仮面ライダーレイブン 最終夜 第1幕
造龍兵……兵器としては、たしかに強い……
だが制御装置には子供の脳が……
量産したらどれだけの子供が脳を取られる……?
あれ、制御装置…逃がせたっけ?
いや、生命維持のやり方がわからないんだった……
首を突っ込んでおいて、何もできなかった……
……あれ?おれはファウの研究所に潜入して……造龍兵と戦って……
「ヴヴヴヴヴヴ!!」
床に転がった携帯端末のバイブレーションが耳障りな音を立て、おれは目を覚ました。
疲労で気を失い、眠ってしまっていたようだ。
……あぁそうだ、研究所での戦いでレイブンスーツの緊急脱出機能が作動して、
マイルームへ戻ったんだ。
「いかん、携帯の呼び出しに出ないと…誰からだ?」
「…っ!?」
呼び出しは「六芒均衡の六」ヒューイからだった。
六坊均衡はアークス内で特に優れた実力を持つ六人の精鋭。
実質的なアークスのトップだ。
ヒューイとは任務や探索の途中でよく会い、顔見知りとなっていたが……
今まで直接連絡してくるようなことはなかった。
上からの命令に背いて、襲撃事件に深入りしていたことがバレてしまったか?
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「はい、レツです」
「おぉ!繋がった!ヒューイだ!急ですまんが、聞きたいことがあってな」
聞きたいこと……鼓動が少し早まる。
「と、言いますと…」
「ああ、いや!会って話した方が良いなこれは!座標を送る!この場所に来てくれ!」
スピーカーが音割れしている。相変わらずすごい声量だ。
端末に表示された座標はナベリウス森林深部。一般のアークスは進入禁止のエリアだ。
「この場所、入れないのでは?」
「今は大丈夫だ!俺がいるからな!キャンプシップは手配しておく!すぐに来れるか?」
他の隊員がいない場所でおれに「聞きたいこと」となると
やはり襲撃事件のことだろうか。
「わかりました。すぐ向かいます」
「話が早くて助かる!では後で!ァ!ホント!なる早で頼むぞ!」
霞がかった頭がはっきりしてきた。
レイブンを装着してキリクや造龍兵と戦ったことがバレている?
いや、それ以前に……暴走した造龍兵はどうなった?
研究所を脱走して市民を襲ったりしたら……
中途半端に首を突っ込み、結果的に逃げ帰ってきた自分の不甲斐なさに苛立ちが募る。
だが暴走した造龍兵を倒すことも、制御装置に組み込まれた子供たちの脳を救うことも、
おれ一人では無理だ。
まずはヒューイに言われた座標に向かおう。
後にどんな処分が下されるかわからないが、もう今は彼に相談する以外に
できることはない。
急ぎゲートエリアへ向かうと、周囲のアークスの様子は普段と変わらず、
といった印象だった。緊急任務が発令されている様子もない。
今のところ暴走した造龍兵による被害が出ているわけではないのだろうか。
何にせよ、ナベリウスに向かわなければ。ヒューイが手配したキャンプシップに
乗り込み、おれは森林エリアへ急行した。
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キャンプシップから森林エリアに降下後、10分程度で
進入禁止と表示されたゲートを見つけた。ヒューイに指定された場所はこの奥だ。
「やあ!!早いな!そのまま入ってくると良い!!」
進もうとするとゲートの奥からヒューイの大声が響き渡り、思わずビクついてしまった。
「シールドを解除してある!さあ!」
ゲートを抜けると、ヒューイが腰に手を当てて仁王立ちしていた。
「しばらくぶりだな!戦技大会以来か!」
「ですね。お久しぶりです。……それで、聞きたいこととは」
ヒューイはうなずき、空間に映像ウィンドウを投影する。
「まずはこの映像を見てくれ!」
映っていたのは昨夜のおれと造龍兵の戦いだった。謎の青年に
援護されたところで、映像が途切れている。
「これは17番艦の研究所で、セキュリティカメラに写っていた昨夜の映像だ!」
「単刀直入に聞こう!この青いアーマーを装備して戦っているのは!
これ……レツ……きみだよな」
確信に満ちた目。これはごまかせないな。
「ここでの話は君と俺だけの秘密だ!正直に教えてくれ!」
「……おれです」
「やっぱりか!フォトンも生体反応も隠されていて、俺以外は
誰も気付いていなかったが……」
身のこなしに見覚えがあり、すぐにわかったらしい。
そういえばヒューイとは戦技大会で手合わせしていた。それにしたって、身体の
動かし方だけで人の見分けがこんなにハッキリと付くものだろうか。