待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

8 / 553
受験をする。

 

 

 

 

 

 さて。儂がこの時代に生まれ落ちて、十四年の月日が経った。その間やっていたことは……大したことは無い。昼間は学校、夜は家周辺の呪霊狩り、空いた時間は鍛錬じゃ。それと帳は、鍛練で効果が強いものに変えた。

 

 どうにもこの時代、呪術師がおらんようじゃ。呪力がある人間はちらほらと居る割りに、術式を持った者は今のところ儂以外におらん。多分じゃが、術式の代わりに個性を得てる感じじゃな。いや、個性を持ってても術式をもっておる者は居るか。儂がそうじゃ。

 

 うむ。詳しいことは分からん。

 

 儂の個性? 使い物にならんから使わん。触ったものがぐるぐる回るからなんじゃと言うのだ。地面なんて触ってみい。それはもう大変なことになるぞ。あと反動がきつい。反転術式前提になる。要らんわこんな個性。

 だから、儂の個性は『操血』ということになっておる。どこぞのひーろーと同じらしい。機会があれば手合わせしたいのぅ。

 あと、術式の事は両親と被身子だけが知っておる。母は個性が『霊能』でな。霊的なものが見えたり、霊的な事が出来る。呪霊も見えとるそうじゃ。ただ、儂が四歳になった辺りから呪霊が見えなくなったそうな。

 まぁ儂が家の周りの呪霊を軒並み祓ったからの。雑魚ばっかでつまらん。大抵は呪力操作で祓えてしもうた。

 

 この時代の呪霊は、骨が無さすぎる。

 

 儂や家族の事、あと呪霊の事は良い。問題は被身子じゃ。

 出会ってから十年。良い女に成長した。すたいるも良い。気立ても良い。すくすくと美女に育った。

 ……じゃが笑顔と血への執着だけはどうしようも無い。反転術式が無かったら何度失血死したか分からん。包丁で刺してくるのは驚いてしまうから止めろ。止めないんじゃよなぁ。ボロボロの円花ちゃんカッコイイ! カァイイ!! なんて、ふざけた理由で。本当に儂じゃなかったら死んでおるぞ。

 

 それ以外にも問題がある。

 こやつ、友達がおらんのじゃ。学校では休み時間になる度に儂の教室に遊びに来るし、放課後になれば儂と帰宅するから部活もしておらん。小学生の頃も似たようなもんじゃった。

 

 友達を作らんか友達を!

 

 儂とて友人は居るぞ? 常闇じゃ。初めてあやつの個性を見た時は、儂以外にも呪術師おった!! と、ぬか喜びさせられた。許さんからな、だあくしゃどう。常闇、お前もじゃからな。儂の純情を弄びおって。あと変な口調はそろそろ止めておけ。お主、その変な口調のせいで陰口叩かれまくっとるぞ。今年はくらすが違うんじゃが、大丈夫かあやつ。

 

 それと。被身子は正式に許嫁となった。こやつ……滅茶苦茶根回ししておった。儂の両親は、知らぬ間に陥落済み。渡我夫婦は、娘の事に無関心。お陰で被身子は、許嫁となったあの日から我が家に入り浸っておる。ほぼ家に居る。週に七日は寝泊まりしとる。儂の父と母とはすこぶる仲が良いからの。

 たまに向かいの実家に帰って、学校行事などに必要な保護者の同意を貰っとるぐらいじゃ。あと、我が家に入れる食費じゃな。娘に無関心とは言え、余所の家にタダで預かって貰うのは気が引けるらしいなあの夫婦。

 

 まぁ母も父も人が良い上に、本気で被身子を娘じゃと思ってるからな。このせいか、渡我家夫妻は本気で我が子を見放しおった。更に、たまたま儂の血を吸ってるところを見た時、それはもう腸が煮えくり返る物言いをしてな。

 ……つい本気で喧嘩を売ってしもうた。これは良くなかったの。

 

 どうもなぁ。子を大切にしない親を見ると我慢が利かぬ。いや……それだけ被身子が儂の中で大きくなっていると言うことか。孫娘が出来たようで可愛らしいからのこやつ。笑顔と性癖以外はな。

 

「んふふっ。円花ちゃん、円花ちゃん」

「なんじゃなんじゃ、今日もべたべた甘えおって」

 

 自室で勉強しておると、制服姿の被身子が後ろから抱き付いてきおった。距離が近い。本当に最近、すきんしっぷが激しい。被身子が十三になった時からずっとこうじゃ。お主なぁ……結婚前の娘が異性にべたべたとするな。いや体は同性じゃから良いのか? いやでも儂、前世は男ぞ??

 

 のう、被身子よ? 儂、来年受験なんじゃが? お主なんて今年受験じゃろうが。もう夏になるのに何でそんなに余裕なんじゃ。儂は英語が分からなくて将来が不安じゃぞ。

 

「えへへぇ……。こうしてると落ち着くのです」

「そうか。勉強の邪魔じゃから離れろ」

「そこ、間違ってますよぉ。lじゃなくてiです」

「なぬ?」

「英語、また教えてあげましょうか?」

「……頼む。分からん。なんじゃこの言葉。目が回るわ」

 

 英語は分からん。何も分からんのじゃ。何度も被身子に教えて貰ってるが、理解が及ばん。脳が拒否しておる。ちなみに、被身子はかなり英語が出来る。あまりに英語ばかり勉強していた時期があるから、何でそんなに英語を勉強しているのか聞いたことがある。

 返答は、円花ちゃんに教える為と良い笑顔で言われた。あのなぁ被身子。それで英検二級取ってくるのはどうなんじゃ?

 

 ……愛の力は偉大?

 

 愛で宿儺に勝てるなら儂はこの十四年、修行なぞしておらんが??

 

 ああ、猛者と戦いたいのぅ。骨のある奴はおらんのか?

 

 

「円花ちゃんは古臭いですからねぇ。分からなくても仕方ないのです」

 

 ……なんじゃと?

 

「お主、今馬鹿にしたか? 儂を馬鹿にしたか?

 ん? やるか?? 腕っぷしなら負けんぞ??」

「良いですよー」

「よーしそこに直れ被身子! 今日と言う今日は分からせて、っっ!?」

 

 っ、んん……っ。こら、耳を食むな。胸に手を回すな! 腹を撫で回すな!! せくはらじゃせくはら!!

 ま、待て! 待って、そういう事は、結婚してからじゃないと……っ。

 

「円花ちゃん、弱々です」

 

 にたりと笑いおったこやつっ。誰のせいじゃと思っとるんじゃ!?

 

「こんの……っ! せくはらは無しじゃと言うておろうがぁ!!」

「セクハラじゃなくて、愛の有る行為なのです」

「んっ、ちょっ、こら……っ! ひみこ……っ!」

 

 

 もう勉強どころではなくなった。こうやって体をまさぐられると、この体は直ぐその気になってしまう。女体とはこんなに快楽に弱いのか? いかん、いかんぞこれは。

 

 それはそうとお主、最近調子に乗りすぎじゃぞ!!

 

 何? 儂が拒否しないのが悪い? しておるだろうが貴様!!!

 

 

 

 

 

 

 





何度でも言うぞ。続きなど無い。

三人称による補完は要りますか?

  • 欲しい
  • 要らん
  • 良いから一人称で突っ走れ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。