が食べたいんですか?」

 

 隣を歩く被身子が、頬をつつきながら聞いてくる。意地悪い笑みを浮かべおって。さては意地悪のつもりか? じゃとしたら、それは全然意地悪になってないぞ。儂は事実を述べてるだけじゃし、これは別に恥ずかしがるようなことでもない。

 

「そうじゃけど。悪いか?」

「ぜーんぜんっ。私の料理が一番って思ってくれるのは、嬉しいですから!」

 

 至近距離で、被身子が笑う。それが嬉しい。やはり儂は、こやつの笑顔が一番じゃ。それ以外は、まぁ殆どを投げ捨てても良いと思えるぐらい。それだけ被身子に夢中になっとるのは、今更確認するような事でもない。と、分かっていてもじゃな。やはりこう、笑顔を見せられるとな。こう……。

 

 ……好きじゃなぁ……。

 

 と、しみじみ思う訳で。そしたら、自然と頬が緩んでいく訳で。

 

 何でこう、日々愛しくなってくんじゃろうな。愛されて、愛して、お陰で胸がいっぱいになることもしばしば。被身子もこんな気持ちになるんじゃろうか? じゃとしたら、それは……嬉しいけども。なんて考えつつ、被身子を見詰めていると。

 

「んっ」

「んん……」

 

 接吻(きす)された。今日は何と言うか、人前でしてばかりな気がする。人目なんて気にならんけども、自制が足りとらんぞ自制が。求められたら直ぐ応じてしまう悪癖を植え付けられたような気がしないでもない。

 まぁ、別に良いか。恋人で許嫁なんじゃから。公序良俗を守らなければならん身では有るが、そんなものはとっくの昔に投げ捨てた気がするの。こんな場面を教師に見られたら、後で色々と喧しい気がしてならん。……って、あっ。そう言えば、おおるまいとが遠巻きに儂等を護衛しとるんじゃった。つまり、今日一日は教師に目撃されていたと言うことで……。

 

 ……。……後で口止めしておこうかのぅ。相澤や根津校長の耳に入ったら、被身子の特待生が危うい。下手したら剥奪される。いかんぞ、それはいかん。それだけは避け……、……なくても良いか。最悪、儂が被身子の学費を支払えば良いだけの話じゃ。うむ、そうしてしまおう。で、そう考えたら何も気にしなくて良い事に気付いた。何で逢瀬(でえと)なのに、人目を気にする必要が有るのかとも思う。

 

 よし、決めた。人目など知らん。接吻(きす)じゃろうと抱擁(はぐ)じゃろうと、何も気にする必要は無い。流石にせくはらは駄目じゃけど、それ以外なら別に何をされたって構わん。儂も、したい事をしよう。

 

 と、くれば。

 

「よっと」

「わひゃあ!? ま、円花ちゃん……!?」

 

 思いっきり抱き付いて見た。普段被身子が儂にしているように、押し倒しそうなぐらいの勢いで。まぁ本気で押し倒すつもりは無いので、勢い良く抱き付いて見せたってだけなんじゃけども。

 

「良いじゃろ、抱き付いたって。それとも嫌か?」

「嫌じゃないですけどぉ……。えへへ、急に飛び付いてくるんですもん。びっくりしちゃう」

「くりすますぐらい良いじゃろ。ほら、お主は?」

「はぁい。今日のヨリくんは甘えんぼですねっ」

 

 いやいや、お主と比べたら全然じゃ。全然。そんな事を言っとらんで、儂を抱き締めんか。ほれほれ、早くしろ早く。何か視界の端でながんとおおるまいとが呆れている気がするが、知ったことじゃない。今日明日は、せいぜい儂等に振り回されて居てくれ。

 

「今日も明日も、たぁくさんイチャイチャしましょうね」

「もちろん。覚悟しておけよ貴様」

「えー? 覚悟するのは円花ちゃんの方ですよぉ。たっぷり負かせてあげるのです♡」

 

 は? 負けるのは被身子の方じゃけど? お主、いつまでもいつまでも儂に勝ち続けることが出来ると思うな。途中で泣いたって加減してやらんからな?

 

 今日も明日も、覚悟しておけっっ!!

 

 

 

 

 

 






プラネタリウムでこっそり致しちゃうって√も思い付きましたが流石に自重しました。
オールマイトとナガン、バカップルのデートをひたすら見守る羽目になってますね。あーあ、可哀想に(すっとぼけ)

三人称による補完は要りますか?

  • 欲しい
  • 要らん
  • 良いから一人称で突っ走れ
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