待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
まさか二度も座敷牢に入る羽目になるとはの。まぁ二度目については、直ぐに脱獄したんじゃけど。ついでに新たに首からぶら下げる羽目になった
……結果。座敷牢に被身子と二人で放り込まれてしまったんじゃけどな。それでも、我ながら上手いことやったと思う。その代償として座敷牢に入る羽目になったのと、被身子がくっ付いて離れなくなってしまったが。今なんて、居間の
そもそもお主なぁ。常闇に嫉妬し易過ぎるじゃろ。ただの友人じゃって何度言えば分かってくれるのか。儂の性自認が男だと知ってるんじゃから、万に一つも無いんじゃぞ? まったく、仕方のない奴めっ。
「で、では。準備が出来ましたから、例の那歩島観光PR動画を上映致しますわ」
「念の為に伝えておくが! 気が変わって自分の姿を使って欲しくないと思ったら遠慮なく言ってくれ! 渡我先輩がボツにしてくれるそうだ!!
それと、上映中はお静かに!!」
「みんな分かってるよ、現状お前が一番うるせーって」
さて。
誰か……と言うか飯田が居間の明かりを消すと、映写機が動き始めた。天井から吊るされた白い投影布に、映像が映し出される。
まず映像として映し出されたのは、海じゃな。どうやって撮ったのかは知らぬが、移動しつつ海面を真上から撮っているようじゃ。その後、自然に画面が切り替わり那歩島の……遺跡が映し出された。と思ったら、見覚えのある祠が映ったの。そしたらまた画面が切り替わって、今度は夜空。で、下から見上げた鳥居。ゆっくりと映るものが変わって行き、祭りの様子が映し出された。と思ったら画面の真ん中に、儂じゃ。被身子と手を繋いで歩いている。が、被身子の姿は手しか映っとらん。反対側に居た筈の緑谷も、映るのは背中とか左腕ぐらいじゃ。
短い合間を置きつつ、画面が切り替わり続けていく。儂が射的をしていたり、水風船を釣っていたり、綿飴を食べてたり。画面に映らぬ被身子と談笑してるところもあった。場面ごとにそれぞれ表情が違うが、確かなのは儂が楽しんでいるということ。
……と言うか、おい。おい神主。これ、映ってるのが儂ばかりなんじゃが? 祭りを楽しんでる儂ばかりが映っとる。腕とか足とか後ろ姿なら、くらすめぇと達や島の住民が映り込んでいるようじゃが……。
画面が再び切り替わる。ってこら、神主。神社の
……って、部屋が明るくなったの。ということは、映像はこれで終わりか? そ、そうか……。
「……ええっと……。皆さん、どう思います……?」
八百万が困惑してるのも、無理はない。何なら全員困惑しとるぐらいじゃし。
「ただのガチ恋距離映像じゃん! 廻道ちゃんの!!」
「これが観光PRになるの??」
「画角外の渡我先輩とイチャイチャしてるだけって……」
いや、うむ……。まぁ、その通りなんじゃけど。映像に映らぬ被身子と、ただ儂が
まぁ……。こんな映像で観光ぴぃあぁるになると思うなら、好きにしたら良いんじゃけど。ただ、この動画を使われるのは何じゃか酷く気恥ずかしい感じがする。
「……被身子はどう思う?」
「円花ちゃんがカァイイだけの動画なのです。ちゃんと映ってるのは円花ちゃんだけですし、私にしか需要が無い……って訳でもないですけどぉ……」
「そうなのか……?」
「んー。ほら、円花ちゃんと私ってネットで有名ですから。体育祭の時の動画、未だに再生されてるみたいですし」
……えぇ……? まだ残ってるのか。いんたぁねっとについてはよく分からんが、被身子の言ったことが良くないのは分かる。未だに再生されてると言うことは、未だに見る奴が居るってことじゃよな? 何で未だに、見ようと思う輩が居るのか。どうかしとるしか思わん。
と言うか。あれが見られ続けるのか。まっこといかんのでは? おい、どうにかする方法は無いのか……??
「で、どうしますこれ? ボツにします?」
「……そうしてくれ。駄目じゃろこれ」
この動画は……何と言うか、色々と不適切な気がする。何故被身子と
「じゃあボツって連絡しときますね。それはそれとしてこの動画はトガが個人的に保管しますけど」
「は?」
「んふふ、良いじゃないですか。思い出ですよ思い出っ」
「……まぁ、好きにしろ。儂は知らん」
動画の出来はともかくとして、何か被身子が喜んでるのは事実じゃ。その点については、あの神主を褒めてやらんでもない。しかしなぁ、いったい何を考えてこんな動画を作ったんじゃあやつ。これは理解の外じゃ。何なら理解したくもない。一つ確かなのは、とんでもないものを見せられたってことだけじゃ。
「そういやよ、廻道はインターン何処行くんだ?」
「……何じゃ切島。こんな時に」
「またオールマイトのところかしら? でも円花ちゃん、呪術師の方で忙しいものね……」
よく分からん動画鑑賞……まぁ
それに。儂はもう
「いや、えんでゔぁの所じゃな。ひとまずは、じゃけど」
「親父の所に? ……何でだ?」
「まぁ、色々とな。お主は何処じゃ?」
「俺もエンデヴァーだ。赫灼について、まだまだ教わらねぇと」
……既に体得しているのに? いやまぁ、技を体得したからと言ってそこで終わりって訳でもないが。洗練は続けるべきじゃからの。でなければ腕が錆び付くってものじゃ。
にしても。轟はえんでゔぁの事務所に行くのか。良くもまぁ、あんな奴の下で学ぶ気になれるものじゃな? お主、あやつ嫌いじゃろうに。こうなったら、あの燃え面を先んじて呪っておくか……?
「おオい!! 清しこの夜だぞ!! いつまでも学業に現ぬかしてんじゃねーーーー!!!」
ぬおっ。峰田が机を叩いて叫びおった。しかしその言い分は、分からなくもない。儂も
「そうですよぉ。せっかくのクリスマスなんですから、学業は抜きにして楽しまないと損なのです!」
「……そうじゃな。ほらお主等も、くりすますを楽しまんか」
まぁそれで言うと、儂はそろそろ寮に戻りたい気もするが。騒々しいのも良いが、やはり被身子と二人きりで過ごしたいものじゃ。此処に居ると、また座敷牢に放り込まれてしまいそうじゃし。
「んふふ……。今晩も、たっぷり愛し合いましょうねぇ♡」
「んぅ……っ。こら、被身子……!」
耳元で囁くなっ。それ以上せくはらしたら、また座敷牢に放り込まれてしまうじゃろっ。
って、こらっ。音を立てて耳に
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ