仮面ライダーレイブン   作:rusty17852〆6247

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仮面ライダーレイブン 第2夜 第3幕

 

市街地からマイルームに戻ったのは朝の8時過ぎだった。

窓から差し込む人工太陽の光が眩しい。清々しいという形容詞がしっくりくるいい朝だが、

おれは部屋に入るや否やベッドに倒れこんだ。頭も身体も疲労困憊だ。

 

 

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深夜の張り込みを決行した結果、市民襲撃の現場を目撃した。謎の青年に「レイブンスーツ」を託されて化物と戦うことになり、さらには襲撃事件の主犯格とみられる男とも接触した。一晩の出来事としては内容が濃すぎる。頭の中で昨夜の出来事を整理しようとしたが、おれは数秒で気絶するように眠ってしまった。

 

意識がブツリと途切れた次の瞬間、携帯通信端末の通話呼び出し音が鳴り響いた。端末の時計を見ると時間は昼前。3時間ほど眠り込んでいたらしい。今も誘拐された子供たちは何をされているかわからないし、あまりゆっくりもしていられない。端末を手に取って見ると、呼び出しは同期アークスのアフィンからだった。

 

「相棒、お疲れ。デイリーミッション一緒に受けないか」

「デイリーミッション?……あぁ」

 

「……相棒、元気ないな」

「あぁいや、昨日眠れなくてな」

 

この状況でいつも通りにアークスとしての仕事をこなす気には正直なれないが……そういえば昨日はアークスとして何の任務も受けていなかった。

 

アークスにおいて基本的に任務の受諾は隊員の裁量に委ねられている。歩合制ってやつだ。通常、数日任務に出なくても大きな問題はない。だが今のおれは、市民襲撃現場の遺留品に記録された音声を聞いたことをアークス本部に察知され、事件への関与を禁じられた上に緘口令まで敷かれている状態だ。

 

市民襲撃の件を嗅ぎまわっていると知られれば懲戒処分だ。適度にアークスとしての活動にも勤しんでおかないと本部に怪しまれて面倒なことになるだろう。丁度いいタイミングだ。おれはアフィンの誘いに乗り、1時間後にゲートエリアのクエストカウンターで待ち合わせることにした。

 

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おれの意思に反して活動の開始を拒む脳。疲労は抜けきっていないが、そろそろシャキっとしなければ。熱いシャワーで無理やり脳にエンジンをかけながら、おれは現在の状況を整理した。

 

……頻発していた襲撃はアークス研究部 ヴォイドによるものだった。

パティとティアに聞いた話によると、被害者は優秀な子供を持つ家族ばかり。どの襲撃でも大人は殺害、子供は行方不明……おそらく誘拐されている。

 

市街地で遭遇した襲撃の指揮者と見られる男「キリク」。奴が言うには、アークス上層部はヴォイドによる市民襲撃を任務として認可している。本部は表向き、襲撃はダーカーの仕業として事実を隠蔽していたが。襲撃の目的は「人類の進化と安寧」とか言っていたが、その真意はよくわからない。

 

……ヴォイドは苛烈な人体実験も厭わない研究機関だ。現状を放っておけば、彼らに誘拐された子供たちはとんでもない目に遭わされるだろう。

 

アークス本部がヴォイドによる市民襲撃を任務として認めている以上、

1アークスとしてのおれには何もできない。……だが、おれには昨夜謎の青年から託されたレイブンスーツがある。このスーツを纏えば、正体を隠してこの非道な行いを止めるために動くことが可能だ。

 

殺されてしまった市民はもう戻らないが、子供たちは……

わざわざ襲撃して誘拐しているのだから、恐らく殺されてはいない。まだ生きている筈。今動けば、間に合うかもしれない。彼らを救い出せる可能性はある。……首謀者にはこれ以上襲撃を繰り返す気が起きないようにさせてやろう。義憤というものは目覚まし代わりになるらしい。いい具合に頭が回り始めた。

 

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シャワーの栓を締め、おれはバスルームを後にした。これからやるべきことは2つある。まず1つ目は、誘拐された子供たちの行方について、手掛かりを掴むことだ。襲撃の指揮者……キリクは「クローム・ドラゴンに酷似した頭部をもつ化物」を、テレパイプガンとかいう道具で回収していた。奴の話では、あの化物は「調整中の生体兵器」らしい。

 

となれば、襲撃の首謀者はヴォイドの中でもクローム・ドラゴン関連の研究者だろう。さらわれた子供たちはその研究者が所属する研究所に、監禁されているのではないだろうか。幸いなことに、クローム・ドラゴン関連の情報についてはアテがある。アフィンとのミッション終了後にでも話を聞きに行こう。

 

そしてもう1つ、今後に備えてレイブンスーツの性能を把握しておく必要がある。昨夜の化物との戦闘は何とか切り抜けられたが、危ない場面もあった。……不意の大ジャンプとか。あれはちょっと怖かった。ヴォイドから子供たちを救い出す為にも、このスーツで何ができるのか、留意すべき弱点は無いのか。しっかりと確認しておかなくては。

 

アフィンとの待ち合わせにはまだ少し時間がある。おれは栄養補給ゼリーのパックをくわえながらマイルームをロックし、謎の青年から受け取ったバックルを取り出した。

 

実際に装着して性能をチェックするのが一番手っ取り早いだろう。バックルを腰に当ててボタンを押すと、昨夜と同じ青黒いもやが立ち込めながら全身にアーマーが装着され、眼前にはモニターが表示された。

 

昨日の戦いでは必死すぎて気付かなかったが、視界の右上にメニューを意味していると思われる三本線のアイコンを見つけた。視線をそちらへ向けると、アイコンは様々な機能が記載されたリストに変化した。その中には「装着者用マニュアル」という項目もある。とりあえずこれを見れば良さそうだ。

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マニュアルを確認したり、実際に機能を発動して試してみたり……

30分ほどで性能の全貌はつかめた。先の戦闘でも実感したが、レイブンスーツは装着することでおれから発せられる生体反応とフォトン反応を完全に隠蔽する。レーダーには映らないし……自動ドアも開かなくなるようだ。この特性によって正体を隠して戦える上に、気配を遮断して敵を欺くこともできるわけだ。

 

レイブンスーツには消音装置も搭載されているようで、装着中はどんなに激しく動こうとわずかな物音も生じなくなる。気配遮断と消音。昨夜レイブンスーツを着て戦闘員と戦う青年を見た際に感じた「そこに人が存在する感じがしない」感覚の正体はおそらくこれだ。スーツを装着している間は、目視さえされなければ敵に感知されることはほぼないと言えるだろう。すさまじいステルス性能は心強い武器になりそうだ。

 

一方この特性にはデメリットもある。フォトン反応の隠蔽は、フォトンを体内に閉じ込め、一時的に体外への放出・出力を不可能にすることで行われるらしい。つまり、装着中はアークスの主力武装であるフォトンウェポンを使えないということになる。

 

代わりに、レイブンスーツが収納されているバックル……マニュアルによると正式名称は「レイブンドライバー」というらしい。この「ドライバー」とやらにはフォトンを使用しない専用武器が格納されているようだ。

 

 

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おれは武器を一つずつ取り出して性能を確認することにした。

一つ目の武器は昨夜の戦闘でも使用した刀。「レイブンヤイバー」というらしい。刀身にフォトンを使わない代わりに高周波振動で切断力を高めている。昨夜の戦闘では軽く斬り付けただけで化物の装甲を抉り、出血させていた。武器としての威力は十分だろう。

 

 

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二つ目の武器は拳銃。その名も「クロウバレット」。

圧縮ガスを爆発させて弾丸を発射し、弾丸は着弾後数秒で霧散するらしい。痕跡の残らない拳銃ということか。弾丸は攻撃用の弾が20発に閃光弾が5発。ワイヤー付きの電撃端子を発射する機能もあるようだ。弾に限りがあるため戦闘用の武器として過信はできないが 補助的に使うには十分だろう。

 

 

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そして投擲武器「フェザーダート」。翼のような形状のデバイスに投げナイフが4本収納されている。試しにナイフを投げて見ると、ナイフはおれの狙った箇所に吸い付くように飛んでいって突き刺さった。おれにナイフ投げの心得はない。ある程度狙いをアシストする機能があるのだろう。翼型のデバイスに取り付けられたトリガーを引くと投げたナイフは自動でデバイス内へ飛来し、収納された。優れものだな、コレ……。

さらに、ナイフには通信を妨害する電波を発する機能も搭載されているようだ。うまく使えば敵に増援を呼ばれて追い詰められるという最悪の事態を防げるだろう。

 

これらの武器に加えて、装着中は身体能力が飛躍的に強化される。ステルス性能、癖はあるが強力な武装、そして身体能力強化。レイブンスーツを纏うことで、正体を隠すだけでなく対人戦闘での大きなアドバンテージも得られそうだ。一方でフォトンウェポンは使えず、ダーカーとの戦闘に関してはかなり分が悪い。この点は弱点として頭に入れておこう。

 

 

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スーツに内蔵されたマニュアル内の末尾に、特殊機能「緊急脱出」モードも見つけた。使用すると、事前に設定した地点へ自身を強制転送できるようだ。スーツの損傷度が一定以上になった場合は自動で発動するらしい。

この機能の世話にはなりたくないところだが、念のため転送先として現在地、つまりマイルームを座標登録しておいた。

 

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気付けばアフィンとの待ち合わせ時間が10分前に迫っていた。

レイブンドライバーを鍵付きの金庫に隠し、ばたばたとゲートエリアへ移動。アフィンとのミッションが終わったら次は子供たちの行方の手掛かり探しだ。昨日の化物……「クローム・ドラゴンの頭を持つ生体兵器」について、知り合いの科学者に話を聞きに行くとしよう。

 

 

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