今日はとある場所で救助訓練をするらしい。
そこにはバスで向かうらしい。バスにクラス全員で乗り込んだ。
バス内は案の定かなり騒がしかった。
「この短期間でクソを下水で煮詰めたような性格って認知されるのある意味すげぇな」
「なんだテメェのその謎語彙力は!」
この短期間で台詞だけで誰か分かるって相当だな。
「そう考えると無型はすげぇな。」
おっ、なんだ切島?やけにしんみりした声じゃないか。
「俺の個性が地味って事気にしてたんだけどよ、そんなの関係ねぇなって。」
なるほどね
「それほど地味でもねぇだろ。」
切島が目を見開く。
「俺からすりゃ、シンプルなゴリ押しが一番怖え。」
「無型…」
「まぁ、それでも負けねぇが。」
「お前、漢だぜ!」
思い切り背中を叩かれた。
「いてぇよ…」
「あぁ、悪りぃ。つい。」
そんな他愛のない話をしているとバスが急に止まった。
「着いたぞ。」
バスを降りると目の前に透明なドームがあった。
その中に入ると、そこは遊園地と見紛うほどの多彩なアトラクションのような物がいくつもあった。そこには宇宙服を着た見慣れない男?がいた。ヒーローだろうか。
「あぁーっ!13号だ!」
麗日は知っているらしい。
麗日によると、どうやら災害救助てめざましい活躍をしている紳士的なヒーローらしい。
「では、私から小言を…
13号が何か話し始めた。しかし無型は。
(眠い)
程なくして、無型の意識は睡魔に飲まれた。
「無型君っ、起きて…。」
緑谷が小声で無型を起こそうとする。が、返事がない、すでに事切れている様だ。
「おい、何だあれ。」
誰かの声が聞こえる。思わず、そっちを見る。
そこには、黒い渦があった。その中から人が出てきた。1人や2人ではなく何十人かで、だ。何となくだけど、これは訓練ではないのが分かった。
「13号生徒達を頼む。」
相澤先生が飛び出す。僕たちを守るために。直後に黒いモヤが僕たちの背後に現れた。そのモヤは人の形をとり、こう言った。
「平和の象徴、オールマイトを殺しに来ました。彼はどこ、グハァ!?」
その言葉は最後まで続かなかった。背後から無型が現れ、思いっきり胴を蹴っ飛ばしたからだ。
「良い目覚ましだ。」
「さすがは雄英という事ですか。」
(さて、どうするか。)
無型は思案する。
(最優先事項は助けを呼ぶ事。この中で一番足が早いのは飯田だ。つまり、飯田を死んでも守る。)
「もう、良いですか。」
黒い霧がそう呟く。瞬間、霧が霧散した。
(まずい!)
「飯田!」
「ぐふっ!?」
俺は飯田を蹴飛ばした。
俺は霧に包まれた。
「うわっ!?」
霧が明けると俺は何処か知らない場所に落ちようとしていた。
俺は体勢を立て直して、着地した。
後ろを見ると尾白が突っ伏していた。どうやら着地に失敗したらしい。
辺りを見渡せば、そこは炎に包まれた市街地のような場所だった。
ここ、ウソの災害や事後ルームは7つの区画がある。一つはさっきまで俺たちがいたセントラル広場。そして、後の6つはそれぞれがそれぞれの災害に適応した場所になっている。俺たちは今、火災エリアにいる。そして問題が一つ。
「起きろ、尾白。」
「なんだ、無方。」
「敵だ。」
瞬間、建物の影からゾロゾロと敵が湧いてきた。その中の数人が勢いよく飛び出して来る。
「こんなガキども。俺だけで十分ダァ。」
他のやつも似たような事を言いながら突っ込んでくる。
「舐められたもんだな。」
武器を使うまでも無い。三下共だ。
向かって来た1人目には鳩尾への拳をプレゼントしてやった。
2人目には顎への蹴り。
3人目は喉を潰した。
4人目は金的蹴り。
後ろから向かって来た5人目、もとい卑怯者には、肘を。
続いて来た愚か者たちを次々と殴り倒す。顔色一つ変えずに敵を嬲っていく。
尾白猿夫は見惚れていた。目の前の惨劇に。向かって来る敵全てを一撃で殴り倒す、その男。無型悟に。
雄英に入ってから実感した。己の無才を。
生まれながらの強個性を持つ者。圧倒的なセンスを持つ者。一撃で勝負を決める、パワーを持つ者。
だが、目の前にいる男は違う。
決して強いとは言えない力を持つ自分だからこそわかる。
彼は無才だ。恐らく自分よりも。
いったい、どれほどの研鑽を積んだのだろうか。
いったい、どれほどの…「おい。」
悦に入っていた俺は、その一言で現実に引き戻された。
「なんだ、無型。」
「ここ頼むわ。」
は、と声を上げる暇もなかった。
その瞬間には無型は駆け出していた。
「えぇぇぇぇ。」
「おい。クソガキ。」
「テメェが俺たちの相手してくれんのか。」
「そうなるよな…」
先ほどとは打って変わって、あまりにも狡い戦いが始まった。