待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
「おい、じゃからっ! 引っ張るんじゃないこのたわけが……!」
「Sorry. It's a hassle」
「ぁー……、I don't have a translator right now」
「Study English. You're the master's disciple, right?」
……はぁ……。駄目じゃ。被身子もすたぁも、何を言ってるのかさっぱり分からん。これでは意思疎通が出来んから、やはり英語の勉強を頑張るしかないのぅ。いや、儂なりに頑張ってるつもりなんじゃが、どうにも英語は苦手科目なままで。翻訳機が有れば良かったんじゃが、今は持って来ていない。最悪被身子に通訳して貰えば良いと思ってたんじゃが、この状況ではそうも言ってられんか。うぅむ、どうしたものか……。
「……Anyway, first secure the bomb.It's here, right?」
「Yeah.Probably on the top floor」
「Let's go. Follow me」
んんむ、分からん。まっこと分からん。何で英語っていうのは、こうも記憶に残らないのか。勉強はしている筈なのに、いざこうして英語を聞いてみると何も理解出来ん。何故日本語が世界共通言語ではないのか。日本語じゃったら、何も苦労しないんじゃけどなぁ……。
まぁ、それはともかく。
すたぁと会話することは出来ぬが、じゃからって儂がこれからすべき事に問題が生じる訳ではない。そして、何が変わるわけでもない。これから儂は、この建物の最上階を目指す。急げるだけ急がねばならん。道中で
ところで。建物の中は滅茶苦茶になっておる。然程広くない廊下には何人もの悪党が倒れ伏して居て、誰一人微動だにしない。壁に刻まれた傷跡じゃったり、天井や床の壊れ具合を見るに常闇達は相当派手にやったようじゃ。無茶な真似はして欲しくないが、今は世界の危機じゃからのぅ。多少は許してやるとするか。
……それと、念の為に。そこらに倒れている悪党共は全員赤縛しておくとする。呪力の無駄な気がしないでもないが、念の為じゃ念の為。後で起き上がって、また抵抗されたら面倒じゃし。
「……付いて行っても、良いですよね?」
「今更置いてくような真似はせんて。ただし、常に儂の後ろに居てくれ」
「んふふ。はぁいっ」
「ぐえっ。……お主なぁ……」
まったく。急に後ろから抱き付くんじゃない。確かにこれなら常に儂の後ろじゃけども、わざわざ抱き付くのは……。まぁ、良いか。下手に後ろで右往左往されるよりかは、抱き付かれてた方がずっと良い。何時でも何処でも甘えんぼなのは少し考えものかもしれんが、今は仕方ないか。とにかく、上へ進むとしよう。常闇達が心配じゃからの。
「Nevertheless. Your team is doing some fancy stuff, huh?」
「Yes, it is. Madoka's friends are just that good!」
「……Japanese hero candidates do well, too」
儂の前を進んで行くすたぁと、儂の後ろに居る被身子がまたも何かを話しておる。何の会話かはさっぱり分からんままじゃが、被身子の声音からして……多分雑談じゃな。すたぁも、軽口を叩いてるような気がするし。出来ることなら常闇達が居る筈の上の階まで、一息に駆けたい。が、被身子が居る手前そうもいかんか。儂やすたぁが本気で走れば、被身子では付いて来れぬからのぅ。気持ちは焦るが、それを行動にしてしまうのは厳禁じゃ。常闇は、もうそんなに弱くはない。尾白や砂藤じゃって、少しは成長しとる筈なんじゃから。……んんむ……。
「きっと大丈夫ですよぉ。……ね?」
「んぐむ……」
ううむ。心配ばかりしていたら、両頬を被身子に揉まれた。心配し過ぎるのも良くないとは思いつつも、やはりどうしても心配が勝る。くらすめぇと達全員がもっと強ければ、少しぐらいは心配しなくても良いんじゃろうか? いっそ、儂自らあやつ等を鍛えるか……? 近々そうする予定では有るんじゃけども、今回の件が済んだら早速そうしてしまっても良い気がするの。じゃから、その為に。
「……さっさと済ませるか。おい、急ぐぞ」
こんなところで、のんびりとはしてられん。さっさと悪党共を制圧して、爆弾を確保しよう。
そんなこんなで、十数分後。儂等はこの建物の最上階に足を踏み入れた。
◆
悪党共が倒れた廊下や階段を通り抜けること、十分と少し。儂等三人は、ようやくこの
それで、じゃ。最上階の廊下には、両開きの扉が一つしかない。やたらと分厚く、頑丈そうな扉が有るだけ。耳を澄ましてみれば、扉の向こう側から僅かに戦闘音が聞こえる。悪党共が最後の抵抗をしているのじゃろう。その場合常闇達はずっと戦っていたことになるが、……無事なんじゃろうな? 怪我などしていたら許さんからな、たわけ共。
「……Let's go in. Are you ready?」
儂が扉の片方に手を掛けると、もう片方にすたぁが手を掛けた。何を言ってるかは、……まぁ流石に何となく分かる。発音が流暢じゃから聞き取れた自信は無いんじゃけどな。それでも、すたぁの表情とか声音で何とか分かる。気がする。
それと、被身子はと言うと。相変わらず儂に抱き付いたままじゃ。少しぐらい離れて欲しいものじゃが、まぁ仕方ない。呪力を練り上げ、拳を振り上げる。すたぁも拳を振り上げていた。うぅむ、こんなところで気が合うのは遠慮したいところじゃなぁ。こんな筋肉阿呆と同じ思考なのは勘弁願いたい。こやつ、さては大雑把じゃな? まぁ儂も似たようなもの、……とは思いたくないのぅ。
「We get along well. First of all, of course, SMASH!」
「じゃから、そろそろ日本語で話せっ!」
扉を全力で殴る。同時に、すたぁも扉を殴った。結果、儂等の目の前に有った扉は大きな音を立てながら吹き飛ぶ。儂は室内を見渡しつつ、直ぐ様両手を叩き合わせる。
「Oops. No cue」
「……ひとまず、無事のようじゃな?」
儂等が見たものは、床に倒れた悪党二人と疲弊した常闇達じゃった。見たところ、疲弊しているものの目立った怪我は無い。それぞれ顔に小さな擦り傷が出来ているぐらいで、ひとまず命に別状は無いじゃろう。……もしかすると、心配し過ぎじゃったかもしれんなぁ。いやしかし、やはり子供が戦うのは生きた心地がしない。
「頼皆、スター。こっちは、ひとまず制圧完了した」
「HAHAHAHA! You're good. I didn't think it was a wasted trip」
「……無事で何より。お主等もたまにはやるんじゃなぁ」
「流石に頼皆みたいに……は、無理だったけど。何とかなったよ」
「頼み、……スタ、……とがせ……?? ……????」
ぉ、おう。とにかく常闇達だけでも何とかなったようじゃけども、砂藤の頭が働いとらん。よく見れば尾白の尾はまぁまぁ傷付いとるし、部屋の中は結構滅茶苦茶じゃ。そこに気絶しとる悪党は、だぁくしゃどうが纏めて抑え込んでおるの。いつの間に。
まぁ何にせよ。常闇達が無事で何よりじゃ。わざわざ儂等が来る意味は……無かったとまでは言えんか。どうにかしなければならん物が、部屋の奥に鎮座しているし。ってこら、被身子。まだ終わった訳でもないのに、力いっぱい抱き締めるんじゃない。頭を撫で回すな、気が抜けるじゃろまったく。
「……それで。これが爆弾か?」
「あぁ。確保はしたが、解除は出来てない。このままではいずれ爆発するかもしれん」
「解除コードが分かれば良いんだけど……」
……ふぅむ。確保したは良いが、処理は出来ず……と言ったところかの。部屋の奥に鎮座している爆弾は、何やら光っている。下手に触ると爆発しそうじゃし、そうなってしまったらこの場の全員が無事では済まない。安全の為には何とかしたいところじゃが、儂ではどうしようも無さそうじゃの。爆弾の解除なんて芸当は流石に出来ん。ひとまず確保は出来たんじゃから、後の事は警察なり何なりに任せた方が良いじゃろう。と言うか、儂等は此処から去った方が良いのでは? すたぁが睨みを利かせてくれたとは言え、指名手配犯扱いはまだ続いてそうな気がするし。警察が此処に来たら、それはそれでまた面倒な事になりそうじゃ。
「おい、すたぁ。後は任せても良いか?」
「So be it. The rest is already arranged」
「被身子、なんて?」
やはり何を言ってるのか分からんから、被身子に訳して貰うことした。もっと早くからこうするべきじゃったのぅ。そしたらもう少し意思疎通が取れた気がする。
「後は手配済みって言ってます。後の事はこの人に任せて、みんなで退散します?」
「……そうしよう。此処に警察が来たら面倒そうじゃし」
「じゃあ、もう一回愛の逃避行ですねっ!」
「えぇ……?」
まったく、こやつと来たら何を言ってるのやら。同じ日本語を話している筈なのに、時折被身子の言葉が分からん時が有る。まっこと、何を考えてるのか分からん奴め。まぁ、何故か楽しそうにしてるから許してやるが。
「常闇、尾白。儂等はこの場から離れるぞ。それで良いな?」
「……委細承知」
「うん、仕方ないよね。まさか指名手配犯扱いなんて、思いもしなかったよ」
「ほーら砂藤くん、ここから出ましょう。しっかりしてください」
「出る……? ここ……? 出……??」
……砂藤はまだ駄目そうじゃの。脳機能が低下したままじゃ。仕方ないから、だぁくしゃどうにでも運んで貰うとしよう。後は人目の付かんように、全員で外に出なければ。爆弾については、すたぁが何とかしてくれるじゃろ。多分。
よし。そうと決まれば、まずは外に居るながんに連絡をじゃな……。
「Hey, Bloody. Take it away!」
ぬ。無線を使おうと思ったら、すたぁに紙片を投げ渡された。折り畳まれたそれを受け取って開くと、……うむ。何て書いてあるか分からん。多分地図じゃと思うが、後で被身子に読んで貰うとしよう。
とにかく。今はこの場から離れて、また何処かに身を隠すとするか。あらぬ疑いがさっさと晴れてくれれば楽なんじゃが、それにはもう少し時間が掛かりそうじゃ。どうせならこの
まぁ色々と面倒じゃが、なるようになるじゃろ。……多分。
もうちっとだけWHM編は続きます。
三人称による補完は要りますか?
-
欲しい
-
要らん
-
良いから一人称で突っ走れ