白い部屋の亜人   作:匿名希望

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ホワイトルーム4期生に亜人が混ざっていたら……そんな話です


とあるホワイトルーム生の独白

 

 

 

 唐突だけど、俺が今から投げかける質問を少しだけ考えてみて欲しい。

 

 

 

『人が生きることに意味はあるのかどうか』

 

 

 

 ……ちょっと唐突過ぎたね。こんな思春期真っ盛りの男子のような痛い質問を投げかけたのにはちゃんと意味があるから、もう少しだけ我慢して聞いてほしい。

 

 まずは自己紹介から行こう。俺の名前は(しのぶ)。訳あって名字は無いが、年齢は12歳。ちょっと()()()()()で育った、ちょっとだけ()()()()()を持つ人間だ。

 環境についてはひとまず置いておくとして、俺の特殊な体質を紹介しよう。

 

 皆は『亜人』という言葉を聞いたことがあるだろうか? 知らない人のために説明すると、20XX年現在で全世界に数十体、日本だとたったの2人しかいない()()()()()()を亜人と呼ぶ。

 不死身の人間……といっても体がめちゃくちゃ頑丈だとか、そういう話ではない。

 

 ────亜人の特質すべき点は、()()()()()()()()()()()()()()()()ということだ。首の骨が折れても元通り繋がるし、体の血が全部抜かれても健康そのもので復活する。何なら全身がサイコロステーキ状にバラバラにされても10秒後には元通り。現在アメリカを筆頭に全世界で研究がなされているが、いまだその原理は解明されていない摩訶不思議な生命体だ。

 

 察しの良い人ならもう気が付いてると思うけど、俺は今までに()5()2()6()7()()()()()()()()……つまりは亜人ということだ。初めて知ったときはそれはそれは驚いた。だって 本の中でしか知らなかった存在に自分自身がなってしまうんだ。その日の夜は不思議な気持ちになったのを覚えている。

 

 さて、普通は亜人だと判明した場合、国に保護してもらうのがセオリーだ。そうすれば俺は晴れて日本で3人目の亜人として明日のメディアを独り占めするだろう。

 しかし、ここで問題になってくるのが先ほど言った()()()()()だ。

 

 

 

 

 

 ────ではここで、俺の過ごしてきた特殊な環境について少し例を挙げてみよう。

 

 

 

 

 

『これより、第72回戦闘プログラムを開始する。双方位置につくように』

 

「はーい」

 

 支給された迷彩柄のヘッドギアから無線が流れてくる。ゴーグル越しの視界に映るのは一面の生い茂った木々の()()()()

 手に持ったハンドガンのスライドを引き、教えられたマニュアル通りの整備を行った俺は、指定されたスタート地点に片膝をついて返事をした。

 

『今回の訓練は、紛争地帯にて敵の前哨基地を制圧することを目的としたものだ。基本的な施設の構造は以前の訓練と変わらないが、月城先生いる4個分隊、計16人が()()を装備している。痛い目を見たくなければ慎重に行動すること』

 

「了解」

 

 ったく……月城先生率いるライフルを持った元特殊部隊15人に対して、俺はペイント弾が装填されたハンドガン一丁かよ。無茶言うぜホント。

 ま、相手は()()()()()だし仕方ないんだけどさ。

 そんなボヤキをしつつも、俺は現状持つすべての情報を駆使して潜入ルートを割り出す。今日は大規模な銃撃戦じゃないだけまだましだ。

 

『作戦開始』

 

 合図と共に低い姿勢を維持したまま駆けだす。この『ホワイトルーム』の敷地内に作られた俺専用の施設はそう広くない。100mほど走り抜ければ見張り役の兵士が銃を構えて待っているだろう。

 そんな予想をしながら木々の間を縫うように走ると、前哨基地の入り口付近に2人の兵士が立っている。

 気づかれないように後ろからペイント弾で2人の頭を打ち抜く。死亡判定を食らった兵士がその場に倒れ込んだため、近くの茂みに死体を隠し、裏口から基地内に潜入する。

 

「よし! あと14人」

 

 ────それから頑張って残り13人を無力化した後、月城先生が居るであろう中央の施設へと向かう。

 司令塔のような建物の扉を開けたとき、二発の銃声と共に両膝に力が入らなくなったためその場に倒れる。どうやら膝のど真ん中を打ち抜かれたらしい。

 顔を上にあげると、そこには片膝立ちの状態でライフルを構える月城先生の姿があった。

 

「……それズルじゃないっすか?」

 

「いきなり15人と連絡が取れなくなったら流石に警戒しますよ。君はまず施設の主電源を落とすべきでした。ほら、起き上がってください。ここで終わりじゃないでしょう?」

 

「なるほどね……っと」

 

 しっかりと反省点を指摘してもらった後、チェストリグに差し込んだサバイバルナイフを抜き自分の首を掻っ切る。

 瞬間、途絶えていく意識と共に黒い砂塵のようなものが舞い上がり、膝に感じていた痛みが無くなる。

 起き掛けに月城先生の顔面に向かって弾を撃つが、紙一重の所で避けられる。

 もう一度狙いを定めて撃とうと思ったが、スライドが開いたままストップしてしまった。どうやら玉切れのようだ。

 

()()からの起点も素晴らしい。成長しましたね」

 

 鉄くずと化したハンドガンを月城先生に投げつけ、その間に距離を詰める。相手が持っているのは長物。遠距離攻撃をする方法が無い以上、近接戦闘に持つ込むのが吉。

 対格差を生かし懐に入り込みナイフを心臓に向かって斜め下から突き入れる。

 紙一重で交わした月城先生は、猛烈な勢いで膝蹴りを入れてくるが、それを切り抜けて後ろに回り込んだ。

 

「よっと。任務完了かな?」

 

 そのまま両手足で絡みついて仰向けに倒す。そして首筋にナイフを当てると、ブザー音と共に指示が出た。

 

『訓練終了。各自、15分の休憩の後再開すること』

 

 それと同時に、倒れ伏していた教官たちが息をつきながら起き上がる。

 月城先生から離れ手を差し出すと、彼はそれを掴んで起き上がった。

 

「お疲れさまでした忍君。より条件を難化させたつもりでしたが、まさかここまで簡単に達成してしまうとは」

 

「結局一回死んじゃったからまだまだだけどね。今日はとことん付き合ってもらいますよ?」

 

「それは怖い。お手柔らかにお願いします」

 

 

 

 ────とまあ、これが俺の日常である。

 

()()()()()というのはまさにこの場所で、『ホワイトルーム』と呼ばれる施設なのだが、俺は生まれて12年、この敷地から一度も外に出たことが無い。

 何なら俺はまだマシな方である。何故ならこの狭い敷地内だけだが、外に出ることが出来ているのだから。

 

 それを説明するには、このホワイトルームという施設がどういう目的で作られたかを説明する必要がある。

 この施設は綾小路篤臣先生が創設した『人工的な天才を作ることを目的とした施設』なのだ。そのコンセプト通り、俺も含めたすべての子供たちはこの施設を構成する真っ白な床壁天井に囲まれた部屋で、一生を過酷なカリキュラムをこなして過ごすことになる。目標値を下回ると脱落となり廃棄される。

 

 そして今やっているのが『戦闘プログラム』。()()()()()()()()()()()()カリキュラムだ。

 市街地での銃撃戦、ジャングルでの対ゲリラ戦、要人救助、暗殺などの贅沢な訓練を受けることが出来る。それも失敗したら文字通り死ぬ訓練。リアリティがあっていいでしょ? 

 

 

 





亜人側のキャラを出すかどうかは未定です

もし面白いと思って頂けたら感想、高評価いただけると嬉しいです!
よろしくお願いします!
次回投稿は1月30日の0時1分の予定です
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