待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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渡我被身子:アダプト

 

 

 

 

 

「――子……!」

 

 ん……。んん……。

 

「被身―――!」

 

 んんん……。んぅ……。誰か呼んでます。真っ暗闇の中で、誰かが私の事を。まぁ誰か、なんて分かってるんですけど。ただどうにも頭がぼーっとして、閉じてる瞼を開きたくないだけで。だって、凄く疲れちゃったから。でもでも、どうにかこうにか目を開きます。あ、眩しい。電灯の光って、すっごく眩しいのです。科学の力って凄いですよねぇ。平安時代にある灯りって、油を注いだお皿でしたからね。危ないし臭いし、使うことは稀でした。ヨリくんも嫌いって思ってましたし。

 

「被身子……!」

「んぁ……。おはよーございま、ふわぁ……」

 

 ん、んん。すっごく疲れました。雄英受験が終わった時以上に疲れてるのです。そりゃあそうですよね。だって、八年分の記憶を見たんです。

 あ、円花ちゃんが私を心配そうに覗き込んで……。それに手も、しっかり両手で握って。私、どれくらい寝てたんですか? ここは……病院? あ、違います。寮です寮。ってことは、そんなに長く寝てた訳じゃないみたいです。良かったぁ、目が覚めたら八年経ってる訳じゃなくって。

 

 取り敢えず、したい事が二つあります。厳密には一つ、ですけど。

 

「えへへぇ、円花ちゃん……♡」

「んむっ!?」

 

 まずはキスです。で、ハグ。思いっ切りギュッとしちゃうのです。そのままヨリくんを布団に引き倒して、覆い被さって、首筋に顔を埋めて……。ん、ふふ……♡ ヨリくんです。円花ちゃんです♡

 私の大好きな、私が大好きで、大切な人。愛しくして愛しくして、堪らない人。トガの体感的には、八年ぶりの再会なのです。こんなのもう、我慢出来ません。視界の端に輪廻ちゃんとか常闇くんが居ますけど、人目なんて気にしてられませんっ。

 

「ぁ、は……♡ いただきまぁす……♡」

「っ、待て……! 被身子、駄目じゃ……っっ!!」

 

 ヤです。無理です。我慢出来ません。今は人に見られるリスクよりも、湧き上がる欲求に身を任せる方が先なの。トガは我慢しました。それはもう、我慢しました。八年ですよ? 八年。八年もチウチウしないで居たんです。時折ヨリくんが口の中を切って、血の味を感じることはありましたけど……。そんなんじゃ物足りないし、むしろ増々チウチウしたくなっちゃって……! 我慢するのがとっても大変でした!

 

 だからぁ、今だけは。今日だけは我慢しません。明日から人目に付かないように気を付けるので、されるがままにされちゃってくださいっ。

 

「あー……、んっ!」

「っっ!!」

 

 がぶり。いつもより深めに首に噛み付くと、直ぐに血が出てきました。それが口いっぱいに広がって、とっても良い匂いがして……♡

 

 あぁ、もう。堪らない。堪らないの。背中がゾクゾクして、心臓がドクドクして。もっともっと、って。全然止まれなくって。まぁ止まる必要なんて無いですし。だから、だからっ♡

 

「んっ、ふふ……。んん、ちゅっ。ちぅ……ちぅちぅ……」

 

 欲望のままに、ヨリくんをチウチウするのです♡ 嬉しい、嬉しい……♡ ずっとこうしたかったの。円花ちゃんに会いたくて会いたくて、したくてしたくて。今やっと、出来ました。こうして、大好きな人に大好きな事が出来て。

 

 ヨリくん、ヨリくん……♡ 円花ちゃん……♡♡

 

 大好きです。愛してます。全部全部、私にください。私も全部あげるのです。そうやって二人で、二人だけで幸せになりましょう!

 

 だから、ねっ? ねっ? いーーっぱい、イチャイチャするのです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、そろそろ落ち着いたかしら?」

「んんーーっ。はい、いったん満足しました!」

「そう。まずは、おかえり……かしらね」

「はいっ、ただいまなのです!」

 

 いやぁ、堪能しました。それはもう、心行くまで堪能しました。満足感が凄いです。でも、後でもう一回チウチウします。お腹が空いたら、チウチウします。今のトガのお腹は、円花ちゃんの血でたぷんたぷんなので。何時間かしてお腹が落ち着いたら、また噛み付く所存です。

 輪廻ちゃんは私に何が有ったのか、きっと全部分かってます。でも、とっても心配させちゃったのです。それについては、後でちゃんと謝ります。だって今は……。

 

「ぅ、うぅう……っ! ぐすっ、ぐす……! ぅわあぁんっ!!」

 

 今は、円花ちゃんが大泣きしちゃってるので。何度も何度も止めて欲しいって懇願してるのを無視して、チウチウし続けたのは良くなかったなぁって。こんな風に泣いてるところを見るのは、数日ぶりなのです。双子ちゃんが殺されそうになった日以来とも言います。かなり、……やり過ぎちゃいました。反省です、反省。

 

「すまん、すまん……! 儂っ、儂は……! なんて事を……!!」

 

 ん、んん……? そんな風に謝られても困るのです。だってトガは、別に怒ってませんし。むしろ私が怒られるべき、……なんですけどねぇ。多分。

 

「何で謝るんですか? 何も悪い事なんて、円花ちゃんはしてませんよぉ」

「じゃって、じゃって……! 儂、被身子をっ、被身子をぉ……! うぅううっう……!!」

「……? えっと……」

 

 ひとまず泣き止んで欲しくて抱き寄せてみても、わんわん泣いちゃって落ち着かないのです。ちょっとカァイイ、なんて思っちゃうのはもしかして不謹慎なのかも? んー……。でも、泣き喚いてる円花ちゃんはこう、唆るものが……。涙を見たいわけじゃないですけど、こういう姿を現代で見るのは初めてなので。

 どうしたら良いのか分からなくって。だからつい輪廻ちゃんに助けを求めると、じっと見詰め返されました。私だけで何とかするべきってことですか……?

 

「……事実から言うんだけどね、被身子ちゃん」

「はい」

「被身子ちゃんは、円花に呪われたの」

「……あーー……」

 

 なるほど。まぁそうなんだろうなって思いましたけど、ほんとにそうなんですねぇ。だからヨリくんは、こんなに泣いちゃって。私はヨリくんの記憶を体験して。色々と、合点がいったのです。

 ヨリくんにとって、子供を呪うことは無しです。絶対に有ってはならないこと。なのに、私を呪っちゃって……。そりゃ、大泣きですよね。これは当分、落ち着かないと思います。とても、落ち着けない。落ち着ける筈が、無いのです。

 

「それって、赤血操術……のせいですよね?」

 

 多分。と言うか、絶対。赤血操術について詳しくなった今なら分かります。円花ちゃんは時折、体外放出で私に血をくれますから。それって呪力を摂取してるようなもので、呪力を浴び続けた人や物がどうなるかは……。はい、トガはもう知ってます。ヨリくんの記憶を見て、知りました。

 だから多分、今の私は……。多分ですけど、ヨリくんの呪力に浸かった呪物みたいなもので。

 

「そうね。呪力が込められた血を摂取し続けたから、その積み重ねで」

 

 なるほどなるほど。やっぱり、そうですよねぇ。だからあんなに頭が痛くて、ヨリくんの記憶を見て。それから、多分……なんですけどぉ……。

 少し、おへその辺りに意識を向けます。やり方は知ってます。だってヨリくんの体験して来た感覚も、私は体験してるんですから。

 

「……んっ!」

 

 あ、出来ました。

 

「……は? 被身、子……?」

 

 トガがした事に円花ちゃんはとっても驚いて、涙が止まりました。一瞬だけ。次の瞬間には、またボロボロ泣き始めちゃいましたけど。

 はい、試してみたら出来ました。私、呪力が練れるようになりました。扱い方は分かります。だって、ヨリくんの記憶を見てきたんですから。

 

「えへへ……。これでお揃いですねっ。もっと円花ちゃんの役に立てるのです!」

「……は……?」

 

 これが、ヨリくんが望まない事なのは分かってます。分かってる上で、トガは決めました。このチャンスを逃すつもりは無いです。

 だってもう、私はヨリくんを独りになんてしません。これからは、ヨリくんと二人で呪術師をやります。補助監督として、呪術師として。何より、ヨリくんを愛してる許嫁として。

 

 ここは絶対に、譲らないんです。だってそうじゃなきゃ、そうしなきゃ、またヨリくんは……間違えてしまうから。

 

「何を、言って……るんじゃ……っ!」

「見ての通りですよぉ。トガは円花ちゃんのお陰で、呪術師になりました。

 だから、ねっ? これからは二人で呪術師をやりましょう!」

 

 望まれなくたって、側に居ます。この選択が間違いだとしても、私はヨリくんから離れません。絶対に、独りになんてさせないのっ!

 

 

 

 

 

 

 







トガちゃん、呪力に適応するの巻。これにより円花の心は更に死にました。このあと一悶着有るってことです。

三人称による補完は要りますか?

  • 欲しい
  • 要らん
  • 良いから一人称で突っ走れ
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