待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
ひとまず。儂は
それと。すたぁと街中を歩いていると、そこらの通行人から注目の的じゃった。夜中じゃって言うのに、やけに人通りを多く感じた。何度物珍しげな視線に晒されたか分からん。勝手に写真を撮ろうとする者までおったし、何なら話しかけて来る奴も大勢居た。儂は英語がろくに話せんから、相槌しか出来んかったけど。特に道行く通行人と二人で並んで写真を撮られまくる羽目にもなった。面倒この上ない。勘弁して欲しいところじゃ。あと、酒臭い奴が多かったの。
「大人気だったな。今日は休んで、明日から働いてくれよ」
「……そうさせて貰う。これ、返しといてくれ」
「いや、あげるつもりで渡してる。お兄ちゃん達は面倒見が良いんだよ。素直に甘えとくと良い」
案内された部屋に辿り着いたので上着を返そうとしたら、断られた。恩着せがましい、……って訳でも無いか。これは単純な善意じゃろう。仕方ないから、明日は後で礼のひとつでもしておかなければ。こういう時は、菓子折りでも用意したら良いのか? 被身子やながんと合流したら、見繕ってみるとしよう。さっそく手間が増えた気がするが、これについては良しとしておこうかの。
……それにしても。また随分と広い宿じゃな? 下手をすると、そこらの賃貸住まいよりも広いのでは?
わざわざこんな部屋を用意してる辺り、やはり何か……裏が有るんじゃろうな。でなければ、日本の小娘をこうも待遇良く扱うものか。腹の探り合いやら恩の着せ合いなぞ御免被るが、これは国際的な
「さて。二人きりになったところで、話したい事がある。ちょっと良いかい?」
「……何じゃ改まって」
すたぁが、丸い机の向こうに着いた。何やらそれなりの話が有るようじゃ。もう休ませて欲しいんじゃけど、話は聞いておくとしよう。儂としても、知れる事は知っておきたい。
「二人きりじゃなきゃ出来ない話さ。今からするのはこの国の重要機密の話。当然、他言は無用だぜ? 場合によっちゃ、私の立場すら危うくなる」
「……相分かった」
「じゃあさっそく質問だ。
……ヨリミナ。ジュジュツシ、ってのは何だ?」
「……」
ん、んん。さっそく面倒な質問が飛んで来た。何が面倒って、これを儂から話すことは出来ん。秘匿義務は守らねばならんからの。七山に釘を刺されてもいるし。まぁ今回の
……日本と
とにかく、じゃ。儂の方から、すたぁ……つまり
「それについては話せん。儂も立場が危うくなるからの」
「そっちも、守秘義務だの箝口令か。嫌になるよまったく。これじゃあ仕事のしようがない。……ヨリミナを信用も出来ないな」
「そこはお互い様じゃ。まぁ、例の悪党については恐らく儂の管轄じゃから任せてくれれば良い。
独りにさせてくれれば助かるが、
「……
「まったくじゃ。面倒この上ない」
何じゃって細かい事をあれこれと考えてまで、呪霊を祓わねばならんのか。任務はもっと単純なものが良い。現地に赴いて、呪霊を祓うだけで済ませたいところじゃ。まぁ窓も補助監督もろくに居ない状況では、儂も色々と動かねばならんのじゃけども。
「儂はもう休む。寝るのを邪魔されるのは嫌いじゃから、放っておいてくれ」
「そうするよ。おやすみ」
「んむ。おやすみ」
話もそこそこに、すたぁは一旦帰って行った。もっとも、また直ぐに行動を共にすることになるんじゃろうけど。儂は付いて来たければ勝手にしろと伝えたんじゃ。それには勝手にされる分には隠さんと言う意図を込めてある。気付いてない、なんて事は無いじゃろ。向かい合って話した感じ、おおるまいとよりは話が通じる奴じゃと思う。……多分な。伝わってなければ、ただの筋肉阿呆でしかないが。
「……さて、と」
広々とした部屋で、独り呑気に過ごすつもりは無い。動くならさっさと動いてしまおう。出来れば被身子と連絡したいところじゃけど、残念ながら連絡を取る方法が分からん。今頃はながんと二人で飛行機の中、じゃろうか? とっくに日本から飛び出しているとは思うんじゃけど、飛行機の搭乗手続きは色々と面倒じゃったからの。まだ空港に居る……なんて事も有り得る。
……まぁ、今は独りでも出来ることをしてしまうか。まずは、外に出よう。ここに来るまでの間に気付いたことじゃけど、不思議な事に
ひとまず、譲られた上着を羽織ってじゃな? ……む、
取り敢えず折り畳まれた紙を開いてみると、そこには英語で何か走り書きしてあるの。ええっと、……ぽけ……ぽけっと、ま……ねぇ? ぷり、ぷりぃず? ふぃ……ふぃ……。………ふぃぃる? ……ふりぃ?
どうぞ、自由に……? 自由に、……なんじゃったけこれ。
……まぁ、よく分からんから明日になったら返しておくとするか。こんな事を気にしてるより、さっさと外に出よう。
さて。それじゃあ、外に出るとしよう。見知らぬ土地で、それも真夜中で酷く冷えるが……まぁ何とかなるじゃろ。こうして自分から独りで出歩くのは、随分と久しぶりな気がしてならん。せっかくじゃから、調査がてら少し散歩してみるとしよう。
◆
……それから。夜中の騒々しさが、なにやら日本とはかけ離れている気がするの。
そう言えば、日本と比べたら海外は犯罪率が高いんじゃっけ? ならば真夜中なのに、この騒がしさは納得出来るところじゃ。
それから。道行く通行人が、やたらと話し掛けて来るんじゃよなぁ。日本と違って、他人との間に距離が無いような気がしてならん。それを適当にあしらうのも、そろそろ面倒になってきた。特に情報を持たぬまま、闇雲に外を出歩く意味は無かったのぅ。ただただ、気が向くままに散歩してしまってるだけじゃ。呪霊の一匹でも見えれば祓っておくんじゃけど、これがまるで見当たらん。どうなっとるんじゃこれは。
……仕方ない。いつまでも宛もなく歩くのは違うし、そろそろ
「おい、そこの少女!」
「……む?」
踵を返したその瞬間。左から誰かが駆け寄って来た。見たところ、警察じゃと思う。多分警察じゃ。そんな雰囲気な服を着ているからのぅ。で? なんで警察が儂を呼び止めて、……って、あぁ……。そう言えば、儂は未成年じゃった。日本では好き勝手に夜を出歩いていても、警察に声を掛けられることは無い。それは単に儂が
しかし、ここは
「こんな時間に出歩いて、独りで何をしてるんだ。親は? 身分証は?」
話し掛けて来たのは、警察の若い男じゃ。金髪で、目が青い。肌の白さも、なんと言うか日本人のそれとは違う感じじゃの。より白いと言うか、何と言うか……。まぁ、とにかく。警察に話し掛けられてしまった。職質じゃの、これ。
「……あいどんと、すぴぃく……いんぐりっしゅ」
「はぁ?」
「のぉ、いんぐりっしゅ。……どぅ、ゆぅ……じゃぱにぃず?」
「……日本語で話してくレ。俺、日本に友人が居ルんだ。聞き取れルし、話せルよ」
「なんじゃ、日本語で良いのか。それは助かるのぅ……」
少し発音がおかしい気がするが、別に会話に支障はない。何なら有り難いぐらいじゃ。道行く誰かに話し掛けられても、話返すことが出来んかったからの。
「何で英語も話せないのに、こんな時間で独リで外に?」
「……ひいろお活動じゃ。取り敢えず、見回りしてた」
「……IDは? ヒーローって言うなラ、免許証を見せてくレ」
「……」
……うむ。困った。身分証の類は、今は持ち合わせて居ない。何せ、身一つで
「話は、署で聞かせて貰おうか。ほら、向こうのパトカーに乗った乗った」
「む、いや……。うぅむ……」
笑顔で肩を掴まれた。結構強めに。確かに身分証を持ってないのは儂。夜間に独りで出歩いて、職質されてしまったのも儂。悪いのは分かっとる。分かっとるし、夜間外出以外でやましい事は何も無い。……んじゃけども、ここで警察の世話になるのは後で色々厄介そうと言うか。何なら被身子やながんに呆れられてしまうと言うか。総監部とか、ほぉくすにも叱られるじゃろうなぁ……。
うむ、困った。どうしたら良いかの? 日本で職質されることが無かったのは、ひょっとして奇跡みたいなものじゃったのでは??
「……ほ、ほてるに送ってくれんかの? 何なら話はそこで……」
「大人しくしロ!! 何を出そうとしてル!?」
「ぬぉあっ!?」
譲られた上着の
……なんて、呑気に考えてる場合では無いか。
抵抗は、まぁ簡単じゃ。儂を組み伏せた警官を押し退けることは、難しいことではない。しかしここで抵抗してしまうと、公務執行妨害とやらになってしまうじゃろう。それこそ牢屋行きじゃ。と言うことはつまり、大人しくしているしかない。されるがままじゃの。被身子以外にそんな真似をされたって、嬉しくないんじゃけども。何なら不愉快じゃ。まっこと、気に食わん。が、大人しくして居よう。下手に騒動を起こすのは避けたい。ただでさえ、独りで異国に居るんじゃから。
「何処に何を隠していル!? 何を出そうとした……!!」
「か、鍵じゃ鍵……! ほてるの、鍵っ。ぽけっと!」
「鍵? ……あぁ、確かに鍵だな。で? 何でこんな物を持ってル? 何処で手に入レた?」
「すたぁ、に渡されたんじゃって。ほら、ひいろおの」
「スター? スターアンドストライプか? 嘘を吐くと心象が悪くなルぞ! せめてもっとマシな嘘を吐け……!」
「嘘じゃないんじゃが!? 確認すれば良いじゃろ、確認……っ!」
いやぁ、もぅ……。いきなり面倒な目に遭ってしまった。すたぁの奴に出会ってから、ろくな目に遭わんの。あやつ、さては疫病神か何かの類いか? そうと言ってくれたら、つい納得してしまいそうなぐらいじゃぞ。何で儂がこんな目に遭わねばならんのじゃ。げ、解せぬ……!
「署まで連行すル! 大人しくしていロ!!」
んんむ……。もう駄目そうじゃな、これ。こうなってしまっては、大人しく連行されるしかないか。
まったく、今日は散々な一日じゃ。まさか
それから、儂は決めたぞ。
……はぁ……。もう、散々じゃなぁ。儂、
円花、警察にとっ捕まるの図。
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ