待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
結局。用意された移動手段は飛行機じゃった。えぇ……? やじゃぁ……。苦手なんじゃ飛行機は。どうにも好きになれん。出来れば二度とは乗りたくなかったんじゃが、そんな主張が今更受け入れられることはなく。まっこと遺憾では有るが、飛行機に乗って帰るしかないらしいの。ぐぬぬ……!
下水道で蜥蜴呪霊を祓った後、儂等は人目を避けつつ車に乗り込んだ。すたぁとその部下達が用意していたのは配達車両で、その荷台に隠れるような形で何処かの空港の滑走路まで無事に辿り着いた。それにしても、儂等を帰す為だけに飛行機を用意したのかこやつ。何でも、ぷれしでんとのぷらいべぇとじぇっと……? とか、何とか。確か、大統領……じゃったか? まさか国の指導者が、儂等を逃亡を手助けするとはの。すたぁ曰く、これは秘密裏な頼みじゃったらしい。
「今の内に、貴女に恩を売っておきたいってことらしい。プレジデントにも、色々思惑が有る。……今回は受け取っておきな」
とか何とか、すたぁは言っていた。尚、大統領用の飛行機を目にした常闇達は目を丸くして恐れ慄いていた。被身子やながんも、流石に引いておったわ。飛行機は飛行機じゃろ。そんな大袈裟に反応しなくて良いと思うんじゃがなぁ。
それと、帰り道の途中でよく分からん物を渡された。儂の手でも握り隠せそうな程の、小さな機械の板じゃ。何でも、これを使うと信号が飛ぶとかなんかで、それをすたぁが持つ同じ機械で受信する……らしい。何でそんな物を渡して来たのかを聞いて見れば、
「ともかく。私はここまでさ。後はお兄ちゃん達が日本まで送り届けてくれる。
……頼皆。これから色々あるだろうが、マスターの弟子ならしっかりやりな! HAHAHAHA!!」
飛行機に乗る直前。背中を思いっ切り叩かれたわ。要らん期待を背負わされた気しかしないが、緑谷が独り立ちするまでは仕方ない。儂が代わりに背負っておいてやる。
そんなこんなで、儂等は無事に
それで、現在―――。
んんむ、やはり落ち着かん。空の旅は、これっぽっちも落ち着かん……! そもそもじゃ、何でこんな鉄の塊が平然と空を飛べるんじゃ。絶対、絶対に何かおかしいじゃろ! いったい、何がどうなっとるんじゃっ。納得の行く説明をしろぉ!! 海に墜落したらどうするつもりなんじゃっ、これではまだ船の方が安全じゃって!!!
「どぅどぅ。円花ちゃんは、相変わらず飛行機が駄目ですねぇ」
「廻道さんて、飛行機駄目なんだね……?」
「どうやらそのようだ」
ぐぬぬ。ぐぬぬ……! 何でどいつもこいつも、平然としてられるんじゃこやつ等はっ。人は空から落ちたら死ぬって知らんのか!? 誰も彼もが、かつての
「大丈夫ですよぉ。今の時代、飛行機が墜ちる確率って二千万分の一ぐらいですから」
「……は……?」
二千、万分の一……? いや、いやいや。つまりそれは、二千万回も飛んだら一度は墜ちるって事じゃろうが……! まだ数回しか乗ったことがないが、今回は墜ちるかも知れないじゃろ……っ!? やじゃ、もうやじゃっ。儂、早く大地に帰りたいっ!!
「もし墜落するようなことになっても、生き残る為の備えが有る。安全面は大丈夫だ」
「信用ならんが!?」
「どぅどぅ。大丈夫ですよぉ」
いや、じゃからっ。何処が大丈夫なんじゃ!? どの辺りが大丈夫なんじゃ……!? 何でどいつもこいつも、飛行機の中で平然として居られるんじゃっ!? 解せぬ、解せぬぅ……っ!
「んふふ……。じゃあ、あっちの寝室でイチャイチャしましょうか。ねっ?」
「……。……、……す……する……」
「はぁい。というわけで、日本に帰るまで私達は引きこもってますので!」
……ん、……む……? 何か今、つい頷いてしまったが、もしかしてこれは間違いだったのでは……? 飛行機に、寝室? 前に乗った時、そんなものは無かったと思うが。
ま、まぁ。人目の無いところで被身子と居れば、空の旅も一瞬じゃろう。が、がははは!
なんてやり取りが有ったのが、ほんの十分前。この飛行機の中には、
何で儂、脱がされとるんじゃろうなぁ。
気が付けば、
「んふふ。されるがままなのです♡」
「……何で脱がすんじゃ、たわけ」
「イチャイチャするので!」
「いや、じゃから何で」
「イチャイチャするので!」
「ぉ、おい……」
「イチャイチャするので!!」
ぐええっ。急に力任せに押し倒すんじゃない。覆い被さるんじゃない。そんな飢えたような顔で迫るな。鼻息を荒くするな、まったく。確かに今は二人きりじゃけども。誰かに邪魔されることも無いじゃろうけど。じゃからってそんな、急に求め合おうとするのは如何なものか。
んっ、こら……。耳に触れるな。首筋を撫でるな。股の間に膝を差し込んで、顔を近付け―――。
「んん……っ」
文句を言う間もなく、唇を塞がれた。いや、奪われた。あぁもう、分かった。分かったから。じゃから、そんな貪欲になるんじゃない。そんな強引に抱こうとしないでくれ。求められるのは大歓迎じゃけど、もう少しこう……落ち着いてじゃな……?
「ちゅ……っ。ふふ……。円花ちゃん、円花ちゃん……♡」
あぁ、駄目じゃなこれ……。もう被身子がすっかりその気で、我慢出来ないと言わんばかりじゃ。
……思い返してみれば。そう言えば下水道での潜伏期間中、
「……め、滅茶苦茶にしてくれるか……?」
そんな風に、して貰いたい。なんて、思ってしまうわけで。何だかんだで気恥ずかしいから、目を逸らしながら……言ってみる。あ、いかん。被身子の目が据わった。気配で分かる。もしやこれ、日本に帰るまで続く感じか……!?
「―――はぁい♡ 滅茶苦茶に、してあげますね♡♡」
ぞくり。と、背中が震えた。被身子のえっち。阿呆、へんたいっ。
◆
酷 い 目 に 遭 っ た 。
いや、その。被身子が止まらなくて。儂の事を、これでもかと滅茶苦茶にして。まさか飛行機の中で、何時間も何時間も好き勝手に貪られるとは。何度果てたか分からんし、もはや今が何時かも分からん。あと何時間で日本に着くんじゃろうか……? まぁもう……何でも良いか。指ひとつ動かしたくないぐらいに疲れてしまって、このまま被身子の腕の中で寝てしまいたい。
「……ふふ。ごちそうさまでした……♡」
ひとまず、被身子は満足してくれたようじゃ。今は落ち着いとる。今はな。次の瞬間には、また儂を抱き潰そうとしてもおかしくはない。別に良いんじゃけど。性も根も尽き果てそうじゃけど、もう一度ぐらいなら……まぁ。
なんて阿呆な事を考えつつ、黙って被身子に抱き付く。ついでに足も絡めてみたりして、胸に額を強く当てておく。さっきまでの痴態を思い出すと、恥ずかしくて死にそうじゃ。くそっ、被身子めぇ……! 後で覚えてろよ……!!
「照れちゃって、カァイイ♡」
「……うるさぃ。たわけ、へんたい」
「えー? ノリノリだったじゃないですか♡」
……そうじゃけど。儂も興が乗ったのは事実じゃけども。何なら、かなり悦ばしかったけれども。ただそれはそれとして、気恥ずかしいものは気恥ずかしいんじゃ。まったく、これでは体が幾つ有っては足りないのでは? もう少し加減というものをして欲しいと思わんでもない。
と、とにかくじゃ。今の内に、一息つくとしよう。次の瞬間には、また始まってしまうかもしれんし。幾らでも相手してやるつもりじゃけど、それはそれとして小休憩ぐらいはしたいからの。
「……少し休憩じゃ、休憩。身が保たん」
「はぁい。ゆっくりイチャイチャしましょうか♡」
いや、それでは休憩になら―――。まぁ、良いか。少し物足りんのも事実じゃし。とは言え再び何回戦も求め合う程の体力は無いので、するとしても一回だけじゃ。……一回だけ、じゃからな!?
「……っはぁ♡ 円花ちゃん、円花ちゃん……♡」
ん、んん……っ。こら、腰を撫でるな。そんな物足りなさそな顔で見詰めるな。覆い被さって、首を甘噛みするな。ついつい乗ってしまいたくなるじゃろ。そもそもこれの、どの辺りがゆっくりなのか。まったくこやつの性欲……いや愛欲と来たら、まるで終わりが見えん。飽きもせずに求め続けてくれるのは嬉しいが、やはり手加減はして欲しいのぅ。儂じゃなかったら死んでおるぞ。
まだまだ収まりそうにない被身子をどうしたものかと考えてみるものの、やはりどうしようもないんじゃろうなぁ……。まっこと、仕方のない甘えん坊なんじゃから。
で、この後。またも滅茶苦茶にされたわ。飛行機の中で、何をしてるんじゃろうな儂等は。でもでもじゃって、火が点いてしまったなら……仕方ないじゃろ?
飛行機でセッ……するバカップルの図。
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ