待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
拗ねる被身子を宥めるのがどれだけ大変なのか、おおるまいとは分かっとらん。この筋肉阿呆の骸骨阿呆め。あれやこれやと代替案を提示して、悉く被身子の機嫌を損ねおって。結局のところ、儂と一緒に居られる選択肢を提示しなければ意味が無いんじゃ。
拗ねるに拗ねた被身子を車の後部座席で宥め続けた儂は、やっとこさ雄英に帰って来れた。車ならば、実家からそう遠くない筈なのにやけに時間が掛かったような気がする。いや、思い返してみればあっという間じゃったかもしれん。じゃって、被身子を宥めるのに忙しかったんじゃもん。
最終的に、何とかして毎日寮に戻ることを約束して一旦は決着した。ついでに、時間が有れば電話もする。更に言うと画面通話じゃ。とにかく顔を見せてくれなきゃ嫌、とのことでのぅ。まったく、少しぐらい我慢してくれと思う。まぁ気持ちは分かるんじゃけども。じゃって、儂も被身子から離れたくない。可能ならば共に来て欲しい。しかし現実はどうにも離れ離れになるしかなくて……。うぅむ……。
ま、まぁとにかく。何とか被身子の機嫌を取ることが出来たから良しとする。すっかり束縛されてしまっている気がするが、これが意外と悪くない。それだけこやつに執着されていると思うと、何じゃか喜ばしいと言うか、何と言うべきか。
「あ、廻道! 来てくれたんだ!?」
「廻道ちゃんに渡我先輩! クリスマスパーティーしようよ!」
「何かごめん。二人で楽しんでるだろうから、そっとするべきだったかも……」
寮。と言っても
じゃけど、まぁ。くらすめぇと達に用が出来てしまったからの。後回しにするべきじゃったかもしれんが、さっさと済ませてしまいたいのも事実じゃ。被身子と二人で観光ぴぃあぁる動画を見るのは、何かこう……心細いと言うか。動画の出来によっては、笑い話にもならんかもしれないからの。しかし大人数で見てしまえば、仮に酷い出来じゃったとしても笑い飛ばせるかもしれんし。
要するに。儂等は那歩島の神主から届いた爆弾処理の為に、くらすめぇと達を巻き込みに来た。ってだけのことじゃ。じゃから耳郎。別に申し訳無さそうな面をする必要は無い。がははは! ……はぁ……。
ところで。居間に居る連中は全員、さんた服姿じゃな? それと、何じゃか良い匂いもする。そろそろ夕食の時間じゃからの。その用意を、誰かが食堂でしてるんじゃろう。
「まぁお邪魔虫なのは事実かもですけど、私も円花ちゃんもみんなに見せたいものがあったので!」
「見せたいもの? ……何かしら?」
「物理的に絡むのはあかんよ……? コウジョリョウゾク!」
「いや、そうではなくてじゃな? 那歩島で撮った動画が届いたってだけじゃ」
「そうなんですよぉ。編集済みのやつが此処に届いたのです!」
いや、被身子。
「マジマジ? 動画出来たのか……!」
「暗黒儀式の布教、か……」
「動画つっても廻道メインだよな? 映ってねー奴居たりして……」
「あ゛? 余裕で映っとるに決まってんだろ! こっち見んな醤油顔!!」
居間で
「どうせならパーティーしながら見ましょうねぇ。あ、モモちゃんモモちゃん。私と円花ちゃんの分もサンタ服創ってください!」
「そう言われると思いまして、二人の分も用意して有りますのよ」
「やったー! コスプレしましょうっ!」
……えぇ……? 儂も着るのか……?
……。……まぁ、良いか。どうせじゃから着るとしよう。なんかこう、暖かそうな服じゃからの。色も赤いし、悪くない。では一旦、殆どもぬけの殻となっている部屋に向かうとするか。着替える為に。
ええっと……。確か部屋は、あっちじゃったっけ?
「もぅ、こっちですよこっち。方向音痴なんですから……!」
「い、いや。久々じゃから忘れたってだけじゃ。儂は方向音痴ではない……!」
「どの口が言うかなーそれ。ほんっと廻道って……」
「雄英一の方向音痴だよねっ!」
は? 誰が雄英一の方向音痴じゃ……! 断じて違うぞっ。確かに道に迷い易いかもしれぬが、幾ら何でも雄英一は無いじゃろっ。儂以上に迷子になる輩が居るかもしれないじゃろうが、まったく……!!
「じゃあトガと円花ちゃんは着替えてくるので! あ、料理は手伝うので任せてくださいっ」
「儂も何か手伝」
「廻道さんは手伝ったらあかんよ!?」
「円花ちゃん。円花ちゃんは大人しく座っててくれたらそれで良いのよ」
「廻道に料理なんてさせたらクリスマスに死人が出るって」
「ほんとそれ。もしかして廻道、あらゆる音痴なんじゃない?」
「き、貴様等……!!」
何でどいつもこいつも寄って集って、儂を糞味噌に言うんじゃっ!! 儂じゃって料理ぐらい出来るが!? こ、こうなったら儂にも料理が出来ると分からせるしかないのぅ……っ! 今に見てろよ貴様等っ。後で謝ったって許してやらんからな!!?
◆
うどんを! 作るっ!
何故
「ほんっっとうに廻道が作るの!? 駄目じゃないっ!?」
さんた服の上に
「クリスマスに食中毒は洒落になんねーって……」
……瀬呂。しっかり聞こえたからな? 許さんっ。
「渡我先輩! 廻道くんを止めてくださいっっ!!」
飯田! 聞こえとるぞ貴様っ!! 許さん!!!
「い、いやでも廻道さんだって日々成長してるかもしれない……んじゃないかな……??」
「先輩が見張ってるなら大丈夫じゃねぇか? 廻道、手伝うか?」
「……よし緑谷、轟。お主等は手伝え。あと被身子以外は台所から出て行けっ。うどんなら作れるが!?」
緑谷と轟は分かっているようじゃから、今回は許してやろう。今回はな。次にまた儂に料理は作れんなどと宣ったら、台所から叩き出してくれる……!!
「暗黒物質の再来……」
よぅし、常闇! この鳥頭っ! 目にもの見せてくれるわっ!!
どいつもこいつもふざけおって……!! 今に見てろよっ。謝ったって、絶対に許さんからな!?
「渡我先輩、お願いだから止めて……! 廻道さんを止めてっ!」
「意固地になった円花ちゃんはちょっとやそっとじゃ止まらないので、無理ですねぇ……。ずずずっ」
「何で平然とお茶を飲んでるんだ……!!」
「……いや! でもよっ!? ここは信じて待つのが漢らしい選択ってもんじゃねぇか!?」
「止めた方がよっぽど漢らしいんだわクソ髪。俺は食わねえからなクソチビ!」
うるさい! 喧しいっ! 黙って待っとれ、このたわけ共っっ!!
許さんぞ、許さんからな……!!
こんな連中は放っておいて、うどん作りに着手しよう。まずは、寸胴に水を貯めるところからじゃ。それから昆布入れて放置して、それが済んだら鰹節を山程入れて、火に掛けながら出汁を取るっ。手順はしっかりと記憶してるんじゃから、何の問題も無いっ。無いったら、無い! 一度に二十人分を作ったことは無いが、手順を覚えてるなら大丈夫じゃっっ!!
「渡我先輩。本当に大丈夫ですか……? 緑谷や轟が手伝うとはいえ、廻道に料理をさせるのは愚策なのでは……」
「まぁ、どうなるかは火を見るより明らかですけど。思う存分ポンコツさせてあげるのです」
は? おい。おい、被身子っ。儂がうどんを作れるのは知っとるくせに、何じゃ今の発言は……! 誰がぽんこつじゃって!? 幾らお主でも、今の儂をぽんこつ扱いするなど……!!
あと、常闇っ! 貴様だけは絶対に許さんが!!? それと……!!
「料理の邪魔じゃから出て行けっ! このたわけ共が!!」
被身子以外は、食堂の外に追い出すとしようっ。全員、今直ぐ出て行け! 視線も声も鬱陶しいんじゃ!!!
円花、顔真っ赤で料理するってよ。まぁどうなるかは、トガちゃんの言う通り火を見るより明らかです。
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ