倉田ましろといろんなことがしたい。 作:フロストヴェール
「はぁ...」
4限が終わり、張り詰めた息を吐き出す。
やっぱり持たなかった。
だってさ、だってよ?
「(推しの隣で真面目に授業なんて受けられるわけないじゃねえか...!)」
俺、
てか逝ってた。
字が違う?ほっとけ。
「彷徨くん?」
「はい、なんでしょ」
「...ねぇ、どうして顔見てくれないの?」
「あー...その、今はちょっと恥ずかしいというか...」
言い訳下手か。
いや、言い訳どころか会話迄下手だわ、滅べ。
「恥ずかしい?あ、もしかしてさっきのこと?」
「オボエテタノネワスレテホシカッタ」
「えへへ、彷徨くんって面白いね」
推しに面白いって言われるのは嬉しいけど!
それを言わせる要因が4限の誤答による失態だなんて!!
「...穴があったら入りたい」
「大丈夫だよ。私は...手も上げられないから」
「いや、倉田さんはそのままでいいと思う」
クソフォロー、クソ語彙力。
神様今から転生させてください。
ボーナスは語彙力カンストで。
「そ、そう?」
「あの、その...そこが魅力、というか...ギャップがあっていい、というか...」
「...ありがとう、彷徨くん」
ふわっと笑う笑顔が俺にはクリティカル!!
死ぬ!!
「あはは...じゃあ俺は昼飯の場所でも探してこようかな...」
それとなく呟き、席を立って教室を出ると、後ろにはねる白髪が。
「あの、倉田さん?」
「なに?」
「えっと...どちらに?」
「ご飯を食べるんだよ?」
可愛らしい弁当の包みを持って疑問符を浮かべる倉田さん。
可愛いな。
「...バンドの皆さんと?」
「...今日は透子ちゃんが休んでるから、集まりはなしなんだ」
「そ、うなんだ...」
「うん...けど、外で食べたくて」
外で弁当食ってる倉田さん、絵になるからなぁ。
え、見たことあんのかって?
いやその、たまたま見ちゃっただけで...見ようと思って見たわけじゃなくて。
「ねぇ、彷徨くんが良かったら、彷徨くんの特等席、いっしょに行ってもいいかな?」
「えぇ!?」
「ダメ、かな?」
「あぁいや、その。全然、大丈夫です、はい...」
「えへへ、ありがと」
駄目だよ、その笑顔。
即死単体宝具だよ。
確率90%ぐらいの。
「じゃ、じゃあ、時間もなくなるんで行きましょうか」
「うん。楽しみだな」
「そんな楽しみにすることじゃないと思うんですが...?」
「...彷徨くんのご飯食べてるところとか、誰も見たことないんだよ?」
全然レアじゃないよ、そんなの。
「まぁ、それは...見つからない所で食べてたりするので...」
「そう、なんだ...ちょっとわかるかも」
俺の特等席は、中庭の端っこにあるベンチ。
風通りもよくて、空気が澄んでるこの場所が、今の席の次に好き。
「あの、彷徨くん」
「はい?」
「これからも、私、ここに来ていい?」
「あ...倉田さんがいいなら...」
「やったぁ。これからもここ、来るね」
「は、い...よろしく、お願いします?」
俺の唯一の安寧の場所、推しに書き換えられた。
幸せで死にそうだ、俺。
最近倉田が迷走してきた。
イベストまた読まないと