待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
期末試験が始まった。
初日は座学試験で、これは被身子のお陰で何とか乗り越えられた……とは思う。そう思いたい。毎日勉強に追われて、それでも寝る前に被身子の相手をするのは、かなり大変じゃった。儂は勉強で疲れているのに、あやつと来たら毎晩毎晩……っ。酷い時は勉強の最中に布団に連れ込まれたり、そのまま居間でせくはら三昧。
流石にこのままでは合宿に行けなくなると叱ったら、悩み悩んで「期末試験が終わるまでは我慢します……」と渋々ながら引き下がってくれたがのぅ。まぁでも、それはそれで不満には思ったが。
いつも通りにしていると勉強にならんのは事実じゃったし、期末試験を無事乗り越えたいのも儂の本音。せくはらされなくなったことで、勉強は捗った。しかし何もされないのは、それはそれで不満じゃった。儂が言い出したことじゃけど、
すまん被身子、儂等は林間合宿に行けぬ。欲求に抗えなかった儂が悪かった。でも半分はお主が悪い。じゃから責任取れ。生涯、儂を愛でろ。それで許す。
で、じゃ。期末試験二日目の今日。これから実技試験が始まる。校舎の脇にある
どんな試験が行われるかは知らぬが、実技なら問題ない。むしろ、どうやって手を抜くか悩ましいのぅ。あまり本気でやり過ぎてしまうと、入試の時のように止められる可能性がある。ですとろいがある、なんて不名誉な渾名は返上したい。修羅扱いも羅刹扱いも、鬼扱いも勘弁じゃ。儂の存在はただでさえ学校中に知れ渡っていると言うのに、更に変な噂が流れるのは阻止したい。もう被身子のせいで取り返しが付かないような気がしないでもないが。
「諸君なら事前に情報を仕入れて、何をするか薄々分かってると思うが……」
「入試みてえなロボ無双だろ!?」
「花火! カレー! 肝試し! 恋バナーー!!」
相澤の説明が始まりなり、騒ぎ始めた阿呆が二人。上鳴と芦戸じゃな。この二人はまぁ、きるすこあ計測訓練の成績下位組じゃ。個性が攻撃的過ぎるが故に、容易く人を殺してしまう。被身子に聞いた話が
「残念!! 演習試験は今回から内容を変更しちゃうのさ!」
根津校長が元気良く相澤の首元から飛び出した。こやつ、捕縛布の中を根城にしているのか? 相澤……お主大変そうじゃの……。
それはそうと、上鳴と芦戸が固まった。試験内容が急に変わったんじゃから、まぁそうなるか。
じゃけど大丈夫じゃぞ貴様等。儂も林間合宿には行けぬから、共に補習地獄に身を置こう。
「これからは対人戦闘や活動を見据えた、より実戦的な教えを重視するのさ!」
「と言うわけで諸君にはこれから、
……ほう。それは面白そうじゃ。相手によっては本気で楽しめる。儂の相手はおおるまいとが良いのぅ。他の教師じゃ相手にならんと言うか、殺さぬように加減しなければならぬ。そもそも、儂が楽しめん。で、誰と組めば良いんじゃ? またくじ引きか何かか?
「尚、組分けと対戦相手は既に決定済み。動きの傾向や成績、それから親密度の諸々を踏まえて独断で組ませて貰った。
まず、常闇・轟・八百万。俺とだ」
そう言って、相澤は不敵に笑う。その三人はそれぞれ突出したものが有り、実技においては成績優秀。じゃが……三人とも相澤相手には分が悪いの。常闇も轟も八百万も、個性が強い故に大抵の事はどうにか出来る。しかし、その個性が消されたらやれることが少なくなる。と言うか、くらすめえとの中に個性無しで戦える者はそう多くない。儂ぐらいしかおらんじゃろ。
常闇、苦労しそうじゃなお主……。まぁ、頑張れ。
「そして廻道と緑谷、そして爆豪がチーム」
「デ……!?」
「かっ……!?」
……なるほど。確かに色々考慮した上で、組分けされているようじゃ。儂自身はこの二人と相性は悪くない。緑谷は弟子で、小僧は舎弟じゃ。ただのぅ、こやつ等は仲が悪いぞ? 今もお互いの顔を見て、変に硬直してるしの。こんな二人を組ませたら試験になどならんじゃろうて。ああいや、じゃから儂と組ませたのか。この二人の手綱を握れと? おい相澤、さらっと面倒な事を儂に押し付けたな??
で、相手は誰じゃ? 儂と緑谷と舎弟を組ませるんじゃ。当然、それなりの実力を持った教師が相手じゃよなぁ!?
「で、相手が……」
「私が、する! 協力して勝ちに来いよ、お三方!」
……! ……!! ……!!!
けひっ。ああ、ああっ!
相手に不足は無いっ。楽しく、なってきた……!!
◆
わくわくが、わくわくが止められんっ。儂の試験相手は、おおるまいと。こやつが相手なら、儂も全力が出せる。全力を出して良い。殺す心配は無い。こやつの実力は、職場体験を通して知っている。溢れ出る才能も、積み重なった経験も、研ぎ澄まされた実力も、全てが規格外。何せ、儂が本気で殴ってもまるで動じない男じゃ。
そんな平和の象徴と呪い合える時が来るとはのぅ!
今日まで実技訓練は退屈じゃった。体育祭も、満足行くまで戦えなかった。退屈に思っていた。つまらん日々を送っていた自覚がある。じゃけど今日は、今日こそは本気になれる。腹の底から楽しめるっ。ああもう、今から楽しみで仕方ない。早く、早く始まらんかのぅ!? 早く、早く早く、早く!
もう、わくわくじゃ。気が逸って仕方ない。今ここで始めては駄目か?
まだか、まだなのかっ!?
「か、廻道さん……? その、凄く……嬉しそうだけど……」
隣の席に腰掛けている緑谷が、緊張した面持ちで口を開いた。何じゃ貴様、何をそんなに固くなる? おおるまいとと戦えるんじゃぞ? 本気になって良いんじゃぞ?
そんなのっ、誰だって嬉しいに決まってるじゃろうがっ。
「相手はおおるまいとじゃぞ? これを喜ばずして、何を喜ぶんじゃっ」
「でも、相手はオールマイトだよ? これから戦うって言っても、どうあがいても無理じゃ……」
「何を言っておる? じゃから挑むんじゃよ。
戦闘とは相手が強ければ強い程に、楽しいものじゃ。勝てば得れるものが大きい。負ければ死ぬがな! がはははは!!」
楽しい。もう既に楽しい。 こんなに戦うことが待ち遠しくて、なのに嬉しくて堪らないのは何時以来じゃ? 今生でこんな気持ちになることは、無かったかもしれん。
「ちっ。うるせえよクソチビ」
離れた席から、野次が飛んで来た。舎弟が苛立っているのは、儂や緑谷と組まされたからじゃろうな。数日前に、舎弟は個人成績で優劣を付けると儂等に宣戦布告していた。なのにこうして儂等と組む羽目になって、納得していないんじゃろう。せっかく人が楽しんで居ると言うのに。仕方ない奴じゃな貴様。分かり易く拗れおって。
今の儂は機嫌が良い。どれ、試験前に少し話してやるか!
「何じゃ? 貴様は楽しくないのか? 相手はおおるまいとじゃぞ、おおるまいと」
「んな事は分かってんだよ! 何でてめえ等と組まなきゃならねえっ!?」
「相澤の話を聞いとらんのか貴様。言ってたじゃろ、諸々踏まえて独断で組んだと」
「聞いてたわ! 聞いても納得出来ねえんだよ!!」
「まぁの。この組み合わせは儂も納得しとらん。が、相澤の意図するところは分かる」
「ああ゛っ!?」
叫ぶな叫ぶな。楽しい気分が台無しになるじゃろ?
こんな組分けをされたのは、儂も納得していない。緑谷と舎弟の仲は悪く、協力なんてとても出来ぬ。衝突するのが関の山じゃ。大方相澤はそこに儂を加えて、何とか協力させたいんじゃろうなぁ。やはり面倒な事を押し付けられた気がするのぅ。が、任された以上は相応の働きをせねばな。
何より、こやつを放って置くわけにはいかんからの。いい加減、矯正を始めるべきじゃろうて。
「……先に言っておく。二人は儂の援護じゃ。この期末試験は、儂を主体に挑むぞ」
「は?」
「この中で一番強いのは儂じゃ。なら儂がおおるまいとの前に立った方が、まだ勝率が高い。
それと言っておくが、儂が本気でやってもあの男に勝てるかは微妙なところじゃ。負けることは覚悟しておけよ」
「待って廻道さん! その、オールマイトに聞かれちゃうから……!」
「隠したところで何にもならん」
そう。何をしようが、おおるまいとは真正面から儂等を打ち破るじゃろう。策を隠したところで、大した意味は無い。
平和の象徴が持つ実力は、その呼び名に相応しい代物じゃ。無論、儂は殺すつもりで挑む。そのぐらいの気構えで居ないと、間違いなく負ける。殺して良いなら話は別じゃけどな。実際に殺すわけにはいかん。が、それでも本気は出せる。全力で、あの化け物に挑むことが出来る。
いかん。いかんぞ……。やはり抑え切れぬ。別の事を考えようにも、直ぐにどうやって戦えば良いか考えてしまう。
ああ、早く始まらんかのぅ。とても落ち着いては居られない。わくわくし過ぎて、どうにも抑えられぬっ!
期末試験の始まりになります。
A組は21人なので、3で割って7チームにしました。これは円花をオールマイトにぶつける為ですね。これにより何が起きるかと言うと……!
はい、お預け無しのガチバトルです。
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ