倉田ましろといろんなことがしたい。 作:フロストヴェール
似たようなの合ってちょっと凹んでる、パクリだろって言われたら消す
それはバイト休憩中、残業を頼まれ帰りが9時を過ぎるかどうかぐらいの時間。
メッセージアプリのチャットの通知が来た。
『先輩、通話してもいいですか』
たったこれだけ。
通知をタップして、アプリを立ち上げる。
差出人は倉田ましろ。
『通話か、全然いいぞ。
ただ、今バイト中だから後でな。
終わったら連絡するよ。』
と送ると直ぐに既読がつき、
『わかりました、待ってます。』
と、可愛らしいOKスタンプが送られてきた。
「...さて、頑張るか」
せっかく可愛らしい後輩からの通話のお誘いなんだ、気合いも入るというものだ。
「お疲れ様でーす」
タイムカードを打刻し、着替えてロッカールームを出る。
朝は降っていた雨が、とっくに止んでいた。
「あ~...歩きで帰るかな...」
夜の歩道を歩きながら、ましろに連絡する。
『バイト終わったよ』
『いつでもいいよ』
と送りつつ、音楽用に持ち歩いているイヤホンを繋ぐ。
『わかりました』
というチャットの後、すぐにコール音がなる。
緑のアイコンを真ん中にスワイプし、電話に出る。
「もしもし、聞こえる?」
『はい、大丈夫です』
通信環境は良い、外の方がいいな...
『えっと...お仕事、お疲れ様です』
「ありがとう、そういうのがいちばん嬉しい」
金曜の夜ということもあって、頭が回っていない。
『あの...先輩は今帰りですか?』
「今さっき終わったからね。そっちは?」
『さっきまで...その、宿題してました』
宿題...嫌な響きだ。
「ましろは偉いな、ちゃんと溜めずにやってるんだ」
『終わらせないと、どんどん溜まっちゃうので...先輩とお電話する前に、終わらせちゃおうかなって...』
偉い後輩にはサービスも大事だよな。
「じゃあそんなましろには、ご褒美をあげないとな」
『え?えっと...大丈夫ですよそんなの!私が、勝手にやってるだけなので...』
「先輩と通話したいから終わらせたっていう風に聞こえたんだけど?」
『あぅ...えっと...それは、その...そうなんですけど...』
そうなんだ。
『で、でも、ご褒美貰う頑張りじゃないから、えっと...』
「あはは、テンパるなって。あ、ちょっとコンビニはいるからミュートするな」
『はい、どうぞ』
いつも買ってる飲み物と、変わり種のお菓子を買ってコンビニを出る。
「ごめんな、おまたせ」
『いえ、大丈夫です。先輩、何買ったんですか?』
「いっつも飲んでるミルクティーと...なんだっけなこれ」
『....見ずに買ったんですか?』
「いや、いつも見ないやつだったから衝動的に...あぁ、いつも食ってるチョコの新味だ。えっと...いちご、かな」
『いちごチョコ...!美味しいですよね!』
いちごチョコの話で食いつきが良くなったな。
「好きなの?」
『はい。練習の時、たまに持って行って食べてます』
「確かに体力使うからな、甘いもんはいいよね」
『そうですよね!』
話しているうちに住宅街に入った。
俺の家はもう少し先だが、通話相手の家はすぐそこにある。
...まあ、すぐに押しかけて迷惑だろうし、いいか。
『先輩』
「どうした?」
『...ごめんなさい、なんでもないです。お風呂入ってくるので、後で繋ぎ直して貰ってもいいですか?』
「はいよ、後でかけ直すよ」
『お願いします』
仕事が終わったら電話してもらえるんだ、神か?