待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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雄英体育祭。目前

 

 

 

 

 

「――花ちゃん。起き―――」

 

 声がする。大好きな声じゃ。いつの間にか好きになっていた声。いつの間にか、大切になっていた声。

 

「円花ちゃ――。――きて――」

 

 揺さぶられる。肩を掴まれて、少し鬱陶しい。儂、まだ寝ていたい。昨晩は呪具作成の後にこやつの機嫌を直して、それから好き勝手にされて……。

 

 んん……、まだ眠い……。

 

 もう少し、あと五分。いや十五分。まだ寝れる。このまま二度寝して……。

 

「円花ちゃん。そろそろ起きてっ!」

「……んぇ……?」

 

 ……何じゃひみこお。朝から騒々しい。儂、まだまだ寝ていたいんじゃあ。まったく、昨日は好き勝手しおって。お陰で少し体の節々が痛む。反転術式(はんてん)反転術式(はんてん)っと……。よし、痛みは無くなった。じゃあもう一度寝直して、今日は惰眠を貪るとしよう。ほれ被身子、もっとこっちに寄らんか。いつものように儂を抱き枕にして寝るが良い。許すぞ、よく眠れるからのぅ……。

 

「体育祭! 遅れちゃうのですっ!」

 

 ……体育祭。あぁ、そう言えば儂も出れるようになったんじゃった。現在、呪眼(のろいまなこ)の数は二つ。三年と二年の会場を警護する雄英教師が交代で使い回して、呪霊が入ってこないか見張るんじゃ。侵入してきた場合は、游雲を始めとした呪具で祓う。呪霊との戦い方は周知してあるから、雑魚呪霊程度なら問題は無いじゃろうて。

 それから、一年の会場にはおおるまいとが居る。儂もな。儂等は呪具無しで呪霊を祓えるから、呪具など無くとも問題は無い。

 

 こう言った理由から、儂は雄英体育祭に生徒として参加出来るようになった。そろそろ憎い生理が来る筈じゃが……多分大丈夫じゃな。来る感じがしない。何となくじゃけど、明日な気がする。じゃって今、朝から被身子に抱かれて良いと思っておる。

 どうも生理前は、性欲がなぁ。動けば紛れるから良いんじゃけど、こうして寝室で布団に寝転んで、被身子が側に居ると……こう……。欲しくなる、と言うか……。

 

「んんっ、ふわぁ……あっ。んんん……」

 

 ああ、眠い。眠いが、起きねば。出たかった体育祭に出れるんじゃから。しかも、被身子が腕に()りをかけて弁当を作ってくれるんじゃぞ。起きねばなるまい……。それに昨晩、寝る前に約束したしのぅ。格好良いところを見せるって。そうすると被身子が喜ぶ。今年も一番になっておくとするか。

 

 ……よし。

 

 まだ縋り付いてくる眠気を振り払い、体を起こす。直ぐに目に入るのは、制服の上に前掛けをした被身子じゃ。

 

「おはようございます。円花ちゃん」

「おはよう被身、んむっ。おい……、朝は止さんか」

「ふふっ。目は覚めた? 朝ごはん出来てるから、シャワーを浴びて制服に着替えてください。あと歯磨きも」

「……相分かった」

 

 朝から口付けなどしおって。今朝は随分と機嫌が良いな貴様。まったく、仕方のない奴じゃな。ところで、儂の寝間着はどこじゃ? 昨晩脱がされて……見当たらん。まぁ良い。このまま風呂に向かうか。

 

 今日は、体育祭。思いっきり体を動かして、弁当を食べて、また体を動かす日。うむ、何だかんだで楽しみじゃのぅ。今回も遊びの範疇ではあるが、競い合うのは良いものじゃ。

 

 さて、くらすめえとを蹂躙してくれよう。一等賞は儂のものじゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 身嗜みを整え、朝食を摂り、教室へ。もういんたあんしっぷは終わっているが、それでも雄英敷地内の寮に儂は被身子と住み続けている。呪霊対策は済んだが、儂が未だに警護対象であることは変わりない。呪眼(のろいまなこ)の製造もまだまだやらなければならないからの。

 両親は元気でやっておるかのぅ。事態が事態とは言え、まさか寮生活になるとは思っておらんかったし。今度外出許可を貰って、会いに行くとするか。

 

 それはそれとして、誰か被身子を落ち着かせる方法を教えてくれ。寮生活が始まってからと言うもの、あやつが迫ってくる頻度が多くなった。自制が出来とらん。他に人目が無いからと言って、寝室や風呂場以外で求められるのは……。

 

「廻道、ちょっと」

 

 被身子をどう自制させるか考えていると、朝礼が終わっていた。そして何故か相澤に呼び出された。他の者はもう会場に向かっておるのに。まさか儂に一人で会場に行かせるつもりか? 良いのか? その場合、道に迷うぞ??

 

「本来ならお前を参加させる予定じゃなかったから、何の準備もさせていないんだが……開幕式で選手宣誓がある。やるか?」

「やらん」

「なら予定通り爆豪に任せる」

「いや待て、儂がやろう」

 

 凄まじい手のひら返しをすることになってしもうた。何で舎弟の奴に選手宣誓なんて真似をさせようとするんじゃ貴様。絶対ろくでもない事になるじゃろうが。さては阿呆か? 阿呆なのか?

 

「そう言ってくれて助かる。これ原稿ね。よろしく」

「……仕方ないのぅ。で、ここからどうやって会場に向かえば良い?」

 

 今居るのは、校舎の廊下。しかし会場までの道程は知らん。くらすめえとに頼もうにも、儂は呼び出されて教室から離れてしまったからな。

 

「……付いて来い。お前は一人で出歩くな」

「うむ。案内頼んだ」

 

 折角の体育祭。道に迷って会場に辿り着けないなんて真似はしたくない。大人しく一人で出歩かずに、誰かに道案内を頼むとしよう。今回は担任に頼むことにした。また森の中で迷子になって、お説教されたくないしの。

 

 しかしまぁ、これから体育祭。体育祭、か。どのような種目があるかは知らんが、儂は全部出るぞ。今日はとことんまで楽しむんじゃ。被身子も観に来るしのぅ。

 

 ……ふと思ったんじゃが、あやつ自分の体育祭どうするつもりじゃ?

 儂の応援に駆け付けるのは構わんが……良いのか?

 

 まぁ、良いか。好きにさせてやろう。この学校は自由な校風が売りらしいからな。体育祭ぐらい参加しなくても、許されるじゃろうて。

 

 

 

 

 

 

 ……何て思ってた儂を、後で殴り飛ばしたい気持ちになった。すっかり忘れていたんじゃよ。儂は体育祭に参加するなと告げられた日に、被身子が悪どい笑みを浮かべていたことを。耳郎や八百万、そして梅雨を連れて職員室へ突撃していたことも。

 

 なあ被身子よ。何で儂はこんな格好で選手宣誓を行い、障害物競争に挑まねばならぬのだ? 体育祭での服装は体操着じゃないと駄目なのではないか?

 

 

 な ん で め い ど 服 を 着 せ た 。

 

 

 許可は取りました、じゃと? おい雄英。何故許可を出した?? 貴様等、さては被身子に弱味でも握られたのか???

 

 

 そこはしっかり止めておかんか! 教師としてっ!! 儂が大変じゃろうが!! 儂が!!!

 

 

 

 

 

 









円花Tips 生理前は性欲が強くなる。何ででしょうね。

昨日四回行動したので今日はもう行動しません。

三人称による補完は要りますか?

  • 欲しい
  • 要らん
  • 良いから一人称で突っ走れ
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