待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
「本当に申し訳ない……!! 俺の早とちリだった!!」
警察署で取り調べを受けること、何時間。儂はお咎め無しで解放されることになった。まぁ、未成年が深夜に外を彷徨くなと説教もされたんじゃけども。とにかくじゃ、すたぁから連絡が有ったようでの。ついでに、
……とは言え。まぁ、この際じゃ。この際、
「まぁ、気にするな。貴様は役目を果たそうとしただけじゃ。とは言え儂や……この国の邪魔でしかなかったから、その分は責任を取れ」
「……つ、つまリ? クビ……!? 自主退職……!!?」
「いや。儂がこの国に滞在する間、色々と手助けしてくれ。道案内とか、情報収集とかな」
特に道案内。これは是非ともして欲しい。何せ土地勘の有る協力者は今回の任務において必須じゃろう。ながんや被身子では、この国の地理が分からん。車を運転して、あちらこちらに送迎してくれる
「……警察の機密は話せないぞ」
「そんなものは要らん。ひいろおに協力する体で、儂に協力しろってだけじゃ。それで許してやる。……さいどきっく、みたいなものじゃよ」
「なら、現地のヒーローに頼めば良いだロ?」
「いや、それはやじゃ」
「どうして俺なんだ? スターとチームアップで、あんたはブラッディなんだロ? あの、オールマイトの後継者の」
「役に立ちそうじゃから頼んだ。まぁ別に、他の者でも良いんじゃけどな。協力者なんて、それこそ一般市民でも構わん」
道案内が出来て、ある程度の情報収集が出来る奴なら誰じゃって良い。流石に子供は除外じゃけどな。
さて。この生真面目な警官は、どう出るじゃろうか? 面を見てみれば、何やら盛大に悩んでいる様子じゃ。それは儂の提案に納得することが出来ないから、じゃろうな。しかし分かり易いの、こやつ。不安とか悩ましいとか、困惑とか色々顔に出てしまっている。さては、警官に向いていないのでは? 何と言うか、……そう。緑谷っぽい気がする。
「……俺、無個性だぞ?」
「それが何じゃ?」
「何って、だかラ無個性なんだけど」
「だから、それが何じゃ?」
無個性? まぁ、じゃからどうしたって話じゃの。見たところ自身が無個性であることを気にしてるかのような素振りじゃけども、そんなに気にすることでは無いじゃろ。遥か昔は、無個性で当たり前だったんじゃから。それにほら、全人口の二割ぐらいは無個性って言うし。
まぁ、一応。今の時代が無個性じゃ生き辛い世の中なのは、分かっとるつもりじゃ。緑谷も一時期はそうじゃったしの。こやつも或いは、苦労して来たのかもしれん。
「儂は気にしない。それで? 手伝うのか手伝わないのか、どっちじゃ?」
「……手伝う。手伝うよ、ブラッディ」
「決まりじゃな。……えぇっと?」
「あぁ、俺はモラル。モラル・オーディナリー」
「そうか。よろしく頼むぞ、もらる。色々手伝ってくれ」
「ぁ、あぁ……。よろしく、ブラッディ」
取り敢えず。現地民の協力者を一人確保出来た。今晩の調査については、それを収穫として終わりとしようかの。そろそろ
……それから。
「協力するって言っても、俺は具体的に何をしたラ?」
もらる、に指示を出しておきたい。と言っても、大した事は頼まないんじゃけどな。適当に嘘で覆い隠して、上手いこと協力して貰うとしよう。我ながら悪どい事をしているとは思うが、じゃからって呪術界の事を洗いざらい話すわけにはいかん。秘匿義務は守らなければならぬから、説明がいちいち面倒じゃけども。
「……そうじゃな。まずこの街……と言うか国で、最近起きた事件について詳しく知りたい。機密に触れるようならこれは答えなくても良いが」
「それは内容次第だけど?」
「悪党が意識混濁の状態で警察に届けられてる事件を知りたい。その事件の解決の為に、あめりかまで派遣されたからのぅ」
いや、まぁ。派遣と言うか、あれは殆ど拉致みたいなじゃったけども。
「……ライアーマイト事件か」
「らいあぁまいと?」
「目撃者が居ルんだよ。アメリカ全土で何人か、だけどさ。とにかく全員が、口を揃えてオールマイトの姿を見たって言うんだ。でもオールマイトがそんな真似をする理由が無いし、オールマイトに変装した
だかラ、ライアーマイト事件」
「……はぁ……。そうか……」
決まりじゃの。今回の事件、……らいあぁまいと事件と言ったか? の、犯人は英雄の呪霊じゃ。そうだろうとは思っていたが、まさか
……とにかく。
じゃからって、何もしない訳にはいかんのぅ……。んんむ……。
「その事件解決の為に、日本かラ派遣さレたって? ……結構凄いヒーローなんだな、ブラッディ」
「まだ候補生じゃけどな。ひいろおになるのは、もっと先の話じゃ」
「……なラ、今の内にサインでも貰って置こうかな」
「やじゃ。断る」
また
「残念。サイン集めルのが趣味なんだけどなぁ。俺、やっぱ結構ヒーロー好きでさ。無個性だかラかな、憧レないって言ったラ嘘だ」
……。……はぁ……。緑谷みたいな顔で
それと、ついでじゃ。もしかしたら緑谷みたいに詳しいかも知れんし、それなら一つ聞きたい事がある。
「もらる。すたぁの個性は何じゃ?」
「知ラない」
「は?」
「いや、知ってル方が少ないんだって。
ほぅ……? まぁ、それならそれで良しとするか。知りたかった事を全て知れたとは言えぬが、隠すだけの何かが有るってことは知れたの。まさか、わん・ふぉお・おおる……のように特別な個性ではあるまいな? 流石にあんな個性が幾つも有るのはどうかと思うが、すたぁの個性は得体が知れない感じがする。儂の前で二度は披露してたが、その二度で分かった事と言えば……。
……まぁ、良いか。あれやこれやと人様を探るのは好かん。あやつの個性については、得体が知れないってことで納得しておこう。今後関わって行くんじゃから、聞かずとも知る機会は幾らでも有るじゃろうし。
「それで、俺はバディとして何をすレば良い?」
ばでぃ? ええっと……二人組とかそんな感じの意味じゃったか……? 会話の中に流暢な発音で英語を混ぜるのは止さぬか。混乱しそうになる。それと、誰と誰が二人組じゃって? 貴様はただ協力者ってだけなんじゃから、直ぐに親しげにしようとするのも止してくれ。
……英語の勉強、もう少ししておかんとなぁ。被身子に頼り切りじゃと、いざと言う時に困る。今回みたいな事態はそうそう無いんじゃろうけど、今後起こらないと言ったら怪しいものじゃからの。
「取り敢えず、ほてるに送ってくれ。それと明日、一日足代わりになってくれるかの?」
「分かった。じゃあ、送ルよ」
―――こうして。儂は現地の協力者を得た。すたぁも居るが、背後に
◆
現地での協力者、警官の『もらる・おぉでぃなりぃ』を得た後。儂はもらるの案内で、
「いっきし!」
んんむ……。盛大にくしゃみが出た。熱は、……無いの。ただ、昨晩着替えが無いからって裸で寝たのが良くなかったか。念の為に反転術式《はんてん》を全開にして、体調を整えておく。
……それで、今は何時じゃ? 結構寝てた気がしてならん。部屋に据え付けられた時計を見てみると、短針が十を指していた。つまり、十時じゃの。昨日すたぁの奴に連れ出されたのが昼過ぎじゃったから、被身子やながんが
あ、いかん。そう言えば、ながんと儂は一定以上離れてはいかん筈じゃ。まさか儂が戦闘機で連れ去られてから、今の今まで感電し続けてる……なんて事は無いよな? 流石に無い筈じゃ。何じゃか心配になって来たぞ……。
「ま、まぁ大丈夫じゃろ! がははは!! ……はぁ……」
うぅむ。虚しい。寝起きに独りで居るのは、……寂しい。被身子に電話も出来ぬし、じゃからって部屋に誰かを招き入れることも出来ぬし。部屋の外に出ようにも、着る服が無い。最悪、昨晩譲られた上着一枚で過ごすことになるじゃろう。それは避けたい。と言うか、避けねば被身子に叱られる。
じゃからって、いつまでも裸で居るのはそれはそれで良くない。……仕方ない、暖房を強く利かせて掛け布団でも羽織るとしよう。そうすれば少しは暖かいじゃろ。って、いかん。いかんぞ。
仕方ない。こうなったら朝風呂じゃの。長湯でもして、被身子やながんが到着するまで待つとしよう。そうと決まれば、さっそく風呂の準備をして……。って。
「……今度は何じゃ、もぅ」
何か変な音が部屋に響き始めた。結構喧しいの。聞き慣れない音が間隔的に繰り返されて、結構不快じゃ。いったい何なんじゃこれはっ。
「おーーい、ブラッディ! まだ寝てルのかーーー!?」
……なるほど。部屋の扉の向こうから、もらるの声がした。となるとこの音は、呼び出し音か。
取り敢えず。いつまでも放っておくと喧しいじゃろうから、もらるの奴を部屋に迎え入れるとしよう。着る服は無いから、……仕方ない。掛け布団を体に巻いてしまえば良いじゃろ。着る服が何一つ無いんじゃから、仕方ない仕方ない。一応、被身子には内緒にしておこう。でないとほら、余計に説教されるかもしれないし。
「……起きとるよ。今開けるから、待っとけ!」
ひとまず。もらるを部屋に迎え入れるとするか。服については、この際あやつに頼るとしよう。まさか最初に頼むことが服の用意になるとはのぅ……。まったく、色々とままならんものじゃなぁ。
モラル・オーディナリーくん。書いてて割りとお気に入りです。日本人だった場合、道徳平凡って名前にしてたかもしれません。
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ