倉田ましろといろんなことがしたい。 作:フロストヴェール
突然の惚気になって申し訳ないが、俺、
野菜が嫌いなのだ。
高校生にもなって、ということをいう訳でもないが。
ちょっと好き嫌いが激しすぎると思う。
現に。
「...おい、無言で俺の方にピーマンを寄せるな」
「あ、バレちゃった...」
「バレちゃったじゃないだろ、ちゃんと食え」
「...嫌だ、苦い」
といった具合で。
毎度毎度、俺は彼女に甘いから除けられた哀れな野菜たちは俺が処理するわけだけど、一回でもいいから食べてほしいと思う。
そんな俺は、彼女に野菜を食べさせるべく、とある作戦を練った。
その名も「俺が作った飯なら、何でも食ってくれる説」。
...作戦でも何でもなかったうえに、説明するまでもないな。
まぁ、一応概要をば。
ましろはなぜか知らないが、俺の作った料理はめちゃくちゃうまそうに食べる。
いつだか聞いてみたのだが、「あおいくんのご飯はどれもおいしい」って言ってた。
その後に「...増えた」って呟いたような気がするけどきっと気のせい。
という訳で、俺特製ポテトサラダでも作ろうか。
初めてだったらそこまで抵抗もなし、野菜炒めよりは原型はないし食いやすいだろう。
さ、蒼'sクッキング、始めようか。
「ただいま~...」
「ん、おかえり~」
さぁ、ターゲットの帰還だ。
ポテトサラダは既にセッティングが済んでいる。
あとは皿に盛り付けて完成だ。
「さ、たんと食え」
「うん、いただきま、す...」
ポテトサラダを見たましろが顔色を変えた。
こいつ、野菜に敏感過ぎるな。
「ね、ねぇ、あおいくん」
「どうした?」
「これ、やさい...?」
「...そうだよ」
なんか、悪いことをした気分だ。
けど、心を鬼にして。
「...ましろ」
「な、なに?」
「...一口だ」
「ひ、ひとくち?」
俺の言葉をオウム返しするましろ。
「あぁ、一口だ。野菜が入ってる場所、小さくても一口食ったら、なんかしてやる」
「ほ、ほんと...?」
「あぁ。ただ条件を付けよう。一口の大きさによってその「なんか」の程度は変わる」
これの条件としての穴は、『野菜がちょっとでも入ってれば丸々ポテトでもいい』というところだ。
ましろがそれに気づければ、俺の「なんか」は規模のデカいものになるが...?
「う、うん。わかった。食べる、から...見、ててね...?」
「あぁ、見ててやる」
そう言うと、ましろは箸を手に取って、野菜がある場所に箸を突っ込んだ。
そのまま人参が入っている、玉ねぎも入ってるだろう区域を持って行って...
「っ...はむっ...」
食べた。
ましろは終始苦しそうな顔をしている。
そして。
「...んむっ...っは...あ、あおいくん...!」
「...頑張ったな」
ましろの野菜嫌いを、少しは克服する手伝いが出来たかな。