待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
……おほん。とにかく、儂は日本に帰って来た。帰ったら帰ったらで、また色々と大変じゃった。何せ儂、
そんなこんなで、警察やえんでゔぁに
で、取り敢えずじゃ。儂は風呂に入ることにした。被身子も一緒かと思ったんじゃが、先に夜食……と言うか朝飯を作ると言って台所に向かって行ったわ。常闇達を除いたくらすめぇと達は、登校していった。放課後になったら、緑谷や轟、それと舎弟の三人に怪我の理由を聞くとしようかの。他のくらすめぇと達も今回の騒動で少なからず怪我をしたみたいじゃが、その中でも緑谷達の怪我が酷かった。特に緑谷。何で包帯まみれになってるんじゃ、まったく。
……まぁ、生きて居たのなら良しとしよう。
「あ゛ぁあ゛……っ。染みるのぅ……」
広々とした浴槽に一人で浸かると、疲れが一気に押し寄せて来た。飛行機の中の風呂も悪くはなかったが、やはり風呂は日本に限る。手足を投げ出してのんびり出来るのは最高じゃ。せっかくじゃから、入浴剤も勝手にぶち込んだしの。広々とした浴室に、すっかり柚子の香りが充満しとる。うむ、悪くない。むしろ良い。しばらく湯に浸かって、しっかり身体を温めて。それが済んだら朝食を済ませ、後は被身子と寝るだけじゃ。今日はもう、他に何もしたくない。とにかく休ませてくれ。もういっそこのまま寝てしまいたいぐらいじゃ。
「……ごくらく、ごくらく……」
他に誰も居ないんじゃ。湯にぷかぷか浮いたって、咎められることは無い。たまにはそんな真似をしたって良いじゃろ。うむ、良いんじゃ。手足を広げて浮いてみれば、湯気と天井しか見えん。こんな姿を被身子に見られたら呆れられる気しかせんが、今は一人じゃからな。何をしてたって良いんじゃ。ふふん。
「はふぅ……。ふいぃ……」
極楽過ぎて、もうこのまま溶けてしまいたい。湯に浮かんで寝てしまえば、もっと心地良いのでは? 他に誰かが居たら寝るなと釘を刺されるんじゃから、今ぐらい良いじゃろ。そうしてしまおう。そうと決まれば瞼を閉じて、ただただ心地良さに身を委ねる。あぁ、うむ……。これは寝れるの。間違いなく、寝れる。いっそ湯の中に布団を浮かべて、その上で寝るってのはどうじゃ? 冬の湯船は気持ち良い、冬の布団も気持ち良い。気持ち良いと気持ち良いが合わされば、更なる極楽が、……ぶくぶくぶく……。
「ちょっ、円花ちゃん!? お風呂で寝ちゃ駄目なのですっ!!」
ぬおあっ。湯船に飛び込むんじゃないっ! 何をしとるんじゃ貴様ぁ!!
◆
湯船で寝るなと叱られたわ。仕方ないじゃろ、極楽過ぎて身も心も溶けてたんじゃから。やはり風呂は良いものじゃ。また被身子と、何処かの旅館に行ってゆっくり温泉を堪能したいのぅ。そんな時間が、この先取れるかは分からんが。いやそれでも、どうにかして時間を作りたいところじゃ。結局
なんて考えつつ、味噌汁を啜る。今日の朝飯は、おにぎりと卵焼きと味噌汁。それと沢庵に、そぉせぇじ。こう言うので良いんじゃ、こう言うのが食べたかったんじゃ。まっこと、被身子は出来た嫁じゃよなぁ。後でたっぷり甘やかしてやらねば。
……それはそれとして。考えねばならんことが有る。この上なく気が進まないんじゃけども、儂は四箇月先、……正確には三箇月半程先の事を考えて、くらすめぇと達を鍛え上げねばならん。
ほぉくすの暗号曰く、
……で。悪党共を相手にするには、
「……はぁ……」
なんで久しぶりの被身子の手料理を、あれやこれやと考えつつ口に運ばねばならんのじゃ。こんなにも美味い飯に集中出来んのは、勿体無いじゃろ。
とにかく、じゃ。これからは色々と考えねばならん。
「……さっきから溜め息ばっかりなのです。何が悩んでます?」
足をつま先で小突かれた。対面の席に居る被身子に、あれこれ考えていることが見透かされた。今更隠し事なぞ出来るとは思っとらん。とは言え、この件を被身子に話すのは気が引ける。じゃって、心配させてしまうからのぅ。拗ねるぐらいじゃったらまだ良いんじゃけども、下手をすると総監部とか公安に文句を言いに行きそうで。
……まぁ、でも。隠すのも良くないか。隠したって見破られるし、そうでなくとも無理矢理吐かされるじゃろうし。じゃったら、もう白状してしまおう。心配させてしまうのは、申し訳ないんじゃけども。
「これから忙しくなりそうでの……。早速気が重いんじゃ」
「……むぅーー。また、何か任務ですか?」
「とびきり面倒なやつじゃ。それでも、儂がやるしかない」
「……はぁ……。みんな円花ちゃんばっかりに頼り過ぎなのです。そりゃ、仕方ない部分も有るのは知ってますけどぉ」
「……すまん。また心配させてしまうの」
「まったくなのです。まっこと、仕方ないんですから」
またも足を足で小突かれた。すっかり拗ねてしまった。これは機嫌を取るのが大変そうじゃが、もはや自業自得なので受け入れるしかない。ろくに呪術師が居ない世界で呪術師をやるんじゃから、こうなるのは当然。
……それにしても。何じゃってこの時代は、こうも呪術師が居ないのか。いい加減解明するべきか? いやそもそも、解明したとして呪術師が増やせるとは思えんけど。それでも知っておくだけ良いのかもしれん。今度、七山に聞いてみるとするか。そろそろ五条家が遺した文献から、あれやこれやと情報を得てる筈じゃ。その中に、呪術師が居ない理由も何処かに有るんじゃろう。多分。
「ちゃあんとトガも連れて行ってくださいね。でないと恨むのです」
「……分かっとる。じゃけど、儂が逃げろと言ったら逃げろよ」
「それはケースバイケースですかねぇ」
「お主なぁ……」
面と向かって、遠回しに従わないと言うんじゃない。流石に今回ばかりは大人しくして欲しいものじゃ。とは言え、被身子は他者に
「……
「んふふ。ひゅーとやって、ひょいですよ。ひゅーひょい」
いや、じゃから。それでは分からん。何でそれで反転術式を人に施せるのか。感覚的に出来ていると言うのは分かるが、もう少しこう……理論的にじゃな?
「……ええっとですねぇ……。普段使ってる反転術式の通り道とは、また違う通り道を通すと言うか。使ってる脳の部位が違うというか」
「は?」
は?
「……は?」
普段使ってる通り道とは、また違う通り道を通す……? 使っている脳の部位が違う? いやいや、何を言っとるのか分からん。いや、何となく分かる部分も有りそうなんじゃけども、やはり分からんのぅ。もっとこう、手取り足取り教えてくれんか?
「んん……。だからこうなんですよ、ひゅーひょい」
いや、それで実演されてもじゃな。さっぱり分からん。何でそれで、反転術式を人に施せるんじゃお主は。もしかすると、才能の話かこれは? 努力ではどうにもならん気がして来た。そもそも、反転術式に辿り着ける呪術師は少ない。その中で他者に対して扱えるものは、更に少ないんじゃろう。実際、比奈以外に見たことは無かったぐらいじゃし。そう考えると、……うむ。やはりこれは、才能の話なんじゃろうなぁ。何で儂には、その才能が無いのか。解せぬ。
「呪力の通り道ではなくて、反転術式の通り道でもない。そう言う通り道、円花ちゃんにも有りません? 多分、脳のこの辺……? とか?」
「……? いや、そんな通り道は無いと思うが……??」
……駄目じゃ。被身子が何を言いたいのか、さっぱり分からん。ひゅうひょい、よりはまだ分かりそうな説明をしてくれては居るが、それでも分からんのぅ。やはり、儂には出来んと言うことじゃろう。何せ、黒閃を経ても体外に
「うーーん、また今度考えておくのです。これ、どう伝えたら良いかあんま分からないんですよねぇ」
「……相分かった。一応、頼む」
「はぁい。あ、反転術式と言えば緑谷くんはどうなんです?」
「どうじゃろうな。あやつはほら、個性すら満足に扱えぬ身じゃし」
そもそも、呪術師としては特殊な部類に入るのがあやつじゃ。緑谷の場合は、個性から呪力を得ているからの。儂の知る呪術師とは明らかに違う。それ故に、反転術式を回せるようになるには時間が掛かるじゃろう。そもそも会得出来るのかも怪しい。……が、黒閃を経験しとるんじゃ。呪力が何足るかをとっくに体感しとる。ならばいずれは……。と、思わんでもない。思わんでもないないが、儂は緑谷を呪術師とは認めん。少なくとも成人するまでは、絶対に認めてやらん。
まぁ、じゃけど。
緑谷に反転術式を会得して貰えると、心配事がひとつ減る。この先の事を考えると、少しでも生き残る手段を持って居て欲しいんじゃ。間違っても、死なれるのは勘弁じゃからな。
……はぁ……。やはり気は重いんじゃけども、くらすめぇと達には今よりも遥かに強くなって貰わなければ。その為に、儂が教えてやると決めたんじゃ。あれやこれやと手取り足取り教えてやれば、悪党如きに殺されることは無い……筈じゃ。別に今のままでも死ぬことは無いとは思うが、まだ足りん。出来れば無傷で乗り切って欲しいと思うのもまた事実。
じゃから。これから色々と、考えなければなぁ。取り敢えず緑谷には、反転術式を会得して貰おう。どうやって会得させるかは、これから考える。
……。……最も長い数箇月が、始まりそうじゃ。
反転術式の通り道が違うから他者に施す事が出来る。と言うのは僕の考えであって実際には謎です。何ならまだ、他者に施す反転術式については考え切れてません。どうなってんだ本当に。誰か詳しい人教えてください。
三人称による補完は要りますか?
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ