待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
小学校とやらに入ることになった。義務教育と言うものを受けねばならんらしい。
聞くところによると?
同じ年頃の子供が集まって?
なんぞあれこれと勉強するとか?
それも朝からおやつの時間まで?
………。いや、その時間で体を鍛えたいんじゃが? 集団生活なぞ、したくないぞ?
何を隠そうこの儂! 幼稚園など行っておらん!!
いや、
いや、本当は初日だけ行ったんじゃがの?
行ったんじゃけどなぁ。こう、他の幼子に混ざって生活するのは……これが中々に苦痛での。子供は好きだが、子供のように振る舞うのは……無理じゃった。だから、嫌になって抜け出したんじゃよ。そしたら儂、迷子になって大騒ぎ。家まで帰ろうとしたんじゃが、自分でも理解出来ん程に家とは真反対の方向に突き進んでしもうてな。
以来、方向音痴だから一人で出歩くな等と親も被身子も宣うんじゃ。
儂の尊厳の為に言っておくが、別に迷っとらんぞ。道は全て繋がっとるのを知らんのか?
前世だってなぁ! 北に行くかと家を飛び出て、日本の最南まで行って最後は最北に着いたんじゃぞ!! ほれ、迷ってはおらんじゃろう!!
儂は! 断じて!
方向音痴などでは!
…………………な、無い!!
うおっほん。話を戻すぞ。小学校になど行きたくないのじゃ。勉強は家ですれば良かろう? 分からなければ両親に聞けば良いのじゃ。被身子だって知ってることは教えてくれる。ほうら、儂は学校行かなくても良いじゃろ? な?
だからな? 円花ちゃんが行かないなら行かないなんて駄々を捏ねるな、被身子。後生じゃから……。学校はちゃんと行っておけ? それがこの時代の常識じゃぞ?
儂? だから儂は良いんじゃって。自分で言うのもなんじゃけど、頭が良いからの。脳の造りが違うのじゃ。おい、なんじゃその目は。言いたいことがあるなら正直に言わんかこの血狂い女児!
ぽんこつ? 儂が?
ほう、被身子。儂に喧嘩売っとるんか?
買うぞ? 腕力で儂に勝てると思うなよ?
誰に喧嘩を売ったのかじっくり体と心に刻み込んでやろう! 後で泣いても許さぬからな!!
この後? ああ、喧嘩は儂の負けで終わったぞ。儂の親を味方に付けるのは卑怯じゃないか? 儂、父と母には逆らいたくないんだが??
こうして……小学校に入ることになったのじゃ。えぇ……嫌じゃあ……。
◆
それではちょいと、振り返ることにしよう。
まず一年生。初日にくらすの男子をどっじぼおるで蹂躙したぞ。儂に喧嘩売るからそうなる。運動会は全種目出て、全て儂が一位じゃ。被身子や両親に応援されると、こう……不思議と気合いがな。
弁当、真に美味であった。ただ不格好でちょいと焦げたはんばぁぐがあったが、母よ。もしや失敗したか?
……いや、味に文句は無いぞ? これだけちょいと塩辛かったが、美味ぞ美味。また食べても良い。
おい父。なんだその顔は。被身子、何故赤くなる? あれか、熱中症か? 仕方ないのぅ。ほれこの甘ったるい濁った汁をやろう。回し飲みになるのは済まないと思っておる。
じゃがほら、健康第一じゃろ? 今日は暑いぞ? お主は
次に二年生。くらすの男子が足の速さを競ってきたから、置き去りにしてやったわ。何時何刻も儂の勝ち。儂に喧嘩を売って勝てると思うたか? 学ばん奴等め……。
そう言えばこの年の運動会は、はんばあぐが焦げてなかったの。塩辛くは無かった。やはり去年のあれは母の失敗じゃったか。許す。
で、被身子。何を不満そうにしとるんじゃ? ほれ、母のはんばあぐを分けてやろう。美味だぞ。
次、三年生。この頃にはくらすの男子が喧嘩を売って来なくなった。が、女児に群がられるようになった。この一年は『があるずとおく』なるものを学校が終わるまでする羽目になったのは、あまり良い思い出ではない。
仕方ないじゃろ。どんな男が好みだ? なんて聞かれても、儂より強い奴としか言えんわ。これを言ったら言ったで「そういうのじゃなくて!」と、女児共は言いおる。女の好みなら言えるんじゃがなぁ。と笑って言ったら、全員顔を赤くしてたのぅ。あれはちょっと滑稽で、噴き出しそうになったぞ。
この話をしたら被身子が背筋が凍る笑みを浮かべおった。お主、笑顔の種類を増やしたか?
良きかな良きかな。……良いのかこれ?
で、四年生じゃ四年生。この年はちょっと忘れられないことがあったの。被身子が大泣きして、一ヶ月ぐらいは不登校になった。くらすめえとと、あれこれ有ったらしい。
じゃから、被身子のくらすめえとを取り敢えず殴り飛ばしたわ。後で父から拳骨されたり、母に叱責されたり、殴り飛ばした連中に頭を下げる羽目になったのは……まぁ仕方ないの。暴力はいかん。言葉で解決するべきじゃったと今は思……っとるぞ?
いやしかし、子供を呪うのは気が引ける。
そして五年生。
この年は平穏だったわ。本当に平穏だったのだ。語ること? ……ああ、くらすの男児をばすけっとぼおるで蹂躙してばかりの一年だったかもな。女児の歓声が喧しくて敵わん。被身子にこの件を話したら、まーた冷たい笑顔をしておったわ。背後に宿儺を見た気がする。また体が縦半分に割かれて死ぬかと思ったわ。
あと、先に被身子が小学校を卒業した。せっかくの晴れ舞台じゃからな。髪を編んでやった。大層喜んでおったが、どうみても下手な結び方をしてしまったのぅ。団子にするつもりじゃったんじゃ。でも上手く団子に出来なくての。どちらかと言うと彼岸花のような……爪楊枝が刺さった団子のようになってしまって……。
あまりに不格好だからやり直しを要求したんじゃが、猛烈な勢いで却下されてしもうた。
で、最後に六年生。忘れもしない八月七日、零時のことじゃ。十三歳になった被身子が部屋に突撃して来おっての? いやもう真に、真夜中に突撃して来おった。まぁなんやかんやあって、被身子は正式に儂の許嫁となった。この時の事は自分で語るには気恥ずかしい。被身子に聞け。
その後から被身子は、嫁入り修行をするようになった。このはんばあぐな。被身子が作ったんじゃぞ。美味じゃ。言っておくがやらんぞ?
「以上が儂の小学生時代の話じゃ。ほれ、悪鬼だの羅刹だの呼ばれる筋合いは無いじゃろう?」
で、現在。儂は中学生になった。新たな友達が出来た。鳥頭しとる奴じゃ。こいつに儂の小学生時代の話をしてやらねばならなくなっての。今語ったんじゃよ。語って良い範囲でな。
それにしてもこやつ……間違いなく術式を持っておる……。儂は見たんじゃ、十種影法術を使っているところを。いずれ思う存分呪い合おうぞ。血が滾りそうじゃ……!
「……」
「おい、なんじゃ常闇。可哀想な目で儂を見るな」
「悪鬼羅刹の修羅鬼め。噂に違わぬ怪談だ……」
「貴様まだ言うか! 全部説明したじゃろうが!」
もう一度語り直してくれるわ!! 儂は断じて悪鬼でも羅刹でも修羅でもない!!
……あぁ、被身子。その冷ややかな笑みを浮かべて、教室に入ってくるな。くらすめえとが怖がるじゃろ。お主、儂が男子と話してると直ぐそれじゃな。
おい待て、まだ昼食の最中じゃ。じゃから連れ出すのは止めろ。
待ておい。厠に連れ込むな。
こら待て! 待てと言うとるじゃろうが!!
えー、日間ランキング載ってたんで続きです。
沢山の評価だったり、感想と言う名の催促だったり、ご指摘でありましたり、色々とありがとうございます。
でもですね? 続きはー……無いんですよね。はい。いや本当にね? 今度こそね?
な、何度でも言うぞ……。続きなど無い(震え声)
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ