待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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日記:付き人

 

 

 

 

 

 

 西暦2819年1月2日。もうそろそろ1月3日です。だって、目が覚めたらまず円花ちゃんを思う存分堪能したので。円花ちゃんは隣でグロッキーになってます。すっかりふにゃふにゃで、カァイイ♡ 今日の分を書き終わったら、また抱いちゃおうと思います。

 

 今回、私が体験したのはヨリくんが二十四歳から三十二歳までの時の話です。その殆どを、独りで呪術師として生きてました。救けた子供達は数知れず。殺した大人達も数知れず。祓った呪霊も、数知れず。人を救ける経験を、人を殺す経験を、呪霊を祓う経験をただひたすらに積み重ねてきました。言ってしまえば、何も変わり映えしない日々を淡々と過ごし続けて行ったんです。そのうち、ヨリくんの実力は相当なものになったと思います。大抵の呪詛師や呪霊は、苦なく倒せるようになりました。その頃から、戦うことがつまらないと感じるようになってましたけど。

 でも、ある日。また楽しむようになったんです。とある呪術師の名を、あちらこちらで聞くようになってから。

 

 その呪術師の名前は、両面宿儺。何でも物凄く強い呪術師みたいで、当時の総監部はかなり手を焼いていたみたいです。まぁヨリくんも、かなり手を焼かせてたと思いますけど。

 とにかく。いつかその、両面宿儺と手合わせしたいとヨリくんは望むようになりました。どれだけ強いのか、どれだけ楽しめるのか、そんな事ばかり考えるようになって。……もう殆ど、恋してるようなものなのです。両面宿儺といつか対峙するために、そして加茂家当主に復讐する為に、また殺し合いと鍛錬を楽しむようになりました。新しい玩具を見付けた子供みたいに、夢中になっちゃって。お陰で、良い経験になった気がします。多分今の私は、並大抵の呪霊は楽に祓えちゃいます。だってヨリくんが積み重ねた実力を、全て体験してるんですから。すっごいズルな気がしますけど、まぁそこは伴侶に恵まれたってことで。

 

 ……それと。三日前の日記にも書いたんですけど、私の推測は……正しいものでした。ヨリくんの心は、壊れたままです。だって、精神的に全然変わらないんです。性格とか、考え方とか。夢も、信念も。擦り切れてるところが有るのもまた事実ですけど、いつまで経っても子供っぽさが抜けなくって。

 現実を知ったから、人助けの手段を変えることはありました。現実に思い知らされたから、大人の判断をするようになりました。でも、子供っぽいところだけは全然変わらなくって。いつかにヨリくんが言ってた「きっと儂は、あの頃から何も変わらないんじゃと思う」って言葉は、まさにその通りで。精神が、歳を重ねてないんです。だから精神的には、ずっと十四歳……どころか十歳ぐらいです。

 

 壊れて擦り減った心の直し方を、誰か教えてください。←後で消すこと! 私が直します!!

 

 そんなヨリくんが二十六歳になった頃。ヨリくんが救けてあげた子供が、ヨリくんの付き人になりました。恩返しがしたいって。一緒に居させて欲しいって。これにヨリくんは一度は反発しましたけど、でも結局は押し切られてました。……独りで居ることが、寂しかったんだと思います。まぁ元々、押しには凄く弱いんですけど。その辺りも変わることはなくって。

 

 ヨリくんの最初の付き人は、綾香ちゃんです。とにかく尽くすって感じの女の子で、とってもカァイイの。同時に、すっごく嫉妬しましたけど。私だって、平安時代のヨリくんのお世話がしたいのに。ただ見てるだけなのは、辛いです。何度も何度も抱き締めてあげたいって思って、なのに何もしてあげられる事は無くって。

 だから目が覚めたら、円花ちゃんをぎゅ〜〜ってするんです。今までの分を、全部慰めてあげたいから。後でまた、思いっきりハグします。絶対します。円花ちゃん成分の補給も兼ねて!

 

 続きです。綾香ちゃんは、呪術師としての才能が有りました。あと、お料理上手で生真面目です。ヨリくんの食生活が、豪華になりました。と言っても粗食が質素になった、ってぐらいですけど。ちゃんと美味しいご飯が食べれるようになってからは、毒キノコを食べることはなくなりました。たまにこっそり食べようとして、怒られてましたけど。

 そんな綾香ちゃんと二人旅を、何だかんだでヨリくんは楽しんでました。今まで、ずっと独りだったから。少しは……人並みに幸せだったかもしれません。でも。

 

 綾香ちゃんは、呪霊に殺されました。ヨリくんのように子供を救けようとして、死んじゃいました。それが一層、ヨリくんの心を擦り減らしちゃって。

 

 もし、もしも。もしもあの時、綾香ちゃんが死なずに済んだのなら。

 

 ヨリくんは、幸せになれたのかも。

 

 ……ううん。そこは譲りません。絶対、譲ったりしません。ヨリくんは、円花ちゃんは、私が幸せにするんです! いっぱいいっぱい、前世の分も幸せにしてみせます!

 

 だって私は、ヨリくんと円花ちゃんのお嫁さんですからっ! 花嫁修業はちゃんと一からやり直します!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 西暦2819年1月3日。今日は円花ちゃんに、滅茶苦茶にされました。とっても気持ち良かったのです。お礼に、私も滅茶苦茶にしてあげましたけど! また後で、滅茶苦茶にしちゃうつもりですっ。

 

 今日の分は、三十二歳から四十歳の頃の記憶です。

 

 この八年は、激動の八年だったかもしれません。ヨリくんが救けた子供達が、力を合わせて小さな集落を作ったんです。全く知らない何処かの山奥に、ですけど。でも何処かで見たこと有るような無いような気がして、変な感じでした。せめて詳細な現在地が分かれば良かったんですけど、ヨリくんはその辺を気にしないから大変なのです。もし私も方向音痴になってたら流石に笑えないです。気を付けないと……!

 

 それで、ですね。ヨリくんは二年だけ、集落で静かに暮らしてました。集落作りを手伝うのに、四年は費やしてましたけど。つまり、六年は居たんですよね。六年は、大勢の子供達に囲まれながら静かに暮らしてました。

 

 ……でも。それを苦痛に感じちゃって。まだまだ何処かで傷付いてる子供が居るかも知れないのに、何もしないで居る自分が許せなくって。何より、幸せを怖がってて。

 

 村に居る六年の間、ヨリくんの付き人は三人居ました。正確には、三回も付き人が変わっちゃいました。

 

 綾香ちゃんの次の付き人は、明義くんです。この子は、夢見がちな男の子でした。ヨリくんに救けられて、ヨリくんに憧れて。それで、綾香ちゃんのように子供を救けようとして……非術師に殺されて。だからヨリくんは、次の付き人は厳しく鍛えようとしたんです。実際に、そうしてました。……でも。

 

 次に付き人になった高道くんは、呪術師として生きようとして……呪詛師に殺されました。臆病で、だけど人に共感出来る優しい子でした。これは他の子達にも言えることですけど、ヨリくんの事が大好きで、ヨリくんを放っておけなくって。だから自分から名乗り出て、嫌がるヨリくんを強引に押し切って付き人になって。

 ……そうやって、死んじゃうんです。

 

 四人目の付き人は、時典くん。生まれた時から片目が見えない男の子です。呪術師としての才能は、一番有ったと思います。呪力の扱いも、術式の扱いも上手だったので。いわゆる、天才でしたね。感覚が鋭い子で、物覚えも良くって。……でも、結局は……。

 

 

 ヨリくんが教えた子達が、四人も亡くなりました。一人死んじゃう度に、ヨリくんの心は擦り減って。何度も泣いて、何度も叫んで。怒って、悲しんで。もう自分が、側に居るべきじゃないと考えちゃって。

 だから。時典くんが亡くなった後、ヨリくんは村を出ました。誰にも別れを告げずに、また独りになったんです。

 

 まぁ、でも。あんまり心配しないで済みました。五人目の付き人の椿くんがしつこく付いて来てくれたから、迷子になったり行き倒れたりはしてません。

 ヨリくんが救けた子供達は、みんなヨリくんが大好きなんです。みんなが口を揃えて、一緒に居たいって言うぐらいには。

 

 子供にモテモテなんですよね、ヨリくん。心がいつまでもお子様のままだから、親近感を持たれ易いんでしょうか? 見た目は大きな体をした、ちょっと渋いけどイケメンな中年なんですけどねぇ。

 

 

 さて、と。それじゃあ隣で眠りこけてる今は美少女なヨリくんを、好き勝手にしちゃうのです!

 

 

 

 

 

 






Q.前世老人だったのに、やけに子供っぽすぎるのは?

A.心がぶっ壊れて精神的に歳を重ねてないから。

三人称による補完は要りますか?

  • 欲しい
  • 要らん
  • 良いから一人称で突っ走れ
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