仮面ライダーレイブン   作:rusty17852〆6247

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仮面ライダーレイブン 第3夜 第4幕

戦闘開始から約2時間後、深夜0時過ぎ。

奪った装甲車に搭載された自動運転システムを起動し、おれはファウの研究所へ

向かっていた。ナビデータによると研究所はこのアークスシップ17番艦の病院に

併設されているらしい。

目的地まで30分。その間、役立つものがないか車内を物色することにした。

 

装甲車の荷室に積まれた小型コンテナに目が留まる。

コンテナの表記によると、戦闘員が纏っていた装甲服の予備が入っているらしい。

研究所内部へ潜入するときの変装として役立ちそうだ。

コンテナのボタンを押すと、光の粒子が体に纏わりつき、次の瞬間には

全身に装甲服が装着されていた。装甲は軽量で動きやすく、暑くもない。意外と快適だ。

 

 

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そうこうしている内に、車は研究所の入り口前に到着した。

深夜のため、併設している病院は消灯していたが、研究所の方は窓から明かりが

漏れている。昼夜問わず研究に勤しんでいるということか。熱心なことだ。

車から降りると、守衛室から男が1人こちらに向かってきた。

 

「キリクさんの班だな、予定時刻よりだいぶ早いがどうした」

 

守衛担当のスタッフだろう。首にはIDカードを下げている。

奪えば潜入しやすくなりそうだ。

 

「ええ……確認が必要なサンプルが見つかりまして」

「サンプルだと?」

「降ろすのを手伝ってもらえませんか」

 

おれは男に荷室へ向かうよう促した。

レイブンヤイバーを取り出し、後ろ手に隠して男の背後に忍び寄る。

どうやら少し怪しまれているようだ…身分を改められるのはまずい。

 

「おい、そんな連絡は……」

「来ていないですよね」

「グッ!?」

 

 

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男が振り返ると同時にスタンモードで斬り付けると強烈な電流が迸り、

男はその場に倒れ伏した。 

目を覚まして通報されでもすれば面倒なことになる。男の首からIDカードを

取り上げ、装甲服に収納されていた手錠で男の手足を拘束しておいた。

 

このまま装甲車の荷室で眠っていてもらおう。

少し気の毒だが、明日には誰かが見つけてくれるはずだ。

 

__________________________________

 

IDカードはそれ自体が電子端末で、研究所内のマップや研究員の現在地が

見られるようになっていた。リストからファウの名前を探すと「第5実験室」で

「勤務中」の表示。奴は実験室で一人、何かをしている。嫌な予感が頭をよぎり、

おれはマップを頼りに第5実験室へ急いだ。

 

 

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装甲服を脱ぎ、再びレイブンを装着。続いてフェザーダートを取り出して

通信妨害機能を起動した。通報を封じた状態でファウを脅し、子供たちの所まで

案内させたらキリクから奪ったテレパイプガンで彼らを逃がす。

転送先は一旦マイルームで良いだろう。

第5実験室の扉は目の前。おれは手筈を確認しながら、深呼吸した。

 

扉はロックされていたが、IDカードをかざすとすぐに開いた。

検査機や書類でごちゃついた室内に、ニュース番組で見覚えのある男の姿。

ファウはこちらに一瞥もくれず、熱心にキーボードを打ち込んでいる。

部屋の奥には呻き声のような冷却音を上げる箱状の機械。

 

 

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おれはクロウバレットを取り出し、ファウの足元を狙って発砲した。

 

「ファウ・タオーノスだな。手を上げろ」

 

突然の銃撃にファウは恐怖と混乱が入り混じった表情で数秒硬直し、

首に下げたIDカードを何度か触った。通報を試みているのだろう。

 

「手ェ上げろと言ったろ。あと、ここはしばらく圏外だ」

 

足元にもう1発発砲するとファウはその場で跳び上がり、ゆっくりと両腕を上げた。

床にキーボードが転がる。

 

「君は誰だ。い、今時強盗か?」

 

「違う。誘拐した子供たちはどこだ」

 

「誘拐……?」

 

震える声でとぼけるファウ。

 

「優秀な子供を狙って、キリクとかいうキャストの部隊に市街地を襲撃させただろうが」

「造龍兵の制御装置に脳を組み込むんだろ、いい趣味だな」

 

おれはファウの眉間に銃を突きつけた。

 

「彼らは今、VR訓練中で……」

「だったら訓練室まで案内しろ」

 

突きつけた銃を押し込む。

 

「案内も何も…今そこで訓練中なんだよ」

 

 

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ファウの視線の先には唸るような冷却音を上げる箱型の機械。VR訓練…。

次の瞬間、おれは悟ってしまった。この箱型機械が脳を組み込んだ制御装置だ。

遅かったのだ。

 

____________________________________

 

「この外道がッ!…ッ!?」

ファウの首を掴むとフォトンの電光が激しく迸り、おれは思わず後方に

飛び退いてしまった。護身用の装備「シールドライン」だ。小賢しい。

 

「く、訓練中だと言っただろう。心配せずとも彼らの脳は生きている。

……君、造龍兵を知っているんだな」

 

肩で息をしながらファウが語りだした。

 

「生体脳ユニットで制御した造龍兵は、アークスに代わる対ダーカー決戦兵器になる!

素晴らしい研究だと思わないか!」

 

「そのくだらない兵器を研究するために子供の親を殺し、身体から脳を取り出す……

許されると思うか」

 

「く、くだらないだと……?」

 

突然目つきが変わったファウが、ギラギラとした眼差しを向けてこちらを睨みつけてきた。

 

 

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「馬鹿な義憤に駆られてこんな所までやってくる奴が、随分とわかったようなことを

言うね!人類とダーカーの戦いが始まって40年余り、毎年どれだけのアークスが!

市民が!死んでいるか知ってるかい!?」

「知らないだろうな!君みたいな奴は!馬鹿だから!」

 

鬼のような形相で捲し立てるファウ。

 

「教えてあげよう!約500万人だ!40年間毎年!去年も!今年だってそうなる!」

「戦いを終わらせるには、画期的な戦力強化が必要だ……だがアークス隊員は一部の

天才を除いて、強くなる前に戦死する!ちっとも育ちやしない!だからアークスに

代わる尖兵……造龍兵と制御装置で戦いを終わらせるんだ!」

 

「市民を犠牲にしてか?」

 

「小さな犠牲さ!長期的に考えろ!戦いが早く終わればその何倍もの命が救われる!」

「戦いが終われば軍事開発に回された資源を医療分野にまわすことだってできる!

それで救われる市民が!未来どれだけいるか!すべては人類の進化と安寧のためだ!」

 

……キリクの言葉を思い出す。

「造龍兵計画は人命を守ることを考え抜いた果ての産物」ってそういうことか。

おれは目先の命に囚われ、早期の戦争終結を邪魔しているのか?

しかし、未来のために生贄にされる命があっていいとは思えない。

以前、市街地で見つけた遺留品に残された子供の声は悲痛なものだった。

 

「……子供たちを部品にする理由は?未来のためなら大人が身体を張れよ」

 

「大人の脳は人間の脳として完成されてるんだ。制御装置としての運用に

耐えられない……でも子供の脳はね、成長しながら制御装置に適応できるんだ!」

「だからね!戦術と戦略を理解して運用できる優秀な子供の脳が!

これからの未来のために、いま必要なんだよ!」

 

あまりの剣幕に言葉に詰まったおれをよそに、ファウはふらふらと

よろめきながら床に転がっていたキーボードを拾い上げた。

 

「あぁ、そうだ……有用性を身をもって知ってもらおう。」

 

 

【挿絵表示】

 

 

キーボードの打鍵音が響くと、眼前に黒い影が出現した。

影は見覚えのある化物の姿に形を変えていく。昨夜戦った化物……造龍兵だ。

けしかけてくるつもりか。

 

「生体脳ユニットと造龍兵の強さ、体感するのが一番早い」

 

ファウがキーボードをさらに叩いた次の瞬間、眼前の造龍兵がおれの視界から消えた。

直後、マスクのモニタに右からの攻撃を知らせるアラート。

造龍兵の手刀がおれの右腕をかすった。咄嗟にステップで躱し直撃は免れたが、

レイブンの装甲は熱を持って煙を上げている。

 

 

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昨夜戦った時とは動きの次元が違う……今の動きだけでもわかる。

制御された造龍兵は多くのアークスより高い戦闘能力を持っているのは確かだ。

だが、制御装置には子供の脳が使われているのだ。こんな兵器をアークスの代わりとして認めるわけにはいかない。

そして子供たちの脳はまだ生きている。彼らを救う方法を探し出すためにも、

この場を生き延びなくては。

 

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