待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
さて。儂がこの時代に生まれ落ちて、十四年の月日が経った。その間やっていたことは……大したことは無い。昼間は学校、夜は家周辺の呪霊狩り、空いた時間は鍛錬じゃ。それと帳は、鍛練で効果が強いものに変えた。
どうにもこの時代、呪術師がおらんようじゃ。呪力がある人間はちらほらと居る割りに、術式を持った者は今のところ儂以外におらん。多分じゃが、術式の代わりに個性を得てる感じじゃな。いや、個性を持ってても術式をもっておる者は居るか。儂がそうじゃ。
うむ。詳しいことは分からん。
儂の個性? 使い物にならんから使わん。触ったものがぐるぐる回るからなんじゃと言うのだ。地面なんて触ってみい。それはもう大変なことになるぞ。あと反動がきつい。反転術式前提になる。要らんわこんな個性。
だから、儂の個性は『操血』ということになっておる。どこぞのひーろーと同じらしい。機会があれば手合わせしたいのぅ。
あと、術式の事は両親と被身子だけが知っておる。母は個性が『霊能』でな。霊的なものが見えたり、霊的な事が出来る。呪霊も見えとるそうじゃ。ただ、儂が四歳になった辺りから呪霊が見えなくなったそうな。
まぁ儂が家の周りの呪霊を軒並み祓ったからの。雑魚ばっかでつまらん。大抵は呪力操作で祓えてしもうた。
この時代の呪霊は、骨が無さすぎる。
儂や家族の事、あと呪霊の事は良い。問題は被身子じゃ。
出会ってから十年。良い女に成長した。すたいるも良い。気立ても良い。すくすくと美女に育った。
……じゃが笑顔と血への執着だけはどうしようも無い。反転術式が無かったら何度失血死したか分からん。包丁で刺してくるのは驚いてしまうから止めろ。止めないんじゃよなぁ。ボロボロの円花ちゃんカッコイイ! カァイイ!! なんて、ふざけた理由で。本当に儂じゃなかったら死んでおるぞ。
それ以外にも問題がある。
こやつ、友達がおらんのじゃ。学校では休み時間になる度に儂の教室に遊びに来るし、放課後になれば儂と帰宅するから部活もしておらん。小学生の頃も似たようなもんじゃった。
友達を作らんか友達を!
儂とて友人は居るぞ? 常闇じゃ。初めてあやつの個性を見た時は、儂以外にも呪術師おった!! と、ぬか喜びさせられた。許さんからな、だあくしゃどう。常闇、お前もじゃからな。儂の純情を弄びおって。あと変な口調はそろそろ止めておけ。お主、その変な口調のせいで陰口叩かれまくっとるぞ。今年はくらすが違うんじゃが、大丈夫かあやつ。
それと。被身子は正式に許嫁となった。こやつ……滅茶苦茶根回ししておった。儂の両親は、知らぬ間に陥落済み。渡我夫婦は、娘の事に無関心。お陰で被身子は、許嫁となったあの日から我が家に入り浸っておる。ほぼ家に居る。週に七日は寝泊まりしとる。儂の父と母とはすこぶる仲が良いからの。
たまに向かいの実家に帰って、学校行事などに必要な保護者の同意を貰っとるぐらいじゃ。あと、我が家に入れる食費じゃな。娘に無関心とは言え、余所の家にタダで預かって貰うのは気が引けるらしいなあの夫婦。
まぁ母も父も人が良い上に、本気で被身子を娘じゃと思ってるからな。このせいか、渡我家夫妻は本気で我が子を見放しおった。更に、たまたま儂の血を吸ってるところを見た時、それはもう腸が煮えくり返る物言いをしてな。
……つい本気で喧嘩を売ってしもうた。これは良くなかったの。
どうもなぁ。子を大切にしない親を見ると我慢が利かぬ。いや……それだけ被身子が儂の中で大きくなっていると言うことか。孫娘が出来たようで可愛らしいからのこやつ。笑顔と性癖以外はな。
「んふふっ。円花ちゃん、円花ちゃん」
「なんじゃなんじゃ、今日もべたべた甘えおって」
自室で勉強しておると、制服姿の被身子が後ろから抱き付いてきおった。距離が近い。本当に最近、すきんしっぷが激しい。被身子が十三になった時からずっとこうじゃ。お主なぁ……結婚前の娘が異性にべたべたとするな。いや体は同性じゃから良いのか? いやでも儂、前世は男ぞ??
のう、被身子よ? 儂、来年受験なんじゃが? お主なんて今年受験じゃろうが。もう夏になるのに何でそんなに余裕なんじゃ。儂は英語が分からなくて将来が不安じゃぞ。
「えへへぇ……。こうしてると落ち着くのです」
「そうか。勉強の邪魔じゃから離れろ」
「そこ、間違ってますよぉ。lじゃなくてiです」
「なぬ?」
「英語、また教えてあげましょうか?」
「……頼む。分からん。なんじゃこの言葉。目が回るわ」
英語は分からん。何も分からんのじゃ。何度も被身子に教えて貰ってるが、理解が及ばん。脳が拒否しておる。ちなみに、被身子はかなり英語が出来る。あまりに英語ばかり勉強していた時期があるから、何でそんなに英語を勉強しているのか聞いたことがある。
返答は、円花ちゃんに教える為と良い笑顔で言われた。あのなぁ被身子。それで英検二級取ってくるのはどうなんじゃ?
……愛の力は偉大?
愛で宿儺に勝てるなら儂はこの十四年、修行なぞしておらんが??
ああ、猛者と戦いたいのぅ。骨のある奴はおらんのか?
「円花ちゃんは古臭いですからねぇ。分からなくても仕方ないのです」
……なんじゃと?
「お主、今馬鹿にしたか? 儂を馬鹿にしたか?
ん? やるか?? 腕っぷしなら負けんぞ??」
「良いですよー」
「よーしそこに直れ被身子! 今日と言う今日は分からせて、っっ!?」
っ、んん……っ。こら、耳を食むな。胸に手を回すな! 腹を撫で回すな!! せくはらじゃせくはら!!
ま、待て! 待って、そういう事は、結婚してからじゃないと……っ。
「円花ちゃん、弱々です」
にたりと笑いおったこやつっ。誰のせいじゃと思っとるんじゃ!?
「こんの……っ! せくはらは無しじゃと言うておろうがぁ!!」
「セクハラじゃなくて、愛の有る行為なのです」
「んっ、ちょっ、こら……っ! ひみこ……っ!」
もう勉強どころではなくなった。こうやって体をまさぐられると、この体は直ぐその気になってしまう。女体とはこんなに快楽に弱いのか? いかん、いかんぞこれは。
それはそうとお主、最近調子に乗りすぎじゃぞ!!
何? 儂が拒否しないのが悪い? しておるだろうが貴様!!!
何度でも言うぞ。続きなど無い。
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ