待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
何と言うか、良いように転がされている気がするんじゃ。被身子や両親や、……くらすめぇと達に。どうにも今年の年末は、不愉快な事ばかりが起き続けている。昨日なんて、当面は商業施設が封鎖される程の大騒動が起きてしまった。やけに図体が
前世では、とても考えられなかった。今生では尚更じゃ。呪霊多きこの時代、呪術師を名乗っているのは儂だけじゃからの。一応緑谷やおおるまいとが居るが、あやつ等は呪術師ではない。呪力が扱えるだけの
そう考えると、やはり緑谷が心配じゃ。あやつは今、儂の代わりに呪術師として活動している。この間はおおるまいとと共に行動していたようじゃけども、いつ独りで任務に向かうことになるか分からん。そうなってしまう前に、早く休学から復帰したいところじゃ。両親に直談判しなければ。
「ん、ふふ……。えへへぇ……」
朝。と言うか、ほぼ昼。儂は珍しく、被身子より先に起きた。先に起きて、これからどうするかを考えているわけじゃ。ちなみに、被身子はまだ寝ている。どんな夢を見ているのかは知らんが、涎を垂らして緩み切った顔で爆睡中じゃ。かぁいい。んんむ、かぁいいなこやつ……。どうしてくれようか……?
……と、取り敢えず。復学を当面の目標としよう。その為には、両親の許可を得なければ。それに……色々とやりたい事も有るしの。復学を急がなければならん目先の問題とは別に、被身子に掛けた呪いをどうにかする術も探したい。こちらについては、何をどうしたら良いのか分からんままじゃ。儂の知る方法では今のところ無理じゃし、五条家が保管していた資料は何も記されていなかった。と、なると……。
あぁ、そうじゃ。那歩島の神主。あやつは隆之の子孫じゃから、もしかしたら何か知っているのかも。直接出向かうには遠過ぎるからの、取り敢えず電話してみるとするか。確かあやつの連絡先は、被身子の
あ、そうじゃ。そう言えば昨晩帰って来た時に、玄関の靴棚の上に置いているところを見たような……。仕方ない、玄関まで取りに行くか。いつまでも裸で居るのも風邪を引きそうじゃし、適当に何か羽織るとしよう。先に
ええっと……。
「まぁ、これで良いか」
取り敢えず
手早く下着を着……なくて良いか。出すだけ出して、
下着も服も準備したし、
んん、今朝も寒いのぅ。身震いしてしまう。
せめて浴室まで何か羽織るか……? いや、どうせ脱ぐんじゃし汚れた体で着るのは違う気がする。よし、じゃあさっさと浴室に向かってしまおう。そうしよう。
◆
裸で浴室に向かっていたら、叱られたわ。母が言うには客人が来て居たらしい。それは叱られても仕方ないし、客人に裸を見せるわけにもいかんので直ぐに浴室に向かった。で、のんびりと
で、じゃ。何とか髪を乾かした後、下着を着て服も着て取り敢えず台所へ。喉が渇いたから何か飲み物が無いかと冷蔵庫を開けようと炊事場に向かったわけじゃ。その時、客人の姿が見えた。居間で母と向かい合って話しておる。気にはなったが、まずは飲み物が先じゃ。冷蔵庫から水の入った
「何しとるんじゃ、緑谷」
来ていた客人に、声を掛ける。昼間から我が家を尋ねて来たのは、緑谷じゃった。母と何を話していたかは知らんが、声を掛けると儂を見た。
「あ、廻道さん。お邪魔してます」
「それは構わんが、どうした?」
「円花、貴女スマホを見る癖を付けなさい。何度も連絡したのに連絡が付かないから、直接来たそうよ」
「じゃって、よく分からんし……」
なので、携帯電話についても分からんのじゃ。音声操作が出来るようになってからは操作に手惑うことは無くなったが、それでも慣れん部分が有るのは事実じゃったりする。
……そんなことより。何で緑谷は朝も早くから……いや、今は昼頃か。ええっと、何の用が有って尋ねて来たんじゃ? 何度も連絡したということは、それなりに緊急な用件……ってことじゃよな?
「それで、何の用じゃ? こうして尋ねて来るなんて」
「実は、渡我先輩の事で。……もしかしたら、何とかなるのかもしれない」
「……真か?」
「うん。廻道さん、もしかしたら……オール・フォー・ワンが知ってるかも」
は? 何でそこで、あの背広男の名前が出て来るんじゃ。あの男が何を知って……。って。
「あっ」
あっ。
「……その様子だと、忘れてた……?」
「ん、んん……。いやまぁ……、そうじゃけども……」
そうじゃ。すっかり忘れていた。と言うか、何故儂は忘れていた? 総監部が儂に頼らざるを得ない程に、呪術界について情報不足なのはしっかりと理由が有る。それは、あの背広男が保管されていた資料の殆どを盗み出したからじゃ。もしかすると、その資料の中に被身子を元に戻す方法が有るのかもしれん。ならばあの男に問い質せば、もしかしたら……。
……いや、駄目じゃ。あの男は死んだ。おおるまいとが、頭に黒閃をぶち当てて殺した。背広男本人から話を聞くことは出来ぬ。それは少し考えれば分かることじゃろ。なのに何故緑谷は、背広男の話を持ち出したのか。
「……オール・フォー・ワンは、神野で死んだ。けど、もしかしたら
……なるほどな。確かに、可能性は有る。あの背広男が、
つまり。つまりじゃ。儂とは別の方面の技術やら情報を握っている可能性は高い。と言うか、間違いない。儂は非術師を呪詛師に変える手段は知らんし、脳無の造り方じゃって知らん。何をしてるのかは想像出来るが、詳しくは分からん。知りたくもない。
じゃけど、もしかしたら。
もしかしたら、呪術師や呪詛師を非術師に変える手段を知ってるかもしれん。脳無や呪詛師を用意出来るんじゃから、その逆じゃってあるいは。
あやつ等の持つ技術や知識を使えば、もしかしたら被身子を元に戻す方法に辿り着けるのかもしれん。そうあって欲しい。そうでなくては、……困る。
「……悪党連合をとっ捕まえれば良い。ってことじゃな?」
「もしかしたら、だけど。でも、廻道さん。
「……ちっ。要らん時に出て来る連中のくせに」
あの連中が、何処で何をしているのかは分からん。基本的に姿を見せる連中では無いからの。思えば面倒事の際には、いつもいつも姿を見せるくせに。
……じゃけど。緑谷のお陰で、ひとつ分かった。もしかしたら、
儂がやる事は、ひとつじゃ。呪術師を禁止されている現状じゃが、何も呪術師だけに拘る必要は無い。儂はその生き方しか知らんが、今だけは別じゃ。可能性が有るのなら、それこそ何じゃってして見せる。
「……やることは、ひとつじゃな」
気乗りはしない。何で今更、と思う。じゃけども、被身子の為じゃ。被身子の為に、手段を選んでいる場合では無い。可能性が有るのなら、それに縋りたい。追い求めたい。それが今、儂がしなければならん事なのじゃから。
じゃから、決めた。今、決めたんじゃ。
向こう暫く、儂は
「
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
-
要らん
-
良いから一人称で突っ走れ