待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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聖夜の告白。

 

 

 

 

 

 

「楽しかったですね、クリスマスパーティー!」

「そうじゃな。楽しかったのぅ」

 

 寮に帰って来た。で、今は居間の椅子(そふぁ)の上じゃ。すぐ風呂に入って部屋に戻っても良かったんじゃが、儂も被身子も少し休憩したい気分での。この後でする事を考えると、少しぐらいはゆっくりしたい。

 

 懇親会(ぱぁてぃ)は、楽しかったと言える。それは間違いない。何度も座敷牢に入れられた件については反省した方が良いかもしれんが、今日ぐらいは許して欲しいと思わなくもない。じゃって、今日は何と言うか我慢出来ないんじゃもん。聖夜(くりすます)ぐらい、浮かれてしまっても良いじゃろう?

 くらすめぇと達やえりとの懇親会(ぱぁてぃ)はもう終わり、後はもう被身子との時間じゃ。夜はとっくに更けているけども、それでもまだ寝るつもりはない。明日の準備については一切考えておらん。と言うか、考えたくない。

 

 明日から儂は、くらすめぇと達より一足早く実地研修(いんたぁん)に赴く。公安からの、そして総監部からの要請でもある。英雄(ひいろお)達に呪術師としてあれこれ教えるのはただただ面倒なんじゃけれども、残念ながらやるしかない。呪術師の人手不足を解消することは出来ぬが、窓を用意することは不可能ではないからの。気は進まんが、それでもやるだけやってみるとしよう。英雄(ひいろお)が窓になったとして役立つのかは甚だ疑問じゃけど、まぁ役に立たんのならその時はその時じゃな。

 

「……何考えてるんですか?」

「ん? ……いや、少し明日の事をじゃな?」

「明日からインターンですもんね。でも、今は私だけ考えてて欲しいなぁ……なんて」

 

 隣に座る被身子が、ずいっと寄って来た。儂の肩を掴んで、頬に手を添えて。顔が不満を訴えておる。どうやら儂はまだ、明日の事を考えてはいかんらしい。

 ……仕方ないのぅ。明日からの事は、明日になってから考えるか。寝てしまうまでは、被身子だけに構うとしよう。儂もそうしたいし。

 

 じゃから。一度、接吻(きす)をする。居間には儂と被身子しかおらん。誰の目も無いんじゃし、少しぐらいは求め合ったって良いじゃろう。あんまり盛り上がるようなら、部屋に行かなければ駄目じゃけど。くらすめぇと達なら座敷牢に放り込むだけで済ませてくれるが、相澤に見られたら何を言われるか分からんからの。流石に場所は選ばねば。まぁ、選べる時は……じゃけどな。

 

「こらこら、被身子」

「んー……っ。良いじゃないですか。甘えさせてください」

 

 椅子(そふぁ)の上に押し倒されたわ。特に抵抗しないで居ると、被身子は儂の上に寝そべって来た。胸の上に頭を乗せて、じっと儂を見詰めてくる。じゃから手を伸ばして頭や背中を撫でてやると、柔らかく微笑んだ。まっこと、甘えんぼなんじゃから。良いがな。かぁいいもんじゃし。

 

「えへへぇ。ヨリくんって、撫で上手ですよね」

「……そうか?」

「そうですよぉ。こうやって撫でてくれると、安心するのです!」

「何じゃもぅ。このぐらい、幾らでもしてやるぞ?」

「そうやっていっぱい甘やかされると、骨抜きになっちゃいます」

「なったら良いじゃろ。お主のことは、儂が支えてやる」

 

 人に聞かせられん気恥ずかしい会話をしている気がする。が、今は二人きりじゃからそれも良いじゃろう。言葉を伝え合って、心を寄せ合って。そういう時間も、きっと大切じゃ。肌を重ね合わせるのも良いが、こうして被身子と密着しながら話す時間も儂は好きじゃと思う。大抵は突拍子もない言動に振り回されるけども、それはそれじゃ。

 何だかんだで、儂は被身子が好き過ぎる。少しどころか、かなりどうにかしてしまっている。

 

 じゃけど、そんな日々が愛おしい。こんな日々が永遠と、それこそ最期まで続けば良いと思ってしまう。それだけ儂にとって、被身子は大切で。

 

 こんな風に思ってしまう程、こやつには絆された。身も心も捧げたつもりなのに、もっとそうしたいと思ってしまう。決して譲れぬものも儂の中には有るけれど、それと同じぐらい被身子が愛しくて。……あぁ、もぅ。

 

「……だ、大好き……じゃ。お主が愛しくて堪らん」

「……!」

 

 気恥ずかしい。けど、言いたいから言ってみた。そしたら被身子は目を丸くして、それからゆっくりと笑顔になっていく。あ、いかんなこれ。まっこと、いかん。

 聖夜(くりすます)に愛を囁くのは、来年からは止しておいた方が良いのかもしれん。気を付けるとしよう。でないと、ほら。

 

「はいっ! 私も、私も大好きで愛してますっ!」

 

 被身子に火が点いてしまうから。際限無く気分を高めて、止まらなくなってしまうんじゃ。

 

 ……じゃけど、まぁ……。そんな被身子も好きじゃなって、思ってしまう。なので、ここからはもう……身を委ねるとする。後で大惨事かもしれんけど、それはそれじゃ。被身子の学費は、どうせ儂が払うからの。

 

「んふふっ。お風呂入って、部屋に行きましょうか♡」

 

 良かった。そのくらいの理性は、まだ残ってるようじゃ。

 

 この後。儂は被身子と、それはもう大いに盛り上がった。気が付けば朝日が出そうな時間になっていて、寝たのは朝の四時前じゃった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ね、眠い……!

 

 昨夜はたっぷり被身子と求め合ったからのぅ。そのせいで、すっかり寝不足じゃ。今日から実地研修(いんたぁん)が始まるというのに、儂は今日一日を寝不足で過ごさなければならん。我ながら馬鹿な真似をしたと反省中じゃ。今後は気を付けねばならん。実際に翌日を考えて自重する……なんて真似が出来るかは分からんけども。結局のところ、駄目かもしれん。駄目じゃと思う。

 布団の誘惑を何とか振り払い、無理矢理体を起こす。そしたら、少し目が回った。いかんいかん、貧血じゃこれ。反転術式(はんてん)を回して、血を補充する。……よし、大丈夫じゃ。疲労感が凄まじいが、動かねばならん。次に寝るのは、……そうじゃな。車に乗ってからじゃ。えんでゔぁの事務所まで、車で向かうことになっておる。後ろの座席で横になって寝てしまおう。それと昼寝もしたい。今晩は流石に、自重しておこう。被身子も昨晩は満足してくれたじゃろうし、今晩はゆっくりと眠って明日に備えねば。

 

 ……さて。一度服を着て、それから灌水浴(しゃわぁ)じゃ。で、今度は制服に着替えて……朝飯を食べよう。って、んん……? いつもならしてくる朝食の匂いがしない。となると、被身子はまだ……。

 

「ぅ、うぅ……」

「……被身子?」

「んん、んぐぐ……っ」

「おい、どうしたんじゃ……?」

 

 儂の隣で横になったままの被身子が、呻いている。頭を抱えて、枕に顔を押し当てて。……様子がおかしい。肩に手を置いて、少しだけ揺さぶってみる。そしたら被身子は、僅かに顔を動かして儂を見た。顔色が酷く悪い。すっかり憔悴してしまっている。

 

「大丈夫、ではなさそうじゃの……。風邪か?」

「っっ、うぅう……。頭、ガンガンして……うぅ!」

 

 風邪……のように見える。なのに、今の被身子に酷く違和感を覚える。こやつとて、たまには風邪を引く。でも大抵は熱を出して動けなくなるぐらいで、こんなに顔を青くして苦しんでる姿は見たことがない。

 どうも、様子がおかしい。が、何故そう思うのかは分からん。とにかく、儂がやるべきことは一つじゃ。

 

「医者を呼んでくる。服は着れそうか?」

「ん、ぐ……っ。無、りぃ……っ。痛くて、痛くて……っ!」

「分かった、着なくていい。そのまま布団の中に居てくれ」

 

 風呂に入っている場合ではない。畳の上に脱ぎ散らかした浴衣を手早く着て、直ぐに部屋を出―――。

 

「ちょうど良いタイミングみたいね……」

「……、母?」

 

 部屋から出ようと扉を開けば、そこに居たのは母じゃった。おい、何で此処に居るんじゃ? いや、それは良い。姿を見せてくれたのなら、それはそれで助かる。

 

「風邪みたいじゃ。儂は医者を呼ぶから、母は被身子を」

「……そうね。お医者さんを呼んだら、貴女はインターンに行きなさい。良いわね?」

「いやでも」

「今日は私が看病するから、行きなさい。大丈夫よ、夜には治ってるから」

「しかしじゃな、被身子を放って置くわけには」

「良いから。円花に出来ることは何も無いの。黙って私に任せなさい」

 

 ……いや、しかし……。今の被身子を放って実地研修(いんたぁん)に行くつもりは無い。明らかに様子がおかしいんじゃ。とにかくまずは医者を呼んで、それから教師や総監部に実地研修(いんたぁん)を一日遅らせると言おう。

 

 

 

 この日。儂は自分がして来た軽率な真似を、酷く後悔することになった。過去へと戻れるなら、儂は儂を殴りたい。いや、殺してしまいたい。むしろ今、自分で命を絶った方が良いとさえ思える。

 

 

 何でじゃ? どうして?

 

 

 どうして儂は、こうなる事を予測しなかった!?

 

 

 

 

 








トガちゃんに仕込んでた爆弾をここで爆発させます。これは作中最大の円花のやらかしでもあります。いったい何が起きたんでしょうねぇ(すっとぼけ)

三人称による補完は要りますか?

  • 欲しい
  • 要らん
  • 良いから一人称で突っ走れ
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