待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
暑い。なぜこうも、現代の夏は暑いのか。
期末試験も終わり、もうそろそろ夏休みがやってくる。この間の試験で赤点を取ってしまった者は四人。芦戸・上鳴・切島・瀬呂じゃ。
儂は儂で、おおるまいとの重りを意図的に壊したことについて叱られた。これについて問われた時「そうしないとつまらん」とつい口走ってしまったせいか、説教は長くなるわ反省文は書かされるわで何かと大変じゃった。
筆記試験の方は、何とかなった。英語だけは壊滅的じゃったけどな。被身子にあれだけ教えて貰ったのに、半分も間違えておったわ。他の科目は軒並み高得点を取れたと言うのに、英語は……どうしても駄目じゃった。分からん。儂、英語分からん。
尚、被身子は学年一位じゃった。試験での結果は特待生の維持に関わってくるから、良い結果が出たことと夏休み目前と言うことでここ最近の被身子は気楽に過ごしておる。
ちなみに、夏休みに予定されている林間合宿は全員行くことになった。赤点を取った者は学校で補習地獄と相澤は言っていたが、あれは合理的虚偽じゃった。飯田が物申して居たが、多分またどこかで相澤は同じ事をやると思うぞ。生徒に全力を出させる為なら、嘘ぐらい平然と吐く教師じゃからな……。
そんなこんなで、夏休みが近付いている。ここ最近は暑くて敵わん。冷房様々じゃ。あと、夏に食べる
「あ、暑い……。あいすあいす……」
授業を終え寮に戻った儂は、鞄を玄関に放り投げてぶらうすの
「ほれ、お主も食べるじゃろ?」
「もう。またアイス食べようとして……」
まだ洗面所に居る被身子に
「熱中症対策じゃ。お主も気を付けろよ? 熱中症になるとな、人は死ぬんじゃ」
実際儂、熱中症で死にかけたことがあるしの。赤子の頃の話じゃけどな。
さて、居間で
うむ、冷たい。甘い。被身子手製の
そふぁに腰掛けると、少し間を空けて被身子が隣に座った。何で微妙に距離を取るんじゃ貴様。夏になったり、沢山汗をかいた日はいつもそうじゃ。まったく、仕方の無い奴じゃよ。
「あむ……」
溶けてしまう前に、さっさと食べてしまおう。既に少し溶けかかって、手に垂れてきてる。手軽に食べられるのは利点じゃけど、気を付けないと手や服が汚れてしまう。真夏に食べるがりがり氷菓子の欠点じゃ。
「円花ちゃん、ふと思ったんですけど」
「ん?」
「ちょっと、熱中症ってゆっくり言って欲しいのです」
「んん……?」
熱中症を、ゆっくり言う? 何じゃそれ。何の意味があるんじゃ。
まぁ、別にそのくらいならば良いが。
「……ねっちゅうしょう?」
「んん、もう少しゆっくり」
「ねっちゅうしょう?」
「……んー、ちょっと違うのです」
何がじゃ。言われた通り、ゆっくり言っているじゃろうが。だいたい、何の目的があってそんな事を言わせるんじゃ。変な奴じゃの。暑さで頭が変になったのか?
思い返してみれば、気温が上がってから少し様子がおかしい時があるの。外で儂の事を見ると変に固まる時がある。大抵、儂が暑さに負けて制服を緩めた時とかなんかに……。
「私に続いて言ってください」
「んん? まぁ、良いが……」
「ね」
「ね」
おい。何でそんなに儂の顔を見詰めるんじゃ。駄目とは言わんが、人がものを食べてる顔を睨め回すな。
「ちゅう」
「ちゅう」
「しよう」
「しよう」
何かの遊びかこれは? 熱中症をゆっくり言う? そんな変な言葉遊びなど、無いじゃろ。
「はい、今の感じで続けて?」
「……? ね、ちゅう、しよう?」
「もう一回」
「ね、ちゅう……しよう?」
熱中症。ねっちゅうしょう。ね、ちゅうしよう。
……? ね、ちゅう……しよう……?
ね、ちゅう……しよう。
……! き、貴様っ! 何を言わせるんじゃ!!
「良いですよ? じゃあ、キスしましょうか」
「いや待てっ! 貴様、儂に何を言わせとるんじゃっ!」
「んー、おねだりですかねぇ」
おいこらっ。押し倒すな! 迫るな! 氷菓子が床に落ちたじゃろ! なんて事してくれるんじゃ貴様は!!
「んん……っ」
……。抵抗する間も無く、あっさりと
「最近、ちょっと無防備過ぎなのです。暑いからって、外で制服を乱すのは駄目ですよぉ」
「……暑いんじゃから、仕方ないじゃろ」
「駄目です。円花ちゃんが誘って良いのは、私だけなんですから」
「それは当たり前じゃろ。と言うか、誘ってなん、ん……っ」
また唇を塞がれた。儂に覆い被さった被身子は、すっかりその気の笑顔になって居る。止めてくれ。そんな顔で迫られたら、されても良いかななんて……思ってしまうから。
……被身子の阿呆。すぐそうやって儂を押し倒して、好き勝手にするんじゃから。
I・エキスポの前に、まずはこちらをどうぞ。今度こそ次回からデートです。
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