倉田ましろといろんなことがしたい。 作:フロストヴェール
来たる3/14、俺はチョコのお返しを行う!!
...じゃなくて。
別に俺、
貰ったお礼をしたいだけであって。
だけど。
「重いって、思われねぇかな」
チョコレートをお返しにする意味は「あなたと同じ気持ちです」や「これまでと同じ関係を保ちましょう」っていうのらしいが。
「は...ぁ...なんか緊張してきた」
チョコのお返しでチョコを渡すだけなんだ。
何を緊張しているんだ。
とにかく普通を装え俺。
必死に考えていることを悟られないようにしろ俺。
「ふぅ...」
深呼吸を繰り返していると、倉田さんの姿が。
「どうしたの、水庫くん」
「ん、いや...緊張をほぐすための儀式っていうか」
「...そのチョコ、渡しに行くんだね」
俺の手にある箱を見て、そう呟いた。
心なしか、少し寂しそうに聞こえた。
「あー...まぁ、うん」
「...そっか。頑張ってね、応援してる」
そうやって言ってくれたはいいものの、渡す相手は今喋ってるあなたなんだとは言えず。
「あ、のさ、倉田さん」
「なに?」
「その、えっと...」
ダメだ、どもるな俺。
ここで日和って何が男なんだ。
「いや、ごめん。渡しに行く相手、ここで言っとく」
「え...?」
「倉田さん、君だ。お返し、したくて」
あれ、倉田さんが顔を背けた。
まずかったかな、やべえやつだって嫌われた?
「え、あ、あの...覚えてて、くれたの?」
「...もちろん。こう言っちゃあれだけど、俺、もらえる方が少ないし」
「そう、なんだ...えへへ、そっかぁ...」
今度は顔が赤くなってる。
照れた?このタイミングで?
いやまぁ渡した相手が相手なら赤面もわかるんだけど。
「と、いう訳だから、お返し」
「私が、もらっていいの?」
「倉田さんにあげるために作った」
そういうことを言うなバカタレが、と自分でツッコミするより先に、倉田さんが受け取ってくれた。
「つく、った?私の、ために?」
「...まぁ、うん。あんまり、倉田さんみたいには、出来なかったけど」
「ううん、ありがとう。お返し、嬉しいな」
ふわっとした笑顔。
それが見たくてお返ししたまである。
見返りを求めちゃ、ヒーローとは言えないらしいけど。
俺はヒーローになろうなんざ思っちゃない。
でも、相手に直接は求めない。
「お返し...嬉しいなぁ」
この笑顔が見られれば、この後の顛末なんてどうでもいいのだ。
彼女が笑顔でさえいれば、後はもう、なにも求めない。