仮面ライダーレイブン   作:rusty17852〆6247

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仮面ライダーレイブン 第1夜 第4幕

 

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次の日。アークス本部に怪しまれないよう「フォトン技術を活用した民間警備システム」の展示会を視察するという「体」で17番艦へやって来たおれは、アリバイを作るために念のため実際に会場を訪れ、展示を一通り見て回っていた。

 

警備システムなら多少は興味深く見られるかと思ったが、甘かった。警備システム自体より、システムをフォトンでどのように効率よく稼働させるかが展示内容の中心……なんだと思う。プロのエンジニア向けの説明が会場の至る所から聞こえてくるが、当然内容は全く頭に入ってこない。苦痛だ。

 

間がもたなくなって来たおれは、展示会場をぶらつきながらタイレル大学寮を見張ることができるスポットが無いか携帯端末で検索してみることにした。

 

マップによると、寮の真横に駐車場があるようだ。さらに、駐車場付近には非常通報ボックスがあることも確認できた。これはダーカーが出現した際、市民が逃げ込んでアークスに通報できるボックス型シェルターだ。

これなら何処かで車を借り、駐車場に停めて潜伏できる。異常が発生したら通報ボックスでアークスに匿名で連絡すれば良い。

 

一瞬、すぐに車を借りて見つけた駐車場へ移動してしまおうかと思ったが、人目のある日中に襲撃が発生する可能性は低い。おれは仕方なく展示会を開場時間いっぱいぶらついて暇をつぶした。(何をやってるんだ、おれは…)

 

夜9時頃に展示会場を後にしたおれは、レンタカーを借りてタイレル大学寮横の駐車場へ向かった。すでに少し気疲れしていたが、今日のメインはここからだ。

 

タイレル大学寮は郊外の住宅地に建つ10階建ての立派なマンション風。

近くには自然公園もあり、素晴らしい立地だ。車内で息を潜めつつ、タイレル大学寮を見張ったが、夜が更けるまで特に異常は無し。

 

ここへ来るまでの推理に絶対的な根拠があったわけでも無い。どこか違う場所で、また別の家族が襲撃されているかもしれない。そんな考えと共に焦りと絶望感まで浮かび始めたが……張り込みを開始してから約5時間後の午前3時。その時はやって来た。

 

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唸るような走行音を上げながら、郊外の住宅街には不釣り合いな装甲車が視界の奥から現れ、大学寮の前に停車した。中から出て来たのは大仰な装甲服を装着した戦闘員4人。戦闘員の内1人がマンホールほどの大きさの円盤状の装置を取り出して設置し、装甲車に内蔵された電子端末を操作している。

 

 

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数秒後、円盤状の装置の真上に赤黒いもやが立ち込め、黒い電光が迸りだす。よくあるダーカーの出現予兆だ。ほどなくして、ダーカー「ダガン」が3体出現した。

 

装置を取り囲んでいた戦闘員のうち2人がライフルを取り出し、特に驚く様子も見せずに戦闘を開始している。一方で残る2人の戦闘員はダガンには目もくれず、寮の入口へ走っていった。あの円盤状の装置は恐らくダーカー誘引装置だ。わざわざダーカーを呼び寄せて戦闘を発生させ、どさくさに紛れて寮を襲撃する手筈か。

 

眼前で唐突に始まった異常事態。推理どおりではあるのだが、鼓動が早まっていく。息を呑みながら、おれは市街地でおばさんに聞いた話を思い出した。このやり方なら目撃者がいても「ダーカーの襲撃」ということでうやむやにできる。これまでの襲撃も同様の手口だろう。とんだマッチポンプだ。

 

間違いない。5件目の襲撃だ。おれは静かに車を出て、通報ボックスへ向かった。走り出したい気持ちだったが、見つかれば一巻の終わりだ。

 

大学寮の入口へ向かった2人の戦闘員は、入り口のオートロック式ガラス扉に小型の装置を取り付けている。数秒で扉はあっけなく開き、2人は寮の中へ入っていった。

 

今回のターゲットは恐らくテレビで見た天才少年だろう。このまま放っておけば、彼は誘拐されてしまう。通報ボックスに入ったおれは電話機を取り、緊急通報用のボタンを押した。

 

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ボタンを押したおれは血の気が引いていた。電話機からは砂嵐のようなノイズが聞こえてくるばかりで、緊急回線に繋がる様子は一向に無い。おれのような「偶然居合わせた一般市民」による通報で面倒な事態が起きないよう、緊急回線はジャミングでもされているのだろう。

 

自らの浅はかさへのいらだちと、目の前で進行していく誘拐に対する無力感が沸き上がってくる。しかしここで飛び出せば最後、丸腰のおれは何もできずその場で殺されるだろう。生き残ったとしても待っているのは懲戒処分だ。何もできず、おれは打ちひしがれてボックス内に潜伏するしかなかった。

 

ダガンを片付けた戦闘員2人が寮のほうへ歩いていく。

「本題」である襲撃……誘拐のバックアップへ向かうのだろう。

 

 

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気だるげに歩く戦闘員。その背後に、突如青黒いもやが発生したように見えた。もやは徐々に収束して濃くなっていく。新種のダーカーでも現れたかと思ったが……もやから出てきたのは全身アーマーを纏った一人の男だった。アーマーは暗い群青色で、ヘルメットのアイカメラが黄色く光っている。首から背にかけては翼を彷彿とさせるマントのような布がゆらめき、その風貌は「カラスの化身」といった印象だ。

 

戦闘員は背後に現れた男に全く気付いていない。アーマーの男はわずかな物音も立てず、気配すら感じさせない。姿を視覚ではとらえているのに、そこに人間がいる感じがしない。不気味だ。

 

……次の瞬間、おれは驚愕した。アーマーの男は腰に差した刀を抜き、

二人の戦闘員を背後から斬り付けたのだ。

 

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装甲服に青白い電流が走り、戦闘員は2人共々うつぶせに倒れこんだ。拘束用のスタンモードで斬り付けたのか、四肢が小刻みに痙攣している。続けてアーマーの男は青い拳銃を取り出し、戦闘員2人の首筋めがけて発砲した。銃声は無く、戦闘員は動かなくなった。

 

戦闘員の電子端末が装着者の異常を検知したのか赤く点滅しているように見える。アーマーの男は意に介さず、寮の中へ走っていった。

寮内へ先行した戦闘員を追っているのか。

……だとしたら彼はこの襲撃を阻止しに来た、ということだろうか。

 

 

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数十秒後。寮の5階の窓から、アーマーの男が戦闘員二人の首根っこを掴んで飛び降りてきた。戦闘員二人がそのまま地面に叩きつけられ、周囲に鈍い音が響き渡る。……ずいぶん強引な手段だ。さらに男は再び拳銃を取り出し、戦闘員の首筋に発砲した。

 

アーマーの男が現れてものの数分。戦闘員が4人、うつぶせの状態で転がっている。彼の正体はわからないが、今回の襲撃は阻止された。それは確かだ。

 

戦闘員の電子端末が激しく点滅を続けている。救援を要請しているのかもしれないが、時刻は午前3時45分。増援が到着するころには夜が明け、誘拐の決行は難しくなっているだろう。

 

身を隠しながらその場を去ろうとしたその時、大きな黒い影がアーマーの男の真上に現れた。

 

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影は見る見るうちに大きく、濃くなっていく。さらにダーカーの出現予兆と似た、黒い電光が迸り出した次の瞬間。影の中から鳥とも人間ともつかない姿をした化物が出現し、アーマーの男をいきなり真上から殴りつけた。不意を突かれた男はモロに打撃を喰らい、転がりながら10mほど吹っ飛んでしまった。一瞬の出来事。頭が追い付かない。興奮した様子の化物は咆哮を上げ、追撃を仕掛けるべく走り出した。

 

強烈な咆哮で我に返る。男は大きなダメージを負ったらしく、倒れこんで立ち上がれないようだ。装着していたアーマーは青黒いもやと共に消滅し、黒いボディスーツが露わになっている。

 

彼をみすみす死なせるわけにはいかない。おれは男の眼前に飛び込み、

そのまま抱きかかえて寮の物陰まで全力で走った。任務外でも身体能力はフォトンで強化されている。人を抱えて走ること位は朝飯前だ。

 

 

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物陰まで駆け込み、化物の視界から逃れたところで、おれはかかえた男を地面におろした。男は存外華奢な体つきをした精悍な顔立ち。戦い慣れているようには見えない青年だ。

 

「大丈夫か、しっかりしろ」

「ぐ…君は…?」

 

緘口令を思い出したおれは、一旦とぼけることにした。

 

「通りすがりだ。凄い音がしたから」

「その身のこなし……君、アークスだろ……関与を禁じられているだろうに……どうしてこんな場所に……」

 

「関与を禁じられているだろうに」と、彼は言った。一連の襲撃事件に対するアークス上層部のスタンスを知ったうえで襲撃を阻止していたということなら……彼は味方と考えていいだろう。

 

おれは遺留品に録音された音声や、知り合いのアークスから聞いた情報などをもとに、次の襲撃の標的を推定したことを話した。

 

「そうか、遺留品が…それに情報を集めて…来てくれたんだな」

 

男は息も絶え絶えだ。

 

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化物が近づいてくる。いつまでも隠れてはいられない。

かと言ってここは住宅地。化物を放って逃げるわけにもいかない。

 

「もうこの際だ、アークス本部に救援を要請しよう…」

 

懲戒対象とされるのは確実だが、市民に被害が出るよりマシだ。

 

「ダメだ…この件で本部は動かない…なあ…頼みを…聞いてくれないか…」

 

「アークス本部はこの襲撃を隠蔽しようと必死だ…君も大っぴらに動けないのだろう…」

「だがこのベルトには…身分を隠して戦える装備が格納されている…」

 

男はベルトのバックルを取り外し、おれに差し出してきた。

 

「僕の代わりに…戦ってくれないか。」

 

男は声を絞り出す。

 

「ここまで来てくれた君の…正義感を見込んでいるんだ、頼む……」

 

「勿論協力する。だが、身分を隠して戦えるってどういうことだ?」

 

「装着すれば生体反応と自身のフォトンを……すべて隠蔽できるアーマー……レイブンスーツ……だ」

 

纏うことで正体を隠すことができるアーマー。本当なら、渡りに船だ。

おれはバックルを受け取った。

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バックルを腰に当てると、ベルトが勢いよく飛び出し、おれの腰をぐるりと1周した。先端はバックルに接続され、簡単には外れそうにない。

 

「スイッチを押せば自動で装着される……武器は、腰に刀が……」

「わかった、後はまかせろ」

 

言われたとおりにスイッチを押すと、眼前が青黒いもやで包まれていく。

 

 

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『Cover up』

『Raven』

『…Complete』

 

くぐもった電子音声がベルトのバックルから発され、

先程男が纏っていた青いアーマーが全身に装着された。手に持っていた携帯端末を見てみると、おれの反応はレーダーから消えている。生体反応の隠蔽によるものだろう。

 

さらに今まで感じたことのない、力が湧くような感覚……

身体能力が大幅に強化されていることがわかる。

 

おれはゆっくりと物陰から歩み出た。次の獲物を見つけた化物は前傾姿勢を取っている。腹の底まで響くような化物の咆哮。同時に刀を鞘から抜く。

 

 

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「来いよ、化物」

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仮面ライダーレイブン 第1夜 終わり。第2夜へ続く。

 

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